荒野からやってきました外伝 荒野の災厄のやらかし集 作:マガミ
しもつきんはイジメたくなるよね(ゲス顔)
>こんにちは死ね!
『犯罪係数オーバー300 執行モード リーサル エリミネーター 慎重に照準を定め、対象を排除して下さい』
「食らった!? …? 攻撃種別は?」
「高出力マイクロウェーブと推定、人間大の生物であれば水分が内部膨張して弾け飛ぶ威力です。バリアウィーブ1%減衰、チャージ完了」
「うっわえげつな…。そうか、エネルギー障壁で防げる程度ではあるのか」
「あのサイズでの威力としては破格です。素でもウェイストランド人なら一発は大丈夫」
「向うは信じられないって顔してるが、これ、威力も知ってるって事は、これまでに何度も人間相手に撃ったって事だよな?」
「…どうされますか?」
「会話も何も、いきなりぶっ放して来たからな。とりあえず近隣ネットワークを掌握。相手の所属次第で排除する」
『対象の脅威判定が更新されました。執行モード デストロイ デコンポーザー 対象を完全排除します ご注意下さい』
「うおっ!? 今度は何だ!?」
「演算収束型の分子崩壊波長と推定。マイクロウェーブの応用のようですが、此方は主に物体対象のようです。人間に向ける威力ではございませんね」
「くそ、流石に何度も喰らいたい攻撃じゃねぇぞ! 心臓に悪い!」
「攻撃が止まりました。…弾切れでしょうか? エネルギー感知量が低下。アンノウンは物陰ですが、呼吸と心音に乱れがあるようです」
「今の内にずらかる、反撃は今度だ」
「ルート情報を表示します。折角の日本らしい所なのに、ツイてませんね」
「全くだ。ジャミンググレネード、タイマーは2秒で」
「…常守監視官、怒らないんですか?」
「必要ないよ。あれは事件とは無関係のイレギュラー。今回のヤマで必要なピースは集まり切ってた」
「でも、犯罪係数が! こんな所に偶然なんて!」
「…そういう事もあると覚えなさい。ただ別件の重要参考人の可能性があります、捜査は続けます」
「どうして、今回の事件とは無関係って…!」
「勘かな?」
「かっ!?」
「…ネットワークと端末は惑星上文明としてはそこそこか。しかし何だろな、このシビュラシステムって」
「技術発展による、一定方向への統一、最適化した社会構造構築機構ですが、何か気に食わない点でも?」
「大抵は論理的、機械的なんだが…所々に気持ち悪い位、柔軟性があるんだよ。まるで人間の意志をこねて混ぜ込んだかのような」
「成程、私には解らない感覚ですね。しかし柔軟性となりますと、確かにこの社会規模で演算するには推定される中枢のテクノロジーレベルが足りません」
「だろ? だが、外が酷い状況になる中でシステムの活用で余計なリソースを削って振り分けて、どうにかこうにか維持できるよう構築したのは称賛する。そうでもしないと、他の国のような年がら年中ドンパチやるような状態だったかもしれん」
「それで、先程の少女は社会秩序の為の、法執行機関の所属という事ですか」
「個人データは逆探の可能性から引っ張れなかったが、街中のデータログからして、多分、監視官か執行官って奴だな。あんな小娘に物騒な武器持たせるとか、人材不足なのかね?」
「それで、如何されますか? 確認できたタイムスタンプから2100年代…2116年ですが、モモンガ様達から伺っているユグドラシルのサービス開始が2126年、終了が2138年です」
「お、随分と目標時間軸に近づいたな。戻ったらモモンガさん達の情報をアンカーに近似周波数が無いか調べていこう」
「運良く日本のようですから、できるだけ次元周波数を調べるといたしましょう。ただ、電子決済の発達も考えると食料調達や都市部への侵入は難しいですね、市民ID等がございませんのでサービス類も利用できません」
「外部の無人地帯で資材代わりに廃墟を解体したら、適当な所でミニバンカーを掘るさ。資源箱を設置すれば食糧問題は解決する。…味はさておいて」
「すっかり舌が肥えてしまわれましたね。父上が、食料なら何でも摂取されていた頃が懐かしいと言ってました」
「ウェイストランドじゃ我慢してたんだよ。ああいうのは偶に食うからいいんであって、毎食食うもんじゃない」
