荒野からやってきました外伝 荒野の災厄のやらかし集 作:マガミ
「来たよ!」「お久しぶりです!」「おひさ」
「久し振り。…凄いねここ」
「ああ、よく来たな。歓迎するよ」
「はじめまして、私はやまいこ。若しくは舞子、この彷徨う旦那さまの奥さんだよ」
「宜しくねお母さん!」
「お、おかっ!?」
「だめだよ、いきなりでびっくりしちゃうよ」「…お姉ちゃん」
「お姉ちゃんでお願い」
「「「はーい」」」
「友人達や他の住民も居るが、ちょっと驚く姿をしてたりするから、気をつけてくれよ」
「うん、ありがとう。多分、これからもドール達が来ると思うけど…」
「大丈夫だよ、ここは結構広いから。向うでトールさんの仕事、見てたでしょ?」
「そうなの?」「見てた!」「びっくりでした」「…うん」
「まずは身体を洗って身体検査、着替えたら今日はゆっくり休むといい」
「食べ物、色々ある?」
「食べたいです…」
「あ、あたしも!」
「…食べたい」
「ならエインズワースにとびっきりのを用意しておくから、お風呂と検査、手早く済ませようね」
「「「はーい!」」」
「…ふふ、お母さんだって。ボクは向うじゃ子供を産めない身体だったから。あ、そんな顔しないで? 今の人化した身体は正常だから、懸念事項が片付いたら、ね?」
「…ああ。探り当てて、ケリをつけないとな」
>数週間後
「好みの子がいつの間にかっ!? 後生です、後生でありんす!」
「シャルティアお顔、お顔! 気持ちはよーくわかるけどステイ、ステーイ!? 力強いな!?」
「…あの愚弟が必死だ。ごめんねー、弟の嫁さんが迷惑かけて」
「い、いえ…」
「あはははおもしろーい!」
「ん? ソロちゃんだっけ、どしたの?」
「…ぷにぷに」
「わ、脇を突っつかないで!?」
「義娘がいつの間にか増えた件について」
「ボクは全く構わないんだけどね」
「「「やまいこさん器でかすぎ!」」」
「そのおっぱいは伊達じゃないね!」
「餡ちゃん!?」
「屍体利用の自律機械ですか…、資料は拝見しましたけど直接的過ぎて趣味が悪い。それに宿らされてる彼女達の労苦は想像できません」
「特に設定に無い限り、モモンガさんのアンデッドは臭いも無いですし綺麗ですから、余計に気になりますよね…」
「彼女達の身体は、今大丈夫なんですか?」
「粘菌コンピュータによる自律知能構造に宿ってるので、希望するなら後でネクロマンシー技術に寄らない身体に移し替えるって」
「予定のボディベースは…ああ、あの宇宙魔王様の所の少女義体ですか」
「彼女達のあの世界だと、アンデッドはレベル10相当からレベル40未満が殆どか。あの60相当のボディでも慣れるのは早いかな?」
「所で彼女達、どの位増えるんでしょう? 時間軸のズレか今の所、彼女達だけのようですが…」
「ネクロマンサーがドールを作り続ける限り、移住を希望する限りずっと?」
「バンカーも余裕があるので、現在のここだけでもあと9万人位まで大丈夫です」
「「「パネェな!?」」
「いっそ、増えるかもしれない移住者用に4つ目のバンカー作るか…」
「「「ちょwww」」」
元々、ドールがネクロマンサー達の職人技による工芸品でもあるため増えまくる事は無かったものの、それでも追加で2姉妹が増えた。
最初の4人が持ってきたZAXスーパーコンピュータ「グランマ」のデータは大事にロードされた。後に来る姉妹達のデータでアップデートされ、時折トールもあの世界に渡っては向うのグランマを更新している。
グランマは主にMrナニーの姿の端末で彼女達を甲斐甲斐しく世話をする事になった。
「トール殿曰くっ、これほど酷い世界はそう多くは無いと言うお話ですなっ!」
「より高度な科学技術を間近で見ているので参考程度ですが、これが人間同士の悪意の応酬で用いられたというのは、とても興味深いですね」
「結果、人間全てを滅ぼし、残されたのは狂気の人形劇…趣味の悪いこと」
「再利用という点ではとても有用だと思うがね? 造形センスは正直、一部に興味を惹かれる程度だが」
「いっそ完全に滅ぼして何も無くなった方が温情というものよ。何より無様だもの」
「成程、モモンガ様の言う通り完全なる死は慈悲…ああ、そういう事ですか」
「思い知らせる事はやぶさかでないけれど、畏怖と温情による見えない支配…そうなのね、落とし所が肝心という事かしら」
「然様。我らが至高なる御(↓)方々の叡智、我々もまだまだ見習わなければっ」
なんだかトールのせいで知らぬ間に忠誠心ゲージが上がってたりする模様。
>Perkを取得
Necro Reuse Tec:
Necromancyと呼称された粘菌ナノマシンと有機物あるいは生体部品で構成された自動構造体を作る技術群を修めている事を示すPerk。バイオマス発電や分子工学の他、自我次元論というその世界での生物の自我がどこから齎されるかを解明した理論による人格ダウンロード技術も同時に修めている。
死体の利用からオカルト分野におけるNecromancyと同一視され、それを修めている技術者はNecromancerと呼ばれるようになった。
このPerkにより、生物の死体をベース、あるいは部品として自動構造体やドローンを作成できる。かの世界では自律構造体をアンデッドと呼ぶものの、純粋に科学技術の産物である。高度な知性を有したアンデッドの作成には、パーツの選定や粘菌ナノマシンの厳選など、工芸品のような手間暇がかかる。特定の人間の自我を有したアンデッドを作成する場合、環境や自身の境遇により精神崩壊する可能性が高いため、丁寧な記憶封印、逐次開放を行う措置が必要。
解説:
「永い後日談のネクロニカ」の滅び去った世界で蠢く、アンデッド達を生み出した技術。死体を材料とするがオカルトの代物ではなく、粘菌ナノマシンや人格ダウンロード技術によって構成される純粋な科学技術である。人間や動物、あるいは生物兵器などの死体を有機物素材として再利用し、自律的に動作、あるいは命令に従う判断力を持たせたアンデッドを作成できる。
ただ、トールが習得し発展させてきたナノマシン技術は、ネクロマンシーの根幹にある粘菌ナノマシンや、地球外生物の群体といった、ベースとなる原型生命の構造や特性を特に必要としない領域に存在するので、実は必要ない技術である。
尚、人格ダウンロード技術の元となった自我次元論はその世界での自我発生の関わりに限定されるため、次元と空間を移動するトールとしては使い勝手が悪い。発生している自我が一定以上の高次特性…魂を宿した時点でその制限は無くなる。
高度な自律意識と自我を持つ知性体を製作する場合、ベースとなる人物の再現や断片利用に限定される人格ダウンロード技術を用いるより、ロブコ社の人工知性プロトコルを用いた方が遥かに低コストで済む。但し、自我次元論の研究により、発生自我と魂(高次特性)の関係について解明と理解が進んだ事は特筆事項といえる。お蔭で高級機メイドロボが人化できるようになるのが早まった。
今現在の所、ネクロマンシー技術はトールを頼り世界を渡って来たドール達のメンテナンスや、彼女達が死体ではない身体を希望した場合だけ限定的に用いている。
「既に全ナノマシンのアンドロイドを作れるので、わざわざ死体を使う必要が無いです」