待ちに待った修学旅行の初日だぜ、いえっふー!!
東京駅に集合した
「
「由希君、こっち側の席は富士山が見えるよ!」
「由希君、私達と一緒にお菓子食べよ!」
プリ・ユキのメンバーが一斉に、由希の招致合戦を始めた。当の由希は、車両の入口に突っ立って困惑している。早く席に座らないと後がつかえるぞ。
「由希、僕の隣に来いよ」
見かねて呼んでやると、一瞬嫌そうに眉を寄せた由希は諦め顔になってやってきた。助け舟を出してやったのに失礼な奴だな。
隣席が由希だと息が詰まるから、前の席のすけっちとろっしーに声をかけてボックス席を作る。新幹線初乗車の僕はボックス席を直に見るのは初めてだから、ちょっと感動した。
「ボックス席になった記念に写真を撮ろう」
僕がデジカメを取り出しながら言うと、由希が怪訝そうに「わざわざ記念写真を撮るほどの事か?」と呟く。
「撮るほどの事だよ! この面子で新幹線に乗るのは、初めてなんだからさ」
ろっしーがイイこと言ってくれた。
「記念撮影するなら、きょんも呼ぶ?」
「ナイスアイディアだ、すけっち。おーい、
僕が離れた席に座る夾に声をかけると、夾は呆れ混じりで「くだらねぇコトで呼ぶんじゃねぇ」と答えた。
「くだらなくないよ。夾の写真を撮ってきてくれって、師範に頼まれたんだ」
嘘だけど。プリントした写真は師範に渡すつもりだ。綾兄と春もほしがりそうだな。
養父限定のファザコンの夾は面倒臭そうな顔をしつつも、こっちにやってきた。
「魚谷さん、写真撮ってくれる?」
通路を挟んだ隣の席に座る魚谷さんは「いいぜ」と快諾し、僕からデジカメを受け取る。
「オラ、良い笑顔見せろよ。1、2、3、ダーッ!!」
魚谷さんはフラッシュを焚いて撮影すると同時に、議員に転身したレスラーの掛け声を叫んだ。元ヤンの彼女の声には気迫が籠っていたから、本気でビビった。
「姐さ~ん、なんで急にイ○キの物真似を……」
「良い笑顔見せろっつったのに表情が硬ぇから、ほぐしてやろうと思ったんだよ」
「他に方法があるだろが。脅かすんじゃねぇ」
「あの程度でビビるなんて、キン○マのちっちぇ野郎だな」
魚谷さんは女の子なのに、シモ関連の罵倒語を躊躇う事なく言い放った。
おかげで僕は、恥ずかしいやら居た堪れないやら複雑な気持ちだよ。気まずそうに視線を泳がせた由希とすけっちとろっしーも、似たような心境だろう。
ゴールデンボールがちっちゃいと言われた夾は、顔を真っ赤にしながら「おまえはっ!」と声を荒げる。
「どっかに落とした恥じらいってモンを、今すぐ拾ってこいや!」
「恥じらいかぁ。母親の腹ン中に置いてきたから、拾ってくんのは無理」
「だったら、それっぽいモンを取り繕えよ!」
魚谷さんと夾の掛け合いを聞きながら、僕の手元に戻ってきたデジカメの画像を確認する。
ろっしーとすけっちは揃って、驚きと怯えが混じった顔をしていた。示し合わせたように同じ表情を浮かべるなんて芸人かよ。僕はというと、笑いかけて失敗した間抜けな顔になっている。
濃灰色の目を丸くした由希はイノ○を知らなそうだから、純粋に驚いているのだろう。ろっしーとすけっちが座るシートに片肘をついていた夾は、顔を引きつらせた状態で目をつぶっていた。
夾の反応が1番面白いと思いながら、ふと気づく。
由希や夾と一緒に写真を撮ったのは、これが初めてだ。去年の今頃は同い年の従弟達と記念撮影をする事になるとは、夢にも思わなかったな。
