ヒーリングっど❤プリキュア〜新たな伝説の誕生〜 作:ssgss
『お前は家の中に居てくれ。そうすれば安心だからさ』
(何だったのかしら…)
ラテの様子がおかしいと見た矢先に旅館から飛び出した治とのどかを見た後、ちゆは一人、旅館の中を歩いて考えていた。
そして、その脳裏にはある確信があった。
やはりあの二人は怪物について何かを知っていると。
「けど、どうして二人ともそんなに隠したがるのかしら…」
そう呟きながら歩く彼女。
そんな彼女が旅館の入り口に差し掛かったところ、母であるなお、そして旅館の従業員である川井が話している声が聞こえた。
「お湯が、なんだかおかしいんですよ。急に手触りが悪くなったというか」
「急に…? お客様は?」
「今はどなたも」
そんな話をしている中、ちゆの脳裏にはやはり、あの二人の顔があった。
「分かりました。とりあえず私は、他の方と一緒に設備を見て回ります。川井さんは源泉の調査をお願いできますか?」
「はい。お任せください!」
その会話を聞いてちゆは、
『ホントにお家が大好きなんだなって。だって、あんなに楽しそうに教えてくれるんだもん!』
というのどかの言葉を思い出した。
そう、この旅館は自分にとってとても大切で、大好きな場所。
その場所に何か起きているなら、何かをしたい。
「待って、川井さん。私も行きます!」
そんなちゆの想いが、治の静止を振り切り、彼女を動かした。
そう、のどかも治も忘れていた。
彼女は、気になったことを放っておけないと。
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「それで、今回はどこに行けば良いんだ?」
「ラテ様は、暖かいお水が泣いてる場所って言ってたペエ」
俺たちはビョーゲンズが出たと思われる場所に走っていた。
もちろん、のどかを置いていかないようにだが。
「治。さっきは僕に何を言おうとしてくれたペエ?」
その最中、ペギタンがいきなり俺に聞く。
「あー、あれか。俺は何でか知らないけど、戦いの度にワクワクしてる。けどなペギタン、俺も、怖いんだぜ」
「治もペエ…?」
「ああ、もし負けたら…。もしのどかやラビリンが居なくて、浄化できないってなったら。そんな事を考えると、怖くて怖くて仕方ない」
自分でも器用だと思うが、俺は走りながらペギタンに言い、そのまま続けた。
「けど、今は居る。のどかもラビリンも、だから怖さを振り切ってワクワクの方が強くなれる。だからさペギタン、怖くたって良いと思うぜ。そんな怖さを一緒に乗り越えられるのが、よく分からねえけどその心の肉球がキュンと来るパートナーなんじゃねえのか」
「ペエ…」
そんな話をしながら、俺達はようやくメガビョーゲンに辿り着いた。
しかも、今回のメガビョーゲンは前の二回よりも大きい気がする。
「メーガーーー!!!」
「いいわよいいわよ! その調子でドンドン地球を蝕んじゃいなさい!」
温泉の源泉を汲み上げる……えっと何か前に名前を聞いたんだよな。
……そうだ! 源泉ポンプ。
その源泉ポンプの姿をしたメガビョーゲンがその場に居た。
「あれ、今日はダルイゼンじゃないのか」
「あれは、ビョーゲンズのシンドイーネペエ…!」
ペギタンが名前を教えてくれる。
……そして、遠くの方には何故かちゆが居た。
あと、多分ちゆの旅館の人だと思うけど倒れている。
「どうやら俺たちが来るまでに何かあったっぽいな。のどか、早いとこ片付けようぜ」
「うん!」
そうしてのどかはキュアグレースに変身した。
「来たわねプリキュア! メガビョーゲン、やっちゃって!」
「メガーー!!」
「治くんは、沢泉さんを!」
「OK!」
俺はグレースと別れ、ちゆに駆け寄る。
「彩野くん…? それに、花寺さんが…ねえ、あの怪物は何なの!? 知ってるなら教えて!」
俺はちゆと倒れている人をなんとか抱えて近くの木陰に避難させる。
「知らなくていい」
「けど…!」
「俺よりも足手まといなんだから引っ込んでろ!」
こんな事言いたくない。
けど、こうでも言わないと彼女を危険から遠ざけれないから言う。
「メガビョーゲン!!」
「っ!! 治くん!」
「危ない!」
二人に言われ、俺はふと後ろを見る。
そして次の瞬間、俺の眼前にはおそらくメガビョーゲンとグレースの戦いの中で吹っ飛んだであろう大木がこちらに迫っていた。
避ける…わけにはいかねえか。
「ふんっ!」
俺は両足に力を込め、大木を受け止める。
それと同時に、俺の左肩は鈍い音を上げた。
「……っ!! ぐっ…!」
「彩野くん! 大丈夫!?」
ちゆが駆け寄る。
……大丈夫、ではないよな。
手は、動く。
関節は外れてない。
けど、結構痛みが強いってことは、ヒビくらいはいったかな…?
