神様と十二支と猫と盃と《完結》   作:モロイ牛乳

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05「いやぁぁぁっ!」

 今日は大晦日だ。歴史ある草摩(そうま)家の伝統行事として重要視されている、十二支だけの宴会が開かれる。

 僕は十二支の正式な一員じゃないけど、遠い昔に神様と十二支が集った宴会の最中に盃の付喪神が誕生したからという理由で、特例として宴会の出席が認められていた。

 皆で宴会を楽しむために特例が認められた訳じゃなく、宴会に出席できない仲間外れの猫憑きを更に貶めるためなのだから、草摩家の闇深さが窺い知れる。

 

 兄さんは慊人(あきと)の検診を行うために先に行っていたので、僕は1人で宴の会場となる当主が住まう屋敷に向かう。

 広々とした玄関に入ったら、下駄箱の前で立ち話をする楽羅(かぐら)姉と春を見つけた。

 

「よう。春と楽羅姉は、なんでこんな所にいるんだ?」

「こんばんは、建ちゃん。私は(きょう)君を待っているの!」

 

 鈴を転がすような声で応じた楽羅姉は、肩口に届く長さの黒褐色の髪を下ろしている。僕より2つ年上だけど、童顔で可愛らしい容姿の持ち主だ。

 ……可愛らしいのは外見だけで、(いのしし)憑きの従姉の中身は肉食獣だけどね。獲物()を狙うハンター的な意味合いで。

 

「俺は夾に今年最後のファイトを挑む……」

 

 朴訥とした口調で答えた潑春(はつはる)こと春は、髪の生え際は黒だけど他は白髪という独特な頭髪の持ち主だ。

 カラーリングしたりウィッグを被ったりしている訳じゃなく、春に憑く(うし)の物の怪の影響で、地毛が白と黒のツートンカラーになっている。

 春は男らしい精悍な顔立ちに加え、両耳合わせて計6つのピアスをしているせいか大人っぽく見えるけど、紅葉と同い年の中学3年生だ。

 

建視(けんし)、手合せしよう」

「春は夾とファイトするんだろ」

 

 戦闘狂の気がある春とのバトルを避けたいからそう言ったけど、夾は帰省しないと思う。

 夾の養父である師範は修行の旅からまだ戻ってないし、猫憑きの従弟が帰ったら感激した楽羅姉に半殺しにされるのは火を見るよりも明らかだ。

 年末年始に夾が草摩の本家に寄りつく可能性は、お年玉付き年賀はがきの1等が当たる確率より低いと教えてあげるべきかもしれないけど。下手な事を言うと、亥憑きと丑憑きが暴走するかもしれないから黙っておこう。

 

「夾はまだ来ないから、肩慣らしに……」

「今日は勘弁してくれ。これから笛を吹くのに指を傷めると困る」

 

 僕は持参した龍笛を入れた笛袋を掲げた。

 宴会では、新年と旧年の十二支が舞いを披露するのが恒例だ。盃の付喪神の出番はないので、僕は7歳の頃から舞いの音楽を毎年担当している。

 

 春は「そっか」と言って、大人しく引き下がった。

 異性とぶつかるのを回避するための護身術として武術を習う僕とは違い、春は兄弟子の夾を打ち倒すという確固たる目標を掲げて日々鍛錬に励んでいるから、戦闘力の差が開いている。春と手合せしたらボロ負けしていただろう。

 

 上手い事切り抜けられた、と僕が安堵してから数十分後。

 

「嘘でしょ!? 夾君が帰ってこないなんて……っ!」

 

 ぐれ兄から夾の居場所を聞き出した楽羅姉は、「夾君のばかーっ!!」と叫びながら宴会が開かれる広間の襖を拳で殴った。

 楽羅姉は熊を担ぎ上げた金太郎のような怪力の持ち主なので、パンチ1つで襖を真っ二つに割り、廊下まで吹き飛ばす結果に……。

 ガラスの割れる音が聞こえたから、廊下の窓ガラスも犠牲になったと思われる。廊下を歩いている人がいなかった事は、不幸中の幸いだろう。

 それよりも、だ。

 

 よりにもよって、慊人が超絶不機嫌な時に暴れるなんて……っ!

