ゴブリンスレイヤー 実況プレイ   作:猩猩

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テンポ悪い気がしたので、結構端折って行きます。


魔法剣士・裏 2

 小鬼殺し(ゴブリンスレイヤー)。最下級の、最弱の魔物を殺す者。平素に聞けば滑稽にすら思えるその名を名乗った男――――おそらくは――――は、成程名に違わぬ動きを見せた。

 一党を追撃してきた小鬼を持っていた剣で、松明で、小鬼から奪った短剣で。躊躇も容赦も無駄もなく速やかに屠ったその手並みは殺す者(スレイヤー)と呼ぶに相応しい。まさしくゴブリンにとって「死」そのものであっただろう。

 魔法剣士と女魔術師に治癒の水薬を分け与え、飲み干すのを見届けた彼は問うてきた。

 

「俺は奴らを叩く。お前たちはどうする。戻るか、ここで待つか」

 

 その問いに対し、真っ先に答えたのは魔法剣士だった。

 

「行く。仲間が1人やられた、そのままには出来ない。死体も、連中も」

 

 その言葉を聞いた女神官は、無慈悲に惨殺された剣士の遺体を思い出す。記憶の中にある惨たらしいその姿に胃液が喉まで上がって来る。だがそれを飲み込み、ハッキリと自分の意志を口にする。

 

「私も……行き、ます……っ!」

 

 自分と魔法剣士を一党に誘ってくれた剣士。道中夢を語り、ゴブリンに攫われた女性を助けようとしていた彼。今日初めて会って、ほんの数時間行動を共にしただけだがあのままにしてはおけない。

 彼をあのままにして、彼をあんな風にした怪物をそのままにして帰るのも、ここにいるのも嫌だった。

 

「……あたしも、行くわ」

「わ……私、も……」

 

 悲壮な表情の女武道家も、辛うじて自力で立ち上がった女魔術師も進むことを選ぶ。

 

「何が出来る」

 

 お前達が来たところで何が出来る?そう言われたような気がして、女神官は言葉に詰まる。確かに自分は、自分達はあまりに出来る事が少ない。ましてや今まさにみっともなく逃げてきたところなのだ。

 

「剣を少し。呪文は使い切ってしまった」

「そうか。まだ動けるか?」

「疲れてはいるが、何とか動ける。一匹ぐらいなら殺れる」

 

 その応答を聞いて、自分が言葉を取り違えていた事を悟る。純粋に自分に何が出来るか、つまり技能や能力を聞かれていたのだ。

 聞かれるがまま、女神官たちは自分の持つ技能や呪文、奇跡について答える。

 

「わかった。それならまずやることがある」

 

 そう言うや否や、ゴブリンスレイヤーは短剣をゴブリンの死骸に突き刺しその腹を掻っ捌いた。そしてグチャグチャと内臓をかき混ぜる。

 

「なっ……!」

 

 女神官は思わず息を呑む。何故そんなことを。いくら魔物とはいえ、何故そこまでするのか。

 

「奴らは臭いに敏感だ。特に女の臭いはな」

 

 そう言うと彼はゴブリンの肝を取り出し、布で包んだ。何かを察したらしい魔法剣士が顔をしかめ、呟く。

 

「返り血を充分に浴びたから、俺は遠慮したい」

「そうだな。それだけ浴びていれば充分だ」

 

 その発言で女神官は遅ればせながら察する。女武道家も女魔術師も察したらしく、顔が引きつっている。

 

「臭いを消す必要がある。慣れろ」

 

 

 

「あのデカブツは何故来ないのだろう」

田舎物(ホブ)は身体が大きい。腹に据え兼ねているか、自分しかいないのでもない限り狭い場所で長々追ってきたりはせん」

「成程」

 

 各々の装束を赤黒く汚され、どんよりと曇った目をしながら女神官たちは前を行くゴブリンスレイヤーと魔法剣士に付いていく。魔法剣士の質問に答えるゴブリンスレイヤーは特に気にしている様子はないが、魔法剣士は意図的にこちらを見ない様にしている気がする。

