休み明けに登校してきた
何かあったのかと僕が聞いたら、
「一昨日のお昼に
「綾兄の試みは上手くいってないんだね」
恐らく綾兄は由希と
由希の元気な姿を確認したら引き上げればいいのに、兄弟間の溝を埋めようと躍起になった綾兄が弟を構い倒した結果、由希が疲れ果てたのかもしれない。
「それはそうと、綾兄は店長なのに店をほったらかしにして大丈夫なのかな」
「えっ!? 綾女さんはお店を出していらっしゃるのですか?」
「綾兄は、自分が何の仕事をしているか話さなかったのか?」
本田さんは困惑気味に、「……はい」と答えた。この様子じゃ由希にも話してないだろうな。
「あ、あのっ。綾女さんはどういったお店を出していらっしゃるのでしょう?」
「綾兄は手芸用品と、コスプレ用の服を販売する店を営んでいるんだよ」
本田さんは驚嘆したように「うわぁ……っ!」と声を上げてから、ふと疑問に思ったのか小首を傾げる。
「あの、こすぷれとはどういうものですか?」
「アニメのキャラと同じ衣装を身に纏って、そのキャラになりきる事だよ。自分で衣装を作る人も多いけど、綾兄のような服飾のプロに任せる人もいる。綾兄のオーダーメイド衣装はクオリティが高くて、人気があって予約待ちらしいよ」
「綾女さん、すごいです……っ!」
イメプレ用の衣装も需要が高いと聞いているけど、純粋に感動している本田さんには言えない。
ちなみに人気ナンバーワンはメイド服らしい。由希は『鋼鉄○使くるみ』を読んだ事なさそうだから、メイド服の素晴らしさを理解できないだろう。
そう考えると、綾兄は自分の仕事を由希に話さなくて正解だったかもしれない。
ぐれ兄の家に綾兄が押しかけている事は春の耳にも届いたらしく、その日の帰りに僕は春から要請を受けた。
「
春は疲弊した由希を気にかけているのだろう。それは理解できるが、花粉症患者の診察に追われている兄さんに、綾兄の回収係を押しつけるのは気が引ける。
でも綾兄は、自分が唯一敬意を寄せる兄さんの言葉にしか従わないんだよね。
「春が頼めばいいだろ」
「忙しい時のとり兄はピリピリしているから、電話をかけるのも気を使う……」
疲れがピークに達した兄さんに話しかけると、ブラックジョークなのか本気で思い詰めているのか、判断に悩む発言を聞く羽目になるからな。
インフル患者の対応で忙殺されていた時は、「覚醒作用のあるコカインを使用すれば、疲れ知らずの体になるのだが」とか言っていた。
「お願い、建兄」
雄臭い容姿の春が両手を組んで、「お願い」と言った処で可愛らしさなんて皆無のはずなのに、幼少期の春を知っているせいか可愛く見えてしまう。
それに加えて、建兄って呼び方はやっぱりイイ。
春としては由希と夾を呼び捨てているのに、僕だけ「建兄」と呼ぶのは微妙らしいけど。僕のイトコは年上が多いから、お兄ちゃんって呼ばれたいんだよぉ。
春の要請を吞んだ僕は考えた末、兄さんに出動を願うメールを作成する際、『春に頼まれたんだけど』という一文から書き始めた。
こうしておけば、兄さんに負担をかけた責任を分散させる事ができる。せこいお兄ちゃんでごめんよ、春。
その日の夕方にぐれ兄の家に赴いた兄さんに促されて綾兄は撤収し、由希を悩ませていた嵐は去ったようだ。
「建視、サンキュ」
翌日、春に礼を言われた。
一体何の事だと僕が聞くと、春は嬉しそうに口許を緩ませて「由希に『心配してくれてありがと』って言ってもらえた」と話した。
春の話から推察するに兄さんは綾兄を迎えに行った時、「
