荒野からやってきました外伝 荒野の災厄のやらかし集   作:マガミ

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薄い酸素に土壌汚染、放射能反応が常時という地獄のような世界。


NVW(英題)

「分析完了。防護スーツは脱いでも構いませんが、大気成分に大分偏りがございますので、マスクは外さないようお願いします。Perkが生えるまでは迂闊に彷徨かないように」

「俺はPerkの培土か何かか。…放射線測定器の反応が続いてるな、Perkと装備で防いでるが、見た目以上に酷いぞこの世界」

「先程、水辺を調査いたしましたが、酸性の液体でしたね。砂地も放射性物質が混じっています。大気成分も標準的な比率からすると高地以上に酸素濃度が低い傾向がございます」

「今回は別段、記憶ベースの転移じゃないから、多分、覚えてる世界の筈だ…が」

「合致する条件がございましたか?」

「あれ見てみろ。望遠、5km先」

「なんでしょうか? 兜? 巨人の頭蓋骨?」

「…ナウ○カの世界だこれ」

「おや、和製ポストアポカリプスの? 測定完了…星の位置からすると、ああ、確かに地球ではございませんね」

 

 

 

「胎盤部分が破損していなければ、必要に応じて復旧する機能が標準だったようです」

「…化石化して、作中でもオブジェだったのに。解析結果は?」

「どれも同一です。殆どは固化したセラミック岩盤の下ですから、強いコマンドでも無い限りは誰も掘り出せず、復活もできないのでしょう」

「このままにしておこうか。起きない方が、彼らにとっても今の生き物にとっても都合が良い。動作時に放つ放射線は致命的だ」

「確か、原典ではキツネリスが亡くなるのでしたね…」

 

 

 

「探索範囲を広げますか?」

「問題点は3つある。この世界の根幹は生命工学型技術だから、俺の趣味に合わない」

「趣味に合わない」

「映画版だと結局は何も解決してない」

「何も解決してない」

「コミック版だと現在の生物は最終的に滅びる」

「最終的に滅びる」

「監視役の王蟲が居るから、下手に動けないんだよな。今も遠くから見てる筈だ。それに漫画版の前か後かでも話は変わるんだわ」

「難儀なものですね」

 

 

 

「準備済みの哨戒機はどうしましょうか?」

「蟲の飛ばない高空から地形データを。戦争が終わったなら小国群やトルメキアを訪ねてもいいが、ドンパチの最中なら下手な介入はしたくない。アホの子が全滅エンドのトリガになろうが知ったこっちゃねえ」

「アホの子って…ヒロイン、なのですよね?」

「旧人類の計画を消すのは百歩譲っていいとしても、旧文明の技術情報と将来的に今の命、それと現生人類の人造人間の適応改造の可能性すら抹消するとか、アホの子だろ」

「怒られますよ」

「ふん、俺にとっては見て触れている今のこの世界は現実だ。旧人類の計画が気に入らないのは理解するが、この星にはかつて生き物がいましたとさ、お終い、でミームを断ち切る方が間違ってら。そのせいでこの世界の命は、生存の為に戦う術すら失って滅ぶんだぞ」

「それは…証を何も残せないのは、確かに。何万年後に別の文明が考古学的に検証して終わりでしょうな」

「宇宙開発まで進んだなら、地上に改造でも生物を残さず上で拠点を築いて待てばよかったのにな。痕跡は無いんだろ、近郊宙域には?」

「残骸はございましたので、件の炎の7日間において遠距離砲撃されたかと思われます。戻ってきた人類に、腐海システムへ横槍を入れさせたくなかったのかもしれませんね」

「その代わりに意識制御された新人類をか…エゴの塊すぎるだろ。それに、地上に全部残すとか、バックアップの考えも無いとか馬鹿じゃねーの」

「探査船を隣接軌道の惑星まで飛ばしますか? 旧文明の子孫、それらの生存の可能性がございますが」

「多分無駄だな。生命工学と素材科学は見る所もあるが、宇宙開発まで進んでおいて、FTLの気配も無い、政策で自然保全も考えない、地上を脱出しないとなれば、盛大に諸共ぶっ壊してる筈だ。宇宙船の構造にFTLの痕跡が無いから、他の技術もお察しだろうさ」

