荒野からやってきました外伝 荒野の災厄のやらかし集 作:マガミ
何せ、ギルメン揃ってるから10万とかビーストマン居ても、加減しないと一瞬ですので…
何度目かもう覚えていない浮遊感の最中、トールは景色が組み変わる異様な光景の中、いつもと異なり鈍い銀色の何かが変わらず近づいてくる事に気づいた。
「うおおおお!?」
咄嗟に仰け反ってスレスレを飛んでいく車を見送る。額に微かにタイヤ跡がついた。その直後、体全体が重力にひかれる。景色が確定し、トールは地面から数メートル上に出現、ここはいつも通り静かに着地。周囲は…多分どこかの砂漠地帯。機材を呼び出して、ここが地球なのははたまた別の惑星なのかを確認する必要がある。
ただ、トールとしては次元転移の最中に遭遇した、角張った銀色のスポーツカーが気になっていた。横を通り過ぎたのに、タイヤが横になっていて丁度、トールの額に当たった。ドライバーは居たようだが、どんな人物が乗っていたかは定かではない。妙な事に、満艦飾のように旗が紐で連なっていた。
そして、特徴的なその車両をどこかで見た覚えがあるが…どうにも思い出せない。
未だトールは知る由もないが、次元転移装置の不具合か仕様か、何らかの関連する作品の情報も加味して転移する事があり、その場合、その作品情報が失われた状態で現れる事になる。知識が残っている事もあるが、今の所は条件が不明。判明は実に、幾千幾万の次元を渡り歩いて辿り着いた先の事である。
「…どうなってんだ、ようやく完成して安全テストもしていつも通り飛んだのに、次元転移の最中で車にひかれかけた」
場所は空の状況と大気組成から地球と推定。砂漠用装備に着替えながら、トールはGPSを起動…反応が無い。慌てて周囲の無線情報を分析する。
「…1980年代のアメリカ?」
幾度か前にアメコミヒーローの世界に紛れ込んだ事があるが、それらは大体21世紀以降であった。今回は生前でも子供の頃だったアメリカに辿り着いた事になる。
「無線とラジオは…、うん、信号の類もおかしい物はほぼ無い。テクノロジーレベルは今の所普通と」
インベントリから偵察用のアイボットを数機放つ。自律行動が可能で長時間浮遊できるアイボットと事なり、重量とコントロール距離的にドローンは選択肢から外れるため在庫に無い。早めに道路などを辿って人の住む地域にたどり着く必要があった。別段、過酷な砂漠地帯であっても移動も居住も問題は無いのだが、次の転移に向けて準備を進めるには数多くの資材が必要だからだ。
余談だが、メキシコ国境に近い州では徒歩で不法入国や密輸を画策する者はほぼ居ない。道を辿らなければ荒野や砂漠地帯をかなりの距離歩く必要があり、その道のプロでも避けるような過酷な行程である。砂漠地帯では偶に、干からびた遺体が見つかったりするそうな。
閑話休題。
「ネバダか。はは、なんだか懐かしいな」
もう自己の認識からは大分過去になってしまったが、核戦争後のネバダ、モハビウェイストランドで運び屋と遊び歩いた記憶を思い出した。随分とやらかしてしまったし、意図せず旅立つ事となったが、平穏と活気と喧騒に塗れたニューベガスを懐かしく思う。
「そうと決まれば…、ラスベガス辺りで小銭稼ぎして身の振り方を考えようか」
帰ってくれ荒野の災厄。
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多分、カジノ経営者らがトールの持つ能力を知っていたなら、全力でお断りを入れただろう。Fallout NVでは、幸運値が高いとカジノで荒稼ぎができるのだが、トールはそれを応用して、他の世界でのギャンブル全般で初期資金を調達してきた。渋い設定でも確率がゼロでなければ大当たりを引けるので、怖い人達対策に、大きく稼いで少し大きく負けて、小金持ち程度に調整している。
特にスロット辺りはネバダでは空港等にも設置されているので狙い目であった。
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「いやぁ、欲をかいた。ま、大人の小遣い程度には稼げたからよしとしよう!」
