新章スタート!欠けたままで、
ズズズズズー
「それで、こっちでは本当に半年しか経っていないのか?」
「そうですけど……異世界とかなんとかあっし等にはさっぱりでさ。」
湯のみでお茶を飲みながら楽と竜以下大勢が話し込んで2時間。他のメンバーは各自家に帰っていた。(勿論集英組の送り付きでだ。)
「そうだよな。俺達も最初はなにがなんだか。」
そう言うようにあれだけ突然だったのだ、無理もない。
「そんな事よりいいんですか?明後日から修学旅行とかあるそうですが……」
「…………………?」
此処で時間軸の説明をしよう。
一条達が此方側から飛ばされたのは一条達が2年生の4月12日。その日に橘が別ルートで向こう側に行った。
春ちゃんがアルティメットイスフィールと出会ったのは4月19日。その3日前に鶫が…
そして、ゼロたちと過ごしたのは1年と2ヶ月。
此方ではおよそ6ヶ月。
今は9月の下旬。まさしく修学旅行の時期。そして、それが明後日………
ーpipipipiー
電話が鳴る。相手は、
『楽様ー!明後日は修学旅行だそうですよ!今から、(ガチャ、ツーツー)』
どこのラブコメだ!と楽は心の中で誰かに突っ込まれた気がしたという………
ーーーーーーーーーーーーーー
次の日、楽は問題が山積みなのにふらりと学校に向かう。小野寺と鶫の事に関しては溢れてくる物が多すぎて独りで悩んでいるところ桐崎から『話があるから学校に来い。』という内容のメールが長々と書いてあったが全文は割愛しよう。
とにかくこのタイミングできたのだ。二人のことかもしれない。とりあえず向かっていくと見覚えのある、だが此処にいてはおかしい女性がいた。和菓子屋小野寺の前で………
「あっ!一条君だよね!色々大丈夫だった?」
「えっ?大丈夫かって……レティーさん。何でこんな所に居るんですか?」
レティーが店の前を掃いていた。
「こんな所で悪かったわね!」
小野寺母が店から出てきて優しく怒鳴りつけてきた。
「ほら、春も早くしないと学校遅れちゃうわよ!」
「もー!お母さん!店の前でそんなに大きな声ださないで!」
春が小野寺母に引っ張りだされてきた。小野寺の事で落ち込みきっていると思っていたが、塞ぎ込んで居ないところを見て楽は何となく安心した。
「い、一条先輩?!」
「おはよう、春ちゃん。」
「一条先輩も桐崎先輩に呼ばれたんですか?」
「てことは、春ちゃんもか……。」
「それじゃあ………い、一緒に学校に行きますか?」
「そうだな。」
「あらー?春ったら一。」
小野寺母は春と楽を見てニヤニヤしている。
相変わらず楽しそうだと楽は苦笑いをした。
・・・・
「なんだか懐かしいな……この通学路も。」
楽が辺りを見ながらそんな事を言った。
それもそうだろう。1年以上この地を離れていたのだ。
「そうですねー。でも私は受験した時と下見の時の2回と数回の登校だけですから一条先輩ほど懐かしさはないと思います。」
「そっか…」
確かに楽は学校での春との記憶はほとんどない。だが、今は気になることで山積みだ。桐崎の話の内容、そして、
「じゃあ私は初登校ね。学校って行ったことがないから楽しみだわ。」
レティーが何故一緒なのかと言うことだ。
「何でレティーさんまで一緒何ですか!」
「何でって…………千棘ちゃんが来てって……話聞いてないの?」
「何の話してるんですか?」
「そう、学校に着けば分かるわ。」
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ー学校ー
誰もいない屋上に集まった楽、桐崎、春、宮本、橘そして、レティー。
「そろそろ何で俺達が集まったのか教えてくれてもいいんじゃねーか?」
集まってから数分、楽がそうきりだした
「そうね。先に楽の意見を聞きたいんだけど鶫と小咲ちゃんの事、どう思う?」
「俺はまだ整理が出来てないというか……」
「それもそうよね……ってあたしが聞きたいことはそんな事じゃないって!」
珍しい桐崎のノリ突っ込み!とか言っている場合では無いことは楽にも分かる。
が、言っている意味が分からない。
「あのー…千棘サン?どういう……」
「あー、もう!ほっんとに理解力が無いわね!二人に限らず私の時みたいに何とかなるんじゃないかって話!」
「あー、そう言う事か……だから皆、思ったより元気なのか?」
周りに居るメンバーを見て友達を失ってから数日のテンションではないと思っていたが納得は行く。だが、
「あの時とは状況が違いすぎねーか?あの時はザジの魔術?だったんだろ?でも今回は………」