 逃げる時はあれほど長く感じた通路はさほどの距離もなく、襲撃を受けた横穴まですぐに戻って来る。そこにはゴブリンの姿はなく、幾つかのゴブリンの死骸ともはや人の形を留めていない肉塊だけが残されていた。

 

「うっ……!」

 

 堪えなければ、と思うより先に胃液が喉を焼きながら込み上がり、その場で嘔吐してしまう。女武道家も悲痛そうな顔で顔を背け、女魔術師は口元を抑え後ろを向く。唯一魔法剣士だけは、静かに目を閉じ黙祷を捧げていた。

 ゴブリンスレイヤーはその様子にも死体の惨状にも気に留める様子を見せず、剣士の持っていた長剣と短剣を回収する。

 小鬼を殺す者――――そう名乗った彼がその名に相応しい姿を真に見せるのは、これからだった。

 

 

 

――――――――

 

 

 

「こちらこそ悪かった。ゴブリンを止めれず、危うく死なせるところだった。すまなかった」

 

 女魔術師の謝罪に対し、魔法剣士から返ってきたのはまさかの謝罪だった。

 

 自分はゴブリンを侮っていた。才能を認められ、研鑽を重ね、都の学院を優秀な成績で卒業した自分がゴブリン如きに遅れを取るなどあり得ないと。それがどうだ。この洞窟でやったのはゴブリンを一匹焼き殺しただけ。

 挙句腹を刺され、死にかけた。魔法剣士が解毒剤(アンチドーテ)を用意していなければ、女神官がいなければ。今頃自分は間違いなく死んでいた。

 今も傷は塞がったとはいえ、まだ少し足元が覚束ない事からこの横穴の前で待たされている。何の役にも立っていない。魔法剣士も疲労を理由に残っているが、戦闘以外にも自分を背負って走ったのだからそれが原因だろう。

 

 相手を侮り、準備を怠り、足を引っ張った。自分の至らなさに泣きたくなってくる。せめて謝罪ぐらいせねば、本当に涙が溢れてきそうだったのだ。

 

「それに、だ。今は一党(パーティー)を組んでいる仲間なのだから、助けるのは当然の事だろう」

「……」

「だから謝罪はいらん。するというのであれば、謝罪ではなく感謝だろう」

 

 特に傷を癒してくれた相手にな、という魔法剣士の言葉に女魔術師は頷いた。そうだ、謝るよりお礼を言うべきだったのだ。自分は命を救ってもらったのだから。

 

「ありが」

「奥が光ったな。走る足音も聞こえてくる。戻って来るようだな、備えるぞ」

「……ええ」

 

 確かにその対応は正しいだろう。だがせめて最後まで言わせてほしかった。後ですればいいというのも確かだが、こういうのは時間が経つほどに照れくさくなるではないか。

 この男には今ので言った事にしよう。その分、あの子に丁寧にお礼を言おう。きつく当たった事も謝ろう。女魔術師はそう心に決めた。

 同時に萎えて来ていた心を奮い立たせる。そう、ちゃんと話すためにも目の前の事に集中すべきだ。

 全ては生きて帰らねば出来ないのだから。

 

 

 

――――――――

 

 

 

 罠で、ゴブリンから奪った武器で、女神官の奇跡を活用した戦術で、燃える水(ガソリン)と女魔術師の呪文で。ゴブリンスレイヤーは実に効率的に、速やかにゴブリンを殲滅していった。

 自分の蹴りを止めた田舎者(ホブ)も、呪文を使おうとした魔術師(シャーマン)も、他のゴブリン同様あっさりと処理された。ゴブリンは全て仕留め、攫われていた女性たちは――――無事だとは素直に言い難かったけれど――――助け出した。これで終わった。女武道家はそう思っていた。

 

「……子供も、殺すんですか?」

 

 女神官の問いかけに、「当たり前だ」と答えゴブリンスレイヤーは棍棒を振り上げる。隠れていた子供のゴブリンの頭蓋が砕かれる姿に女武道家は息を呑み、女魔術師もそっと視線を外す。