 

 

 

「うっわでけぇ。上からでも現実に見ると恐怖以外の何者でもないわ」

「これが王蟲。質量予測からして冗談のような生物ですね。近付きますか?」

「やめとく。システムに異物が入ったら、総攻撃されるのがオチだ」

「…少々お待ちを。半高次領域のポートにアクセスがあります」

「能力者か? 腐海だと蟲使いか森の人か…」

「いえ…。下に見える、王蟲のようです。正確にはその隣の小さな個体ですね」

「うせやろ?」

「ご覧下さい、手…ではなく触手を振っております」

「器用だな王蟲!?」

 

 

 

「…バリッバリに排除されると思ってたが」

「歓迎とは言わないまでも、珍しい観察対象のようですね、我々は」

「俺はともかく、Jrはこの世界じゃ確かに異端だからな」

「ご主人さまも観察対象ですよ」

「解せぬ」

「基礎調査リストから質問を投げておきます。個別質問については後ほど」

 

 

 

「まだ手を振ってますね、集団知性に近いとはいえ、個別意識も多様なようで」

「生み出された命とはいえ、強いて言えばこの世界のお父さんにしてお母さんみたいなもんだからな。…最後の争いから数十年か。まあ、争ってる最中に訪れなくて幸いだ。エフタルの位置推定は?」

「はぐらかされましたので不明です。腐海の侵食度が酷いので、いっそペジテ跡の坑道を探った方が、古代のテクノロジー群に触れられるかと。風の谷の、廃棄宇宙船も候補ですね。残骸が残っていればですが」

「しかし、英語でも中国語でも日本語でも無いとか、言語サンプルの取っ掛かりが無くて焦った」

「古代文字とやらは理解可能な文法なんですけどね。死獣天朱雀様やタブラ様の言語解析ルーチンがあって幸いです」

 

 

 

「散布したナノマシンの観察状況は?」

「良好です。体内摂取されるまでは、被放射線発電で稼働できます。基本的には半休眠状態で次世代に受け継がれますが、増殖数は限定的ですね」

「流石にいじられすぎた遺伝子に更に手を加えるのは怖いからな。機能特化型だから、今の人類も多少は影響も抑えられる筈。…王蟲は何と言ってる?」

「見たこともない技(術)だが、命が紡がれるなら歓迎する、だそうです」

「そうか。意外だな、攻撃対象になってもおかしくない話なんだが。ああ、現存の人類以外に適合できるタイプも用意しとこう。それについても伝えてくれ」

 

 

 

「自重しないで汚染除去のナノマシンをばら撒いたりGECKで片っ端から浄化してもいいが、まあ、そこは彼らの判断に任せよう。人間より余程、信頼できる」

「既に創造主も管理者も居ないままであっても、あの高潔な精神性は敬意を払うべきものですね」

「辿り着いた先に可能性は残したし、俺らがこれ以上、余計なちょっかいを出す訳にもいかんしな」

「結局、この世界の人類とは出会いませんでしたね」

「もう一度来るかは微妙だが…あれだ、風っち達、女性陣向けに一度は来てもいいか」

「腐海…腐女子的な意味で?」「正解」「怒られますよ」

 

 

 




スパロボ時空から離れたから安心? いいえ、もっと厄介な生物(?)との邂逅フラグかもしれません。

当然、この世界については旅行先の候補からは外してあります。



>Perkを取得

Invalid Sea of Corruption:
 腐海と呼ばれる菌糸類の森が存在し、酸の海や深刻な土壌汚染と異常な大気バランスの世界で、毒素や汚染の侵食を防ぎ活動能力を得るためのPerk。標準的な地球人類では数日もしない内に身体に異常を来す大気と土壌のある世界に適応する。対RAD値に+20、3以下の継続RADを無効化する。大気バランスが異常な場合、一時的にHP上限値10を代償に行動ペナルティを抑止する。外部から身体に影響する汚染や毒物の抵抗に+50%のボーナス。
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