 

 心の中で悲鳴を上げたのは、僕だけじゃないと思う。

 (ねずみ)憑きが宴会をサボるという前代未聞の事件が起きたせいで、慊人は無言で静かに怒り狂っている。

 自分の屋敷の一部を破壊された慊人は、由希(ゆき)が来なかった怒りを上乗せして、楽羅姉に厳罰を下すかもしれない。

 

 僕らは戦々恐々としながら、半分巻き上げられた御簾の向こう側にいる慊人を見遣った。

 予想に反して、慊人は罵声や怒号を発しない。

 腹を立てていないという訳じゃなく、楽羅姉に構っていられないほど怒りを静かに煮え滾らせているようだ。くわばら、くわばら。

 

 上座から慊人の怒気が漂ってくるせいで、年少組の物の怪憑き達――(とら)憑きの杞紗(きさ)(ひつじ)憑きの燈路(ひろ)が怯えている。

 仙女を連想する衣装を纏った杞紗は、舞いの担当なのだが大丈夫だろうか。同じく舞いを担当する紅葉(もみじ)が杞紗を元気づけているが、場の空気が悪すぎるから杞紗は本調子を取り戻せていない。

 

 兄さんとぐれ兄が慊人を宥めているけど、焼け石に水といった感じだ。

 上座に置かれた几帳の陰にいるはずの(とり)憑きの紅野(くれの)兄は、慊人の宥め役に加わらない。紅野兄は慊人の側近だけど、十二支+αが揃う宴会でも人前に姿を現さないんだよな。

 

「建視さん、楽羅ちゃんを制止して下さい! 私だけじゃ抑えきれなくて……!」

 

 (さる)憑きの利津(りつ)兄が協力要請を出してきた。

 肩の下まで伸ばした赤味の強い茶髪をハーフアップにしてリボンを飾って、振り袖を着こなす上品な和装美女に見えるけど、利津兄は歴とした成人男性だ。

 利津兄は身も心も女になりたいと思っている訳じゃなく、男の格好をすると萎縮してしまうから女装をしているらしい。弱気な利津兄にとって女性用の服は、自分の心を守る鎧のようなものなのだろう。

 

 それより、楽羅姉を落ち着かせないと本当にまずいかもしれない。

 黒褐色の目をギラつかせた楽羅姉は、「しーちゃんの家に今から乗り込んでやる……っ!」と口走っている。

 僕は心の中で(鎮まれ、鎮まりたまえ)と念じながら、荒ぶる亥憑きに近寄って対話を試みた。

 

「楽羅姉、宴会を抜け出すのは流石にアウトだろ」

「でも、でもっ。夾君は今頃(とおる)君と年越しソバを仲良く食べたり、紅白歌合戦を楽しく観たりしているかもしれないんだよ? 2人にラブが発生したらどうするのっ!?」

「由希もぐれ兄の家にいるから、ラブは発生しないよ」

 

 僕が由希の名を出した瞬間、慊人が殺気を飛ばしてきた。失言に気付いて冷や汗を流す僕を余所に、楽羅姉はヒートアップする。

 

「ゆんちゃんが一緒にいる確証はないでしょ! 初日の出を2人きりで見た夾君と透君が、なんかイイ雰囲気になっちゃったら……そんなの認めんぞ、ごらぁっ!!

 

 想像して激昂した楽羅姉は、近くにあった四つ脚膳をひっくり返す。僕は慌てて避けたけど、料理や皿が畳に飛び散って悲惨な事になっている。

 

いやぁぁぁっ! ごめんなさい、ごめんなさい、ごーめーんーなーさーいー!

 

 パニックスイッチが入ったのか、利津兄が泣きながら叫び出した。

 

「私の力が及ばなかったせいで、楽羅ちゃんがお料理を台無しにして慊人さんの屋敷の畳を汚してしまうなんて! 許して下さい、ご寛恕下さい、今すぐ掃除をします故! 世界中の皆様に謝りますから、どうか許して下さいぃぃ! ゆーるーしーてーk

「ていっ」

 

 僕が利津兄の弱点の左脇腹を小突くと、脱力した申憑きの従兄は畳に倒れ込んで静かになった。

 今度こそ慊人は怒るだろうと思ったけど、上座で膝を抱えて座る慊人は何も言わない。

 まさか、と僕はある仮説に思い至った。

 当主である自分が怒りに我を忘れて醜態をさらす訳にはいかないから、暴れる楽羅姉やパニックに陥る利津兄を見て、憂さを晴らそうと思っているんじゃないか。

 

「この混沌とした雰囲気……大学時代の飲み会を思い出すねっ。はっはっはっ!」

 

 高笑いしながら手酌で酒を飲む銀髪の美丈夫は、(へび)憑きの綾女(あやめ)こと綾兄だ。由希の実兄である綾兄に弟の不始末の責任を取らせたいけど、王様気質の綾兄はブレーキ役にはなれない。

 

 広間の隅にいる(うま)憑きのリン姉は、忍者のように気配を消して我関せずをアピールしている。

 楽羅姉と年齢が近い女性の十二支憑きで、事情があって楽羅姉の家に同居中のリン姉の言葉になら、荒ぶる亥憑きは耳を傾けると思ったのにぃ!

