砦での戦闘における判定で2回もクリティカルを出す。その上d6振って9以下を一度も出さない。
全く厄介な存在だよ、君は!
この獲物を使っていくならば、実戦訓練は不可欠。そう判断して
「いないな……」
少し歩けば巨大鼠、あるいは
いや、そもそも退治しきれるものではないだろう。あれらの繁殖力はそれこそゴブリンをも凌ぐという話だ。
もっともゴブリンと違って女性を襲い増えない分まだマシではあるが。しかし人を襲って食べる以上退治すべきでもある。
幾度か角を曲がったところで、鼠の足音を耳にする。視線をそちらへ向けると通常の巨大鼠の倍はある体躯を持ったそれが、こちらをジッと睨みつけている。
大物相手ならば試しにはもってこいだろう。大金棒を構える女闘士に対し、暴食鼠は逃げる様子も怯む様子もない。身体が大きい分他の鼠より度胸もあるらしい。
ならば、と女闘士は一気に踏み込む。そして力強く床を踏みしめ大金棒を振りかぶり―――――
「!?」
濡れた床に足を滑らせ、空振ってその場に尻持ちをついた。
その隙を暴食鼠が見逃すはずもなく、女闘士の首に噛みつかんと飛びかかって来る。その巨体に組み敷かれながらも、咄嗟に腕を掲げ籠手で歯を防ぐ。
痛みはあるが皮や肉が貫かれるような痛みではない。籠手が機能している。それでも噛みついたまま離れようとしない暴食鼠の鼻先目掛け、女闘士は思いっきり頭をぶつける。
「GURYI!?」
鼻から血を噴き出し女闘士の上から暴食鼠が転がり落ちる。今度は女闘士が獣の如く飛びかかり、馬乗りになると
「GYARURURU!?GURYUU!?」
2発、3発。躊躇なく、油断なく。敵の声が止まり、動きが止まるまで振り下ろす。頭突きの衝撃で視界がチカチカするが、この姿勢なら外す事はない。
そうして殴るうちに動かなくなった鼠の上から退くと、女闘士は大きく息を吐き出す。危ないところだった。油断したつもりはなかったのだが、つもりだけだったようだ。
またしても装備に救われた。そのための装備ではあるのだが、頼りきりというのも決して良い事ではない。もっと気をつけねば。
「色々焦り過ぎたね」
槌鉾に付着した血を拭い、大金棒を拾い直しながら呟く。新しい武器を試そうという気持ちが先走り過ぎ、地面にまで注意が行かなかった。
「たられば」を考えても仕方ないが、これで敵が罠を仕掛けるような知恵を持つ相手だったら。今頃あの世行きか、またあの牢の中と同じ状況に逆戻りだろう。
もっと冷静にならねば。どうにも自分は気分の高揚や感情の起伏に引っ張られ過ぎる。
落ち着いて。間合いを測って。触れるだけの広さがあるか、足元が不安定でないかを確認して……
力一杯、振り切る。
「よし」
新手の巨大鼠が吹き飛んだのを見て、女闘士は頷く。大金棒が直撃した巨大鼠の上半身は爆ぜるようにして弾け飛び、辺りに臓物や血が飛び散っている。
期待通りの威力と言っていい。振るのに四苦八苦するでもないし、一度振ったら精根尽き果てる事もない。継続して使っていける。
もう何度か試し、馴染ませれば
もっと効率良く、敵を殺せるだろう。
――――――――
どうしたものか、と受付嬢は頭を悩ませる。悩みの種はつい最近黒曜等級に上がったばかりの新人―――――女闘士についてだ。
昇級が認められるだけあって、素行に関して問題はない。実力に関しても、小規模とはいえゴブリンの巣を
外なる神からの
だが行動に関して問題、と言うよりも不安がどうしても拭いきれない。託宣に従っている、というのもあるだろうが、あまりにも衝動に突き動かされた行動が多すぎる。
今のところ人を害するような行動ではなく、むしろ人を助けようとしている様子が見られるのだが同時に無謀が過ぎるようにも見えるのだ。
つい先程の行動もまさにそれだ。既に受注済みのゴブリン退治の依頼を見せてくれるよう頼んできたかと思えば、鋼鉄等級の一党が受けた依頼を指して「託宣があった」と言い放ち外へ飛び出して行った。