……高校を卒業した後にこの写真を見た時、僕はどんな事を思うのだろう。罪悪感か、後悔か。あるいは感情が磨滅して、何も感じなくなっているかもしれない。
「
本田さんに呼びかけられて我に返った。
イカンイカン、思考が暗い方に傾いていたな。僕は本田さんに心配をかけないように笑いながら、「ううん、何でもないよ」と答える。
用は済んだとばかりに自分の席に戻る夾の背を見送りながら、僕は暗澹とした思いを胸の奥底に押し込める。
どうせ高校卒業後は嫌でも向き合う事になるんだから、今を楽しみたい。そう思うのは罪じゃないはずだ。
▼△
京都に着いた僕達は昼食を食べた後、嵯峨野の竹林の小径に来ている。
高さ10メートル近くある竹が左右に鬱蒼と生い茂る様は圧巻で、低い小柴垣の枯れた色合いが侘びを感じられる観光名所だ。
「立派な竹林ですね……紅葉も綺麗ですし……」
感慨深げに呟く本田さんに、花島さんが「ええ……本当に……」と応じる。
「思わず一句……詠みたくなってくるわね……」
「わあっ。是非聞かせて頂きたいです……っ」
古都京都を訪れて句を詠むなんて、花島さんは文学少女だな。彼女の新たな一面に萌えながら、僕も耳を傾ける。
「いい国作ろう 鎌倉幕府……」
「句じゃねーよ、それ」
「鎌倉じゃねーよ、ここ」
夾と魚谷さんが即座にツッコミを入れた。
「じゃあ、僕も一句。竹林や ああ竹林や 竹林や」
「有名な句のパクリじゃないか」
由希の指摘に、僕は「ちっちっ」と指を振って答える。
「これは本歌取りという手法だよ」
「本歌取りは、古歌の一部を取り入れて新しい歌を作る技法だろ。建視のは一部じゃなくて殆どだから、本歌取りとは言えない」
「ふぅ~、やれやれ。由希は真面目だなぁ」
「
言うようになったじゃねぇか。僕と由希が睨み合っていると、魚谷さんが不満そうに「なーんかなぁ」と言う。
「こーいうトコロって、大人数でゾロゾロ来るモンでもなくねーか? 情緒が薄れるっつーかさ」
「そんな……修学旅行を根底から覆すような発言を……」
僕との睨み合いを中断した由希は、控えめに反論した。
「自由に食べ歩きできないのは苦痛だわ……」
花島さんの訴えに、夾が即座に「食い気かよ」とツッコミを入れる。まぁ、花より団子って言うし。
渡月橋に向かう途中、甘味処に入店する花島さんの姿を発見。僕が買うよと申し出たら、花島さんから驚愕の答えが返ってくる。
「奢ってもらってばかりは悪いからって、父さんがお小遣いを多めにくれたの……」
花島さんのお父様は、僕が花島さんを食べ物で釣……いや、買い食いデートを楽しもうとする事を見越して防衛線を張ったのか。
だがしかし、僕はこの程度じゃ諦めないぞ。
「実は僕も小腹が空いていたんだ。先生に買い食いが見つかった時、僕1人だけ叱られるのは嫌だから花島さんも道連れって事で。リスクを共に背負ってくれるから、奢られっぱなしって訳じゃないだろ?」
強引な理屈だけど、これで押し通してみせる。
花島さんは考え込む素振りを見せたので、僕は続けて「お金が余れば他のスイーツも買えるよね」と付け加えた。
「それじゃ、買ってもらおうかしら……」
「うん。我儘を聞いてくれてありがとう」
やった! 久々に花島さんのためにお金を使える!
花島さんが食べたがっているものを買ってあげると、頑張って任務で稼ごうって思えるんだよな。
女の子に貢ぐ男は自分に自信がない奴が多いとかぐれ兄は訳知り顔で語っていたけど、何とでも言うがいいさ。この充足感を知ったらやめられないね!