皆の顔が少し曇ったが、
「そんな事は重々承知です。でも……希望は0じゃありません。」
春が真っ直ぐ楽と見合う。
「お母さんには本当のことを話していません。誰も助からないかもしれないから………でも、やれることがあるならやるだけです。」
春の言葉の後長い沈黙の後、
ビューーン
春のスカートがめくれ…
「み……みました?」
「く………くまさんが…………///」
『パシーーン』
授業の予鈴がなりその場は解散となった。
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修学旅行当日
今日から2泊3日の京都旅行。バスの中では二人を欠いて2年生の何時ものメンバーで班を組んでいた。
「(一条先輩近すぎます!!)」
春ちゃんも含めて………
「おい!集、おすなって!」
「仕方ないよーバスが揺れるもんだかさー(ニヤニヤ)」
集がやたら楽を押し楽が春の方に倒れ込む形になる。
春がいるには理由がある。本日の朝クラスメイトに『小野寺さん遅いよー!昨日どこ行ってたの?そう言えば髪型変えた?』とかいわれながら手を引かれ、遂にはバスに乗せられてしまった。
「何でこんな事になったんでしょうね……」
ため息をつきながら隣をチラリと見る。
その先では集と話す楽。
「ハァァァァ」
「どうしたの?」
ため息をついたレティーが話しかけてきた。
「…………………何ですか?」
「一条君見てなに考えてたの?」
「#+○%★☆¢$◇?!」
「ふーん。そうだ!ねぇ一条君。」
レティーが何か思い付いたように楽に話しかける。
「何ですか………って何でレティーさんが?!」
レティーは魔族と人間のハーフ。あちら側の人であり3日前に来たばかりだ。そんな人が何故高校の修学旅行のバスに乗っているかというと
「あぁ、その事ならクロードがいろいろやってくれたみたいよ。」
一番後ろから二番目、楽の前の席に座る桐崎が身を乗り出しながら事情を話した。
「あの眼鏡か……」
「そうそう、あのクロード君が戸籍の偽造とか身分証明の偽造とか………」
余りにもブラックなワードがレティーから出てくる。
「今の立場は新しい担任が見つかるまでの臨時の担任教師ね。美人教師との修学旅行……楽しみでしょ?」
「自分で美人って………レティーさん年幾つなんで………?」
レティーが楽の頭蓋骨を掴む
「女性に年齢を聞くのはマナー違反よ?」
笑顔ではあるが闇が見え隠れしている。
因みに確かにどこからどう見ても美人のレティーの年齢は64………と言ってもこれは魔族の血が流れているので人間の年齢に換算すればおよそ25~27歳ぐらいである。正直人間としての感性も持つレティーには気持ちは若いのに年寄りみたいでモヤモヤするところも有るのだろう。
「す……すみません………」
「楽様ー!わたくしは楽様に隠し事なんて無いので何でも聞いてください!」
最後尾の席に集、楽、春、宮本、橘の順で座っている為、橘は二人の上に寝そべるように飛び込んだ。そのとき……
「き………きゃーーーーー!!」
「何やってんのよ!って見るなこのエロガッパ!!」
春のスカートがめくれ理不尽にも楽は桐崎に殴られた……
「やれやれ……道のりは遠そうね……」
レティーはそれをお姉さん顔で見ていたという。
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そんなこんなでワイワイやっている内に本日の目的地、京都、英語でキャピタルキャピタルにやってきた。
一日目の班の自由行動。楽たちの最初の目的地は清水寺。そこの中でも慣用句にもなる程有名な俗に言う清水の舞台を通り抜ける。
「そう言えば私まだお母さんにこの事話してないんですけど………」
この事とは修学旅行に連れてこられた事だろう。
「そんなの後でやれば良いじゃない。それよりほら!キレイな風景よ!」
桐崎が街の方を指差す。
「本当に綺麗ね~。こんな所から飛び降りる位なんだからこうでなくっちゃ。」
レティーは上半身を乗り出し下を見た。
「先生!危ないって!」
「大丈夫、大丈夫!この程度の高さじゃ落ちてもかすり傷ですむって。」
一同意味が分からない。と思った。割と能天気な人だなーともくくりをつけた。
「そんな事より早く下でおみくじを引きましょう!」
橘の提案でさっさとおみくじを引きに7人は動いた。
「所で何で先生まで付いてきてるのかしら……」
宮本のさり気ない疑問を残して、
・・・・