「これは、逆に都市で食料調達をしないで正解では? 私共は必要としておりませんがその…形が」
「ディストピア飯ってんだろ? 同意だよ。全部ハイパーオーツ頼りで、天然食料は高級品か。大気汚染度は低いが、海洋汚染で水産資源も主に養殖かな」
「恒星間国家時代では珍しくもない合成食料のシステムですが、色相とやらを気にしすぎて食料の味や食感というファクターをフラットに、強いて言えば蔑ろにするのはよろしく無い傾向ですね」
「今が我慢の時で、技術革新で後に宇宙時代とかなら過渡期として評価できるが…、この体制のまま行く積りなんだろうな」
「どの程度、持つでしょうか?」
「さてな? 大多数の為に時代の必要から選択されたんだ、その判断を今更どうこう言ってもはじまらん。だがいつかは逸脱した個体が必ず出る。抑圧する分、強烈な奴が暴れるだろう。行き着く先はより停滞した社会か、あるいは全てがひっくり返された地獄の釜だ。最初に犠牲になるのはか弱い市民からだよ」
「人類が人類という種の感情の動きから制御を試みた時点で、ここは終わった世界と言う事ですか?」
「結論が短絡的だが、否定できんな。アルファな都市に比べればマシとはいえ、俺には息が詰まる」
「ふむ、スキャナの範囲を避けてきたが、都市部を離れると少しは人が住んでるのか」
「インフラ整備も足りていない様子。まあ、システム束縛を避けた方々がお住まいになられているかと」
「どうしても馴染めない人は居るからな。こういった所が許容されてるのは、程度問題だが、まだマシなのかもしれん」
「どうされます? 家庭菜園などを持たれている方から譲っていただきますか?」
「いやいい。家庭1つを支えるのに足りない広さだ、無理強いはできん」
「育成の早いキュウリ位はお願いしてみては?」
「…そうするか」
「…親切な方々でしたね。これで犯罪係数が高いと言われるとか、私めもシビュラシステムへの不信感に1ポイント追加です」
「こういう隠居生活を続けている場所は結構あるようだから、ぐるっと巡ってこっそりインフラ整備しとくか」
「おんや? 停電も多かったのに、電気がちらつかないなんて珍しい」
「姉ちゃんや、水道のメーターが動いとるよ!」
「あんれま。お役人さんが気を利かせてくれたんかね?」
>適当に日本の都市部以外の調査
「…自動農場も含めて殆どがドローンか、一次産業従事者は特定の商業ベース以外はほぼおらんのな」
「あとは隙間の無人化地域に移り住んだ少数の方が居る程度です。インフラ整備予算もほぼ皆無とは、徹底していますね」
「システムに適合しない人は市民にあらずか。多様性をスパッと捨ててるのは潔いが、文化も技術も分母が減りすぎて、発展は難しくなるだろうな」
「これだけ繁栄した社会が、後は革新も発展も僅かになり、緩やかに朽ちていくだけとは、興味深いサンプルです」
「だな。海外は馴染みの荒れ具合だが、無理して足を伸ばす程じゃないようだ。周波数の取得が終わったら戻ろう」
>東京の都市部郊外
「都市のネットワーク、防壁がやっぱり気持ち悪い。常に張り付く人間が居るように思える」
「その割に反応速度が高いと。どうですか、情報収集の具合は?」
「概ね順調。ハブを複数噛ませてあるから、アイボット経由でどうにかなってる。ただ、シビュラシステム関連はリアルタイムで変わる特定データが無いとアクセスできない。探ってもいいが、危なくて触れないな」
「あまり隠蔽が過ぎると、逆に勘のいい監視者に暴露されませんか?」
「かもな。ネットワーク侵入はこれまでだ。配信系情報に限定し、他はアイボットを増派して対応する」
「大事を取って、ここは場所を移動しましょう。地下街跡とはいえ、予感がします」
「鼻のいいお巡りさんでも来そうか? ならその勘を信じよう」
「…痕跡を発見。常守監視官、映像を送ります」
「確認しました。何か他に確認できる端末などは?」
「ありません。ケーブルも複数から用意して、必要に応じて切り替えていたようです。ハッキングに用いていたドローンも痕跡のみでしたが…」
「何もしてないのが不気味?」
「え、はい、そうです…」
「帰投して。後は鑑識に。一度、情報を整理します」
「了解です。所で霜月監視官は?」
「独自の捜査、という事みたい」
「はぁ、独自…ですか」