「これで分かったろ。危険だから、下がってろ」
「関係のない人間を庇ってダメージを受けるなんて、ダルイゼンから聞いてたよりずっと単純なのね、坊や」
そんな俺を罵倒するようにシンドイーネが言った。
「あいにく、最初から避けるなんて考えはできなくてねえ。自分の気持ちに正直に動いた結果だ、後悔はねえ」
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「……!」
治の言葉を聞き、ちゆはハッとする。
「ちゆ、悪いけどこれ以上話してもいられねんだ。行かなきゃ」
そんなちゆを放って、治は再びグレースとラビリンが待つ戦場に赴いた。
片手が満足に使えないのに、それでも彼は自分の気持ちを裏切らないように。
「彩野くん…、花寺さん…。私には、何もできないの…!?」
自分の知っている人が、自分たちのために戦っている。
そして一人は、自分たちを庇って傷を負った。
そんな自責の念がちゆを襲う。
そして同様に、
「治…。どうしよう、どうしたらいいペエ…。僕には、僕には何もできないペエ…!」
その場でパートナーを持たないペギタンもまた、頭を抱えながら悩む。
自分を励ましてくれた人が、自分の仲間が頑張っているのに、何もできていないから。
そんなペギタンを、ちゆは見つけた。
(あのペンギンさん。もしかして!)
そして、
「ペンギンさん!」
「ペエ!?」
ちゆはペギタンに声をかける。
最後の望みを賭けて。
「もしかして、あなたもああやって戦えるんじゃない?」
ちゆからの問いかけ。
そしてその問いかけに、ペギタンはゆっくり、怖がりながら頷いた。
それを見てちゆは笑顔になる。
「できるのね! なら、私にも手伝わせて!」
「無理ペエ…」
「……どうして?」
再びちゆが聞く。
するとペギタンは、
「自信ないペエ…。ラビリンでも苦戦してるのに、こんな僕の力じゃ、君を危ない目に遭わせるだけペエ…」
自分の弱さを伝えた。
治が折角励ましてくれたのに、結局自分は変われない。
そう思ったペギタンが下を向こうとした時、
「でも、あなたも助けたいんでしょう?」
ちゆの声がペギタンの顔を下から上へと持ち上げる。
「ペエ…!?」
「私も、怪物は怖いわ。それに、確かに今の私じゃ彩野くんの言った通り足手まといでしかないかもしれない。けど、それでも私は、大切な物を守りたいの! だからお願い、力を貸して! それとも、あなたは違うの?」
そしてペギタンは、
『怖くたっていいんだよ』
という治の言葉を思い出した。
今もまだ、メガビョーゲンはビョーゲンズは怖い。
自分が役に立てるなんて、とても思えない。
それでも、自分はラテ様を、ラビリンを、仲間を、
「守りたいペエ!」
ペギタンはそう伝えた。
それを聞いたちゆは、優しく微笑み、手を差し伸べる。
「私はあなたより大きいから、少しは力になれると思う。もし、勇気が足りないのなら、私のを分けてあげる」
「……!」
「大丈夫、あなたには私がいるわ」
そして、ペギタンの肉球が鮮やかな色を放った時、
「「交わる2つの流れ!」」
「キュアフォンテーヌ!」
「ペエ!」
ちゆはペギタンと共に、二人目のプリキュアとして変身した。
その姿に、思わず戦っていた治とグレースまでもその場に駆け寄る。
「沢泉さん!?」
「おまっ、どうなってんだ!?」
各々が別の反応を見せる二人。
そして、キュアフォンテーヌとなったちゆは治を見て、
「これで私も足手まといじゃなく、戦えるわ」
と言った。
「……へへ! 何言ってんだよ、今じゃ俺の方が足手まといだっての」
「ふふ。……ペギタン、行くわよ!」
「ペエ!」
微かな微笑みを見せた後、フォンテーヌは二人を置いて単身メガビョーゲンに向かっていく。
もちろん、ただボサっと待つだけのメガビョーゲンでもない故、迫りくるフォンテーヌに源泉ポンプの発射口を向けて迎撃するも、フォンテーヌはそのすべてを優雅に回避した。
「ハアッ!!」