 確かに女武道家もゴブリンという存在が憎くはある。幼馴染であり、それ以上の淡い感情も抱いていた相手を無残に殺されたのだ。しかし、何の罪もない子供のゴブリンまで殺すのは躊躇われた。

 捕まっていた女性たちの悲惨な姿は見た。その結果生まれてきたのだということも分かった。だが、子供を殺すのはどうなのか。

 

「……自分がゴブリンだとしたら」

 

 女神官が問いかけ、女武道家と女魔術師は硬直する。そんな中でただ一人、魔法剣士が動いた。血塗れで切れ味の鈍った剣を握り締め、重い足取りでゴブリンの子供が屠殺されている倉庫へと近付いていく。

 

「許しはしない。生き延びたなら必ず報復をする。何が何でもやり返す(・・・・・・・・・)

「その通りだ」

 

 魔法剣士の言葉をゴブリンスレイヤーが肯定する。それを聞いて女武道家はハッと気付く。仮にここで殺さなかったら、ゴブリンの子供が生き延びたら。

 新しくこの巣が生まれる。新しい剣士が、攫われていた女性が生まれる。

 

「だからここで、この場の因縁は綺麗さっぱり終わらせる」

 

 そう呟いた魔法剣士が剣の柄に両手を添える。そして体重を乗せて、切っ先を泣き喚き命乞いのような所作を見せていたゴブリンの子供の喉へと落とす。

 

 それで、女武道家達の――――剣士一党の最初の冒険は、ようやく終わった。

 

 

 

――――――――

 

 

 

 よくある話だという。

 ゴブリンによって村が襲われ娘が攫われるのも。そのゴブリン退治に新米の冒険者達が初めての冒険として赴くのも。

 そしてそれがゴブリンに追い詰められ、全滅してしまう事も。

 全滅に至らずとも仲間を失った冒険者、あるいは一党を失った冒険者の心が折れてしまいそこで未来を諦めてしまう事も。

 この四方世界ではありふれた、よくある話だという。

 

 だがそれでも冒険者を続けると言うのも、よくある話だという。

 自分はどうするのか。女武道家は故郷への道を歩きながら自問する。もう嫌だという気持ちはある。剣士の死に様が、死体が、ゴブリンの嬲り者となった女性たちの姿が。脳裏にこびりついて離れない。

 一歩間違えれば自分もそうなっていたのだろう、という恐怖が頭から離れてくれない。だからもう、そんな可能性からは離れていたい。それが女武道家の正直な気持ちだった。

 しかし――――

 

(そういう人達を助けたくて、役に立ちたくて。アタシは冒険者になったんじゃないの?)

 

 何故冒険者を志したのか。亡き父の残した体術で沢山の人を助けたかったからだ。それを一度失敗したから諦めるのか?憎からず思っていた幼馴染が死んだから逃げ出すのか?

 辞めるか、続けるか。どちらを選ぶのも自由だ。しかし自由に選べるという事は、自分が責任持って自分で決断せねばならないということでもある。

 

「……どっちを選んでも、きっと怒らないよね」

 

 痛いぐらいに晴れ渡った空を見上げ呟く。返事をする相手はいない。でも女武道家は剣士の笑い声を聞いた気がした。

 どちらを選ぶにせよ、今はただ帰ろう。そして彼の家族に伝えよう。

 

「彼は人を助けようとしたのだ」と。

 

 




悪いのはテンポではなく単純に己の文才のなさなのでは?ボブは現実から目を反らした。

活動報告であげた診断結果の中で、どれが一番読みたいですか?(書くとは限らない)

  • 魔法剣士【綴られた手紙】
  • 令嬢【どうか、叶えて】
  • 女魔術師【君のワガママ】
  • 魔法剣士と令嬢【忘れてください】
  • 魔法剣士と女魔術師【貴方の為だけの】
  • 三人【騙し騙され愛し愛され】
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