恐らくはその一党の支援か何かに向かったのだろうが、鋼鉄等級の一党が危機に陥ると言う事はそれだけの危険が待ちかまえているという事だ。
そこに迷うことなく向かい、危地に飛び込み、ゴブリンを殺し人を救う。何かタガが外れてしまっているようにすら思えてきてしまう。
それこそ彼―――――小鬼殺しの専門家、自身を「ゴブリンにとってのゴブリン」とまで言い切ったゴブリンスレイヤーのように。
(あまり踏み込んではいけない事は分かっているんですけど……)
それでも何かしてやれる事があるのではないか。どうしても受付嬢は考えてしまう。正直ギルド職員としてはよろしくない傾向である事は理解している。
入れ込み過ぎれば公平性を欠くようになるし、そうでなくとも冒険者という職業の性質上精神衛生的によろしくない。
新人、それも冒険者になったばかりの一党をゴブリンの巣に送り出すだけでも胃がキリキリするのだから、親しくなった相手が戻ってこないとなれば……
思わず頭によぎった考えを、ぶんぶんと首を横に振って追い払う。そんなことは想像すらしたくない。
自分に何が出来るかをもう一度考え直す。
依頼を斡旋しない?論外。ギルド職員としてありえない行為だ。
大丈夫そうな依頼のみを斡旋する?却下。不公平に過ぎるし、確実に大丈夫な依頼など存在しない。
一定のリスクがあるからこそ、依頼人は冒険者に対し代価を払って依頼するのだ。
何がしかの忠告をする?既にやっている。忠告まではしてやれるが、それ以上踏み込んで行くのは職務を逸脱している。
では何が出来るか―――――……
「……ううん」
一応の案はある。だがこれは人任せになる上、任せる相手と女闘士本人の意思次第となってしまう。
もっといい方策はないだろうか、と頭を捻るがどうにもこれ以上の考えは浮かばない。そして決して悪い案ではないのだ。
(とりあえず提案だけはしてみましょうか……)
悩んだ挙句、受付嬢はそう結論付ける。結局のところ、こちらがあれこれ考えた所で最後は当人達の意思が最優先となるのだ。
こちらはこちらの領分で出来る限りの事をやるだけ。それしか出来ないのが歯がゆい時もあるが……
それはそれで自分の選んだ道なのだ、と己に言い聞かせ、受付嬢は頭を切り替える。
やる事は山ほどあって、職員がそれをこなさねば冒険者も依頼人もギルドも、大袈裟に言えば国だって困るのだ。
他者にアレコレ言うのなら、まず自分の責務を果たしてから。それは職員とかでなく、人としての
――――――――
遅れたか、とゴブリン達の騒ぎ声が木霊する山砦を見上げながら、女闘士は兜の中で舌打ちをする。追い越したりしないよう徒歩で来たのが裏目に出たようだ。
だが騒ぎ声に女性を嬲る男特有の、あの下卑た歓びがない。恐らくは侵入に気付き、内部で戦闘が行われているのだろう。つまり、猶予は少ないが手遅れではない。
ならばすぐに突入すべきか。いや、この状況で突入したとしても間に合うかどうか分からない。
間に合うとしても何処にいるか分からない彼女達の所に辿りつくまでに消耗してしまい、最悪救援に来たはずが餌が一匹増えただけ、ということになりかねない。
一番いいのはこちらがゴブリンを多数引き付け、彼女達が自力で脱出する事を支援する事だ。
一党に軽装備であろう魔術師や僧侶がいる事を考えると、引き付ける数は多ければ多いほどいい。だがゴブリンは間抜けではない。
どう引き付ける?火でもかけるか?いや、それでは中にいる彼女達まで危ない。音を出しても意味はない。もっとゴブリン達が無視出来ず、群がって来るような何かが要る。
「……ゴブリンは馬鹿だが間抜けではない、か」
それは裏返せば間抜けではないが、馬鹿だと言う事だ。そしてゴブリンの頭の中は奪う事と犯す事、自分が一番偉いという傲慢さしかない。
