ゴブリンスレイヤー 実況プレイ   作:猩猩

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サプリ買ったので初投稿です。
ただし内容はサプリとそんなに関係ないです。

サプリの追加要素である武技は藤沢周平の隠し剣だったり、実在する西洋剣術だったり、中国拳法の伝説だったり
チェストだったりで楽しいです。詳しいことは是非買って読んでください。


幕間 彼がいることで起きた変化の話

 彼はこれまで、神々に骰子(サイコロ)を振らせなかった。

 準備をして、策を練って、鍛えて、決断して、行動して、徹底してきた。

 だがそれでも ―――― 偶然の介在する余地はある。

 それは良い事ばかりではなく、悪い事にも。

 

「……ごッ、ふ……ッ」

 

 本来であれば、その一撃はもう少し ―――― 瀕死に追い込まれることには違いないが ―――― 軽い傷で済むはずだった。

 小鬼英雄(ゴブリンチャンピオン)一撃(クリティカル)を喰らい、吹き飛ばされ、石櫃に叩きつけられる。

 しかしその中は空洞で、石段が隠されていた。故に彼は一命を取り留める。

 そのはずだった。ここではない別の何処かではそうなった。

 だが、今は違う。彼は空洞ではなく、その横 ―――― 壁に激突した。

 なんのことはない。ほんの少し石櫃に突っ込む角度がずれただけのことだ。

 本当にちょっとした偶然。神々の悪戯とも言えない、たまさかのこと。

 それによって彼は即死こそ免れるが、水薬を飲んでも動くほどには回復しないほどの重傷を負う。

 そしてその怪我が元か、あるいは近付いてきた小鬼にトドメを刺され死ぬ。

 その後頭目(リーダー)を失った彼の一党(パーティー)は小鬼の群れに飲まれ、全滅する。

 そうなるはずだった。ここではない別の何処かでは、きっとそうなった。

 

 だがそれはここではなかった。

 

 彼が手を突っ込んだ雑嚢で真っ先に触れたものは、ギルドで買った水薬ではなかった。

 それは彼が ―――― 『彼ら』がたまたま助けた冒険者達から礼にと譲られたもの。

 黄金色の液体が入った小瓶。厳重に封がなされたそれの名前を彼は覚えていなかった。

 覚えていたとしても思い出す余裕もなかった。ただ彼は、とにかくそれを飲み干した。

 本来であれば。これが彼の買い求めた水薬であれば。彼はほんの少し命を長らえ、すぐに死ぬはずだった。

 これが森人(エルフ)の秘薬たる賦活剤(エリクシル)でなければそうなるはずだった。

 

「ふっ……ぐっ……!」

 

 痛みが和らぐ。身体に活力が戻ってくる。動くことが出来るようになる。

 ひしゃげねじ曲がった指の骨は正しき形へと巻き戻され、潰れた肉は元通りに膨らんでいく。

 神々の奇跡の如き効果である。さもありなん。

 これは神代より生きる森人達に伝わる秘薬。すなわち、神々の時代の遺物なのだから。

 活力こそ戻らねど、外傷は悉く癒し治す伝説の霊薬なのだから。

 その結果本来よりずっと大きな怪我を負ったというのに、本来より彼はずっと動けるようになっていた。

 そんなこと彼は知る由もないし、そんなことは彼にとってどうでもいいことだが。

 彼にとって大事なのは生きているということ。動けるということ。戦えるということ。

 彼にとって戦えるということは、ゴブリンを殺せるということ。

 彼はいつだってそのために準備をして、策を練って、鍛えて、決断して、行動して、徹底してきたのだから。

 

 本来であれば、ここで行われるのは()退()だった。

 だが彼が、彼らがやって来たことが巡り巡って偶然を動かした結果 ――――

 ここで行われたのは、退()()になった。

 

 

―――――

 

 

「まー、そうなるよな。そらそうよ」

 