姑息な考えで『春に頼まれたんだけど』という一文を付け加えた僕は、「礼には及ばないよ」と言った。
▼△
慊人に殴られた時に負った怪我は、中学校の入学式前に完治したので安堵した。杞紗みたいな美少女の顔に痣があると、要らぬ詮索を受けそうだしな。
「よっす、杞紗。今帰りか?」
ビクッと肩を震わせた
その時の僕の衝撃といったら。漫画だったら、1トンと記された重りが僕の頭上に落ちる表現をされただろう。
そんな大げさなって? 人形のように愛らしく小動物のように可愛らしい杞紗に避けられて、何とも思わないと言える野郎は心がドライアイスで出来ているに違いない。
それにしても、なんで杞紗に避けられたんだろう。僕は寅憑きの従妹に何かした覚えはないけど。
先代の盃の付喪神憑きが力を乱用した事件を誰かから聞いて、杞紗は僕を怖れるようになったのかな。
忌避されるのは慣れているけど、「建視お兄ちゃん」と呼んで慕ってくれる杞紗が態度を変えてしまったのは悲しい。先代めぇ。
「ケン、どうかしたの? 心ドコにあるのってカンジだよ?」
「それを言うなら『心ここに在らず』だな」
家に遊びに来た
沈痛な面持ちになった紅葉は、少し考えるようにしてから「……あのね」と話し始める。
杞紗は中学に入学してしばらく経った頃から、何も話さなくなってしまったらしい。寅憑きの従妹を診た兄さんは、心因性の失声症と診断したようだ。
医師には守秘義務があるので、兄さんは杞紗の病状を言い触らしていない。紅葉が杞紗の事情を知ったのは、
心因性の失声症か。由希も中学時代に、同じ症状を患っていた時期があったな。
慊人による“再教育”が原因かと思ったけど、受験する高校の事で母親と口論した後から、由希はぷっつり話さなくなったらしい。お手伝いさん達がそう噂していた。
会話ができないと学校生活を送る上でも支障をきたしてしまうので、草摩の主治医である兄さんが診断書を作成し、僕がそれを由希の担任に提出したのだ。
本来なら由希の親が中学校に赴いて、由希の病状を説明して学校側にサポートを依頼するべきだけど。草摩の上層部の一員である由希の両親は多忙なため、
僕は「精神的に参っている由希に配慮した対応をしてほしい」と頼んだのに、それをどう曲解したのか、エン・ユキのメンバー達は「傷ついた
事態に気付いた僕がエン・ユキの暴走を止めたけど、生徒達の間では“由希に用がある時はエン・ユキのメンバーを通して伝える”という暗黙の了解ができていた。
昔の事はさておき、杞紗は慊人に暴行を振るわれた事件がトラウマになってしまったのだろうか。
僕は慊人と接する機会が多いから、慊人に近しい物の怪憑きだと認識されている。それ故に杞紗は僕を見ると、慊人や暴行事件を連想して恐怖に駆られるのかもしれない。
杞紗の心の安寧のために、寅憑きの従妹としばらく距離を置くべきか。ああ、僕の数少ない心のオアシスが……。できるだけ早く、杞紗の心の傷が癒えてほしい。
▼△
4月下旬のある日。帰りのホームルームが終わった後、僕は
僕が生徒指導室に入ると、繭子先生は水色の封筒を2つ差し出す。
「頼まれていた写真だよ」
「ありがとうございます。封筒が2つあるのは何故ですか?」
「1つは建視君の分。
要ります、と即答した僕は受け取った封筒を開けた。
純白のベールを被り、Aラインのウェディングドレスに身を包んだ佳菜さんの写真が入っている。倖せそうに微笑む佳菜さんは、全身から満ち溢れる喜びで輝かんばかりだった。
「佳菜さん、すごく綺麗ですね。兄さんに見せていいかどうか迷いますよ……」
