とある男性、朝起きたら目の前にデジタマがあることに気がつく   作:ハトメヒト(ヒットマン)

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第三話 とある男性、幼年期のデジモンに困惑する。

 割れ始めたデジタマから現れたのは、モザイクだらけで姿が見えないデジモンだった。第一印象は気味が悪いという認識だけしかない。鳴き声も『ガガー』や『ピー』とか意味が分からない。

 

「これは一体……」

 

 カメラに映る姿も変わりがない。それでいて、わざとらしくもチープなご都合主義の様に思える。このモンスターは、俺に認識させまいとしているのか、はたまた神のいたずらか、俺は管理AIに問う事にした。

 

『D・サバイバー、私にも分かりません』

「はぁ!?」

『本当に分からないのです。こうなる事は、予想が出来てないのです』

 

 管理AIの発言が、意外な事であったのを嘆くべきか。はたまた形容し難い異物が、産まれてしまった事を嘆くべきかと思ったが、育てると決めた以上は付き合うしかない。

 どうせ、ゆりかごから墓場までの事なんぞ、目の前のモンスターには関係が無いのだ。

 そうだ関係がないのだ。

 

「はぁ……」

 

 ため息をつくと、ふと思いを巡らせた。

 

 この現実に、奇妙な現象や理解が及ばない事が起こると、急激なストレスにより、人は発狂するか、精神が破綻して、変な事をしだすのかのどちらかだろう。魔王を倒せとか、人類の未来は君に託されただの言われて、逃げ出さないものだと感心するが、逆に考えればこいつらの方が頭がおかしい。

 

 現実に起こった事を経験したことがないから、ヒロイックな事を夢見て、リスクを考えずに平気でいられるのだ。神様転生やらで特典をもらって、女の子にちやほやされて、俺は強いと言っている奴は、早々にご退場願いたいものだ。

 

 もし、その状況を廉価な広告で付けるなら『チート食品が売り出す、ハーレムスパイス配合のご都合主義カレーは、無菌室の元でレトルトパッケージされた安心安全な食品です。自分が死ぬ心配もありません』となるだろう。

 

 生半可な力を持った者は、自らの力に酔いしれる。または、虚無感に苛まれる事しか出来ないのだ。本当に必要なのは、人情や堅実さ、そして救済なのだ。過ぎた力は毒になりえる。

 

 現実は非情なのだ。ともかく目下の問題は、この過ぎた力をどう育てるかだ。

 考えるのを辞め、目の前のモザイクに視線を向けるが何も変わらない。

 

「とにかくエサを与えよう」

 

 デジモンX-Iを操作してエサを選択する。ボタンを押すと、虚空からゲートのような穴が開いて、骨付き肉みたいなエサが落ちてきた。モザイクは、それをムシャムシャ食べている。

 

「は……?」

 

 俺は、開いた口が塞がらなかった。このデジモンX-Iの端末は、もし悪意ある者達に渡ったとしたら、たまったものではない。エサが虚空から降ってくる事は、普通のことではない。

 この技術自体が、世界のパワーバランスを崩し、世界に破滅を招きかねないものであるという事に、恐怖を覚えるしかない。

 

 カメラを止め、エサが虚空から降ってくる決定的な瞬間を再生した。何回も、何回も、再生しても現実は変わらなかった。

 

 今度はトレーニングを選択すると、モザイクは虚空に開いたゲートのようなものに吸い込まれ、デジモンX-Iの画面上に、トレーニングをする様子が映し出される。

 モザイクのトレーニングが終わると、虚空から召喚されてリビングに戻ってきた。

 

「やっぱりこの技術は危険だ。使用する際は用心して育てないと」

 

 俺は電気を消して、眠りについた。

 夜中ピコピコ音が鳴っていたが、気にせず眠り続けた。そして、翌朝起きてみるとモザイクが変化しており、動きも変だ。

 逃げ出すために急いで着替えて会社に向かった。

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