ロロは目的地となる山にある小さな社にいた。
「カシャネコー!いるかい!」
社の扉を開けロロが声をかける。
そこには巨大とは言えないが大きなクリスタルがあった。
『うっさいわ!………って、ロロ様!?』
関西風のイントネーションでクリスタルから声がする。
「元気そうでよかったよ。それはそうと、前のお願い覚えてくれてるかい?」
「勿論やで!と言うか第三次大戦が始まるには早くありません?」
「ジローが思ったよりも早く動き出してね…そう言う訳で直ぐに行こうと思うんだけど大丈夫かい?」
「勿論や!」
その言葉と共にクリスタルは一枚のカードとなりロロの手に収まる。
「さあ、彼等の元に行こうか………もう時間がない………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
修学旅行も終わり地元へと帰ってきた一行。そして、桐崎は感覚的にはおよそ一年ほど前は毎日のように通った道を学校から歩いていた。懐かしく思える道を見渡しながら歩くとふと気づいた事がある。
(何だか不良みたいなのが増えたわね。)
確かに増えた……と言うか多すぎる気もするが桐崎はどうでもよくなった。
『トシさーん!どこ行くんですかー!』
前方から元気のいい男がトシなる人を呼ぶ声がする。
『………だ……んだ…………ぞ』
遠くから聞こえるトシという男の声はあまり聞き取れない。が、それなりに不良グループで立場が上なのだろう、敬意を払われているのは桐崎からも見て取れる。その男を含めたグループが道の向こうから歩いてくる。
「それがたかだかA級がスタジアム一つを乗っ取ったそうでして………」
下っ端の声が聞こえる程まで近づいてきていた。
「いーじゃねーか。どうせ兼続辺りが締めるだろーによ。つーかあいつらどこ行った!群青早雲もいねーじゃねーか!」
トシは興味なさげに手を振る。
それにしても聞いたことのある名前だと桐崎は思った。
(兼続……兼続……)
考えにふけっているとトシと肩がぶつかった。
「兼続………あ!修学旅行中にいたやつ!」
肩がぶつかったことを気にしていない桐崎。
だが、肩がぶつかったことで気が桐崎に向いたトシは桐崎の言葉を聞き逃さなかった。
「おい、兼続に会ったのか?」
「え?会ったわよ?」
「何処でだ?」
「たしか、奈良よ。」
その言葉にトシは驚く。
「そんなとこにいんのかよ。分かったよ、久々にやってやろーじゃねーか。」
「トシさん!」
「場所はどこだ?」
「凡矢理から南に1キロ位です。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
凡矢理の南端のスタジアム
「ここか?」
トシが取り巻きに聞く。
「はい、たしか名前は立花タメル。剣獣使いの小僧だそうです。」
「そうか、行くぞ!」
・・
「おーい!立花タメルは居るかー?」
取り巻きの一人がタメルを呼ぶ。が………
「もう勘弁してくれ!」
返ってきたのはそんな情けない声だった。
「あらあら、そちらからけしかけてきましたのにもうギブアップですの?」
そして、もう一つ、丁寧でかつ、高圧的と取れる声がする。
「立花タメルってのはどいつだ!」
トシの取り巻きがお構いなしに声を荒げる。
「僕がタメルだがもうこのスタジアムを占拠するのは止める!もう帰る!」
タメルは相当そばの女の子にこっぴどくやられたのか涙を浮かべそばにいた少年達と逃げてしまった。
「あらあら、たかだか10戦で音を上げてしまうだなんて退屈ですわね。」
「?テメェ、あのA級に10戦して何回勝った?」
トシが女の子に聞いた。
「全部ですわ。」
「そうか、だったら俺とバトルしねーか?このスタジアム、今はお前が占拠してるって事でいいんだよな?」
「占拠とは人聞きの悪い……あの方から頂きましたのよ?」
「そうか、んで?バトルすんのか?しねーのか?」
「慎んでお受けします。」
「こい!炎獣王!」
「「ゲートオープン!開放!!」」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「そういや名前を名乗ってなかったな。俺は炎利家。お前は?」
「私は橘万里香と申します。」
「?確か半年前に行方不明とかで騒ぎになった名前だな。」