「はとり君は人妻に手を出したりしないだろ」
皮肉っぽい笑みを浮かべた繭子先生は、紫呉ならやりかねないと暗に言っていた。
ぐれ兄は繭子先生と交際している間、人妻と関係を持っていたのだろうか。あり得るな。話題を変えよう。
「繭子先生と佳菜さんのツーショット写真はないんですか?」
「……あるけど」
「見たいです」
繭子先生は渋々といった感じで、持っていた手帳から1枚の写真を取り出した。
スレンダーラインのネイビーのドレスを着た繭子先生と、ウェディングドレス姿の佳菜さんが並んでピースサインをしている。
「この写真、焼き増ししてもらえますか?」
「建視君が欲しいのは佳菜の写真だろ」
「こっちの写真の方が、佳菜さんはリラックスしているように見えます」
佳菜さんが1人で写っている写真は倖せいっぱいの花嫁といった佇まいで遠く感じるけど、繭子先生と一緒に写っている写真の佳菜さんは見慣れた親しみやすい笑みを広げているのだ。
「……解ったよ。その写真は建視君にあげる」
観念したように繭子先生は溜息を吐いた。僕はお礼を言ってから、佳菜さんと繭子先生のツーショット写真を封筒に入れる。
「繭子先生に相談があるのですが」
話を切り出した僕の雰囲気が変わった事を感じ取ったのか。繭子先生は「とりあえず座れ」と言って、手近にあった椅子を勧めた。
「僕の従妹の杞紗がいじめに遭って、不登校になってしまったんです」
杞紗は学校に行かなくなった理由を自分の親にも明かさなかったので、杞紗の母親の
担任は「草摩さんはまだクラスに馴染めていないのでしょう」と、すっとぼけた事を言ったのだとか。
納得がいかなかった沙良おばさんは学年主任の先生に話を持ちかけ、アンケートによる調査が行われていじめが発覚した。
どうやら杞紗の日本人離れした髪や瞳の色が、一部の生徒の気に障ったようだ。
一部の生徒による杞紗への中傷は、やがてクラスメイト全員による無視まで発展し、精神的に追い詰められた杞紗は失声症を患ってしまった。
中傷を受けた時に杞紗は勇気を振り絞って反論の声を上げたと聞いているので、慊人に殴られた事件が原因で声が出なくなったのではなかった。だからといって、事態が好転する訳じゃないけど。
楽羅姉から聞いた寅憑きの従妹の事情をかいつまんで説明すると、真剣な面持ちで話を聞いていた繭子先生が口を開く。
「言葉を封じ込めてしまうほど追い込まれている子に、学校に行けと促すのは酷だ。精神的に参っているだろうから、まずは心を癒す事を重視した方が良いと思う」
楽羅姉と紅葉は杞紗を元気づけようと、杞紗と一緒にぬいぐるみやビーズのアクセサリーを作ったり、アニメ観賞やゲームをしたりしている。
寅憑きの従妹の家に遊びに行った事がない僕が突然押しかけると杞紗が戸惑うかと思い、紅葉を通じて杞紗に『モゲ太とアリ』の漫画を貸した。
春も杞紗を案じているけど、「皆で一斉に構ったら杞紗が困るかもしれない」と言って見守る体勢に入った。
物の怪憑きの中で杞紗と1番仲が良い燈路は、杞紗と距離を置いている。自分が杞紗に関わると慊人がまた怒って、杞紗が再び傷つけられるのではないかと恐れているのかもしれない。
燈路は気にしすぎだと思うけど、自分のせいで杞紗が傷ついたと思い詰めて臆病になっているんだろうな。
僕が送迎車に乗って帰宅したら、紅葉とは違うハイテンションなテノールの声が聞こえた。客間に向かうと、兄さんと綾兄が歓談中だった。
「おかえり」