 

 ……って、僕がちょっと目を離した隙に、楽羅姉が広間から抜け出そうとしていたよ。春が楽羅姉を取り押さえてくれたから助かった。

 

「春ちゃん、放してっ!」

「いい加減にしろよ……俺だって夾とファイトし損ねてイラついてンのに、楽羅姉だけ抜け駆けするなんて許さねぇぞ」

 

 キレた春の人格が切り替わって、ブラック春が降臨してしまった。あーあ、どうするんだよ。宴会どころじゃなくなるぞ。

 

「それじゃ、春ちゃんも一緒に今からしーちゃんの家に行こっ!」

 

 怒りを溜め込んだ慊人が、問題発言をした楽羅姉を睨みつけた。本格的にまずい。僕は覚悟を決めて立ち上がる。

 

「楽羅姉と春に告ぐ! 宴会を中座したければ、僕を倒してからにしろ!」

「おもしれぇ。準備運動代わりに、建視を叩きのめしてやる」

「建ちゃんは私と夾君の愛を阻むのっ? 容赦せんぞ、くらぁっ!

 

 ブラック春とバーサーカー楽羅姉を大人しくさせるためには、この技を使うしかない……っ。

 

「くらえ、ハイドロポンプ!」

 

 みずタイプのポ○モンの必殺技っぽく叫んだけど、水差しに入った水を楽羅姉と春にぶっかけただけである。

 

「……冷たい」

 

 顔がびしょ濡れになった春は静かに抗議してきた。ホワイト春に戻ったかと安堵する間もなく、頭から水をかぶった楽羅姉が「ひどいよ~っ!」と泣き声を上げる。

 

「ケン、女の子にひどいコトしちゃダメなのよっ。めっ!」

「楽羅お姉ちゃん、かわいそう……」

「暴走寸前の2人を止める必要があった事は解るけどさ。真冬に人に水をかけたら、風邪をひくとか思わなかった訳? 建兄はオレより5つ年上なんだから、もっと分別ある行動をとってよ」

いやぁぁぁっ! 女性に水をかけて泣かせた最低な人間にさせてごめんなさいぃ! 建視さんの非道が草摩中の噂になって歴史書に記されて、後世まで語り継がれてごめんなさいぃっ!」

「女泣かせとは悪い奴だね、ケンシロウっ!」

「女の子を泣かせるなんて、けーくんってばサイテー」

「……くそったれ」

 

 十二支憑きの大半から一斉に非難されて、僕はショックを受けた。

 兄さんは何も言わなかったけど、「何をやっているんだ、おまえは……」と言いたそうな呆れた眼差しを向けてくる。

 

「う……うわーん! 助けて、アキえもーん!」

 

 僕は泣き真似をしながら上座に駆け寄った。慊人は「誰がアキえもんだ」と言って、由希が座るはずだった座布団を僕に投げつける。

 スピンのかかった座布団を顔面で受け止めた僕は「ふごっ!」と呻き、よろけながら畳に倒れた。道化を演じるのも楽じゃない。

 

 

 荒れに荒れた宴会は、元日の朝7時頃にようやく終わりを迎えた。

 

「……兄さん、時間が空いたら初詣に行こうよ。今年は平穏に過ごせますようにと、祈っておきたい」

「俺達が他の神に祈ったら祟られそうだ」

 

 慊人の機嫌取りに明け暮れて疲労の色が濃い兄さんは、シャレにならない発言をした。お疲れさまです。

 

 

 

▼△

 

 

 

 1月3日の昼頃、兄さんと僕は徒歩で行ける小さな神社に向かった。

 移動に車を使わなかったのは、1ヶ月近く草摩の「中」から出ていなかった兄さんが、街の空気に触れて気分転換したいと言ったからだ。

 初詣をした帰り道。黒のトレンチコートに身を包んだ兄さんと、黒のナポレオンコートを着た僕は住宅街の閑散とした道路をぶらぶらと歩いた。

 

「兄さん、そろそろ髪を切りなよ。前髪と襟足が伸びて、ぐれ兄みたいなだらしない髪型になっているぞ」

「え…………?」

 

 兄さんは、人間失格を言い渡されたような絶望の表情を浮かべた。しまった、例えが悪すぎたか。

 

「いや、その……兄さんが年末にかけて、殺人的に忙しかった事は知っているよ。髪を伸ばしたくて伸ばした訳じゃない事もね」

「…………慊人に切るなと言われたんだ」

 

 うわ、出た、慊人の無茶振り。

 問題を起こしたぐれ兄が本家から追放された直後、僕は慊人に命じられて自分の一人称を“俺”から“僕”に変える羽目になったが、それと同レベルの理不尽さだ。

 慊人がなんで一人称変更命令を出したのか考えてみたところ、ぐれ兄の代替品を求めていたからじゃないかという嫌すぎる結論を導き出してしまった。

 多分、今回も同じような理由で兄さんに散髪禁止を命じたのだろう。……僕が余計な事を言ったせいで、兄さんもそれに気付いちゃったみたい。

 

