妖精空間漂流記【完結】   作:ひえん

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そろそろ終わりが見えてきました。


特殊戦は健在なり

 メインディスプレイの中のこの映像は録画されたものだろうか?画面の中ではフォス大尉とブッカー少佐が司令センター内で話し合っている。

 

「少佐、MAcProⅡの行動予想結果について、どうも引っかかる点がありまして…ここですね、『ジャムは何かしらの欺瞞手段を用いて、FAFのコンピュータ群を正常ではない状況に追い込んで性能を低下させる。そして、FAFを自滅に導く戦術を使用するだろう』…そして、この予想に付帯したコメントなのですが、『ジャムは人間ではなく電子的や光学的手段で機械に幻覚を見せる方法を選ぶだろう。しかし、それはその方がジャムにとってやりやすいからであり、本当は人間そのものに欺瞞情報を受け取らせたいと考えている可能性が高い』とあります。人間そのものに…の部分をどう解釈すればいいのか判断できなくて」

 

 このフォス大尉の発言に何かが混じっている。ノイズのように何か声が混じっている。これはフォス大尉の呟きだ。零はそう気が付いた。すると、画面が再び止まり、会話も止まる。しかし、呟きだけは続く。

 

 人間に直接欺瞞情報を入れる?どうやってなのか?どう考えて解釈を出せばいい?しかし、方法についてMAcProⅡは答えない。ジャムが何をしてくるかについては我々人間が考える必要があるだろう。MAcProⅡには人間のように膨大な知識や経験はないのだ。その為、本来のMAcProⅡはマークBBという巨大なデータベースに接続、そこの膨大な行動データ集を得て使用するものである。だが、ここFAFでは地球にあるそれには接続できない。そして、MAcProⅡは元々予想する為のソフトウェア、推測に推測を重ねるような質問事項には回答しないように作られている。それでも、こちらが考えもしないような回答を出してくる事がある。そういう場合はよくその内容を検討すべきだ。それこそこのツールの本質といってもいい、凝り固まった自分の常識を広げてくれるツールでもあるからだ。その時の私もそのように判断した、これは検討に値すると。もし、ジャムがこれをやってくるとしたら、どのような手を使ってくるだろう?

 私はこう考える。ジャムがそれを実行する場合、ウイルスや細菌、化学物質による人間の神経に対する直接攻撃はしてこないだろう。機械に対して妨害行為や欺瞞情報を与えてくると予想があった。よって、それを捉えるセンサやシステムを破壊することはない。機能を破壊してしまっては欺瞞の意味がないのだから。ジャムは機能そのままの状態で味方を敵と誤認させるような手を使うはずだ。ジャムはFAFを自滅させる為に既存のシステムをそのまま利用してくる。よって、ジャムは人間の持つ生物的なセンサに対して何かしてくるだろう…

 

 そして、また映像が動き出す。会話が再開する。

 

「つまり、ジャムは人間の五感や神経系そのものを狂わせるわけではなく、その機能をそのまま利用して錯覚を起こさせたい、ジャムがそう考えているのだと、MAcProⅡはそう言いたいのだろうと私は解釈しました。しかし、具体的に何をやるのか、それは私には見当もつきません。少佐はどのように考えますか?」

 

 画面の向こうのブッカー少佐はそれを聞くと、少し考えてから言った。

 

「そうだな…それはトリックを仕掛けるという事だ。心理トリック、ミステリの謎解きと同じ。犯人がその場にいるのに読者はそれに気が付かない、そういうものを考える推理作家と同じ能力が必要だ。見ていて当たり前と思っていた世界が視点を変えたら実は異様な状態だった…そんな心理トリックを使った傑作作品は多い。だが、ジャムには人間の常識的な視点が理解できているか怪しい。よって、同じ事はできないと思う。それでもやるとしたら…物理的なトリックを使うかもしれない、道具を使うような。しかし、ジャムはコンピュータには幻覚や錯覚を見せることができる…つまり、既にコンピュータには心理的トリックを使用している可能性があるとも考えられる。フム、なるほど」

 