なら欲望を刺激してやればいい。簡単だ。
問題があるとすれば自分の羞恥心や自尊心だが、そんなものは今さらだ。他者の命や小鬼を殺す事と比較した時、どちらが重いかなど考えるまでもない。
それに見られる相手は同性なのだ。さほど恥ずかしがる必要もない。我が物顔で好き勝手されるわけでもない。嫌な事など何もない。
小鬼の方は―――――どうせ皆殺しにするのだから何も問題ない。決まりだ。
「少しの間、耐えてくれたまえよ……!」
どうするかは決めたが、実行のためにはどうしても少し時間がかかってしまう。故に女闘士は顔も知らぬ一党の武運を祈りつつ―――――
躊躇う事なく、装備の止め具に手を伸ばした。
――――――――
どうしてこうなったのだろう、と
まだ戦闘の最中であり、そんな事を考えている暇はないのは承知している。だがどうしても思わずにはいられないのだ。
幾度かの冒険を経て、一党の誰もが経験を積み成長していた。白磁や黒曜とは違うと言えるだけの実力はある。
ゴブリンが多勢である事も承知していた。だから油断せず装備を整え、慢心なくゴブリンの眠る真昼時に潜入した。
野伏が慎重に罠を解除し、隊伍を組んで警戒を怠らず進んで行く。間違いはなかったはずなのに。
「……くそっ!」
ゴブリンを切り伏せながら毒づく貴族令嬢。今は考えるよりも身体を動かし、何とか脱出せねばならない。だが頭からは「何故」が離れてくれない。
彼女だけでなく一党全員が頭の片隅でその「何故」を考えているのだが、冷徹に事実を告げるならばたった一言。
彼女達は、運が悪かったのだ。
もしここが
以前ここを住居としていた森人達が、その器用さでもって緻密な罠を仕掛けていなかったら。
野伏がそれを解除しながら進んだために、消耗していなかったら。
きっと彼女達は最後の最後で警報に引っ掛かる事なく、上手くやれていたはずだ。そのはずだった。
だがそんな「たられば」は意味がない。罠によって砦中のゴブリンが目を覚まし、囲まれてしまっているのが現実なのだ。
何とか切り抜けねばならない。だがどうやって?
貴族令嬢の体力は無限ではない。野伏の矢は限りがある。魔術師の術は―――――五回と破格の多さではあるが、それっきりだ。僧侶の奇跡も祈りを保てなくなれば終わる。
向こうも数に限りはあるだろうが、それでもこちらが力尽きるよりは多いのではないか?
何とかその考えを振り払って必死の防戦を続けるが、一党の誰もが薄々気付いていた。その推測は恐らく当たっていると。自分達がどのような末路を辿ることになるから。
だからと言って諦めるわけもなく、彼女達は全力を尽くし防戦を続ける。諦めさえしなければ、何かが起きるかもしれない。戦い続ければ、活路が見えるかもしれない。
骰子を振らず投げ出してしまったら、
「GARUUA!」
「GAAUUAAA!」
そうして防戦を続けていると、小鬼達の包囲網に変化が生じる。自分達が侵入してきた方角、つまり入口の方に向かって何匹かが駆け出していく。
その数は徐々に増えていき、貴族令嬢がその薄くなった包囲を突破せんと号令をかけようとした瞬間―――――
「えっ?」
飛び込んできた光景と人物に思わず間の抜けた声を出してしまった。
来たのは多数のゴブリン。恐らく自分達を囲み、突如として移動して行った者たちだろう。それは分かる。
それが何者かを取り囲み、戦いながら引いてきた。これも分かる。新しい侵入者を迎え撃つためにこちらに数を割いたのだろう。問題はその侵入者だった。
頭全体を覆う形状の兜を被り、鋲の打たれた革鎧を着て、
何故なら彼女は、
ゴブリンが自分達ではなく、彼女に群がっていった理由もこれで分かった。1人だから狙いやすい、という事ではなく、単純に肉付きのいい雌を捕まえたくなったのだろう。
目の前に餌があるならば、飛び付かずにはいられないのがゴブリンなのだから。