そしてお返しと言うかのようにメガビョーゲンの腹部殴りつけるフォンテーヌ。
その後、更に蹴り上げによる追撃をぶつけ、メガビョーゲンの背中から地面へと倒した。
「あれホントにちゆかよ…変身前と比べてえらく武闘派だな…」
その様子を見ていた治が呟く。
「わたしたちも行こう!」
「おう。あの二人にばっか任せてらんねえからな」
そして、グレースと治もまたメガビョーゲンへと向かう。
「キュアスキャン!」
フォンテーヌはキュアスキャンにより、メガビョーゲンの中に閉じ込められたエレメントを見つける。
「あそこに閉じ込められてる水のエレメントさんを助けるペエ!」
「分かったわ!」
ペギタンの言葉のまま、フォンテーヌはまたメガビョーゲンへ向かう。
しかし、
「メガビョーゲン!」
メガビョーゲンはあえて、躱せない空中にフォンテーヌが来るのを待ってから、再び発射口を向けて今度こそその両腕から汚染された尾油を発射する。
「キャアアア…っ!」
思いがけない反撃にそれをマトモに喰らうフォンテーヌ。
そんなフォンテーヌにさらに追撃をかけようとするメガビョーゲンだが、
「ハアアアア!!」
「うおりゃぁぁぁぁぁ!!!」
グレースと治のダブルキックを片足に受け、バランスを取れなくなったメガビョーゲンは倒れ込む。
「今だよ! フォンテーヌ!」
「お前が決めろ!」
「やるわよ、ペギタン」
「ペエ!」
二人からの言葉を受け、フォンテーヌはメガビョーゲンを浄化するための技を放つ。
「プリキュア! ヒーリング・ストリーム!」
「ヒーリングッバイ…!」
「「お大事に」」
見事、フォンテーヌはメガビョーゲンの浄化に成功した。
そして、
「ふうん。まあまあやるのね。けど、どんなにプリキュアが増えても、キングビョーゲン様が復活したら敵わないんだから」
シンドイーネは不敵にそう発言して消えた。
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「しっかしまさか、ちゆがプリキュアになるとはな…。悪かった足手まといなんて言って」
俺たちは高台の上で集まりながら話していた。
ちゆとペギタン、これでメガビョーゲンを浄化できるプリキュアは二人目になったわけだ。
ますます持って心強い。
「それよりも治くん。大丈夫なの?」
ふいにのどかが俺に聞いた。
大丈夫ってのは、まあ肩のことだろう。
ヒビが入ったりしてかと思ったが、あの後は別に何の問題も、痛みも無かった。
「おう。今じゃすっかり痛みも引いたぜ」
そんな俺たちを見るちゆ。
そして彼女はペギタンに向き直った。
「ありがとうペギタン。私の大切な物を守れたのは、あなたのおかげよ」
「僕の方こそ、ちゆが居てくれたから頑張れたペエ。だから、その……もしも、ちゆさえよかったら、これからも僕と一緒にお手当てしてほしいペエ!」
「もちろん! 助けてもらうだけなんてしないわ。それに、そんなことできないもの。そうだわ! ねえ、ペギタン。もしよかったら、私の家に住まない?」
「いいのペエ!?」
「のどかもたくさん匿うのは大変だと思うし、それに、もっとあなたの事を知りたいわ」
突然名前呼びされて驚くのどか。
しかしその後、すぐに彼女もちゆを名前呼びしていた。
さてと、これで新しい仲間も増えて、めでたしめでたしか。
「治。ありがとうペエ」
「ん?」
「治が怖くても良いって言ってくれたおかげで僕、頑張れた気がするペエ」
ペギタンは俺にそう言った。
「それは違うぞペギタン。俺のおかげじゃねえ。お前が助けたいって思えたから前に進んだのは俺の力じゃなく、お前とお前のパートナーの力だぜ」
というとペギタンはちゆに方を向き、ちゆもまたペギタンの方を向いて笑った。
ちなみにこの後、帰ってきたニャトランがペギタンに先を越されて仰天していてのをみんなで笑ったのは、いい思い出だ。
あと、タイトルとあらすじを変更しました。
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