「花島さん、何を食べたい?」
「桜餅は外せないわね……でも、わらび餅も捨てがたいわ……」
「じゃあ、桜餅とわらび餅を両方2つずつ下さい」
「おおきにー」
中年女性の店員さんは、ショーケースに並べられていた桜餅を手早くフードパックに包み、プラスチック製のカップに入ったわらび餅と一緒に紙袋に入れて手渡してくれた。
僕が代金を払うと、店員さんは親しみやすい笑顔で「またおいでやすー」と挨拶する。接客ひとつとっても地域の特色が出るんだなと思いながら、甘味処を後にする。
「花島さん、どっちから食べる?」
「そうね……まずは桜餅から……」
了解と答えながら、フードパックを取り出す。関東と関西の桜餅は形状が違うと、ぐれ兄から聞いた覚えがあるけど本当だった。
僕が見慣れた桜餅は塩漬けにした桜の葉とピンク色の皮で餡を巻いたものだけど、購入した桜餅は少しつぶつぶした白っぽい生地を丸めたものを塩漬けにした桜の葉で包んでいる。
花島さんは桜餅の葉を剥さないで、そのまま食べている。僕も葉は剥さずに食べるタイプだ。
桜の葉の香りが移った生地はほんのり甘くて、もちもちしていて美味しい。餡子はさっぱりとした甘さで、いくらでも食べられそうだ。
桜餅を堪能してから本田さん達の所に戻ると、近くにいたろっしーとすけっちが何やら騒いでいる。
「なーなーっ。あいつらって、修学旅行カップル第1号じゃん?」
「ひゃーっ。そーだ、そーだっ」
ろっしーが指差した方向を見ると、手を繋いで2人の世界に浸っている男女がいた。僕も花島さんとあんな風にイチャイチャできればいいけど、現実は無情だ。
「なーんでイベントって告白率高くなるかにゃー」
「ノリじゃない……?」
ろっしーの疑問に答えた花島さんは、わらび餅を竹串で刺してパクリと食べた。可愛い……。今はただ、花島さんと一緒に京都を満喫できる倖せを噛みしめよう。
「ノリでもいい……」
「告白されたい……」
ろっしーとすけっちは女の子が告白してくるのを待つんじゃなくて、気になる女の子を誘う攻めの姿勢が必要だと思う。
僕は攻めの姿勢に切り替えられなかったせいで、花島さんに告白したくても振られるのが目に見えているから、想いを伝えられないという泥沼に陥っている。
駄目元で告白して玉砕して、花島さんと気まずい関係になったら嫌だ。
花島さんは僕を振った後も以前と同じように接してくれるかもしれないけど、それはそれで歯牙にもかけられていないようで嫌なんだよな。
叶わない恋に見切りをつけて、次の恋を探した方が有意義だとは思うけど。もくもくとわらび餅を食べる花島さんを見ていると、胸を締め付けるような愛しさが込み上げてきて。そう簡単に切り替えられないよなと実感する。
僕は切ない気分に浸りながら、何もかけてない状態のわらび餅を食べた。食感はもっちりしているのに、大して噛まない内にさっと溶ける。
ほんのり甘みがついているからこのまま全部食べられるけど、後がけ用のきなこと黒蜜がついているから使ってみよう。
きなこと黒蜜、どっちを先にかけようか迷っていたら、気の強そうな女の子が夾に声をかけている事に気付く。
「ねぇ、夾。大事な話があるから一緒に来て?」
あ、これ、告白される流れだな。夾は女の子の思惑に気づいてないのか、大人しく連行されている。
夾は押しに弱いけど、
「告白……か」
ざわめきに紛れるほどの小声で、魚谷さんが呟いた。
本田さんはコンビニの君が紅野兄だと魚谷さんに告げていないようなので、僕から魚谷さんに教える事はしない。クレノさんに会いたいから取り次いでくれと魚谷さんに頼まれても、できないからな。
「