そして女性ながら大金棒を獲物としている彼女。格好こそ異常だが、その戦いぶりは見事の一言に尽きる。
激しく上下左右に揺れ弾む豊乳に一撃でも受ければ命取りになりかねないというのに、構えるのすら一苦労しそうな大金棒や腕に付けた籠手で巧みに防いでいる。
それだけでなく大金棒をまるで金属の重みが無いかのように振り回し、ゴブリンの頭に当たれば頭蓋を粉々に打ち砕く。
胴に当たれば小鬼の身体を押し潰し、臓物を溢れさせながら吹き飛ばす。
懐に飛び込まれれば籠手で殴り付け、ゴブリンを地に沈める。
兜に、鎧に、剥き出しの胸に返り血を浴びながら、さながらトロルの如く暴れ回る。
棍棒で打たれ、投石を兜に受け、刃が通らぬとはいえ剣での攻撃を鎧に受けるが怯む事も止まる事もない。
そうしてゴブリンの中を突破してきた彼女だが、胸以外の部分には幾度となく攻撃を受けており、傷付いているのは間違いない。
まさか再生力までトロルと同じなはずがないだろう。
「助けに来た!殿は任せて逃げたまえ!」
助けねば、と思った矢先乱入してきた彼女が大声を張り上げる。この異様な風態の女性は、理由は不明だが自分達を助けに来たらしい。
言いたい事も聞きたい事も山ほどあるが、好機な事だけは確かだ。数が減り、包囲が薄くなっている今を逃したらもう脱出は叶うまい。
「突破して退くわよ!」
それを見逃す事なく、貴族令嬢とその一党は行動に移す。
魔術師の術で一角を切り開き、野伏が先頭に立ち駆け出す。その後から魔術師と僧侶が続き、貴族令嬢が殿を務める。それを確認した女性もまた、徐々に退き始める。
目指すは正面の出入口。そこまでの道ならば罠は解除してある。小鬼を蹴散らしそこまで辿りつければ、逃げ切れる可能性が出てくる。
その希望に縋るようにして、一党は必死に脚を動かす。あと少し、あと少しで入口に辿りつく。
もう野伏は外へ出た。魔術師も僧侶もだ。自分も、あとほんの数歩―――――
「……やった!」
まだ砦の中から脱出したと言うだけで、窮地から完全に脱した訳ではない。だがここまで来れば囲まれる可能性はグッと低くなり、走って逃げ切れる可能性も大いに上がる。
後ろを振り返れば、あの助けに来てくれた女性がこちらに向かって駆けてくる。
こんな状況だというのに羨ましくなるほど立派な双丘を弾ませながら必死に走っているが、そのすぐ後ろをゴブリンが追いかけて来ている。このままでは追いつかれてしまうだろう。
このままなら、だが。
「援護!」
「ほいきた!」
野伏が矢を番え、弦を引き絞る。放たれた矢は狙いを外す事なく彼女に掴みかかろうとしていたゴブリンの喉を射抜き、確実に仕留めてみせる。
「《いと慈悲深き地母神よ、どうかこの者の傷に、御手をお触れください》!」
僧侶が残った奇跡で《
「助かったよ!このまま撤退だ!」
砦の外へと駆け出してきた女性の言葉に頷くと、貴族令嬢達も再び走り始める。まだまだゴブリンの数は多い。一度引いて態勢を立て直す必要がある。
だがゴブリン達は執拗に追いかけてくる。徐々に砦から離れて行っているというのに、仲間を殺された怒りなのか雌を逃したくない欲望なのか。はたまたその両方か。
遮二無二追って来るゴブリン達を後ろに見ながら走る貴族令嬢と仲間、そして助けに来た女性。その最中、ふと貴族令嬢は気付く。
当たり前ではあるが、ゴブリンにも個体差はある。力の強い者弱い者。多少知恵の回る者回らない者。そして、足の速い者遅い者。
走る距離が長くなるにつれ、その差が顕著に現れて来ている。数匹はすぐ後ろをついてきているが、その数匹ですら纏まっておらず散らばり始めている。
さらにその後方となると、散り散りバラバラで多くとも3,4匹ずつしか固まっていない。
つまり、総数こそ変わりはないが一つの集団ではなく複数の小集団になっている。
その事実に気付いた貴族令嬢は一党に声をかけようとするが、それより早く一緒に最後尾を走っていた女性が立ち止まる。