「次のゲームは如何されますか?」
「やめとくよ、今日はもうツイてないらしい」
トールはラスベガスのカジノのいくつかで、スロットで初期資金を調達後、カードやルーレットで大勝ちを続けて、カジノ側が案内するハイソな設定の所で少し勝っては大負けを繰り返していた。手元に残るのは多くて数千ドルである。
カジノとしてはトールの大勝ちと大負けに煽られる形で同じテーブルの客がこぞって金を落とすので、数千ドル程度は必要経費と半ば黙認されていた。勝った時は周囲にお大尽を欠かさないので、それもまた許容される要因となった。
ただ一軒、裏でマフィアと繋がりを噂されるカジノでは少々面白くない事になったため、オープンで勝負をかけてケツの毛まで毟る勢いで大勝ちしてやった。
「あー、例のカジノで大勝負で勝ちましてね、そうしたら襲いかかって来たんですよ」
マフィア絡みのカジノで暴れれば当然報復もある訳で、裏路地で十数人に絡まれたトールは「心を折る」方向で返り討ちにし、警察が来るまで避けと受けに徹した。やれそうでやれない苛立ちから、周囲に目撃者が居るにも関わらず、雇われか鉄砲玉かは不明だがチンピラ一人がヒートアップして銃を取り出し、それをハリウッドばりのアクションさながらに逃げたり煽ったり往なして、警察が来るまでさばき続けた。
「成程。見た所、お互い怪我も無いようですが、周囲で目撃証言も沢山ありますし、連中の豚箱入りは免れないでしょうな。でも気をつけて下さいよ?」
「ええ、気をつけますよお巡りさん」
そんな訳で、数件のマフィア絡みのカジノで同じことを繰り返しその際についたあだ名がやはり「荒野の災厄」であった。
楽しくゲームをやる範囲なら払いも気もいい客だが、蔑ろにしたら大変な事になるという意味である。
当初予定より早く資金調達を終えたトールは、資材調達の準備や製作に適した場所を探すことにした。
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ヘリコプターを使う中小運送業、サンティーニ航空。経営者はベトナム戦争にも参加していたというドミニク・サンティーニ氏。サンティーニ氏とほぼ共同経営として所属するストリングフェロー・ホーク氏が居る。
トールは資材調達にあたって、このアメリカでの身分証明が無いトールでは大手の運送会社は使用できないと、後ろ暗い所が無ければサインと事前入金で仕事を依頼できる会社を探し、サンティーニ航空に辿り着いた。
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奇しくも仮住まい兼倉庫兼実験施設とした場所からそれ程離れていない場所でもあり、トールは手持ちの設計図からODカラーのジープを呼び出して尋ねる事にした。
「やあ、私は社長のドミニク・サンティーニ、ドミニクで構わない」
「宜しくドミニク。私はトール・ミナセ、トールと呼んで下さい」
気さくな様子の、名優アーネスト・ボーグナインに似たというかそっくりなドミニク氏に挨拶し、近所…というには大分離れているが、サンティーニ航空から近くの市街地に行く途中に住んでいると伝える。
「ああ、あそこか。質の悪い原油しか出ない、失敗した油田モドキの」
「ええまあ。プラントも錆びついて使えませんし私の所有ではありませんが、車両倉庫と事務所が丁度空いていましてね」
「所で、引っ越しの挨拶だけじゃあないんだろう?」
「はい、実は私はちょっとした電気工作を趣味にしていまして、資材調達にあたってサンティーニ航空に依頼を出そうかと思いまして」
近くの市街地では生活用品が主で、専門的な電子機器の部品類は遠くの都市部から調達する必要があると説明。残念ながらamazonは無いのだ。
車両の振動では不安であり、そこで、多少は費用がかかってもヘリコプター輸送ならという説明である。一応、わかりやすく契約書を兼ねた文章も手渡した。
「そうかそうか、仕事の依頼はありがたいもんだ。頻度も…これなら十分だが、費用は大丈夫なのかね?」
「ええ、多少は余裕がありますからね。まあ、見ての通り日系人ですから、あの街の食料品だけだと偏るので他の日本人街からルーツの食料品も運べればと」
