荒野からやってきました外伝 荒野の災厄のやらかし集   作:マガミ

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設定的には、本編終了後。
幾度も訪れている扱い。


外伝集・TSK世界 お土産

 以前も転移した先、トールはその確定座標に向かうと、いきなりの出現にその領域の護衛担当達が一斉に戦闘態勢。

 

『あー、彼は友人だ、だいじょーぶ』

 

 ちょこっと気の抜ける声が響く。トールはダメ押しに丸く青い絵が刻まれた手持ちの通行証プレートを見せた。護衛担当達は安堵し、執務室へ案内される。途中、ムキムキの幹部の男に手土産を渡した。

 

「おー、お久。元気してたかトール」

 

 書類の山という程ではないが、机に半ば突っ伏し気味の小柄な主…大魔王リムル・テンペストが声で出迎えた。

 

「なんか垂れてる垂れてる。疲れてないか? 気分的な所で。てか側仕え居ないのも珍しい」

「おっといかんいかん。色々済んだけど、落ち着いた後にやらかすのが多くて後処理にみんな出てる。あの暴風竜とかあの腕力魔王とか妖精女王とか…」

 

 言う都度、身体の輪郭が崩れる。この大魔王様の本質はスライム。今は人の形を取っていたが、精神状態に影響されるようで輪郭が崩れたりする。

 

「はは、あの面子なら仕方無い。おっと、友人が作った料理を沢山保存して持ってきたんだ、リクエストされてた肉盛り定食もあるぞ。市民の分は悪いけど、うちの監修済みプラント製だ。幹部の子に渡してある」

 

 そう言ってインベントリから箱をいくつも取り出し始めた。先程までダレていたのは異なり、明らかにテンションを上げてテーブルへ。

 

「まじか! 持つべきものは次元も超えてくる友だな!そして早速頂きたい! お、おお、見たことあるだけの甘味まで!」

「味わって食う分には山程用意してきた。一人自由に食ったら、後は国の面々と一緒に食べればいいさ」

「やっほう!」

「あ、ランガ君とソーエイ君も食べるよね」

 

 トールは弁当箱などの他、お茶セットを取り出しつつ何もない所に声をかけた。影が変形し、角を持つ男性と狼が姿を表す。

 

「不覚」「…やはり気付いていたか」

「友人だがこの国の人間ではないからな、警戒するのは当然だ。さあ小難しい話はせず、最初はステーキ重からだ。Jr、インベントリからちゃぶ台と…」

-

 

-

「はふぅ…ご馳走さまでした。余は満足じゃ」

 

 護衛達は影の中で食事。大魔王様は幸せ一杯の表情でお茶を啜っている。

 

『ご堪能頂けたようで何より。ご主人さま、片付けはおまかせ下さい』

「タスクが終わったら戻ってくれ」『了解です』

 

 トールはJrの操作する端末に後片付けを任せる。

 

「このレベルがすぐ食える環境とか超羨ましい。うちの秘書は…秘書っぽいのは…」

 

 秘書っぽいの。彼女は料理の腕が壊滅的だが、諦めず因果を書き換える事で、食べると死ぬ何かを食べられる(何故か美味)何かを作り出すスキルを得た。

 

「すきるのちからってすげー。いやほんとあれで味だけはマシとかどうなってんの」

「なんという棒読み。交流兼ねて将来的に、異形種になってるその友人達や子供達も招待したいな」

 

 数少ない時間同調型世界である此方には、トールは幾度も訪れていた。緊急避難先としての候補である。

 

「転移は技術進化で安定したから、以前伝えた通り状況が落ち着いたら連れてくるさ。ただ、今は俺が死にかけた攻撃してきた敵が居てな、世界一つ生成する力で滅びの侵食領域ができて、切り離して消滅させるまで、少し時間がかかった。敵を探し出して背後も含めて制圧してからになると思う」

 

 面倒そうなトール。だがその内容に大魔王様が素で驚いた。

 

「え、トールが死にかけた? まじで? あれとかあれと殴り合いするのに? 何の冗談? 人間(笑)のお前が?」

 

 そう言ってしまった。トールは「すん」と表情を消して、すぐに微笑みながら大魔王様を見る。

 

「ほうほう。そういう事をおっしゃいますか。…所で大魔王様、当方のエネルギー問題が先日改善されまして、ちょっと自慢できる程度に発展を遂げておりましてな」

「げ、まさか…」

 

 以前訪れた時、上位者だけに仕方ないが、窮屈な生活に疲れて逃げ出して、結局捕まった所にトールは現れた。馴染みの顔に助けを求めた大魔王様だが、仕事をほっぽらかした事を馴染みの幹部たちに聞き、ある方法で反省を促した。

 

「外見固定して性欲付与した外装被せて次元固定して、○○するまで出られない部屋にあの二人と一緒に放り込むぞ」

 

 時間にして20分も経過しなかったが、トールの取った方法で大魔王様は暫く、とても真面目に執務をしたという。

 その悪夢の再来をするというトール。

 

『解。リンクエネルギー量の推定から条件封鎖結界としての強度が無限牢獄を大幅に超える可能性大』

「なんで懐かしい口調なんですかシエル先生!? て、停止世界を使って…って、トールは物理と数学的に無効化するんだった!」

「何、天井の染みを数えている間に、あの二人が終わらせてくれるさ…多分?」

『解。房中術応用による魔素増大の飽和で結界破壊されるまで続く可能性最大』

「トールさんはにんげんです、たいへんもうしわけございませんでした」

「何というスタイリッシュ土下座。冗談だよ3割で。残り4割はシエル先生込みで本気な」

「合計7割本気だったのかよ! あの時は封印外装でスキルで抑えられない衝動とか二人が順番争いしてる間の固定空間破壊まで16分間、生きた心地しなかったんだからな!?」

 

 そう簡単に破壊できるものではないのだが、そこは大魔王様。見たこと無い封鎖空間の構成を読み取って精根尽き果てた様子で脱出した。その悪夢のような時間を思い出して顔を青くする。

 

「転移してきたけど大魔王様の威厳が皆無な件」

「誰のせいだよ今更だけどな!というかまじでやめろください!」

 

 そんなわーきゃーやる脇で、片付けを終えたJrの端末が入れるお茶を啜る忍者姿の男と、お茶請けを食べる角付き狼。

 

『質問です。世界を救ったこの大魔王様、偉い方なのですよね?』

「…」「黙秘する」




TV版ベースに、転スラ日記の要素入りです。
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