ヒーリングっど❤プリキュア〜新たな伝説の誕生〜 作:ssgss
「俺も変装とかした方がいいかな…?」
ラビリンとのどかの仲が深まった翌日。
俺はのどかと昼食を共にしながらふと声に出す。
ちなみにあの日の後、俺は自分で言うのもなんだが珍しくトレーニングにはせず、そのまま深夜まで眠っていた。
きっと疲れが溜まっていたからだと思うが、起きてからは異様に体の調子が良い。
というより、全く別人になったんじゃないのかと思えるくらい力が漲っている。
「どうしたんラビ、急に?」
ラビリンが俺に聞く。
「いやさ、今日の朝クラス中でメガビョーゲンの事について聞かれたろ」
俺はみんなに同意を求めるように言う。
そう今日の朝、昨日の学校と、その前の公園の件についてクラス中で大盛り上がりだった。
「一応あの時はメガビョーゲンの事しか触れられてなかったけどさ、もしかしたら今後、俺の姿を見られちまうかもしれないだろ。そうなった時、プリキュアは俺の知り合いだってバレたらまずいじゃねえか」
「確かに、そうラビ。プリキュアの事は絶対秘密。変身してるのどかと違って治は姿がそのままだから、危険ラビ」
ラビリンが俺の言ったことに同意する。
「それに、ちゆの奴にも怪しまれてるしな」
俺は最後にそう付け加える。
これもまた今朝の話だが、みんなが俺たちにメガビョーゲンもとい、怪物を見たかどうか聞く中、ちゆ一人だけは俺たちが帰った後にまた学校に来ていた事を知っていた。
しかも、その時に言われたのが、見たんじゃないか。
とほぼほぼ確信に近い言い方だったしな。
と、思いながら俺は特大の唐揚げを一つ口に放り込む。
「私がどうかしたの?」
「っ!! んーーーっ!! んーーーーっ!!」
突然後ろから聞こえたちゆの声。
そしてその声に驚きすぎたせいで俺の口から喉までそのままの大きさを保って進行する唐揚げ……うっ…。
「大変! しっかりして、彩野くん!」
「治くん! 治くん!」
「ワン、ワン!」
あ、ラテの声がする…。
ていうかなんだろ……川が見える。
「…………ぶはっ!! ゲホゲホッ!!」
「しっかりして、お水飲める?」
のどかは手に水筒を持って俺に聞いている。
俺はそれを手に取り、一気に口に含んで唐揚げを喉の奥へと押し流した。
「はー…はー…、驚いた…。驚きすぎて一瞬川が見えた」
「ご、ごめんなさい! そんなにビックリされると思わなくて…」
呼吸を整え、俺は頭を下げて謝っているちゆを見た。
「いや、こっちが勝手に驚いただけだから別に気にしなくて。死んだわけじゃないし」
死にかけたかもしれないけど…。
と思ったことは墓場まで持っていこう。うん。
「それで、一体どうしたんだよ。てか、さっきラテの声が聞こえた気が」
俺はちゆに聞いた。
するとちゆは、
「そうなの。この子、彩野くんのお家の子? さっき校庭にいて、びっくりしたわ」
ラテを俺に見せてきた。
「ラテ!?」
「ワン!」
いや、ワン! じゃなくて…。
「まあ、俺の家じゃなくてラテはのどかの家で飼ってるんだ」
「そうなの。もうラテったら、わたしについて来ちゃったの?」
「ワン!」
ラテはそうだと言わんばかりに吠える。
するとのどかも、しょうがないなぁと言いながらラテを抱えて撫でた。
「ありがとう沢泉さん。ラテを連れてきてくれて。どうして分かったの?」
「怪物が出たあと、そのワンちゃん……ラテちゃんだったかしら? その子と、あなたたち二人を学校で見たからよ」
「そうなんだ〜……。え"っ!?」
のどか今の声どっから出した?
