リゾットは素早い動きで裏の使用人が出入りする入り口から入って行った。ビアンカも忙しなく動く使用人に当たらない様に避けながらリゾットを追いかけた。
建物に入ると。周囲を警戒する訳でも無く、まっすぐに、このホテルの使用人のように部屋に一直線に姿を消しながらリゾットは進み、ビアンコもそれを追い掛けて行った。
「もうすぐ暗殺チームのリーダーの仕事が見れるのか。」
すると144と書かれたホテルの一室に到着した。扉はしっかり鍵が掛けられている様であったが、リゾットは扉を開ける様子も無かった。ただ軽く扉をノックするだけであった。
「どうする気だ…?まさか透明で部屋の中に入って殺すつもりか…?」
ビアンカが数メートル離れて観察していると、しばらくするとその部屋から軽い呻き声が聞こえたかと思うと扉の下から血が垂れているのを発見した。
「やっぱり俺と同じタイプの遠隔操作型のスタンドかッ!!ってことは俺も頂点に立てるかもしれないってことか…!!しかし速い…あっという間にスタンドを使って殺人をやってのけた…。俺もスタンドをしっかり鍛えるか…!!」
そう言いながらビアンカもこっそり帰ろうとすると何かの気配を感じ振り向いた。そこには一体のスタンドが拳を構えていた。
「何ッ!!いつのまにッ!!」
ビアンコは素早く屈んだ。すると壁にスタンドの拳がめり込んだ。まるで子供がダンボール箱を遊びで穴を開けるように。
「こいつッ…!!」
ビアンコが周りを見渡すとビアンコから数メートル離れたすぐ後ろの場所に黒い服装の男が立っていた。その男のものであろうスタンドは全身に映画で使われるフィルムのような模様をしており、目は不気味に光り輝いていた。
「くっ…行くぞメタル・マスター!!」
透明化を解除し、ブラックメタルは敵に吠え掛かった。しかし敵は動揺するまでも無くただビアンコを見ていた。
(射程距離は十分だッ…一気に決めるぞ!!相手は近距離型、こっちは遠隔操作型!!)
その時、すぐ後ろにも気配を感じた。リゾット・ネエロがすぐ後ろにまで接近していたのだ。そしてリゾットは静かに呟いた。
「…メタリカ。」
そういうとビアンカの体から鋏や剃刀が皮膚を抉りながら飛び出してきた。ビアンカが相対していた男も苦しみながらビアンカと同じ様な状態になるとすぐさま倒れてしまった。
「うがあッ!!これはッ…!!リゾット・ネエロのスタンドかッ!!この感触はッ!!鉄分が抜かれるッ!!」
ビアンカは叫びだしたが。すぐにビアンカの体から出てきた鋏や剃刀はすぐさま鉄分に戻ると体内に戻っていった。
「ぐッ…やっぱつええな…さすがは暗殺チームのリーダー…」
ビアンコの状態を見たリゾットは再びメタリカを発動させるが、同じ様な結果に戻って行った。
「何だお前は…そしてそれはスタンドか…」
リゾットの重みと威圧の含む問いと共に近づいてくるリゾットにビアンコは思わず言葉を詰めた。
「あ…あの…オ…オレは…ビアンコ・タリアテッレ…あ…あなた達と同じパッショーネの一員です……スタンド使いですけど…てっ…敵じゃ有りません…」
ビアンコは手を開げて降参の意思を示した。これが暗殺専門のリーダーに通用するのかは知らなかったが、とにかくそうするしかなかった。
リゾットはビアンコの表情を瞬時に見抜いて同じ様に強い威圧のある言葉を話した。
「お前の表情……確かに嘘は付いていない。しかしここに何のようだ?俺を監視して組織は何を考えているんだ。」
「あのですね…俺は誰かに命令されている訳では有りません……自分の考えであなたを追跡していました……」
その発言にリゾットは驚きを含んだ声で話した。
「それこそ何の為にだ。俺を追跡してお前に何の得になる。」
「あのっすね…あなたとオレのスタンドはよく似ている…あなたのスタンドの使い方を学んで組織の内部での権力を高めようなんて考えたり…」
その発言にリゾットは少し黙ると話しはじめた。
「辞めておけ。変に力を持った所でお前はボスに“歯向かう者”として殺されるだけだ……特にお前は俺とスタンド能力が似ている……。さっさとここから帰れ。」
先程とは違い寂しげな目と口調で話すリゾットにビアンコは黙るしか無かった。
その時ビアンカは強い気配を感じた。後ろから、すでに“メタリカで倒された”はずの男が起き上がり、その男のスタンドが再び拳を振り上げていた。
「何ッ!?あの男ッ……!!を喰らった筈なのに……!!」
ビアンカは今度はリゾットの後ろの方に転がり込んだ。リゾットは再び自分のスタンド、「メタリカ」を発動させた。
男の皮膚を突き破り、鋏や剃刀、針が全身から多量に噴出すと男は倒れていった。
しかし男は起き上がり、スタンドも同じ様に立ち上がっていった。男のスタンドの素早い拳の一撃を避けると、リゾットは逃げていった。
「え!?ちょっと!!待ってくださいよォオオオオオオオオ!!」
二人は素早く逃げ去り、男と、男のスタンドもそのまま二人を追いかけた。