荒野からやってきました外伝 荒野の災厄のやらかし集   作:マガミ

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バイオレンスなディストピア漫画。


外伝集・K2030

 

「その格好は米軍か?」

「…待て、敵対の意志は無い。ほら、武器は置いた」

「目的は何だ?」

「旅人で研究者だ。そっちは軍人…ふむ? 誰かの護衛でもしてんのかい?」

「…答える義務は無いな」

「探って悪かったよ。子を守る猛獣みたいな気配だな」

「狂さん、構えを解いていいと思うわ」

「そう言うなら…」

「なんだ、美人の奥さんとペット連れて安住の地探しか」

「美人だろ!? 俺の奥さん!」

「さっきの剣客顔からキャラ代わりすぎなんですけど」

 

 

「俺はミナセトオル。友人達にはトールで通ってる。さっき、廻君に伝えた通り、旅人にして研究者だ。色々見て回ってるが…犬が喋るってのは少し珍しいな」

「驚かんのか?」

「少し珍しいだけで、無い訳じゃないからな。途中で変なのを沢山見てるし」

「あれだろ、デザインヒューマン。オアシス農場の」

「物資が欠乏してるのかもしれんけど、趣味が合わない。自動工場かロボットを使うほうが性に合ってる」

『おや、この一行にお客様ですか』

「高度AIか? このコンポーネントだとどう考えても稼働できないだろうから、どこからか通信を?」

「おい飛鳥、そう簡単に出てくるな」

『大丈夫ですよ。私の方には何ら問題の無い方です。北海道のセンターは大騒ぎですが。貴方でしょう?』

「まあな。単にデータを引っこ抜いただけなんだが、侵入にようやく気付いたか」

「つまり、どういう事?」

「この人が超すごいハッカーで、北海道の政府施設が侵入に気付いて大騒ぎって事」

「なるほど!」

「…ひょっとして、平時は天然?」

「あんた優しいな、こいつは剣の事以外は、奥さん大好きでもせん○りも止められないおバカキャラだ」

「最近は自重してるぞ! …8割位に」

 

 

「ねえバベンスキーさん」

「なんじゃい?」

「…狂四郎が戦う時、猛獣に例えた事があるって私、言ったわよね」

「…ああ、それが?」

「あのミナセさん…、災害が起きてるのを目の当たりにしたような感じで…変かしら」

「自然災害の前じゃ、猛獣も子猫の一匹も変わらないか」

 

 

「所でどの辺りから来たんだ?」

「九州に辿り着いた後は、四国を経由して大阪から東京を辿ってこっちに。色々見てきたがまあ、どこもかしこもひどいもんだな」

「これでも日本はまだマシな方なんだぜ。ヨーロッパは違うみたいだが」

「ああ、見てきたからな。ユーラシアの方面は放射線耐性スーツを着て延々と歩く羽目になったよ」

「中国大陸を歩いてきたのか?」

「ああ。死体に、機械に、野盗…、実にわかり易い世の中だった」

 

 

「あんたは日本人のようだが、政府方針は識っておるか? 正直、海外から戻ってきても…」

「例の遺伝子異常がって言うんだろ? 北海道のデータを解析したが…、現日本人の絶滅を目指すとか、全般的にイカれてやがる。なので、少し嫌がらせしながらもう少し回る」

「嫌がらせ? 政府関係施設に侵入して、露出オ○ニーして片付けないとか? それともサボタージュ?」

「何その高度な変態!? 普通はサボタージュが前だろ!」

 

 

「随分な業物だが、大分傷んでるな。予備でこれを使うといい」

「…いいのか?」

「基本はナイフだからな」

「てかこれ、ガワ除いて痛む前とほぼ同じなんだけど」

「あ、わかっちゃう? まあ、ちょっとした裏…」

「裏筋?」

「裏技! すぐ脱ぐの止めない!?」

 

 

「食料がこんなに…」

「主にアメリカンなのは我慢してくれ。自然は残っているとはいえ、食料に困った連中も狩りをするだろうから」

「は、ハンバーグだ!」

「子供みたいだなおい」

「残念、ソールズベリーステーキです」

「そうですせんずりすきっす?」

「うちの旦那が、ごめんなさい」

「…こういう奴なんだ」

「うん、諦めた」

 

 

「ぷはぁ、食った食った!」

「お茶もあるぞ。インスタントの粉茶だが」

「いたれりつくせりだな」

「あ、私がお湯もってきますね」

 

 

「そっちはどの辺りを目指してるんだ?」

「そうだな…、以前通った時、暮らせそうな廃村がこの辺りにあってな」

「ああそこか。この地図だと…これだ。都市も遠くて橋が無くて行き来に難儀しそうな」

「そうそうここだ。水と畑が確保できれば、あとは山で獲物を探せば暮らせるかなって」

「成程ね。なら俺もある程度回り終えたら、そこを訪ねるよ」

「定住できてるとは限らないが?」

「ま、再会できなくてもそれはそれだ」

 