そして彼女は振り返り、追ってきたゴブリン達に近付くと―――――
「せ、えぇぇい!」
大金棒を振りかぶり、横薙ぎの一撃を放った。
先頭を走っていたゴブリンと、そのすぐ後ろにいたもう一匹がその直撃を受ける。足は速いが運の悪かったその二匹は、衝撃によって上半身を飛び散らしながら吹き飛んで行った。
あまりの光景に一瞬呆気に取られるが、すぐに気を取り直し貴族令嬢は号令をかける。
「一時停止!近いゴブリンを仕留めます!」
言葉を発しながら、近くにいたゴブリンに斬りかかる。疲労によって剣筋が鈍っているのは自覚したが、それでも小鬼程度ならば苦もなく斬り捨てれる。
さらに後方にいたもう一匹は野伏の矢によって絶命する。これで最も近い追手は撃破した。今なら確実に逃げ切れるだろうが―――――
「絶好の機だね」
「ええ。逃すつもりはないわ」
乱入してきた女性の言う通りだ。疲労し消耗もしているが、これはこの上ない好機だ。今こちらが襲いかかれば、もう一度小鬼達が集結する前に7、8匹は取れる。
そして討ち切れない小鬼が集結したとしても、もう10前後しか残らない。その程度の数と正面からやるならば、こちらの負けはない。
ゴブリンは多勢で囲んでくるからこそ脅威なのだから。
「全員、反転!分散したゴブリンを討ちます!」
号令より早く女性が駆け出す。それに遅れじと貴族令嬢も続き、近くまで来ていたゴブリンを仕留める。
各個撃破される危険性に気付いたゴブリン達は一か所に集まろうとするが、それよりも早く分散したゴブリンを仕留めていく。
すると勝ち目が無くなった事に最も早く気付いた一匹が、武器を捨て逃げて行く。残ったゴブリン達も次々とそれに続き、ある者は砦へ、ある者は全く違う方角へと逃げ出す。
逃がしてはならない。追わねばならない。だが―――――
「流石に追いかけるのは厳しい、ね……」
大金棒を地面に突き立て、杖のようにしながら女性が呟く。その通りだ。自分達も女性も無傷ではないし、疲労と消耗が激しい。
逃亡したゴブリンを追跡して仕留めるだけの体力は流石にない。少し休めば別だが、休んでいる間に逃げ延びられてしまうだろう。
野伏が矢で数匹は仕留めたが、やはり全てを討つのは不可能だった。
「逃したくはなかったけれど、仕方ないわね……」
そもそもあそこから助かっただけでも上等なのだ。ここで欲をかいて逃げる相手を追撃して、また反撃を受けるとも限らない。
呼吸を整え、水薬を飲んで出来る限り態勢を整えて砦に残った残党を討つ―――――残っていれば、だが。
この戦闘であの群れの数は激減した。砦の内部に残っているのはおよそ10前後というところだろう。その数でまだ砦に残っているとは思えない。
逃がした雌―――――冒険者達がまた襲いに来ると考え、あの砦を放棄して何処かへ逃げ延びる。恐らくはそうするはずだ。
一党と女性にそう話すと、全員がそれに頷いた。そうして一応は周囲に警戒しつつ、休息に入る。
「すまないが装備を付け直す間、周囲を警戒していてくれないかい。流石にこのままというのは、ね」
女性がそんな事を言ってくる。至って当然の言葉に、一党は異を唱える事なく承諾する。その豊かな胸を晒し、揺らしながら戦うのは防御面でも精神面でも辛いだろう。
その間の警戒はこちらでやっておくから気にせずやって欲しい、そう伝えると女性は声音に安堵を滲ませながら礼を言ってくる。
「そういえば、何故ここに?」
自分達が危機に陥った事など誰も知れるはずがない。知ったとしても来るには早すぎる。
自分達が新人で、彼女と面識があれば心配でやって来ることもあるかもしれない。だがこの一党は全員が経験を積んだ鋼鉄等級で、彼女とは初対面。そのはずだ。
助けてもらったのだから感謝しかないが、どうしても不思議ではある。
「ああ、神―――――外なる神なのだが、その神から
