荒野からやってきました外伝 荒野の災厄のやらかし集 作:マガミ
「あら、トールさん、お久しぶりです」
「グレニス嬢、お久しぶり。ディラン君は居るかい?」
「まあ、私も既に子持ちなんですよ、嬉しいですけどね♪ 申し訳無いけど、旦那様は今、メープルなのよ」
「そっか、なら仕方無い。そういえばイビンちゃんやアリアンちゃん元気してる?」
「イビンは結婚したのよ。アリアンは…ちょっとお相手になりそうな子が居るのだけど、色々と事情がねぇ」
「それはおめでとうだな。性格的にアリアンちゃんの方が先に結婚するかと思ったが、余程強い旦那か心の広い旦那を見つけたんだな」
「わかるー? あ、そうそう、アリアンとお友達は大きな仕事が終わって湯治に出てるだけでね、もう少ししたら帰ってくるわ」
「それじゃあ、ディラン君の頼まれ物は渡しておく。久し振りにあの子の顔を見たら帰るとするよ」
「ただいまお母さん。…? …!? トールおじさん!?」
「おじさん? どう見ても人種に見えるが…」
「や、アリアンちゃん、お久しぶり。お友達の皆さんははじめまして。放浪商人のトールといいます」
「我は傭兵のアーク。今はアーク・ララトイアを名乗ることを許されている。こやつはポンタだ」
「きゅんきゅーん」
「チヨメと申します」
「これはどうもご丁寧に。アリアンちゃんにおじさんと言われてるのは、里にお世話になってた時期、小さい頃に一緒に遊んであげてたんだ」
「ふむ?」
「如何された、トール殿?」
「アークさん、なんでまたそんな厄介な呪いに?」
「…わかるのか?」
「ちょっと特殊な方法でね。相手の大抵の情報は解る。流石に大っぴらには言えないけど。3サイズとか体重とか、女性を前にして言うと変態だろ?」
「それはよく解る話だ。本当に解るのか?」
「無論。ただ引っ叩かれたくないから秘密で」
「げ、そういえばそうなんだっけ…。前は腕の魔道具を使ってたけど、今日は付けてないのね?」
「ああPip-Boyか、見えてないだけで同等品は今も使ってる。ほらこれだろ」
「そうそうこれ!」「め、面妖な…」
「と、トール殿、それは?」
「その反応、成程ね、アーク君は稀人か。二十一世紀くらいの人?」
「! 貴殿は…」
「…頓に信じ難いが、成程、技術を積み重ねて世界すら渡っていると」
「未だにお目当てには辿り着けてないけどね。あれ? アリアンちゃんには話をしてなかったっけ?」
「聞いてないわよ! というか前から容姿変わってない時点で、おかしいわよね…」
「最初に会ったのはいつなのです?」
「五十年前かしら…」
「そりゃまあズルしてるようなもんだからな。所でチヨメちゃんだっけ、参加しづらい状態のお詫びに、この本をどうぞ」
「拝見します…!? これは!」
「忍者の源流とその派生で用いられた、色々な技や口伝を絵草子にしたものだよ。文字はこっちに合わせて変えてある」
「おおおお!」
「ポンタにはこれ。カロリーオフな食べごたえ木の実セット」
「きゅきゅきゅーん!」
「いきなり出てくるとか、なんでもありなのだな…」
「単なるインベントリだよ。そういえばアーク君、こういうのはどうだい?」
「こ、これは…!」「ちょぉっ!?」「可愛いですね」
「アリアンちゃんが子供の頃のアルバム。グレニス嬢には既に渡してあるよ」
「おじさん!?」
「アリアン殿もこのような体格の時代が…」
「きゅきゅん?」
「…やはりグレニス様の血筋か」
「なんでこんな、鮮明な絵姿をこんな沢山!?」
「これは写真だな。器具を通して見た光景を記録するものだ」
「正解。同伴してた丸っこい金属の球が居たろ? あれに撮影させてた。それで、ディラン君が殊更気に入って、もし今度訪ねて来た時は記録した絵図を買い取るって言われてね」
「お、お父さん…」
「こっちのアクシデント集はグレニス嬢のリクエスト」
「お母さん!?」
「スクショはPC保存で、保管先の機能としては我の身体とは別であったからなぁ…」
「今回は持ってきて無いけど、脳内の希望画像を取り出す技術もあるよ? 一時的にでも人化できるなら、今度来る時に用意しよう」
「真か!?」
「アークゥ!?」
「あら、もうお帰りなの? ゆっくりしていけばいいのに」
「向うが忙しくて。それより、アルバムの用意が遅れてすまないね」
「いえいえ、私達の結婚したての頃と、あの子達が小さい頃と、あんな素敵な形でもう一度見れるのだから、感謝してるわ」
「そこはディラン君にも感謝かな。あるのが当たり前で意識してなかったから」
「こっちじゃカメラ、作れないものねぇ」
「カメラ回収ついでに現像と印刷済んた分は置いたから、交換分は預けとく。村の人達に使い方を教えてあげて」
「ありがとう、これから楽しくなるわ」
「商売だからね。それより羞恥で悶絶してるアリアンちゃんをどうにかしてあげて。それじゃ」
「…うう、穴があったら埋まりたい」
「楽しい御仁であったな、なあポンタ」
「きゅんきゅん♪」
「凄く良いものを頂きました。里に戻ったらハンゾウ様にお見せせねば」
「所でアーク、帰りたくは無いの?」
「…そうさな、全くその気が無いかと言われれば嘘になるが、我はアーク・ララトイア、この里の一員、それが全てだ」
「そっか」
ポン太かわいいよポン太