「もうどうでもいいですわ、そんな事。では私のターンからですわね。ポーンダイルを召喚!ターンエンド。」
「紫のスピリットか…次はこっちのターンだ!ヤイバードを2体、連続召喚!アタックステップ、ヤイバード、アタックだ!」
「ライフで受けます!。」
「もう一体のヤイバードでアタック!」
「それもライフで。」
「ターンエンドだ!」
「次は私のターンですわね。メインステップ、ボーンダイルは白のシンボルを2つ追加されます。ジャコウキャツトをLv2で召喚!召喚時効果でヤイバードを手札に、紫の連鎖で一枚ドロー!さらに、ネクサス、水銀に浮かぶ工場島を配置。ターンエンドです。」
「攻めてこねーのか?ならこっちはどんどん行くぞ!」
「まったく、さっきの方と言い考え方が野蛮すぎますわ。」
「誉め言葉として受け取って置くぜ。ヤイバードを最召喚!ヤイバードでアタック!」
「ジャコウキャツトでブロック致します。」
「くっ!ヤイバードはやられたが破壊時効果だ!ソウルコアが乗ってたからボーンダイルを破壊だ!さらに、ヤイバードでアタック!」
「それはライフで受けますわ。」
「ターンエンド。」
『やったぜ!これでライフは5対2!どんどん言っちゃってください!トシさん!』
「私のターンです。ソードールを召喚します。そして、白き機獣の王者!此処に来たれ!黒皇機獣ダークネスグリフォンを召喚します。召喚時効果でヤイバードを手札に戻します。」
「ちっ!またか、」
「更に連鎖で2枚ドロー!そして、弩弓獣クロスボンゴを召喚!コアはソードールから、確保します。そのまま黒皇機獣ダークネスグリフォンにブレイヴさせ、Lv2にアップ!アタックステップ、黒皇機獣ダークネスグリフォンでアタック!ブレイヴアタック時効果でターンに一度回復します。」
「ダブルシンボルか、ライフだ!」
「ジャコウキャツトでアタック!」
「そいつもライフだ!」
「黒皇機獣ダークネスグリフォン、ブレイヴアタック!」
「S級バトラーなめんじゃねー!フラッシュタイミング、マジック、覇王爆炎撃!ブレイヴスピリットを破壊する!」
「それではコスト6以上の白のスピリットが破壊されたことにより手札から、黒天弧ネガナインテイルをノーコスト召喚!」
「弩弓獣クロスボンゴのアタックはライフだ!」
「先程、S級バトラーを舐めるなと仰いましたね?」
「それがどうした!」
「この程度ですか………S級バトラーと言うのは……」
「何だと………?!」
「黒天弧ネガナインテイルでアタックします。」
「ふん、ライフで、受ける!」
橘ーwin
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お前!今回はトシさんがキースピリットを出せなかったから負けたんだ!次に覚えてろ!」
取り巻きが橘に怒鳴りつけるように言った。
「次ですか………平和で良い言葉ですね……。それよりも私の勝ちですわ。ですがこのスタジアムに興味はございません。ご自由にお使いください。」
「お前はそれでいいのか?」
トシが聞く。
「はい。あの少年よりはマシなバトラーで良かったです。では私はこれで。」
橘はお辞儀をして帰って行った。
「クソっ!何やってんだ俺は…………!」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
それから2日。凡矢理高校にて、
「では、暫く副担任で回していたこのクラスで担任を勤めさせていただきます。奏倉羽と申します。」
楽達の通うクラスに結婚を期に学校を辞めたキョウコ先生に変わり新しい先生が自己紹介をした。それはそれは美人な先生で男子共が盛り上がる。
「ユイ姉~。」
集がユイに手を振る。
「ねぇ、知り合いなの?」
少し離れた場所で桐崎が楽にそう訊ねる。
「あぁ、小さい頃こっちにすんでいて仲良かったんだ。」
楽が簡潔に説明した。
「へぇー。あいつとはどういう関係なの?」
あいつとは恐らく集の事だろう。
「うーん……」
『集くんお手!』
『はい!』
「主従関係?」
そんな感じでクラスがワイワイ盛り上がってきた頃、
”ガラッ”
と、教室のドアが開いた。
「どれだけ待たせるんですか!」
一人の男子が入ってきた。と言うか見たことがある。いや、楽は今朝も会った。彼は修学旅行から帰ってきてから楽の家で居候する事となった柄の悪い青年。名前は日落昇ヰ。紫のソードアイズの男だ。