「指紋類は無いのでしょう? これ以上は時間の無駄です」
「…優秀だな。痕跡は消去した筈なんだが」
「これぞ勘という奴でしょう。私めの場合は高速演算も加味したものですが、いやはや、これだから人間は素晴らしいです」
「アイボットの調査完了まで端でのんびりしよう。余計な動きをして追っかけ回されるのは勘弁して貰いたい」
>郊外の廃墟が多い住宅地
「お?」
「む?」
「お前さん、何してんだ?」
「都市に馴染めない旅人だよ。CV関智○の兄さんこそ、こんな辺鄙な所でどうした?」
「CVせき?なんだそりゃ? まあいいさ、俺は友人の頼みでな、人探しだ」
「ふむ。近隣住民は把握してるが、静かに暮らしたいだけの人達だ、何で探しているかによる」
「そうか、んじゃあ何で探してるかだが…」
「事件は解決したが、潜在犯らしき人物が逃走。話だけは聞いておきたいか」
「そういうこった。昔の同僚の頼みだからな、錆びついていないかの確認兼ねて、ここいらだと思ったんだよ」
「成程、元刑事(デカ)か」
「お、懐かしい単語を使うんだな。今はもう記録には使われないぜ」
「寂しいもんだな。ああそうだ、俺はミナセトオル。友人にはトールと呼ばれてる。兄さんは?」
「狡噛慎也。外務省海外調整局行動課の特別捜査官ってやつだ、長いだろ肩書?」
「かっこいいじゃないか。ただ名字はおっかないな、何かしでかしたら噛みつかれそうだ」
「男に噛み付く趣味はねぇよ」
「そりゃよかった。狡噛さん、あんたワイルド系の二枚目だもんな、中年の俺に噛み付いたら酷い絵面になりそうだ」
「くくっ、同感だ」
「…なあトールさん、一体あんた、何者だ?」
「放浪者にして研究者だ。偶然こっちに来たが、都市部はどうにも相性が悪くてね。見る所も大抵は見たから、余計な真似をする前に、そろそろお暇しようかと思ってた所だよ」
「…そうか」
「都市部はどうでもいいが、こういう所で住んでる人達に少し世話になってな、ちょっと生活の手助けになるよう手伝ってたんだ。…ま、化かし合いも飽きたから正直に言おう、あの遭遇は偶然だ」
「向うが信じるとでも? 記録じゃ、ドミネーターが効かなかったらしいな」
「ドンパチやってる所も渡り歩いたからな、個人用の…あれだ、バリアって奴」
「嘘だろ?」
「ほんとだよ。ああ、ちょっとこれ持っててくれ」
「小石と瓦礫?」
「思い切りどこにでもぶん投げて当ててみ?」
「…最初は小石からだが、怪我してもしらねぇぞ」
「…まじか。瓦礫が弾けたぞ」
「信じたか? ドミネーターっていう武器はマイクロウェーブ系の代物のようだが、相性が良いんだよ。銃弾より余程、低エネルギーで防げる」
「どこかの軍事機密か何かか?」
「いいや? 日本の内外でも持ってない筈だ。別に日本へ売り込みに来た訳でも無いがね」
「さて、長々と話し込んだな。そろそろお暇する」
「…任意同行の形を取りたい。今のままじゃトールさん、あんたは不法入国の即執行対象なんだ」
「すまんが断る。帰って嫁さんとランチの予定なんだ」
「へぇ、結婚してたか」
「…驚かないのか?」
「何が? 結婚か?」
「ああ。大抵、言うと驚かれるからな」
「その程度は、元刑事なら鼻が利くんだよ。残念ながら、嫁さんとの食事は延期してくれ、よっ!」
「…いい蹴りだ。体重も乗っているのに、バランスが偏り過ぎてない」
「ちっ、見た目以上に筋肉の塊かよ!」
「畜生…! 何なんだ…、あんた! …はぁっ、はぁっ!」
「…大丈夫か? ミネラルウォーターならあるぞ」
「ぐっ…貰う」
「足りないならまだ用意するからな」
「多少は自信があったが…全部受け流された。優しく投げられるとか、一体いつ以来だ…」
「手足も長いし、鍛えてある。反射神経もいい。生身の人間としちゃ、かなり強い方だよ」
「…そうかい。自信無くすぜチクショウ」
「俺も鍛えてあるし、そこそこ危ない所を渡り歩いてたからな。職務上、確保しなきゃならんのは解るが、はいそうですかと行く程、お人好しじゃない」
「…銃も効かなそうだ。あんた自身もそうだが、反則だぜそのバリア」
「いーだろ? やらんけどな。…おっと、狡噛さんの後を追いかけて、最初に出会ったお嬢さんが近づいて来てるな」
「解るのか?」
