私の言語力はとても残念です。
よろしくね。
844年、壁外にて——
「総員、進め!」
風が吹く平原に、馬に乗った大勢の人間がいる。腰に機械を付けており、深緑のマントの背中には青と白の重ね翼が描かれている。壁内に住む人類の希望——調査兵団である。
「奇行種を確認!」
「攻撃班、戦闘用意!囮班は離脱して敵の注意を引け!」
兵団の団長であるキース・シャーディスの合図で、隊列を組んだ兵士たちが馬で走り出す。
そんな兵士の一人、ラファエル・シュナイダーは、隣を駆ける自分の上官を見た。
「エルヴィン分隊長、壁外調査はこのやり方で合っているんでしょうか?」
「なぜそんなことを聞く?」
「これだけ人間が集まって移動すれば巨人が集まってくるのは当たり前でしょう。分散して索敵をすれば、被害が拡大する前に防げるのに」
「…あまり喋ると舌を噛むぞ。我々は囮なんだ、気を抜くな」
「はい」
パシュッ、ザクッ、と聞きなれた音がして巨人が倒れる音が聞こえた。
エルヴィンは班員に合図をして馬を止める。他の班を待ちながら、改めてラファエルに向き直った。
「どうすればいいと思う?」
「…?何がですか」
「壁外調査の改善策だ。現在は長方形のように隊列を組んでいるだろう、どうすれば死亡率は減ると思う?」
「兵士を小分けにして役割を分担したらどうでしょう。索敵、伝達、攻撃、援護、とか」
「なるほど、興味深いな。帰還したら詳しく聞きたい」
「実を言うと、エルヴィン分隊長がそう言うだろうと思っておおまかには考えてあるんです。今は俺の部屋の引き出しに眠ってますよ」
「はは、優秀な部下を持つと頼もしいな」
ラファエルは誇らしげな笑顔を見せると、心臓を捧げる敬礼をとった。
「何年あなたの部下やってると思ってるんですか。俺の心臓は人類に、というよりは分隊長に奉げてるようなもんですから」
「それはありがたい。だが君には奥さんと娘がいるんだろう?そう簡単に死なれては困るぞ」
「分隊長にそう言ってもらえるなんて光栄ですね。まあ、娘と言っても俺と血は繋がってませんが」
「そうなのか…。すまない、失礼なことを言ったかな」
「大丈夫です。娘本人は知らないですし、何よりそんなこと気にならないくらい可愛いんで」
部下のほころんだ顔を見てエルヴィンは思わず苦笑した。娘が可愛いのだとにやけるその姿は完全なる親バカである。娘の嫁入りの際は男親の方が泣くとよく言うが、確実にラファエルもその類に入るだろう。
遠くから団長を含めた班が来るのを確認し、エルヴィンは班員に出発の合図をした。段々と一段の影が大きく見えてくる。残り400mほどの時、ラファエルは眉をひそめた。
キース団長が何かを叫んでいる、ような気がする。
「・・・れ!・・・!」
「ラファエル、団長が何と言ってるか聞こえるか?」
「さあ…。遠すぎます、流石に」
団長の顔がラファエル達にも見える距離になる。
——後ろの兵士が戦闘態勢に入っている。
その事実にエルヴィンが気付くのと、キース団長の言葉が聞こえるのは同時だった。
「止まれ!奇行種が来ているぞ!」
右手前方に会った森が終わり、視界が開け——エルヴィンの目の前に巨人が現れた。思い切り口を開けている。
「…っ!」
唐突すぎて反応が遅れる。エルヴィンが息をのんだとき、
「エルヴィン分隊長!」
巨人とエルヴィンの間に
それが他ならぬ自分の部下であると気付いたのは、その奇行種が攻撃班の精鋭によって殺された後だった。
幸いなことにラファエルはまだ生きているものの、受けた傷が致命傷であり、もう助からないことは明らかだった。下腹部が食い破られ、内臓こそ出ていないものの赤黒い液体にまみれている。
「ラファエル!」
「エル、ヴィン…分、隊長…」
薄っすらと目を開けたラファエルは、自分が慕う上官の姿を見ると困ったように微かに笑った。
「心臓を…捧げるって、言ったのに…すみません」
「何を言ってるんだ。今から壁内に帰るんだぞ。家族も待ってるんだろう?」
「俺は、ここまで…です。分隊長の、怪我は…?」
「俺は無傷だ」
「よかった…。俺の考えた、改善案、託します」
——あなたを守れて死ねたなら本望です。先にあの世で待ってますから。
そう言って腕の中で事切れた部下を見て、エルヴィン・スミスは誓った。
自分の夢だけでなく、この男の為にも闘うことを。
《現在公開可能な情報》
◦主人公はラファエル・シュナイダーではない。
◦主人公はエレン、ミカサ、アルミンの幼馴染である。
◦作者の言語力はとてつもなく絶望的である。