おみくじ…300円
7人分、2100円を払い順番に引いて恒例ともいえる見せ合いっこをした。
「ねーねー、楽。どうだった?」
桐崎が楽に聞いた。
「あー、小吉だった……。」
「何よ、そのパッとしない良くも悪くもない結果は………じゃなくて、待ち人よ!」
桐崎は此処にはいない皆の為の項目を聞く。
「あー、ハイハイ、待ち人…………来ず?」
「楽もだったんだ」
「わたくしもそうでしたわ。」
と橘、
「私も似たような物ね。」
と宮本、
「あたしもでした……」
と、春。
「でも……なくしものは、探し、求めれば必ずかえって来る。って書いてありました。」
「本当に?私は……直ぐに……ってこの後印刷されて無いじゃん!」
桐崎が軽く地団駄を踏む。
だが、なくしもの…この項でこの結果は割と期待出来る……と、思いたい。
「それより皆さんの『恋愛』の項目はどうでしたか?特に楽様は気になります。」
「俺か?俺は……意外な所に一つ。迷うな危険?」
何だか理解し難い書き方である。
「ねぇ楽?この逃げよって何?」
桐崎が楽に訊ねる。
「さあ?千棘のいまいち分かりにくいな。」
「そうだ!春ちゃんはどうだった?」
そう言って悩むのを止めた桐崎が春のを覗き込む。
「って桐崎先輩!みないでください!」
覗き込む桐崎に気づいた春はおみくじの紙を握り潰した。
「えーと、ごめん……」
「いえ、その……恥ずかしくて……」
「るりちゃーん!はどうだったのかな~?」
重い空気を集が破壊した。
が無言で殴り飛ばされた。
「私は、惚れるな、惚れさせよ。って書いてあったわ。」
それでも答えてくれるようだ。淡々と答えるあたり、他の皆との温度差は大きいが。
「そ……それで先生は…?」
ボロボロになった集がレティーに聞くが………
「は、はは……」
レティーの手元の紙は風に吹かれ楽の元まで飛んでいく。
「うっ………!」
その内容を見た楽は息が詰まった。
そこにはこうかいてあった。
『恋愛』出会いなし、諦めよ。
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所変わって金閣寺。
「金閣寺は2階と3階部分が金色なんだけどその理由は水面に映った建物がまるで浮いているかのように見せるためでそもそも金閣寺が建てられたら時代は……………」
レティーの解説が6人にとめどなく降り注ぐ。
「て言うか、先生って3日前に来たばかりでしょうが!」
確かに詳しすぎる。時代背景から小話まで、レティーはかれこれ30分。楽たちが振り向けば2~30人程の聴衆者までいる。
「いやー、余りにも楽しみだったもので………それにさっきのことは忘れたいし………」
レティーの顔が曇った。
「何かすいません……」
その時だった。池が干上がり、樹木が並々と生えだしたのは……
「えっ?何んですか?」
春が取り乱す。7人とその他大勢の先には……
「我が名は牡羊座のアルマティア、残りのソードアイズを狩らせていただきます。」
木の上、地面からは5メートル位の所に渦巻きの角を頭に2つ付けた女が立っていた。
「それでは……ターゲット!」
「そこはおきまりなのね!」
狙われたのは桐崎。
「「ゲートオープン、開放!!」」
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時は少しさかのぼってミロク、ガルドス、ジローのアジト、そのジローのいる収監所。
「おーい、早くやってくれよ~。」
ジローが6つ出来上がったソウルコアの一つを持ち上げケイに語りかける。
「頼む……少しだけ休ませてくれ……」
ケイは明らかに弱っている。が、
「ったく、コレが終われば返してやるって言ってんだろ?俺も暇じゃー……暇か……。と言うわけで早く他の事がやりたい!」
「そんな身勝手な………」
ドカッ!
「ぐっ……」
ジローが椅子を投げつけた。
その時、
コンコン、
と戸をたたく音。
「失礼致します。わたくし、牡羊座のアルマティアと申します。」
女性が一人立っていた。が明らかに人間ではない。
「おー、久しぶりだな。ザッと6000年ぶりか?」
「?申し訳ありません。あそこに入れられる前のことは何一つ………」
何も申し訳無さそうな感じもなく淡々と話すアルマティア。
「そうかそうか。相変わらずみてーだな。そんじゃ一、ほれ。」
ジローが一つぶのコアをなげた。それは赤く、普通のコアより大きい。
「ありがとうございます。では、行って参ります。蟹座の完全復活の為に……」