 己の脚と彼方此方に置いた『耳』からの情報を報告書に纏め、読み返しながら行商人は一人呟く。

 雇い主の意向で陰謀を企んだ貴族と邪教団にささやかな手助け ―――― 商売をしたのだが、その結果は思わしくなかったようだ。

 もっともこちらとしては大事なのは売買が成立し代金を受け取れるか否かであって、陰謀の成否はどうでもいいのだが。

 むしろ陰謀は失敗し、それでいて企てる人間は無事でいてくれる方がいい。

 そうすれば定期的に色々お買い上げいただけるお得意様になってくれる。

 まあそんな都合良く行くことなど滅多にないのだが。

 今回も貴族は無事だが、邪教団はかの勇者様の英雄譚の一部と成り果てた。

 剣の乙女の使徒(ファミリア)対策にと売ってやった沼竜(アリゲイタ)は、飼育の途中辺境の街にて沈められた。

 貴族の小間使いも銀等級冒険者の陽動になるどころか、不運が重なった結果鋼鉄等級に退治された。

 見事なまでに全ての企みが失敗したあの貴族は、暫くは動けないことだろう。

 そして動けない間に司法の手が回ることだろう。

 あるいは例の金剛石の騎士とやらに目をつけられるか。

 いずれにせよ、次の注文はないと思った方がいい。

 

「しかし連中、なんですぐ沼竜を使わなかったんだ?」

 

 そこだけが分からず、行商人は首を傾げた。

 確かにまだ成長の余地はあったが、充分過ぎるほど大きい沼竜だったのだ。

 さっさと投入して使徒を負傷させ、動けなくさせればそれでよかったろうに。

 その間に小鬼禍(ゴブリンハザード)を拡大させてやればそれでよかっただろうに。

 まさか使徒を倒そうだなどと思っていたわけではあるまいに。

 そんな事をしても何の価値もない。達成感は得られるだろうが。

 使徒は単なる障害であり、目的ではない。打ち倒すのではなくどうにかやり過ごすのが正しいのだ。

 それ以上に万一倒してしまえば、それを脅威と看做し本格的に調査の手が入っていただろう。

 ゴブリンだから、ゴブリンの仕業と思われていたから冒険者を派遣する程度で済んでいたのだ。

 ゴブリンでは到底倒せない存在を打倒してしまったら、それ相応の何かがいると思われるに決まっている。

 それは自ら「とてつもない陰謀があります」と声高に主張するようなものではないか。

 まさかそんな馬鹿な真似はすまい。

 故に理由が分からず、行商人は首を傾げる。だが、彼はすぐに頭を切り替える。

 もう済んだことで、どうでもいいことだ。

 連中は失敗した。代金は貰ったから損はない。それでおしまいだ。

 それに、どう転んでも連中は失敗していたのだから。

 銀等級の一党が出張って来た時点で、小鬼禍は失敗していた。

 銀等級が四人もいる一党。これを返り討ちにしたとしても、その時点で相当な脅威が存在すると認識されてしまう。

 沼竜にしても下水にそれがいると知れた時点で、辺境の街の方で何らかの対策を打たれただろう。

 騎士に関しては無視されなかったら儲けもの程度で、大勢に影響はない。

 多少粗があっても一気に進めるか、可能な限り密やかに慎重に進めていくのが陰謀というものだ。

 雑な癖に遠回りする陰謀は、もはや陰ではなく堂々とやっているに等しい。

 そんなもの上手く行かなくて当然なのだ。

 それよりも沼竜を退治した一党について調べねばならない。

 不運にも雇い主の関心 ―――― 決して怒りだとかではない ―――― を買ってしまったその一党を調べるのが、今回の仕事の本筋なのだ。

 そちらの仕事にかかると決めた彼の頭からは、すっかり邪教団のことなど抜け落ちていた。

 

 だから、彼の推測が驚くほど当たっていたことも。邪教団が目的を忘れ、使徒を目標としてしまっていたことも。

 彼は知ることがなかったし、知る術もなかったし、知りたいとも思わなかった。

 仮に知ったとしても、呆れてこう言っておしまいだった。

 

「バーカ」

 




Q.賦活剤なければ死んでたのでは?
A.賦活剤なければこの世界線では死んでました。
 やっぱり人助けしておくのは大事です。色んなものの積み重ねでこの世界は出来ているので。

Q.賦活剤凄くない?
A.サプリの解説を見る限りマジでエリクサーなのでこうなりました。

Q.小鬼王戦の時は使わなかったの?
A.女神官ちゃんがゴブスレさんの傷を治す見せ場を奪えと仰せか。

Q.邪教団はなんなの?
A.使徒についての知識や対応策も神がサービス精神で教えた結果、目的と手段がごっちゃになってしまいました。

活動報告であげた診断結果の中で、どれが一番読みたいですか?(書くとは限らない)

  • 魔法剣士【綴られた手紙】
  • 令嬢【どうか、叶えて】
  • 女魔術師【君のワガママ】
  • 魔法剣士と令嬢【忘れてください】
  • 魔法剣士と女魔術師【貴方の為だけの】
  • 三人【騙し騙され愛し愛され】
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