白衣を羽織った兄さんは、背もたれ付きのベンチソファに腰掛けたまま、出迎えの挨拶を投げかけた。
明るい紫色の
「学校からまっすぐ家に帰ってくるとは真面目だねっ。それとも、とりさんからボクが来ていると知らされて、ボクに会いたいあまり予定をキャンセルして帰ってきたのかなっ?」
僕は「ただいま」と挨拶を返しながら、兄さんの隣に腰を下ろす。
「綾兄、店はどうしたの? まだ閉店時間になっていないよね?」
「ボクの店は今年から、月曜を定休日にしたのさっ」
定休日ってそんな簡単に変えていいのか? 店主である綾兄の経営方針に、僕がどうのこうの言うのは筋違いだろうから聞き流しておく。
「店といえば、綾兄が服飾店を営んでいる事は由希に話した?」
「いいやっ。ボクがリリカルでロマン溢れる職業に就いた経緯も話したかったのだが、ぐれさんの家で過ごした3日間ではボクの全てを語り切れなかったのだよっ」
「綾女……自分の事を一方的に話すのではなく、由希の話を聞いてやったらどうだ?」
兄さんがアドバイスすると、綾兄は芝居がかった仕草で手で額を押さえる。
「そうしたいのは山々なのだがねっ。由希はボクに心を閉ざしているから、自分の話をしてくれないのだよ。ケンシロウは由希と同じクラスなのだろう? 由希の趣味とか好きな女の子のタイプとか知らないかいっ?」
「由希の趣味か……中学時代は読書だったな。でもアレは他人を寄せ付けないようにするために、本を読むポーズを取っていたって感じだったけど。好きな女の子のタイプも解らないな。由希は下ネタ耐性がないから、猥談を振ると冷ややかな目で見られるんだよ」
由希の話をしながら、僕は違う事を考えていた。綾兄がいれば佳菜さんの写真を兄さんに渡しても、重苦しい空気を引き摺らずに済むかもしれない。
「失礼します」
お手伝いさんが声をかけて客間に入り、僕の分の飲み物を持ってきてくれた。水色のテーブルランナーを中央に敷いた座卓の上に置かれたのは、グラスに入ったアイスウーロン茶だ。
兄さんと綾兄の前には、ティーカップに入った紅茶が置いてある。僕と兄さんは普段、紅茶を飲まないんだけど。客人の綾兄の好みに合わせて出したのかな?
話が途切れた頃合いを見計らって、僕は通学バッグから佳菜さんと繭子先生のツーショット写真が入った封筒を取り出す。座卓の上に封筒を置いて、「はい、これ。兄さんにあげる」と言った。
「何だ?」
「繭子先生に頼んで、佳菜さんの結婚式の写真をもらったんだ」
兄さんは表情を変えなかったが、深い青の瞳をすっと細める。余計な気を回すな、と無言の内に言われた気がした。
「繭君が由希とケンシロウとキョン吉の担任になるとは、何事も縁だねっ」
「綾兄は繭子先生を知っているの?」
「勿論知っているともっ! 繭君や佳菜君とは一緒に飲んだ事があるのさっ」
なんと。綾兄と繭子先生は面識があったのか。
完全に僕の情報収集不足だな。再び後悔する僕を余所に、綾兄が直球の質問を兄さんに投げる。
「とりさんは佳菜君の式に行かなかったのかい?」
「ああ。フラッシュバックが怖い……佳菜には重ねがけを施していないし、何かの拍子に思い出したりしたら……困るだろう」
「困るのかい? もしそれで思い出したとしても、もう1度ラブラブになれるかもなのだよ?」
綾兄が兄さんを思って言ってくれているのは解るけど、それは無理だ。不倫ダメ絶対とかそれ以前に、心を病んだ時の記憶が戻ったら佳菜さんがまた苦しむ。
兄さんは呆れたように溜息を吐いて、「終わったんだよ、俺と佳菜は」と言う。