そう言いながら女性が兜を外す。その下に隠されていた顔を見て、貴族令嬢は―――――否、貴族令嬢とその一党は思わず息を呑んだ。
あんな戦い方をする女性なのだからさぞかし豪傑のような、いかつい風貌なのだろうと勝手に思っていのだがさにあらず。
凛々しい顔立ち。意志の強さを感じさせる瞳。森人である魔術師にも見劣りせぬほどの美貌であり、顔に滲ませた汗さえも輝いて見える。
鎧下を着るために露わになった上半身は見事に鍛え抜かれており、蜥蜴人の戦士のようで。それでいながら胸は女性的な意味で見事な豊かさを持っている。
ありえない、と言いたくなるのと同時に、彼女ならば当然とも思える。確かにこの精悍で整った容姿には、この肢体こそが相応しい。
容姿に、肢体に、豊かな胸に視線が釘付けとなる。それは貴族令嬢だけでなく一党も同じで、もしこの瞬間ゴブリンの逆襲があったなら大変な事になっていただろう。
「さて、待たせたね」
結局彼女が兜を被るまで一同は注視していたのだが、女性の方はそれを気にする様子もなく。その堂々とした様子が何とも雄々しく、頼もしい。
「では、残りのゴブリンを皆殺しに行こうか」
平然とそう言ってのける様子に少しだけ恐れを感じたりもしたのだけれど―――――
それはそれで偉大な蛮人のようで、彼女達にとっては恐れよりも憧憬の方が勝るのだった。
――――――――
報告書。
0506案件。
鋼鉄等級4人の一党が森人の砦に巣食ったゴブリンの掃討、及び攫われた村娘の救出に向かう。
森人が砦に残した罠の解除に失敗し、ゴブリンに包囲されるも黒曜等級冒険者の救援により脱出に成功。その後反撃を行い、砦からゴブリンの駆逐に成功する。
ただし全滅させる事は叶わず、10匹前後が逃走。また村娘は既に事切れており、救出は叶わず。
冒険者側には死者は無し。依頼そのものは成功とする。
なお、近隣の村から森人の砦の処分要請あり。依頼として受理すること。
補足事項:黒曜等級冒険者が救援に行った理由は「外なる神の託宣」に従った為。この冒険者は過去にも同様の発言をしており、《看破》によって真実であると確認済。
この僧侶って何の神官なんだろう?と思って小説と漫画を見返す。
→特に描写がない
→格好からして戦女神ではない。持ってる杖が天秤剣ではないからたぶん至高神とも違う
→女神官ちゃんの杖に似てるし地母神でええか……
貴族令嬢の口調ってどうなんだろう?と思って小説と漫画を見返す。
→小説では騎士というか武人とか軍人っぽい
→漫画だと最初女性口調で、後に丁寧語
→もう適当でええか……
ロイヤルメスな部分を晒しながらゴリラな暴れっぷりを見せた女闘士ちゃんへの印象ってどうなるんだろう?
→ダイス振ってみるか
→クリティカル
→もう百合でええか……
活動報告であげた診断結果の中で、どれが一番読みたいですか?(書くとは限らない)
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魔法剣士【綴られた手紙】
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令嬢【どうか、叶えて】
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女魔術師【君のワガママ】
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魔法剣士と令嬢【忘れてください】
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魔法剣士と女魔術師【貴方の為だけの】
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三人【騙し騙され愛し愛され】