荒野からやってきました外伝 荒野の災厄のやらかし集 作:マガミ
「かっこいいな!」
「この戦闘機、不思議な形してますね? なんて名前なんです?」
「これはF/A-37ストレガ。地球型重力基準で単独大気圏突入と離脱が可能な、水中行動能力も有する戦闘攻撃機です。設計図を入手した世界だと、大凡500億ドルだったかな」
「「「高っ!?」」」
「素材の類は珍しくも無いんですけど、単独FTL能力が無い中では、このサイズで最も汎用性高くて複雑な設計の機体です。まあこれは素材とヴェトロニクスは既に入れ替えてありますが、設計思想についてはそのままですね」
「どういう経緯で手に入れたんです?」
「色々端折りますが…、まあ、知性体誘引寄生型宇宙生物の殲滅を行った際のおまけですね」
「誘引寄生型ってこええよ!?」
「でしょうね。駆除と探知、排除体制の構築には時間がかかりました。最初の遭遇で色々と厄介な特性があったので苦労しました…」
「その時の映像とかある?」
「あまり気分のいい物じゃないですが、見ます?」
「…見てみる。トールさんがそういう場合、異形種体の方がいいな」
「俺やめとくわ…嫌な予感しかしない」
「おいらは見てみる」
「覚悟はいいか? 俺はできてる」「怖いもの見たさ」「ホラー苦手」「でも見ちゃう」
「いいですか? ではどうぞ」
「…誘引寄生型か。相変わらず高度知性モドキの生態はどれもムカつくな。半端な進化で止まり、どれも似たりよったりに落ち着きやがる。ラダムかっつーの」
「生存者は…居ない、か。範囲侵入で死ぬが虫共が鬱陶しい、歩きづらいぞどうしてくれる」
「上に? 範囲探索…救助部隊か! いやまずい、犠牲者が増える!」
「地上から救助部隊指揮官へ! 地下の生存者情報は欺瞞データだ! 繰り返す、生存者情報は欺瞞データだ!」
「誰かって? 一応は生存者だよ! いいから聞いてくれ!」
「機体制御に高度AIが搭載されてるなら危ない、人工知能はハッキングされる! 厄介な事になる前に撤収しろ! 映像を送る! 機体の背中を掻くのも忘れるな!」
『Mission failed.Mission failed.Mission failed.…』
「ポンコツめ。アリスを緊急停止、サブシステムで再起動! だめか!?」
『再突入プランを策定中、制御システム・アクセス…』
「通信の通りアリスが原因なの!?」
「背中を掻く…!? こいつだ!」
『アクセスハックゲノム…再起動中』
「隠れて寄生してたってのか! ミショー、フライトに問題はあるか?」
「再起動した。システムチェック中…問題なし。ありがとうD3」
「無事で何よりです、大尉」
「デルタリーダーから全フライトリーダーへ、全機、目視で一機ずつ全周を確認。うちはカレンからだ」
「アルファ了解」「ブラボー了解」「お願いね、D3」「イエスマム」
「大事を取ってミショー、お前の機体もな」
「チャーリー了解。しかし、警告者は無事なのか?」
「わからん。地上班も撤収した、無事なことを祈ろう」
「星丸ごと犠牲になった事を悔やむべきか…まあ何にせよ、お前らの目的は潰えた。俺が、お前らのやり方が気に食わなかっただけだ、すまんな博士?」
「余程上手くやらん限り、生物の個々を歪めて取り込む全体知性モドキってのは大概の星間文明にとっては敵でな? 勿論、俺も同意見だ。進化もできない、しようともしない閉じた生き物なら、そういう生き物らしく自分だけで完結しやがれ」
「「「うわぁ…」」」
「人の姿をしてないからこそ余計に、うわぁ…」
「頭部だけ半端に残すとかないわー」
「その後、頭だけ割れるかもげて…」
「俺、気持ち悪くなってきた、ちょっと吐いてくる」
「仕方ない反応だろう…おえっぷ、俺も」