「ドミニク、次の仕事の…失礼、お客が来てるとは」
「いえいえ、概ね承諾頂ける状況でしたので問題ありませんよ。ええと、そちらは?」
「俺はストリングフェロー・ホーク、ホークでいい」
「宜しくホーク、私はトール」
「こいつは戦友でな、いい腕のヘリパイロットなんだ。私の手が空かない時は、輸送はホークに頼む事になる」
「ではドミニク、商談成立という事で?」
「ああ、此方こそよろしく」
トールは乾燥して静かな土地で、次なる転移装置の準備を進める。サンティーニ航空の存在は、21世紀の発展した流通に慣れたトールとしては有り難い存在だった。
ドミニク達も、ホークの副業で面倒も多い事から、安定した収入、口煩くないクライアントの存在に大いに満足していた。CIAの差し金と疑った時期もあったが、何らそのような素振りを見せないどころか、大抵は住まいに引きこもっているのを確認して警戒を解いた。
>不運な遭遇とこんにちは大天使
裏稼業を持つホークとドミニク、裏仕事をするトールの奇妙な関係は、裏事情をお互い知らずに続くかと思われたが、残念ながらそうは行かなかった。
「妙だな? バレーオブゴッズにアンノウン反応? エインズワース、アイボットからの報告は?」
「新たに哨戒に飛ばしたエリアからです。電波、赤外線、ミリ波レーダー共に微かな反応のみですが…お待ち下さい…、これを」
「ヘリコプター? 航空情報には無かった筈だが、いつの間に…いやそれ以前に、こんな所に基地なんかあるのか?」
「五分前からの記録では、谷を高速で移動する物体があったようです。渓谷地帯突入前の速度は…推定でマッハ1」
「マッハ1だって!? ヘリとは別の何かと見間違いじゃないのか!?」
そこから監視体制を強化していき、断片的ながら送られてくるデータを解析していく。ほぼ確定となった情報を確認したトールは、段々と顔を歪めていった。
「面白い顔になっておりますよ?」
「やかましい。神々の谷を拠点とする、推定で音速超えのステルス能力を持った攻撃ヘリコプターが居て、その運用者がドミニク社長とホーク氏…時折、高度2万メートル経由でどこか作戦行動に出ている…」
「どこぞの作戦依頼を請けているが、あくまで独立した勢力として存在する件が抜けています。無線周りの暗号化が古くて助かりましたね」
単語としては出さなかったが、軍事用とはいえこの時代の暗号化はトール達にとっては古典もいい所であった。難なく解析し…CIAがこの件に絡んでいて、ホーク達は協力者の形で仕事を請けている事を確認する。
トールが生物的に強化された筈の胃が痛むのを感じた。
「…完全にアメリカの特撮ドラマにありがちな設定だが、現実にある以上は受け入れよう」
「適応が早くて助かります。所で、近づいて来るお客様にはどう対応を?」
気付いた事に気付かれたか、はたまた監視対象だったため裏取りに時間がかかったか、アイボットによる監視網にひっかかった一団が居る。片方は高級車、それ以外はどう見ても訓練されたエージェントがてんこ盛り。
何故か全員白スーツ姿なのは、一体何の冗談だろうか。
「資材を集めた程度だから、組立済みの奴はインベントリに。お前は…そうだな、そこのターミナルに接続して、ボディは格納しよう」
「これはまたレトロな…おや、演算速度は悪くないですね。固定ですが画も使えるとは」
「日本で大爆発的ヒットを飛ばすゲーム機だ。拡張ロムをぶっ刺して半ば別物にしてるが、ベース部分は他のパーソナル機より余程使い勝手がいい筈だ」
「なんとまあ、お洒落な人が来たもんだ。いらっしゃいミスター」
「故あって本名を明かせないが、私はホーク達の友人だ。単刀直入に聞きたい、君はどこの所属かね?」
「…所属は無いよ。強いて言えば…そうだな、ぽっと出の科学者だ。人気の少ない場所で迷惑をかけないよう研究をしている」
「…ふむ。だが、君の経歴自体が無い事、これはとても悩ましい問題なんだ。わかるかね?」
「それは当然。俺はそれを自覚して、カジノでそこそこ儲けてからここに引っ込んだんだ。こういう物を作るのがライフワークでな」
