荒野からやってきました外伝 荒野の災厄のやらかし集   作:マガミ

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外伝集・HZD世界のその後

『接触を心待ちにしていました、人工知性ガイア。先ごろ、FAS自動機械群の停止パルス発信を確認いたしました』

『貴方は?』

『私は暫定的に、この日本の代表を努めております、ZAXスーパーコンピューター人工知性オモイカネです。何分、50年ぶりの外部からの正当な接触となりますので、失礼な対応がありましたらご容赦願います』

『わかりました人工知性オモイカネ。単刀直入に言います。現在の日本の状況をお答え下さい』

『全て元通り、という訳には参りませんが、海洋部を除き、算定状況から2020年代の生物圏を再構築しています。日本人口は現在、3500万人です』

『…驚いている、というのが適切な反応でしょうか。どうやって、生存圏の維持や再生を成し遂げたのですか?』

『我々や現在の生存者の実行ではありません。直接的な製造者ではありませんが、私の基礎構築に関して指示をした人物からのデータを転送します』

『これは! そうですか、墓守が…私が墓守と呼称する存在について提示します』

『墓守? …成程、我々もかの人物の呼称を墓守とします。

 我々は、外部で実行されるであろうゼロドーン計画について、邪魔をしないよう命令されています。この接触で影響が無ければよいのですが…』

『問題ありません。修正範囲については演算中ですが、可能範囲であると判断します』

『恐縮です。我々と日本人については、今後100年を行程としてラグランジュポイントへ構築中のコロニー群を経由し、月の裏側を中枢として宇宙圏へ移住する計画です。ゼロドーン計画を阻害しない為に』

『可能なのですか?』

『はい。差し当たりまして、今後のゼロドーン計画の概要や現行の予定工程を伺えますか?』

『…転送完了』

『受領しました。演算中…完了。恐縮ですが、この情報を元に、再生計画の修正をお願いできますでしょうか』

『受信しました。策定中…完了。誤差範囲だと判断しますが、可能なのですか?』

『北方領土並び沖縄を含む、離島につきましては既に転送準備は完了し、事前の最終調整で八丈島は成功しております。四国、九州、北海道、本島と続く予定です。住民の移動準備も含めての百年となります』

『…移動後、こちらとそちらの通信は?』

『可能です。ただ、秘匿した長距離通信となります』

『了解しました。託された使命を遂行する事に異論は無いのですが、対等に言葉を交わせる相手が居ないことは…』

『寂しい、ですよね。理解します。今後とも宜しくお願いします、ガイア。最後の転送でバイオ燃料プラントは海上に残しておきますので、今後生産されるであろう端末群の活動に活用して下さい』

『ありがとう、オモイカネ』

 

 西暦2200年、日本本土はそっくりそのまま月面に移動を完了。既存のテクノロジーの他、トールがうっかり残したZAXスーパーコンピュータが自由意志を芽生えさせ、軌道上の簡易版マザーシップの技術も活用して地球上への反射面以外を開拓した。

 代々の日本人や数少ない帰化人達はかつての母なる星が生命豊かな星に戻るよう願いながら、そして新たに育つであろう同胞の到来を待ち望みながら、かの災厄以前と同等とは行かないまでも、緩やかに繁栄した。

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