 

>狂四郎も剣客なので

 

「…手合わせ、頼んでいいか?」

「構わない。エキサイトするだろうから、これを」

「着替えか?」

「うんにゃ、見た目は服だが、結構な防御力があるんだぞ。廻君の装備になるべく似せ…って、その場で着替えるんかい!?」

 

 

 

「難儀なもんだな、剣客ってのは。得物は木刀でいいな? 一撃与えるか、木刀を落とすか割るかで終了だ」

「…わかった」

「人の身でその気迫…いいぜ、打って来い!」

 

 

 

「ここまでだな。ほれ、タオルだ」

「どーなってるの…、本気で相手してくれてるのに、全力じゃないのがわかった…」

「凹まないでくれ、結構なズルをしてるからなこっちは」

「ズルってどんなよ?」

「主に修行方法なんだが、聞くか?」

「興味あるな…。これからもユリカを守っていく為にも」

「そうか。飛鳥とVRマシンがあるなら、真似はできそうだな」

 

 

 

「それはズルじゃないと思う…おかしいよそれ…」

「そうか? 真面目に修行したり、死線をくぐり抜けてる連中と比べると、望むだけ時間を作って死なない死合で体と脳に技を刻み込むんだから、かなりズルだと思うんだが」

「シミュレータで幾度も臓物ぶちまけたり頭かち割られたりとかないだろ普通…」

「間違うと手足を切り飛ばされるのが抜けてる。模擬戦やってる友人達相手だと、地面割ったり斬撃飛ばしてくるから油断できなくてなぁ…」

「なにそのじんがい」

「文字通り、人外だぞ?」

「…聞かなかった事にしたい」

 

 

 

>爆発しないバイク

 

「こっちだ。これを使ってくれ」

「…いいのか、こんな手入れの行き届いたバイク」

「いいさ。ここから沿岸を回るなら別の足を調達するさ」

「電気自動二輪? なあトール、こいつの動力は?」

「核分裂バッテリー。フルパワーでぶん回しても、数年は回るぜ?」

「え、放射能漏れとか大丈夫だよな?」

「乗ってる所から離れた位置だから安心しろ」

「よかった、種無しになったら困る。…ユリカが」

「おーい廻君、うしろうしろー」

「皮伸びちゃう、伸びちゃうから!?」

 

 

「無事に暮らせる所にたどり着けるといいな」

「いけるさ、この夫婦なら」

「だろうな。はよ嫌がらせを終わらせて挨拶に行くよバベンスキー」

 

 

「色々ありがとう。それよりいいのか、こんなに沢山?」

「備蓄はまだあるからな。無事にたどり着ける事を祈ってるよ。またな」

「ええ、ありがとう」

「また会おう」

「元気でな」

 

 

「これまで見たこと無い、いい人だったな。…鍛錬基準がおかしかったけど」

「そうね。どこかのエージェントの線はあるの?」

「全く無い。あんな人…人?が居たら、その国は覇権を握ってる。一切の油断をしてない、視界も広い巨人に見つめられてるような気がしたんだ。ちょっと悔しいが…正直、全く勝てる気がしなかった」

「狂四郎がそう思うとはな…」

「あと、今度はカレーを持ってないか聞こう」

「呆れた。食い物の話か」

「ふふ、食いしん坊さんね」

「バベンスキーにはドッグフードで」

「玉ねぎ抜きか確認するもんね!?」

 

 

 

>トールの嫌がらせ

「え、それ(日本人)捨てちゃうんですか? じゃあ貰ってもいいですよね!」

 

 

 

日本Vault:

 ディストピアと化した日本の地下に、秘密裏に建築した複数の管理Vault。管理と教育用にZAXスーパーコンピュータを設置し、日本人の教育、訓練、そして存続を図る為のゆりかご。内部流通通貨は懐かしのキャップ。

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 協力を申し出たバーチャルSEXマシン管理用コンピュータ飛鳥が、主にVRマシン経由で都市部やオアシス農場のハイティーンまでの子供を秘密裏に調査し、意思確認をした上でその家族やグループごと転送する。教育は戦前では行われた義務教育の範囲と、子供の適正に合わせた教育を行う。

 もしも日本政府を含む別勢力に露呈した場合は、別の予備Vaultに転移させ、元のVaultは解体する。ナンバリングはイロハ。

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 各Vaultは完全循環型で、核融合炉、空気浄化装置、水浄化システム、自動管理農場、転送装置なども含む。初期50名前後、拡張して最大で5千人まで。人口超過の傾向を確認したら、事前策定位置で追加のVaultを自動で建造する。他のVaultとの交流も転送装置で行い、完全に日本政府と切り離した別の政府体制を地下に構築する遠大な計画。