魚谷さんに唐突に呼びかけられて驚いたのか、本田さんは裏返った声で「は、はい!?」と返事をした。
「おかしいと思わん? そんな告白ラッシュ起きてんなら、今頃王子とリンゴ頭は引っぱりダコだろうに、なーんでヒマこいてんだろ?」
「あ……っ。そう言われますと……っ」
「僕はグループ行動を優先したいから、ファンの子達に前もって頼んでおいたんだ」
僕が花島さんに食べ物を買ってあげる事が気に食わない子もいそうだから、花島さんは僕にとって恩人と呼べる人なので、余計なちょっかいを出したら絶対に許さないと釘を刺しておいた。
毒電波を操る花島さんを呼び出してシメようとする無謀な勇者は、そうそういないと思うけど念のため。
「はぁん、人気者は大変だな。王子も自分のファンに、自由に行動させろって頼んだのか?」
「俺はモテないから、ファンなんかいないよ」
「王子の護衛という名の威嚇をするプリ・ユキの熱い視線に気づかない由希には、プリンス・オブ・ザ・BOKUNENZINの称号を進呈してやろう」
バナナで釘が打てそうな冷気を纏った由希は、「なにバカな事言ってるんだ」と見当違いなツッコミを入れた後、気を取り直したように会話を続ける。
「……それにモテるなら夾の方だよ。今も呼び出しをもらったみたいだしね」
「あっ、ホントだ。マジいねぇ。捜せ!! 見つけ出せ!!」
「姐さん、覗き見っスか!? 合点承知ィ!!」
うおおおおと雄叫びをあげる魚谷さんに、ノリのいいろっしーとすけっちがついていく。え!? 花島さんも行くの? だったら僕も行こうっと。
花島さんは夾の捜索隊から早々に離脱した。桜餅とわらび餅を食べ終えた花島さんは、次なるスイーツを求めていたらしい。
僕は残っていたわらび餅を口の中に詰め込んで、急いで咀嚼する。もう少し時間をかけて食べたかったんだけど、花島さんに追いつくためにはやむを得ない。
ソフトクリームとジェラートを扱うお店に入ってから、数分後。花島さんは抹茶のジェラートを、僕は抹茶ソフトを持って店から出た。
「魚谷さん達を捜す? それとも本田さんの所へ戻る?」
「そうね……あら、この声は……」
すけっちとろっしーの声だ。なにやら騒いでいるな。そんなに離れた場所じゃなさそうだ。
花島さんと一緒に、声が聞こえる近くの飲食店の外の奥まった所に行ってみると。
「「おまえの目は節穴かぁぁ!!!」」
「きゃあきゃあ、ごめんなさいごめんなさいぃ」
青筋を立てた魚谷さんと夾が声を揃えて怒鳴り、夾を呼び出した女の子が悲鳴を上げながら謝っていて。
「「お゛お゛おお、モテたいィィィィィ」」
ろっしーとすけっちが願望を叫びながら、怪しい宗教の儀式のように祈りを捧げていた。
「あらあら……楽しそうね……」
このカオスな状況を見てそんな感想が出てくるなんて、花島さんは大物だよ。
「こら、そこっ! 何を騒いでいるんだ!」
騒ぎを聞きつけたのか、
他の先生だったら騒動を起こした生徒達から根掘り葉掘り事情を聞き出して、ねちねち説教するんだろうけど。繭子先生は「他の観光客に迷惑をかける事はするな」と、注意するだけに留めてくれた。
「それと……買い食いは禁止されているんだがな?」
呆れを浮かべた繭子先生の視線の先には、食べかけの抹茶ソフトを持つ僕だけがいる。僕が花島さんをちらりと見やると、彼女は既にジェラートを完食済みだ。はっや。
繭子先生に一喝された後、本田さんや由希と合流しに行く。その道中、怒りが冷めやらぬ魚谷さんが「あ゛ー、ムカつく。マジウザ」とブツクサ言っていた。
ろっしーから聞いた話だと、夾に告白した女の子が案の定振られて、覗きに行った魚谷さんに八つ当たりしたらしい。夾の事が好きだから告白の邪魔しに来たんでしょ、と言ったとか。……知らないって怖いね。