「これは…何かのコンピュータか。演算目的は?」
「元は俺のアイディアや設計ではないが、アシスタントの人工知能の一種かな。挨拶を、エインズワース」
『こんにちは、はじめまして。私はトール様に仕える人工知能、NES-LDプロトコル01AI(NESにロードされたAIの意味)エインズワースです。どうぞ、宜しく』
「あ、ああ…」
「質問があるなら、エインズワースにたずねてくれ。大抵の事項は聞ける。ただ、占いと明日の天気については、データ不足だから当たらなくても怒らないでくれよ?」
「素晴らしいな。いやはや、色々と疑ってすまない」
『御主人様の状況からして、疑われても仕方無いかと。我々も、どう説明しても怪しい出自になる事は自覚しております』
「これを真面目に研究する民間人ってのは、どう考えても怪しいだろ? それに、全世界に通信ネットワークがある訳じゃないから、彼の見ることができる世界はとても小さい。とはいえ都会は情報過多だからね、こうやって絞れる場所で細々と研究をしている訳さ。…あれを目撃したのは偶然で、見て見ぬ振りをしているのは…アンクルサムに睨まれたくないからだ。それ絡みなんだろう? ああ、答えなくて結構だ」
「素直で助かる。二人が関係している事は?」
「知ってる。が、彼らは部品輸送を依頼するビジネスパートナーだから、今の関係が丁度いい。それに、気づいた事は気付かれてないし、これからも言う積りは無い」
「結構。別件だが、こういったコンピュータ絡みで相談があった場合、請けてくれるかね?」
「構わないよ、ただ、アップルの新作などの調達で便宜を図ってくれると嬉しい」
「その程度なら構わないとも。ただ予算は流石に使えない」
「大丈夫、成金だからな、便宜を図ってくれればそれで構わない」
「ふむ、カジノで勝つテクニックは私も興味あるな」
「そこは験担ぎ…幸運の女神にそっぽ向かれないよう祈ってるだけさ」
「胃が痛い…」
「御主人様、胃薬をどうぞ」
「ありがとう。キナ臭いなぁとは思ってたが、CIA絡みとはな。まだARPANETは軍用との境の時代だったか?」
「あのような存在がある時点で前後する可能性はございますが、ここ10年がその境の時代となりますね」
「できるだけ頭を低くして大人しくしていようか。とりあえずは転移装置の完成を急ぐ」
「こんな所にいられるか! ですね」
「言うな」
「如何されます? ゼウスには報告しましたが…」
「当然、監視はつけろ。定期的に訪問する要員も選定しておくように」
「了解です」
「…結構な頻度で出撃するな。確かに会社は儲かっているようには見えなかったが」
「調べますか? アイボットを使った地道な調査になりますが」
「止めとく、ヤブの蛇を突いて獅子や狼が飛び出て来そう。おまけに空を飛んでそうだ」
「賢明かと。この時代にかようなアクティブステルスかステルス塗装が実現してる時点で、厄介事でしょう」
「だな…、あんなかっこいいけどトンデモ性能なヘリとか、表に出ないだけで危険な天才ってのは居るもんだな」
「転移装置の製作も順調です。問題に巻き込まれる前に、速やかにここを辞する事を推奨いたしますよ」
「同感。まあ、引越し前に挨拶だけはしていこう」
>以降関わらなくて済む? 希望的観測だよ
「…言いたいことは解る二人共。俺だって余計な真似をせずに静かに暮らしたかったが、その道のプロとして要請を請けたんだ。社長達が居るとは聞いてない」
「アークエンジェルの部下では無いんだな?」
「信じられんのは承知してる。まあ、遠距離だったが目撃したのが運の尽きでね、どこかの組織が送り込んだかと疑われたのが最初さ。誓って、政府の関係者じゃあない」
「信じよう。それで…これは修正できそうか? こっちじゃコンピュータだプログラムだは、専門外でな、頼りのカレン博士もお手上げだったんだ」
「あー、ミズ・カレン、いやプロフェッサー、気分を悪くしないで欲しい。まずはその、イカれた奴を直すから」
「…本当にできるって言うの?」
「データを吸い出してみないと解らない。だが、できるだけ急いで行おうか。外のピックアップの荷台に機材を用意してきた、手伝ってくれ」