「隠れてる積りだろうが、バレバレだ。せめて周囲を探査してドローンや感知器、トラップを警戒した方がいいが…、どうしてあんな小娘が選ばれてんだ」
「あれでも成人だぜ。最初は18で監視官に選ばれたみたいだけどな」
「「…」」
「…世も末だ」
「…全くだ」
「狡噛さん、とりあえずこれで拘束されたフリをしといてくれ。お嬢さん達には俺が対処する」
「言えた義理じゃないが、殺すなよ? あんなでも友人の同僚なんだ」
「俺を何だと思ってるんだ」
「瓦礫の山の理不尽。俺が頭蓋骨割る勢いで蹴って、バトンで発作起きる電撃流して、全く堪えてないとかどうなってんだよ…」
「褒め言葉と受け取っておく。それじゃな、気が向いたらまた来るかもしれん。元気でな」
「ああ、さよならだ」
>しもつきん
「霜月監視官、狡噛特別捜査官が拘束されています」
「…あの不明人物の排除が優先よ。ドミネーターに何らかの干渉をしている可能性と、不法入国の疑いがあります」
「しかし…!」
「上からの指示、従いなさい」
「…了解」
「問答無用ぶっぱかよ! …バックアップは1人居るか。カバーポイント移動、地形情報表示」
「ご主人さま、追加で武装ドローンが接近中」
「制限解除だ。幻影魔法の魔道具を起動。撹乱しろ」
「な、何なの、システムに干渉って、限度があるわよ!?」
「目視で対象を2人以上視認! 各種センサーでも欺瞞情報ではないと判定! 指示を!」
「両方排除!」
『…執行対象ではありません』
「ドミネーターが犯罪係数を検知できません!」
「一体どうして!?」
「さて、軽く挨拶してずらかるか。転移ビーコン起動、障壁系にパワー回せ、最大出力」
「かしこまりました。演算データ転送、…応答」
「了解だ」
「よう、お嬢ちゃん。私に何か用かね?」
「ふえ!?」
「ま、上の命令なんだろうけど、此方は関わり合いたくないんでね、お暇するよ」
「ふざけないで! そちらには不法入国と管理ネットワークへの不正アクセスの疑いがあります!」
『犯罪係数オーバー300 執行モード リーサル エリミネーター 慎重に照準を定め、対象を排除して下さい』
「問答無用か。ま、撃ってみな?」
「!? …嘘!?」
「見えるか? 魔法みたいなもんで防いでるから、ネットワークどうのってのは無いぜ。あ、不法入国については勘弁な、何せ、1970年代生まれだ、戸籍データはもう残ってないだろ」
「ふ、ふざけっ…むぎゅう!?」
「…仕事なんだろうが、向けられたこっちとしては、んな物騒な代物を振りかざした時点で容赦する積りは無い。だが運が良かったな? 殺さないよう頼まれてる、少しだけ…お仕置だ」
「ひ、ひいっ! …?」
「じゃあな嬢ちゃん」
「き、消えた? 霜月監視官、そちらは!?」
「…」
「霜月監視官?」
「…消えたわ」
「おう、見事に逃げられたな。俺は話を聞いただけだ、後で報告書は書くから、上経由で確認しろ」
「こっ…!」
>数日後、オフィスにて
「いたっ!?」
「静電気? 空調、見直します?」
「だ、大丈夫よ…はうっ!? ちょ、ちょっと失礼します!」
「…またお手洗い? この間の件が堪えてるんでしょうか?」
「色相は正常よりほんの少し悪化程度だそうだけど、体調悪いのかな?」
「何か悪いものでも拾って食べたんでしょう」
「相変わらず辛辣だな」
「まさか、ねえ?」
>戻ってきた直後
「所でご主人さま、あのお嬢様に投与したのは?」
「腸内常駐型、バイオマス発電の簡易ナノマシン。稼働設定は大体一週間程度だ」
「…ふむ? 発電はいいとして、電力はどこに?」
「逐次発電しては影響無い範囲で放電するから、暫く静電気体質みたいになる。あと…、分解過程でガスが出る。腸内環境が良ければそんなに臭いは無い筈だが、普段が合成食料ベースだと臭いかもしれん」
「酷い仕打ちです。曲がりなりにも女性相手に悪趣味ですよ?」
「警告もなくぶっ殺しに来た相手に、温情だと思うけどな?」
仕返しでは相手の尊厳を一切考慮しない鬼畜。不法入国は事実なので、明確な反撃はしなかった模様。
尚、トールの犯罪係数は300超えです。カルマ値はあくまでもウェイストランド基準。意図して下げる事も可能ですが、免罪体質ではありません。101のアイツ含め、Falloutの主人公達が免罪体質です。