「ちゆも居たのか…」
「私も、怪物自体は見ていないんだけど。あなた達と、不思議なうさぎさんとペンギンさんが居るのを見てね」
「……」
マズい事になった…。
ラテは犬だから、飼ってるって言っても不思議じゃない。
けど、ラビリンとペギタンはうさぎとペンギンだ。
うさぎならまだしも、全身ピンクだし…。
ペギタンにいたってはペンギンのペットなんてどうしたらいいんだよ…。
「あの子たちも、わたしと治くんが飼ってるペットなの!」
のどか…、それは無理があるんじゃないのか…。
「そうなんだよ。珍しい種類でさ…」
と思いながらも俺ものどかに乗っかる。
「……そう、なのね。ならいいわ。それで、花寺さん。ラテちゃんはよく抜け出すの?」
「えっ? う、うん」
「まったく困った奴だよ」
俺はそう言いながらラテを撫でる。
すると、
「わふ〜ん…!」
ラテは気持ち良さそうな顔をして声を出す。
うっ、思わず胸がキュッとなったじゃないか!
「そうなの。もう、仕方ない子ね」
今度はちゆがラテを撫でた。
「とりあえず授業中は、ラテちゃんを職員室で預かってもらえるよう先生にお願いしてみましょうか。私も一緒に行くわ」
「ありがとう沢泉さん。前にも飲み物分けてもらっちゃったし、いつも優しくしてもらってばっかりで」
「気にしないで。私も、大したことはしてないから。ただ、気になることを放っておけないのよね」
「それでも、素直にお礼は言っておくよ。ラテの事、サンキューな」
「ふふ。じゃあ、素直に受け取っておくわね」
そう言うちゆに、俺はそうしてくれとだけ返した。
「そうだわ。今度、もしよかったらあのうさぎさん達にも会わせてね。うちに来たらきっと喜んで貰えると思うから」
「うん! 絶対に行くよ!」
「分かった。約束する」
そんな約束をし、俺たちはラテの事を先生に頼みに行った。
言っておくけど、弁当はちゃんと全部食ったからな。
ちなみに、あの後ペギタンと会い、自分がラテの世話をしてる最中に逃げ出してしまって学校に来たことを教えてくれた。
てか、ちゆの家って…?
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「…すっげー!」
「ここ、沢泉さんのお家だったんだ! 素敵!」
放課後。
俺たちはちゆに案内され、彼女の家向かった。
そして着いた先は『沢泉』と書かれた看板が大きく目を引く旅館だった。
「ちゆって、ここの看板娘って奴なのか? もしかして」
「そういうわけじゃないけど、私もお手伝いはしてるの」
そして俺たちは旅館の中へ足を踏み入れる。
「ようこそ沢泉へ。貴方達がちゆのお友達ね?」
「えっと、ちゆのお母さんですか?」
「そう。ちゆの母の、沢泉なおです。よろしくね」
「あ、俺は彩野治です。よろしくお願いします!」
「初めまして! 花寺のどかです!」
「いらっしゃい。二人とも、ゆっくりして行ってね」
そう言いながらなおさんは仕事に戻った。
「ねえ、二人とも、よかったら私に、旅館の中を案内させてくれないかしら。この旅館の良さを知ってもらいたくて」
「いいの!? ありがとう沢泉さん!」
「それは助かる。よろしく頼む」
俺たちが言うとちゆは笑っていた。
そこから、俺たちは彼女にたくさんの場所を案内してもらった。
中でも俺が一番驚いたのは、ペット同伴でも入れる温泉があるって所だな。
だからさっき、ラテやラビリンたちが一緒でも喜んで貰えるって言ってたのか。
「日帰りの入浴も大歓迎だから、よかったら二人とも、ご家族で遊びに来て。もちろん、あのうさぎさんたちもね」
ちゆは笑顔で言う。
この旅館を案内している最中、一度足りとも彼女の顔から笑顔が無くなった事はなかった。
「ホントに好きなんだな」
「えっ?」
「わたしも思った! 沢泉さん、ホントにお家が大好きなんだなって。だって、あんなに楽しそうに教えてくれるんだもん!」