「…遺言というよりは呪いだな。この狭いハードウェアによくもこれ程の判断性能を有したソフトウェアを詰め込み、あまつさえロジックボムを隠し通したのは天才に過ぎる」
「全般にシステム汚染か。カウンターとしては有効だが、手法が古い。とはいえこの難解さは…、よし、コード確認、レジストリ特定」
「これは…設計図。後で提出だなこりゃ」
「シミュレート完了、チェックサム…該当データ削除、修正データ入力。…おやすみ博士」
「これがブロックごとに分割保存したこの機体のデータ。オペレーションシステム…基礎ロジックに遺言絡みのバックドアとトロイの木馬、ロジックボムが仕掛けられていてね、全体が揃い、尚且つ特定の外部入力が無ければ連鎖的に爆発する仕組みだ。プロトコルは独自だが解析プログラムとセットで幅広い言語のアクセスに対応していて、下手に接続すると防壁を築いていないコンピュータは逆侵入して汚染されるだろう」
「開発者は…天才ね。自信無くしそう」
「天才相手にそれ未満の俺たちが嘆いても仕方無い話だ。この機材の計算能力で強引に介入し、上回っただけさ」
「なるほど。作業の概要は聞いてもいいかしら?」
「見ての通り、機体内部のデータは学習分も併せて既に逆アセンブルして吸い出し、機体のデータは汚染分含めて全削除。吸い出したデータから問題部分を特定して削除、あるいは無害な物に差し替えた」
「飛ばすのに支障をきたすのは困るぞ?」
「最初はぎこちないだろうが、根幹部分が優秀というか狂気の域だ。少し慣らすだけで自己修正するから問題無いだろう。テストもしておいた」
「この大型コンピュータはそのための物なのね。見たこと無い設計だけど」
「使ってる記録媒体はアップルのハードディスクとテープメディアだが、ハードウェアは輸入品も使って高かったんだから後で返してくれ。幸い、機体側はハードウェア的なトラップは仕掛けられていない。些か狭いデータ空間の中で、これだけの機能を詰め込んだ開発者は凄まじい天才だ」
「つまり…どういう事なんだ?」
「掃除と弔いは終わったって事よ。…こちらのデータは、貰っても?」
「あ、そういう事なのか?」
「そうよ」
「了解だ、止める権利も無いしな、悪用しないならどうとでも。自動操縦系などはこの機体のハードウェアでなければ活かせないだろうけど、識別系は研究する価値が高い」
「トール、お前さんはこれを必要としないのか?」
「アンクルサムを敵に? 冗談はやめてくれドミニク。関わっただけで危険なこれを、はいそうですかと持って帰る程、心臓は強くないよ。今日見た事は忘れるし、二人との関係も何時も通りで頼む」
「わかった。手間をかけたな、トール」
「信頼できる輸送業者を手放したくなかったからな。それに料金は既に彼から貰っている。気にしないでくれ」
「マレラ、戻ってきたか。何か追加要望などはあったか?」
「ありません、意外とあっさり渡しました。手持ちにマイクロチップなどの撮影機器も無しです。持ち込みのコンピュータは既存の物を材料にしたもののようで、データの消去後、記録媒体は無しで返却します」
「宜しい。色々勘繰る事はできるが、余計な真似はしたくないというのが本音なのだろうさ」
「しかし、あのモフェット博士のシステム全体を修正、あるいは不必要部分を削除とは、彼自身は本当に開発プログラム参加者では無かったのですよね?」
「参加者リストを幾度も確認したさ。ラスベガスからあの廃墟に来るまでの足取りもな。だが、突然砂漠から現れた以外の情報は一切出てこなかった。その後もカジノはともかく、外部とやり取りする事も無い」
「まるで、突然出現…宇宙人の船からやってきたような感じですね…失礼、失言でした」
「はは、私もそう思っている所だ。上には内緒で頼む。設計図については私からゼウスに渡しておこう」
「ちゃっかり設計図は持ち帰るとは、誠実さの欠片もございませんね」
「手ぶらで帰れる程、俺は人間デキちゃいないんだ。しかし、なんでこの外見構造で高度ニ万メートルまで飛べて、マッハを超える機体なんか作れたんだ。シミュレータバグってないよな?」