ちなみにろっしーとすけっちは、夾が「俺はモテたいなんざ思ったコトもねぇよ!!」と言ったから、羨ましさが天元突破してモテたいと叫んでいたようだ。
あ、花島さんの好物のお団子が売ってる。花島さんも当然のように目をつけていたので、僕は12串購入した。
「向こうで騒いでいたみたいだけど、何かあったのか?」
由希の問いかけを受けて、僕が簡潔に状況説明をする。
「はしゃぎすぎて、繭子先生に叱られちゃった」
「だっ、大丈夫でしたか……!?」
「大丈夫よ、透君……私がずっと付いていたから、大事にならずに済んだわ……」
花島さんは特に何もしていないのに、自分の有能さを本田さんに抜け目なくアピールしている。夾が「ウソつけっ。花島も買い食いしていただろーがっ」とツッコミを入れたけど。
「あ……あの、そもそも何が原因で……そんな……騒ぎに……」
「別にっ……おまえに関係ないっ」
夾のやつ。女の子に告白された事を
僕が咎める前に、由希が夾の脳天に勢いよくチョップを入れて制裁を下した。
「な……っ、なにしやがんだ!! どいつもこいつも好き勝手にどつきやがって!!」
「この……破滅的馬鹿が!!」
由希には散々「バカ」と罵倒されているのに、破滅的という斬新かつ救いようのない形容詞がついたせいか、夾は反論の言葉がとっさに出ないほどショックを受けている。
「……今のは正しい反応ね……建視さん、草摩由希にもおダンゴをあげてちょうだい……」
「うん、わかった。おら、由希。花島さんの優しさに感謝して、むせび泣きながら食べるがいい」
「むせび泣かないけど、ありがとう」
由希はお団子を受け取った。優等生の由希は、買い食いはダメだと言うかと思ったけど……まぁ、いいや。本田さんと魚谷さんにもお団子を勧める。
……本田さん、密かに落ち込んでいるな。破滅的バカにはお団子はやれんな。
赤や黄に色づいた山々が水面に映る大堰川に架かる渡月橋を渡ると、土産物屋や和雑貨店や食事処が軒を連ねる嵐山商店街のメインエリアが見えてきた。
海高の生徒以外の観光客も買い物や味めぐりを満喫中だから、すごく混雑している。店に入ってお土産を品定めするのは無理だな。一発で変身してしまう。という訳で。
「お願いできるかな?」
「「「任せて、建視君!!」」」
2年代表の
女の子をパシリに使うなんて、という非難がどこかから聞こえるけど違うんだ。
僕は当初、同じクラスの男子に頼もうとしたんだけど。それを聞きつけたキン・ケンのメンバーが、「私達の方がより良いお土産を選べるから、私達に任せて!」って言い出したんだよ。
僕はお土産を渡す人が多いから、彼女達が人海戦術をとってくれるのは有難いけどね。
「建視君、写真撮ろっ」
「おっけー」
キン・ケンのメンバーの約半数が買い物戦線に赴いている間、僕は残りのメンバーと撮影会をする。
買い物に行っているファンの子達とは、明日のショッピングタイムの最中に写真を撮る予定だ。サービスサービスぅ!
「ねぇねぇ、建視君。買い物をしている途中で、見かけたんだけど……」
買い物を終えたキン・ケンのメンバーが教えてくれた話によると、本田さんと夾が2人であぶり餅を食べていたらしい。
夾は破滅的な失言をしたけど、ちゃんと挽回したようだ。移動のバスに乗る時、本田さんが嬉しそうにしているのが見て取れた。それは良かったけど。
「あれ? きょんの頬に引っ掻き傷があるよ」
「猫にやられたんだよ」
猫憑きの夾は猫に好かれこそすれ、攻撃される事はまず無いのに何があったんだろ。微妙な謎が残った。