プリコネRe:Dive美食殿√ホモエンドチャート   作:マイルドファイア

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プロローグ裏

 

「モトム、君も今日で10歳だ。まだまだ成人までは時間があるが、

今日この日は一つの節目として君の誕生を祝おう。おめでとう」

 

 

この日は俺の誕生日だった。

 

 

ロストと呼称される現象により、

親兄弟が存在しない俺はランドソルの辺境にある村に籍を置く養父に引き取られた。

 

彼は元商人の出だったが、わけ合って商人を辞め、冒険者になった。

 

それも昔の話、今は独り身でこの村に住み村のご意見番となっている。

 

そこへ俺が引き取られてから今年で五年が経つ。

 

養父は過去に商人であったものの、一人で魔物の山を作るくらい武勇に秀でていて近所の子供からも憧れの的だった。

 

俺もそんな養父を憧れて槍術を見様見真似で鍛えている。

 

結果は無残なものだが、時々養父から指導してもらえている。

 

年齢は聞いても教えてもらえなかった。

俺よりも低い身長ではあるがその物腰と立派な髭から父というよりも祖父といった具合で呼ばせてもらっている。

 

 

質素ではあるが祝いの席でしか食べられない肉料理に美味しさから舌鼓を打った。

 

 

「明日からは時間があれば槍術と…そうだね。魔法も教えようか」

 

 

その言葉に俺は目を輝かせた。

 

が、自分の魔力の才能のなさを思い出して顔を伏せた。

 

 

「魔法については生まれ持っての才覚に左右されるところが大きいからね。

だけどモトム、大事なのはその力を何に使うかだ」

 

 

養父はフォークとナイフをテーブルに置いて真剣な声色で続ける。

 

 

「大きくなって君がもしも世帯を持つことになった時、

その力を守るために使いなさい。守るための強さを鍛えなさい」

 

 

彼の言い方には含みが感じられたが、俺は難しい話は得意ではなかった。

 

自分も養父のようになれるのだろうか、と返答した。

 

 

「…なるなとは言わないが、私のようになるのは少し複雑な気持ちだよ。

私も昔は血の滲むような鍛錬をした。無茶を重ねて体を壊したこともあった。

私には力を手に入れる目的があったからね。

抑止力の話は覚えているかい?」

 

 

養父は商人であるが故に強盗に家族を殺された。

 

 

「事が起きてからでは遅すぎる。

全ては未然に防がねばならない。

必要なのは財貨ではなく、武力。

強盗をしようという考えすら抱かせぬ、圧倒的な武力だ」

 

 

だからこそ彼は商人を辞めた。

 

 

「そうして辿り着いた答えが武力という抑止力だった。

ただ一つ言うならば私は青春の全てを捧げてこの強さを得た。

父や母は私がこんな道に進むだなんて夢にも思ってなかっただろうね。

きっと私は親不孝者だ」

 

 

「だからできれば君には私のようにはなってほしくない。

普通に生きて普通に世帯を持って、幸せに生きて欲しい。

それが今の私の幸せで、これからの君の幸せになると願っているよ」

 

 

「君も大人になればわかる。大人は子供を守るためにいるんだ。

どんなかたちであってもね」

 

 

「さて、これ以上のお喋りは折角の御馳走に悪いね。

食べてよく寝て、明日は早く起きようか」

 

 

少し濃い味付けだが、夕飯はとても美味しかったのは覚えている。

 

 

 

 

轟音と共に目を覚ました。

 

ベッドの中から辺りを見渡す。窓の外が不自然に明るい。

 

隣のベッドに寝ていたはずの養父の姿が見えない、どこへ行ったのか。

 

妙な胸騒ぎと好奇心に突き動かされ、ベッドから体を起こした……

 

 

身一つでは心許ない。

 

刃が通っていない自分の槍を手にする。

 

その時気が付いた。養父の槍がない。となれば先に槍を手に外へ出ているということだろう。

 

養父がいれば万が一はない。

 

後学のため、養父の武勇を見れる機会なのではないかと思った。

 

自分にも危険が降りかかるかもしれない、なけなしの勇気だけを胸に家の外へ飛び出した。

 

 

外には誰もいなかった。

 

夜のはずなのに明るい。白い光が村の外れからここまで照らしていた。

 

町全体から人の気配がしない。眠っているだけのはずはないが、確認している暇がない。

そうだと信じよう。

 

光に近寄るが養父の姿はどこにもなかった。

 

地面に大きな穴を空け、光を放つ何かがその中心にある。

 

流れ星が本当に落ちて来たのではないか、とそんな馬鹿げた想像をする。

 

近付いてそれを手にする。

 

熱はあまり感じない、大きさは拳大くらいだ。

 

 

「モトム! 無事かい!?」

 

 

掌に乗せてそれを眺めていると養父が慌てた様子でこちらに走ってくるのが見えた。

 

 

「大きな音がしたから急いで村に戻ってきたんだ。

それは一体、触っても大丈夫なのかい?」

 

 

これが空から落ちてくる前に養父は家を出ていたのだろう。

 

大丈夫だと伝えようとすると大きく地面が揺れた。

 

立っていられないほどの強い地震だ。

 

 

「揺れが収まらない、やはりソルの塔で何かが」

 

 

夜空が白く光り出す。

 

自分の持っている光る何かよりも強い光が辺りを照らす。

 

 

気が付けば自分の周りに円状の壁ができていた。

 

養父の魔法だ。

 

 

「そこにいれば安全だ。決して動いてはいけないよ。いいね?」

 

 

地震と光がすべてを飲み込み、最後に見たのは養父が光となって消える瞬間だった。

 

 

 




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