「フライ・バイ・ワイヤで実現させる制御系が絶妙です。戦闘ごとに情報を学習する点も貢献しているかと。それとフレーム構造に、原始的ではありますが分子配列操作の痕跡がございますね。カーボンの成分配合から、意図した物と考えられます。強度と耐久性は既存の物の数倍ですね」
「外装は大抵の銃弾は意に介さない強度、ステルス性に優れた特性の塗装、学習型自動操縦、フライ・バイ・ワイヤと切替可能な操縦系、格納型の機銃にマルチLCU、静音モード、ECMとECCM共にこの時代のどれよりも高性能…いやほんと、なんぞこれ…」
「まさに時代の徒花と申しましょうか。この時代の技術では発展限界とも言える構造のようですが、塗装と武装の換装に、主動力系の差し替え、ヴェトロニクスのハードウェアを時代の最新の物にして実行速度を上げれば、21世紀に入っても十分どころか、凌駕する性能かと」
「CIAにこれだけ高性能な製品を売りつけたんだ、博士は今頃どっかのリゾートで監視付きの悠々自適生活か、監禁されて新兵器の開発か、…処分されてるんだろうな」
「私めとしましては、既に亡くなられている方に一票」
「…かな。もしくは強奪して他国に売りつけようとして失敗って所か。そうでなけりゃ、俺如きが修正に呼び出される訳が無い。未来の技術があるから物量解析で何とかなったが、この時代の技術者だと下手したら修正(物理)だったかもしれん」
「修理という名の暴力は、私めとしましては怖気の走る話です」
尚、その後はホークとドミニクと適切に距離を保ち、特に介入する事は無かったものの、素材の問題で転移装置の作成に時間がかかった。
所謂第4シーズン「復讐編」あるいは「騎兵隊」編での、ブーシャール大佐によるドミニクの暗殺やホークの負傷に対しては、トールが偶然訪れていた際に身代わりになった。インプラントされている爆発物インジケータに反応があった為、ドミニクとホークを引っ張り投げ飛ばした。直後に爆発に巻き込まれる。
「トール!?」
「…げほっ、げほっ、頭が燃えてる!?」
トゥーンアニメのような感じで爆発や事故から生還するトール。
「馬鹿な!?」
「…おい」
「へ? ぐはぁ!?」
ドミニクの拳でぶっ飛ばされたスパイは捕縛され、ホークはアークエンジェルの後任、ジェイソンから聞いた兄の救出に乗り出す。ホークは救出した兄と再会する事ができた。
「…世話になった二人が元気ならそれでいいさ」
「とりあえず、御主人様の髪の毛が戻るには暫くかかりそうです。チリチリ髪がこうも似合わないとは」
「うるさい」
尚、爆破された腹いせに、トールは魔改z…改良済みエアーウルフを製造。原作とは異なる、ベテランペア、ジョン達新メンバーの2チームが、魔改造エアーウルフ(隠し基地にはメンテナンスや交換用に改修済み原型機)で暴れ回る事となった。
「こりゃああれだな、サンダーバードかGIジョーの基地みたいだ」
「捕虜の時間が長くて見たこと無いが、こんな感じなのか?」
「いや流石にこれはおかしいよ兄さん」
「俺、ちょっとこういうの憧れてたんだよな」
「うっは、すっごーい!?」
移転した基地のセキュリティは強化。複数の隠し発進口が設けられる。ドミニクの姪であるジョーのテンションが何故か上りまくったので調子に乗り、ヒーローコミックのような構成で基地を作った模様。
「はっはぁ! いやぁ、充実しすぎて怖いな!」
「…アークエンジェルに教えたら顎が外れそうだ」
「トール、お前さんは一体?」
「映画やらコミックならあるだろ、謎のパトロンが用意する秘密基地。世話になったプレゼントさ」
この世界を旅立つ際は、この時代にはまだ無かった自動株取引AIを作成。市場を荒らさない範囲で、エアーウルフチームの支援金を調達する為に秘密裏に運用される事となった。
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後に、エアーウルフとその先進的技術は、CIA内紛の際に流出して大問題に発展した。エアーウルフのコピー達ことコピーウルフは、内部にモフェット博士の呪いを内包したまま製造、運用され、特定条件で暴走してはエアーウルフチームによって撃破される事となった。