「美味しそうとか思った自分の異形種体の感性を恨みます。嫌すぎる!」
「私のエゴながらかなり腹が立ちましてね。何より美しくない。せめてテックシステム持ってこい」
「トールさんどうどう…」
「特性上シリコン以上を使う電子機器を狂わせるから苦労しました。逆にPip-Boyとウェイストランドの科学技術オンリーの方が対処が楽でしたね。宇宙用パワーアーマーを常時装着してないと危なかったですが」
「知的機能部に、生体、AI問わず寄生か…。高度な方が危ないってのもなんともはや」
「それで、現地で宇宙海兵隊の救助部隊と同行して、撃破を?」
「いえ、通信も阻害されてたんで単独行動です」
「成程な。だがこの…フィロソマの特性自体には興味は湧かなかったのか? 誘引用とはいえ物質生成能力あるし、寄生対象のデータ抽出を行う精神生命でもあったんだろ?」
「要らんです。あれは高次元記録領域にすらアクセスできない進化発展を諦めた害悪生物。侵入ハードウェア破壊しながら広がるだけのウィルスですよウィルス。今となっちゃ物質生成能力も非効率ですし、イプシロン1の構成情報だけ把握して、恒星レンズ砲で丸ごと消滅させてやりました」
「後は痕跡が無いか、恒星間ストラテジー規模で探索か。宇宙だと相変わらず規模おかしいな!」
「所で恒星レンズ砲って?」
「トールっち所有設計図のダイソン球の恒星エネルギーを収束させた、光速程度の比較的鈍足なレーザー兵器」
「光速で鈍足なんですか…」
「とんでもねぇ」
「所で飛行アシストで素人でも飛ばせるんだよね、これ」
「FTL世界に対応した改造も施して強度、武装も強化されてるけど、基本的には元設計と一緒か」
「乗ります? テストの為に何人か限定ですけど」
「「「最初はグー」」」
「男の子だねぇ」
「あれ? 餡ちゃんも!?」
「じゃん」「けん」「ぽん!」
「よっしゃ!」
「勝ちー」
「ちくせう!」
「…あーうん、戻ってきたら機会設けますので」
トー「気分の問題だろうけど、個人的に気に入らなかったので駆除しました」
フィ「解せぬ」
フェイズパラドックスのルートは消滅です。
>Perkを取得しました。
Stable Antimatter Manufacturing:
安定化した反物質という矛盾した素材を製造できるPerk。反物質と共にそれと接触せず覆って閉じ込める特殊構造の原子と素粒子の格子が形成され、特定のパルスを浴びせる事で格子が崩壊、反物質と反応する。
元は、フィロソマと呼称される知性体寄生型の情報収集系集合知能が、人類をおびき寄せる為に生成した反物質鉱石イプシロン1。多国籍企業シンフォ・カイファーがそうとは知らず、資源採掘惑星ORA-194-220として確保していた。
惑星全土に渡って埋蔵した状態にして大規模に居住者をおびき寄せ、一定の個体数に達した際に寄生体で強襲した。寄生された人間は肉体を変性させられ人間としては全滅している。最終的にトールは救助部隊を追い返し、その上で資源採掘惑星を近隣に出現させたダイソン球のレーザーで焼き尽くした。
トール拠点では同程度の反応エネルギーを持つ反物質を保管する際、重力科学を応用した特殊なパッケージに常にエネルギーを供給した状態で保管するか、時間経過が停止する無限保管ボックスにパッケージを放り込んで保管する必要があったが、この構造の安定化反物質鉱石を生成する技術を得た事で大幅な省スペース化と、運搬時の安全性向上に繋がった。
このPerkは様々な応用が可能で、特にフュージョンセルやコアなどの核関連技術の代替あるいは上位版として用いる事ができる。安全性の確保の為に理論出力からは大分抑えられているが、対応改造を施した炉に接続すると、最大出力で50倍以上、安定出力で100倍近い時間を同サイズのセルやコアとして用いる事ができる。