「兄さん、ごめん……」

「……気にするな。髪を切るタイミングを逃した俺にも責任はある」

 

 僕と兄さんが揃ってどんよりと沈んでいたら、聞き覚えのある澄んだ声に呼びかけられる。

 

「はとりさん! 建視さん!」

 

 ツツジ色のダッフルコートを着てピンク色のマフラーを巻いた本田(ほんだ)さんが、ツインテールにした髪を揺らしながら近寄ってきた。

 罪悪感で押し潰されそうな心境の時に、偶然出会うなんて……地獄に仏とは正にこの事。

 

「あけましておめでとうございます!」

 

 本田さんが新年を祝う挨拶を朗らかに述べたので、僕は心の中で首を傾げた。ぐれ兄から聞いた話だと、本田さんは去年の5月に母親を亡くしているんじゃなかったか?

 喪中云々を指摘して本田さんの心の傷を抉るような真似はしたくないから、僕は普段通りに笑って「おめでとう」と返した。

 

「……おめでとう」

 

 ローテンションで挨拶した兄さんは、陰鬱な雰囲気を纏ったままだ。なにか兄さんの気を紛らわす話題はないか!?

 

「えっと、そうだ、由希と夾は一緒じゃないのか?」

「はい。草摩君と夾君は、御本家に挨拶に行くと言っていましたよ!」

 

 本田さん、それ嘘だから。

 由希は慊人の怒りが冷めない内に、ノコノコ会いに行くような真似は絶対にしない。夾も楽羅姉に半殺しにされたくないから、草摩の本家に近づかないだろう。

 

「本田さんは1人でどこへ?」

「お友達と初詣に行ってきましたっ」

 

 花島(はなじま)さんも一緒だったのかな。機会があったら花島さんにまた会って、前回聞けなかった力の制御法に関する話をしたい。

 

「はとりさんと建視さんは、お買い物ですか?」

「いや、僕と兄さんも初詣に行ってきたんだ」

「ご一緒に初詣されるなんて、はとりさんと建視さんはとても仲がよろしいのですね……っ」

 

 あっ、と弾んだ声を上げた本田さんが不意に上を向く。つられて僕も曇り空を仰ぐと、ちらちらと冷たいものが舞っていた。

 

「雪か……今日は冷えるなあと思ったら……」

 

 僕はそう呟きながら、不意に生じた陰鬱な気持ちを胸の奥に押し込んだ。雪は好きじゃない。兄さんが佳菜さんの記憶を隠蔽した日も、雪が降っていたから。

 兄さんも辛い思い出を呼び起こされているかもしれない。うぅぅ……なんでこんな時に雪なんか降るんだよ!

 

「ふふ。はとりさんや建視さんと初雪を見るなんて、何だか不思議です……ひゃ?!」

 

 天気を呪っていた僕は、悲鳴を上げた本田さんに対してリアクションを起こすのが遅れた。

 転びそうになった本田さんを、兄さんが後ろから抱きとめる形で助けた瞬間。

 

 ボンッ!

 

 小規模な爆発に似た音が響いて、物の怪憑きが変身するとき特有の煙が発生する。兄さんが着ていた衣類がアスファルトの道路に落ちて、その脇に本田さんが倒れ込んだ。

 

「本田さん、大丈夫?」

「わ、私は何ともありません……それより、はとりさんが……」

 

 僕が兄さんの服を探ると、体長8センチの竜の落とし子を見つけた。

 変身した兄さんを指で軽く突いたけど、反応がない。本田さんを抱きとめた際、電柱に頭をぶつけて気絶したようだ。

 

「水ー!! いえ、かっ、海水!? 水!? どちらですか、建視さん!」

「竜の落とし子は海水魚だけど、兄さんは物の怪憑きだからか、変身しても陸上で問題なく活動できるよ。それにしても……」

 

 くくっ、と思わず笑いがこみ上げてしまう。

 佳菜(かな)さんも兄さんの正体を知った時に本田さんと同じような発言をして、変身した兄さんを熱湯が張られた風呂に投げ入れたって、兄さんから聞いた覚えがある。

 

 ……佳菜さんを思い出して笑ったのは、久しぶりだな。

 

 感慨に浸るのは後回しにして、移動しよう。

 幸いな事に今この場には僕達の他に人はいないけど、いつ誰が通りかかるか判らない公道のど真ん中で、兄さんが元の姿に戻るのを待つ訳にはいかない。

 

「本田さん、悪いけど兄さんを運んでくれる? 本田さんに触れられていれば、兄さんは元の姿に戻る事はないから」

「は、はいっ!」

 

 本田さんは手袋をはめた両手で、竜の落とし子形態になった兄さんをそっと掬い上げる。僕は兄さんの衣類を適当に丸めて片腕に抱え、大きな革靴を片手で持った。

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