「あ!忘れてた。」
ユイがサラッと酷いことを言う。
「忘れてたって………いや朝も顔合わせたじゃないですか……楽の家で。」
「「「楽の家で?!」」」
クラスの半数がハモった。
「ん?ああ、俺楽の家で居候させてもらってんだ。」
ショウイが説明をする。がしかし、
「そこじゃ無いわよ!」
「そうですわ!この方がなぜ楽様のお家に!」
桐崎と橘が口々に言う。
「何でって……この人も昨日楽の家に来て居候するって言ってたぞ。」
ショウイが説明した。それによって桐崎と橘が騒ぎ出しかけた。が、それもユイの言動によって遮られる。
「あ~!千棘ちゃんに万里香ちゃんだ!懐かしいー!」
そう言ってユイが橘に抱きつきに行く。しかし、橘はとてもいやそうな顔をする。
「ひ………人違いですわ……」
そんな事を言いながら目が泳いでいる。
「えー。絶対そうだよ!お父様が警視官の、」
「そんな事より俺はどうすればいいんすか?」
ショウイが痺れを切らして少し大きめの声で言う。
「あぁ、そうね。先ず自己紹介をしてもらいましょうか。………と、その前に皆席について!今日はなんと転校生がいます!」
ユイが仕切り直してそう言うが、
「いや、もう分かってるでしょ!」
楽が突っ込んだ。
「言ってみたかったのよ。それじゃ、自己紹介してね。」
クラスメイトが席につき、ショウイが教壇に立つ。
「日落ショウイだ。今は楽のところで居候をさせてもらっている。」
ショウイが簡潔に自己紹介した。そして、クラスの女子が手を挙げた。
「どこから来たんですかー?」
返しづらい質問がきた。
「……………個人情報です………」
そう答えると他の女子が、
「好きな物は何ですかー?」
「えー、そうですね……。食べ物なら……柿ピー?」
正直こっちに在るものが分からないショウイは昨日食べたものを答える。
「へー、渋い~!」
「目つきとか鋭くてカッコいいね!」
実際ショウイはブラックな世界で生きてきたからそこら辺の高校生とは目つきが違うが見た目は上の中と言ったところだろうか。背は166と普通だが。
「それじゃあ後ろの席に座ってね。」
「分かりました。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
職員室にて、
「奏倉さーん。お昼一緒しませんか?」
レティーがユイに誘いをかける。
「良いですよ。」
「ありがと、」
レティーは教員用の休憩室の椅子に腰掛けた。
「あの、良かったんですか?私が来る前はレティーさんが担任をするはずたったんじゃ?」
ユイが申し訳なさそうに言う。
「?あー、いいのいいの。私実は教育実習とかしたことないし担任する自信なかったんだよね。とりあえず、楽君達のそばに居なきゃいけなかったから此処に就職しただけでむしろ引き受けてくれてありがとーってかんじだよ。」
「そうなんですか。それなら良かったです。それともう一つ良いですか?」
「なに?」
「あの子達が居ない間って何があったんですか?」
「グフッ!」
レティーは想像していなかった質問に卵焼きを吹き出しかけた。
「大丈夫ですか!」
ユイはおろおろとてを振る。
「大丈夫、ちょっとビックリしただけ。なかなか鋭いね。あのクロード君もただの途中で保護してきた無職だと思い込んだのに。」
「そうですか。それより………」
「分かったわよ。長くなるけどいい?」
「大丈夫です。次、授業無いので。」
「そうね。先ずは………」
レティーは異世界で起こったことを話し始めた。そして、鶫と小野寺のいない理由として………
ーーーーーーーーーーーーーーーー
フワフワと、またポツンとした世界に眠っている小野寺は浮いていた。そして、ふと目が覚める。
(ここ何処だろう?)
辺りには何もない。いや、ソードブレイヴが一本だけ側にある。だが白い空間が何処までも続いているだけだ。
(私……死んだのかな……?)
そう思うと改めてぞっとする。得体の知れない恐怖心から逃げるように小野寺はそこにあるソードブレイヴを抱きしめる。
でも不思議と孤独感は無い。そこに誰が居るような…そんな気がする。
(皆、助けてくれるよね。)
そう思い、小野寺はまた眠りについた。
「一条君…………」
思い人の名前を呟きながら。
感想待ってます
次回もよろしくお願いします。