「もうやり直す事はない。一緒にいても寂しくなるだけだ。……もう愛情が消えたとは思いたくはない。でも側にいて欲しいとは思わない。会う気もない。今はもう祈るだけだ」
感情を込めずに淡々と言葉を紡ぎながら、兄さんは診察机に飾られた佳菜さんの写真を見つめる。兄さんの凪いだ表情や平坦な声音から悲哀は窺えなかったが、絶望からくる諦観を纏っているように感じられた。
佳菜さんの記憶を隠蔽した頃で時間を止めたような兄さんを見ていると、僕は歯がゆさと無力感を覚える。
それと同時に、虚しさが胸に巣食う。兄さんの結婚は慊人に認められなかったから、僕が愛する人と結ばれたいと願っても却下されるだろう。
「納得いかないねっ。ボクはとりさん派の人間だから、片寄った意見であるのを承知でハッキリ言うが、ボクは納得いかないっ。佳菜君はズルイ! だって佳菜君は全部忘れて倖せ掴んで、とりさんだけが嫌な事総て背負わされている感じだっ。とりさんだけ置いてけぼり食わされている感は否めないっ」
本当にハッキリ言ったな。でも綾兄の遠慮のない発言のおかげで、暗鬱とした空気が吹き飛んだ。
兄さんは綾兄を見つめながら「そうか……?」と応じ、座卓の上に置いた封筒と僕を順番に見遣ってから、小さな喜びを噛みしめるように薄く微笑む。
「……そうでもないさ」
「とりさんは優しすぎるっ。そこがとりさんの良い所ではあるが、優しすぎるっ。そんな事だから、いらぬ苦労ばかりしてしまうのだっ。ケンシロウからも何か言ってさしあげたまえっ」
「綾兄の言葉の前半には同意するけど、後半は同意できないよ」
兄さんに苦労をかけている自覚はあるので、僕はそう答えた。
「佳菜君とやり直せとは言わないよっ。その代わり、キッパリ断言させて頂こうっ。ボクはね、とりさんには佳菜君よりも2000倍近く、倖せいっぱいになってもらいたいのだよ!」
綾兄は熱っぽく話しながら、兄さんに向かってピースサインを突き出す。あのピースサインは2000倍を意味しているのだろう。
なんで2000倍、という些細なツッコミは無粋だ。綾兄が掲げる草摩はとり絶対主義に賛同しなかったら、ブラコンが廃るぜ。
「その意見には全面的に同意する!」
「よろしいっ! それではここに、とりさんを倖せにし隊の結成を宣言するっ! 隊長はボク、副隊長はケンシロウ、参謀はぐれさんだっ!」
「ぐれ兄が参謀かぁ……悪巧みしそうだな」
「参謀は悪巧みするのが役目さっ」
「そういう……強気な態度を由希に見せればいいのにな……」
穏やかな笑みを浮かべながら、兄さんが意見を述べた。
綾兄は「そうかい?」と言ってから、中指の背を顎に宛がってフムと考え込む。
兄さんが助言した強気な態度を、綾兄は斜め上の意味合いで解釈しているんじゃないか。そう感じた僕は、念のために忠告しておく。
「綾兄。由希に向かって『ボクの言う事に従え』とか命じたら、由希にブン殴られるよ」
「拳で解り合うというやつかっ! ボクはMっ気がないから痛いのは好きではないが、由希から与えられる愛の鉄拳ならば受け止めてみせようともっ!」
「ちょっと待って、綾兄。拳で解り合えるのは漫画やアニメの中だけだから。由希とコミュニケーションを図りたいなら、ありきたりな話を取っ掛かりにしなよ」
「ありきたりな話を由希に持ちかけたら、つまらない兄だと思われてしまうではないかっ」
「由希は芸人みたいに面白い兄は求めていないと思うよ」
綾兄と僕の話し合いは平行線を辿る一方だ。それを聞き流しながら、兄さんはティーカップに残った紅茶を飲んでいた。