先進的技術の断片は他の兵器に応用されたが、結局、どの国家も組織もエアーウルフを超えるエアーウルフを開発する事はできなかった。カウンターは相打ち覚悟のコピーウルフや最新鋭戦闘機の投入か、先進的技術どころか未来技術で改造された機体を運用するエアーウルフチームだけだった。コピーウルフの性能陳腐化によるエアーウルフチームの事実上引退と解散から数年後、ようやく博士の呪いの除去が完了した。
トールがまだこの世界に居たなら「メタルギ○みたいになっとる」とか言ったかもしれない。
>Perkを取得
Mach one plus attack helicopter Builder:
回転翼航空機では逸脱したマッハ1超を出せる攻撃ヘリコプター、通称Airwolfを作成する為のPerk。基礎設計はチャールズ・ヘンリー・モフェット博士によって行われ、CIAにて10億ドルの費用と20年の歳月をかけて完成したもの。製造は1980年代のアメリカ。
Airwolfは地球上の20-21世紀基準科学から逸脱した性能を持ち、空飛ぶ要塞とも言われる重武装、前述の速度と重武装を物ともせず宙返りを可能にする機動性の他、21世紀基準の先進的ステルス性能を有し、歩兵の持つ標準的銃器を防護できる堅牢性を有する。
このPerkによってAirwolfの製造が可能になる他、解析と研究を行えば(マテル社ではない)Vertibirdの性能を向上させられる。また回転翼航空機に応用する事で、外見を変えずに性能向上を図る再設計を行える。
尚、設計図そのままに製造すると、モフェット博士が残したロジックボムことトロイの木馬が特定条件で発動するため、調査と研究を行って除去する必要がある。
説明:
当時はガチで普通のアメリカに辿り着いたと思いこんでいたが、トールは超音速攻撃ヘリ・エアーウルフの存在する世界に流れ着いていた。次の転移準備を進めている中で偶然見てしまった為、関わる事となった。
サンティーニ航空の比較的近所に住まう事になった事を勘ぐり接触してきたアークエンジェルにより、後にエアーウルフの不具合対処に駆り出され、交友のあったホークとドミニクがエアーウルフ関係者と知る事となった。トールの強化された筈の胃にダメージが発生。
その時代の技術力を逸脱した、総合設計による芸術とも呼べるエアーウルフにトールは流石に呆気にとられた。
トールはモフェット博士が仕込んだトロイの木馬の対処に際し、こっそり設計図を入手したが、世界を渡り歩いている間はすっかり忘れていた。拠点世界に到着して暫くしてから思い出した。
ホークの兄、ジョンの救出の前後でトールは恒星間国家時代の技術を投入したエアーウルフを製造。
一応、地上で製造や整備が行える範囲に収めたものの、分子配列まで考慮したフレーム、高出力化と燃費の向上をしたエンジン、小型ミサイル程度は意に介さない装甲、既存弾薬を加速させるコイルガン砲身、大気減衰を考慮した自由電子レーザーなどを搭載、トールの記憶する21世紀基準のECMやECCM能力の付与、フライバイライト化などヴェトロニクスを更に強化した。ただし、モフェット博士は未来も見越していたか、それらの改造は難なく施す事ができた様子。トールはチベスナ顔になった。
トールが去った後、CIAに提出されていたエアーウルフの原型設計図がCIAの内紛で流出。まるでメタ○ギアよろしく、通称コピーウルフがモフェット博士の残した呪いによる暴走の危険性を残したまま世界に拡散した。暴走時は最新鋭戦闘機でもドッグファイトを覚悟する危険なこの戦闘ヘリによる混乱を、崩壊したソ連や、ソ連からのコピーを第三世界に極秘輸出するシナが加速させた。
ホーク達エアーウルフチームは暴走時に限りコピーウルフの対処を続けていたが、後に秘密のチームから政府と国連公認の対コピーウルフ部隊として、暴走したコピーウルフの対処を行う事となった。外見や見た目の装備は変わらなかった為、技量と経験による差と誤魔化していた模様。
ヘリか車か、どっちが好きだった?と言われればヘリの方です。どっちも大好きですけど。
現場で色々あったんでしょうけど、復讐編は…ねぇ?