俺の言葉に同意したのどかが勢いよく言う。
最初はその様子に少し止まっていたちゆ。
だが、彼女の顔はすぐにまた笑顔になった。
「そう。大好きで、大切な場所よ。だから、私はここを守りたい」
ちゆはそう言った。
「守れるだろ。お前みたいに、大事にしてくれる奴がいるんだからさ」
「ふふ、ありがとう。それじゃあ、私は着替えてくるから。二人とも、ゆっくりしてて」
ちゆはそう言って去って行った。
そして、その場には俺とのどか、ラテ、そしてのどかの鞄に隠れていたラビリンとペギタンが残った。
いや、結構な数残ってたわ…。
「そんじゃ、入ってみるか」
「うん!」
俺とのどかは湯船に足だけを浸ける。
ふー、
「「気持ちいい〜〜〜」」
俺たちは揃って間の抜けた声を出す。
そんな俺の気持ちに反応したのか、尻尾もすっかり気が抜けてへんにゃりとしている。
「ふふ。ラテも入ってみる?」
「ワン! ワン!」
のどかが聞くとラテは嫌そうにバタバタと手足を激しく動かす。
「どうしたんだ?」
「多分、水が怖いのかも。まだ小さいもんね…。じゃあ、ラビリンが入る?」
「いいラビ!?」
「まあ、ちゆも来てくれって言ってたんだし。いいだろ」
俺が言うとラビリンは喜々としてペット用の湯船に行った。
だが、
「ペエ…」
ペギタンは誰の目から見ても明らかに落ち込んでいた。
「どうしたんだよペギタン?」
「お風呂が大好きなのに、全然嬉しそうじゃないラビ」
あ、ペギタンって風呂好きなんだな。
ペンギンだから水風呂か好みなものかと……いや、風呂だな。
「何かあったの?」
のどかが聞く。
するとペギタンはゆっくりと口を開いた。
「僕は何もできてないペエ…。ニャトランみたいにパートナーを探しに行けてないし…」
「あ、ニャトランが居ないのはそういう理由か」
俺はようやくこの場に居ないもう一人が何をしているのか理解した。
まあ、あいつは結構その場のノリみたいな空気があるからな。
ひなたと良い勝負だぜ。
「今日だって、ラテ様のお世話もちゃんとできないから、迷惑かけちゃったペエ…」
「んなこと気にすんなよ。言っちまえばお前のおかげで、俺ものどかもこうしていい湯に浸かれてるんだし。それに、パートナーを見つければどうにかなるって」
俺が励まそうとするも、ペギタンの顔は上に上がらない。
「けど、治はのどかみたいにプリキュアなれなくても頑張ってるペエ…。僕もラビリンみたいに、お手当てできるようになりたいペエ…、みんなを助けたいペエ…」
それはペギタンが溢した自分を責める言葉だった。
その言葉に対して俺は、
「ペギタン、俺だって…」
「ねえ二人ともさっきの声は?」
声をかけようとした途端にちゆが律儀にノックをしてから入ってきた。
「え、声!? なんの事だ!?」
「き、気のせいじゃないかな! あ、あ~、いい湯ラビ〜…」
「……」
やめてくれ黙られるのが一番辛い。
あと、湯の中に入ってるペギタンとラビリンも死にそうになってるから早いところこの状況をなんとかしないと。
「くしゅんっ…!」
そう思っている矢先、いきなりくしゃみをしたラテ。
ちゆはそんなラテを心配して駆け寄る。
「大変! 冷えちゃったのかしら?」
何も知らないちゆはそう言う。
当然だ。
彼女もラテはお風呂に浸かって冷えたと思っているんだから。
俺はそれを初めて見た。
けど、その時ののどかの顔から何が起こったのかは分かる。
俺はちゆの目につかない様ラビリンとペギタンを湯船から出した。
「悪い、ちゆ。せっかく良い湯に入らせてもらったんだけど、俺たち行かなくちゃ」
「え…?」
「お前は家の中に居てくれ。そうすれば安心だからさ」
俺とのどかは目を合わせ、ちゆを残してその場から走った。
……またビョーゲンズかよ!
とりあえず、アニメに早めに追いつけるといいなぁ…