 既に第三次世界大戦で、世界全体で戦前の8割が死亡し、約80億弱から16億前後、日本で1.3億から0.26億(2600万人)程度まで減少しているものと推測されるので、日本の狭い国土であれど子供を中心に地下に無数のVaultを用意すれば賄えると試算した。

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 トール達の試算では、現在の北海道にある日本政府は百年以内に破綻すると予測。というか主導権争いとか内紛とかやってる訳で、それより短いかもしれない。

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 基礎教育にはM型遺伝子異常の真実と、現在の日本政府方針も含まれる。重要教育として、某プリティ☆ベ○の南軍のような、議論の仕方と民主主義、政治と軍事などの基礎教育も含まれる。目標は子供達が成人するまでに、エリちゃん並の意識を持たせること。民主主義は、最も個人に厳しい政治体制なのです。

 尚、社会体制の維持に欠かせない権力(=暴力)は、当面の間は六法全書を記録したZAXスーパーコンピューターとロボットが担うが、この辺りはプリベル作中で途中まで行われていたルルイエ新体制を参考にした。

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 宗教的なコントロールも考えたがとんがった方向に行くのが日本人なので不要と判断。信仰の自由は置いて、他者の信仰を尊重する事、規則を守った上で信仰を自分に秘める事をメインにある程度は自由にさせた。結局、招いた人々の信仰が神道、仏教、カトリックのみだったのと新興宗教は興っては現実の前に消えていったので危惧する自体には陥らなかった。

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 成人済みの中で思想的に難点があるグループ所属者には、シビュラシステムをエミュレートした色相診断システムを応用し、事前に排除すべきか最後まで悩んだ。結局、チェックとマーキングは行うが、犯罪行為か危険行動を実行するまでは手を出さない事になった。

 残念ながら、実際の犯罪行為を犯したり、再三の教育で改善しない人間は、隔離用のVaultに移動。脳みそお花畑? 一定数の発生ごとに同じく移動。

 隔離用のVaultに移住させられた住民は最終的に全体の0.1%出ているが、扉が彼ら自身の民主主義で開かれたものの、例外なく外の世界に適応できなかった。隔離人員が全滅した時点でVaultは機能停止とこっそり縮小なので、蛮族化した人々が住むのも困難。

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 数十年後、旧日本政府破綻が確認された後、理想的な形でVaultの扉は開かれた。地下で生き延びてきた人々は日本本土を各地ごとに占拠したものの、地上に残っていたのは出荷もされず周辺で隠れ住む人々がこっそり拝借するだけのオアシス農場の成れの果てと、都市部で保存食や小動物で日々を食いつなぐ生き残り、モヒカンな連中と、あとは旧日本政府が用意していたデザインヒューマンや自動機械だけだった。無論、敵対者はVault側のロボや火器で制圧された。

 後に、ヨーロッパ中心の再建国家と接触、お互い緊張を持ちつつもゆるやかに復興と交流を進めた。

 

 

 

六角Vault:

 トールが再会した廻夫婦、バベンスキーの為に用意した小型Vaultというか地下バンカー。陸の孤島状態の谷合にある元廃村に住処を構えた狂四郎達が、食に困らず、もしもの場合に逃げ込めるよう用意した。広い空間に木造平屋建ての家屋がある。お世話用プロテクトロンと快適な犬小屋完備。

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 Vaultが設置された元廃村の周囲には設置型魔法道具で<人払い><幻影>の結界を敷いており、治安警察を含めて大抵の他人は寄せ付けない。

 初期で50人までが暮らせる完全循環型で設計しており、内部に他の日本Vaultと同じく核融合炉と自動農園、魚類養殖場を用意。ついでに無限収納。地上での生活で足りない場合に使ってもらう算段だったが、廃村に残された農場と周囲での狩りで賄えている。狂四郎は野生化していた鶏と猪を捕獲し、空いていた酪農スペースで生育を始めた。思った以上にウリ坊が可愛くて、育った後で肉にするのにかなり悩んだ。

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 自動農園の発電機に偽装されて設置されている核融合炉は200年保証で、それ一基で戦前の電力需要を賄える。あとすぐにコピーできる。北海道地下の現日本政府涙目。

 

 既に飛鳥がデータ移動したZAXスーパーコンピューターが設置されている。北海道の元本体は飛鳥のスレイヴとして現在も稼働中。飛鳥は日本Vault計画に乗っかり、日本各地の子供を調査している。

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 名称は狂四郎がノリで付けた。バベンスキーと取っ組み合いになった模様。やることやってたので子宝に恵まれた。

 廻夫婦が老年に差し掛かる頃には、飛鳥が見極めた上で脱走者や元治安警察官が村に加わり小規模ながら繁栄。日本本土を再制圧した各地のVaultの代表と子孫が邂逅し、新生日本国初代大統領という座に(嫌々ながら)就いた。

 

 




絵がないと描写が辛い
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