とある男性、朝起きたら目の前にデジタマがあることに気がつく   作:ハトメヒト(ヒットマン)

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第二話からのAエンド
Aエンド とあるトチ狂った男性、デジタマでキャンプファイヤーをする。


 デジタマに、ヒビが入り生まれようとしている瞬間に、俺の中の何かが壊れた。

 急いでデジタマを抱きかかえると、コンロに火をつけた上にデジタマを乗っける。

 

「俺はやったぞ! 本当にやってやったんだ!」

 

 デジタマの中のナニカが、悲鳴を上げると同時に暴れ始めるが、心地よいサウンドに心が躍るリズムが刻まれるだけだった。良い気味だと思いながら叫んだ。

 

「こんなもの現実の世界にあっちゃいけないんだ! 朝起きたらデジタマがあって、おしゃべり育成機械にテイマーネームとか、馬鹿にしてんじゃねぇ! 社会人をなめんなよ。現実世界を、なめんじゃねぇ!」

 

 全人類が望んだ絶叫をした俺の声を聞いたのか、おしゃべり育成機械が騒ぎ始めた。

 

『貴方は、何をしているんですか!? あ、ああ……大事なデジタマを』

「俺は、こんな子供じみた事に付き合ってられないんだよ。非現実は、おととい来やがれ! お前なんかこうしてやるよ」

 

 おしゃべり育成機械を強く握りしめると、メリメリという鈍い音が響き渡る。

 

『な、何をする気ですか!? こんな事をしてタダで済むと思っているんですか!』

「うるせぇ! 思っているよ! 思っていなかったらこんな事しねぇよ!」

『残念です。あなたなら良いテイマーになれると思っていたのに……』

「あぁ!?」

 

 その言葉を聞いた俺の中で、理不尽さや非現実を押し付けられた事による、怒りと憎しみと悲しみが爆発した。

 押し入れの中にあった金属バットを取り出して、おしゃべり育成機械を地面に叩きつける。

 そして、金属バットで滅多打ちにする。何度も、何度も、何度も、何度も……。

 非現実の存在共は、ガーガーピーピー言っていたが最後には事切れた。

 俺は安心したのか、その場でへたり込んでしまう。昔より体力が衰えていた事に、少しだけ傷ついた。

 

「ハァ……ハァ……これで、俺は、平和に過ごせる」

 

 しばらくして、洗面台へ向かい顔を洗い始めた。顔をぬぐう為にタオルを手に取ると、柔軟剤の香りを鼻一杯に吸い上げ、一気にぬぐった。

 鏡に写った今の俺の顔は、穏やかな表情で安心していた。そして次の日には、あの非現実はごみに捨てやった。

 

「10日後が楽しみだなぁ……。そうだプレゼントを用意しよう」

 

 非現実を叩き壊せたお祝いと中村へのお詫びも込めて、あるサプライズを用意することにした。今の俺の心は、10日後のスイーツバイキングでどうやって食べようか頭が一杯だった——。

 サプライズの前日を迎え、いろいろなお店を回り準備を進めた。キャンプ用品店では、キャンプが好きな中村の為に、高級なサバイバルナイフを用意してあげた。

 

「フフフ……どんな顔をしてくれるかなぁ?」

 

 俺の顔は自然と笑みがこぼれるのが分かった。ふと目をやって、前の方から中村が走ってきた。

 

「ハァ……ハァ……先輩、遅くなって申し訳ないです」

「あ、気にしていないから。それより行こうか」

 

 約束のフルーツパーラーの店に向かう。中は、おしゃれな空間と甘ったるい香りが鼻腔をくすぐった。

 ウェイトレスに案内され席に着く。俺はホットコーヒーを頼み、中村はアイスティーを頼んだ。

 

「今日は先輩のおごりですから、たくさん食べちゃいます。先輩覚悟しておいてくださいね!」

 

 そう言って中村は席を立つと、色とりどりのケーキを皿一杯に乗っけて戻ってきた。おいおいと思ったが、現実であることが嬉しい。

 俺は心地が良かった。現実にいる彼女を眺められるだけで、本当にうれしかった。今日、俺はプレゼントを渡して告白するつもりだ。

 

「加減しろよ。太るぞ」

「職業柄なのかもしれないですけど、これだけ食べても太らないんですよね。なんででしょうね先輩!?」

「そんなの分かる訳ないだろ」

「ですよね。そうだこの後、散歩しませんか? いろいろ話したいことがあるので」

「良いけど」

「じゃあ決まりましたね。食べたらすぐに行きましょう」

 

 ああ楽しみだ。ああ楽しみだ。俺は、胸の高鳴りを何とか抑えようと必死だった。

 中村がケーキを食べ終わり、俺と中村は席を立って会計を済ませると、近くの公園に向かった。

 中村と歩きながら、たわいのない話をしている最中、俺は勝負に出た。

 

「あのさ、プレゼントがあるんだ。ちょっとしたお詫びの印にさ」

 

 俺の方を中村が向くと嬉しそうな顔をしていた。

 

「本当ですか!? ありがとうございます。うーん何かなぁ?」

 

 警戒していない彼女に俺は徐々に近づいて、目の前に着くと同時に俺は彼女の後ろに回り込んだ。

 そして、サバイバルナイフを彼女の首元に当てると同時に口をふさいだ。

 

「ふぐぅ……ふーふー」

「騒ぐな、これから楽しい事をするんだよぉ! 大人しくしろ!」

 

 彼女の目から涙が流れ落ちるが、俺は止まらなかった。人気のない場所に連れ込むと、俺は現実を噛み締めた。ああ、赤い実弾けちゃった……。

 

 

『次のニュースです。東京都新宿区で起きていた連続強姦殺人事件で、警察は、大門製薬株式会社に勤務する30歳男性を今日、書類送検しました。調べに対し男は、非現実が襲い掛かってきたために鬱憤(うっぷん)を晴らしたかったと容疑を認めており、警察では余罪があるとみて調べています。次のニュースは、新型のコンピューターウィルスが世界各国で猛威を振るっており、対応に追われています——』




編集後記

いかがでしたか? Aエンド『とある男性、赤い実弾けちゃったです』強姦殺人鬼に目覚めてしまうエンドです。

 実際に『赤い実はじけた」という作品があるのですが、これが小学校の教科書に載っている作品なんです。デジモンのアニメ主人公は、平均して小学生辺りですので、主人公のとある男性が、弾けちゃって目覚める(完熟した)感じと畳み込んで、掛けてみました。

これは序の口ですが、主人公が本当に幸せになる日は来ますのでご安心ください。

 Aエンドは他に2パターンあったんですが、胸糞が悪いものを選ばせていただきました。ご了承ください。
 他はアポカリプス到来エンドや、強いぞ中村さんエンドもあったんですがやめました。続きはあの2話からです。どうぞよろしくお願いいたします。

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