 そのブッカー少佐の話が終わると、画面はまた止まる。そして、フォス大尉の呟きがまた流れ始める。

 

 ブッカー少佐がミステリの話をしてくるとは意外だった。彼は読書家だ、読んでいても不思議ではない。ただちょっとジャンルとしては意外だっただけだ。しかし、そのような知識を出してくるというのは、実に彼らしい解釈ではある。そして、それならばMAcProⅡのコメントに対しても筋が通る。なるほど、と私も素直に思う程だ。今現在、パイロットや地上職員のような人間にはジャムによる錯覚を起こすような操作、攻撃は受けていないと思われる。しかし、ジャムがそれを実行したいとする場合、心理的トリックを使えないなら物理的トリックを使ってくる可能性は高い。だが、物理的ならどのような道具を使ってくるか、それが謎だ。もしや…今、深井大尉が捕まえようとしているジャム機がその道具か?そう考えると…いや?なんという事だ、こんな考えが急に浮かぶなんて…まったく考えも及ばないような話だ。これは要検討事項に間違いない。しかも、事態は急を要する。今すぐにでも動かなければならない程の。MAcProⅡはジャム機の捕獲について、私とは違う判断を下すかもしれない。それは…

 

 呟きはそこで途切れた。ヘルメットのスピーカーからは何の音も出ない、完全なる無音だ。そして、零とほむらは同時に呟く。

 

「今のはいったい…?」

「分からん」

 

 そして、零は考える。先程の呟きはもしかするとフォス大尉の心の声なのかもしれない。彼女が心の内で考えていた内容。しかし、これを流す意味とは?雪風が捉えた現実というものがこれだったのか、それとも雪風が作り出した創作か。まず、今の会話は実際にあった会話なのだろうか。だが、今の映像は生中継でない事は確かだ。内容から察するに、これは過去の話だ。自分がジャム機とぶつかったと思われる事象よりも前の話である。そう考えていると、無線から声が聞こえた。

 

「こちら特殊戦司令センター、エディス・フォス大尉です。聞こえますか?」

 

 メインディスプレイにはフォス大尉の姿が映っていた。ヘッドセットを付け、身を乗り出してカメラの位置を調整している様子が見える。

 

「深井大尉、聞こえますか?」

「こちらB-1、深井大尉。聞こえている。感度良好、映像も映っている。こちらは今、雪風機内。後席にはほむらもいる」

「こちらで状況は把握しています。今の映像は司令センター内でも流れていました。ええと、あれは実のところ事実です。あの独り言には確かに覚えがありますから。私はあの時、いつもと違って不思議と思考の流れがやたら奇麗に意識できていた気がする…いつも考える時はもっと断片的というか、筋道がしっかりしたものではないのに。あの時ばかりはまるで誰かに説明しているような感じ、確かにあの呟きは自分の考えを再現したものに間違いないわ。とても信じられないけれど。この状況は…雪風に私達の心の奥底を全て見られている、医師としてとても使いたくない表現だけど、この言葉が一番しっくりくるわ」

「フムン。これだけ奇妙な事が起きているんだ、俺にはそこまで不思議と思えないよ。エディス」

 

 フォス大尉はため息をつきながら言う。

 

「実に深井大尉らしい反応ね、間違いなくあなたは本物よ。でも、私には天地がひっくり返るような衝撃だったの。でも、いいわ…あなたには私の受けた衝撃なんて関心がないでしょうからね。あなたが関心のありそうな話にしましょう。この現象がいつの時点で発生していたかについて」

「なんだと?」

「さっきの会話から考えると、雪風はジャム機を捕獲しようとしたあの時よりも前から私達の心の内を読むことができたのではないか…そう思ったのよ。つまり、あのジャム機と接触する前からこの異変は発生していたの。よって、あのジャム機に物理的トリックなんて仕組んでなかった。そうなると、事前に考えた予測が全てひっくり返ることになるわ。MAcProⅡの結果も考え直さないといけなくなるぐらい」

 

 零はフムンと頷いて言った。

 

「つまり、エディスの賭けは大外れだったわけだ。まあ、そっちの心理的ショックはともかく。こちらとしては、ジャムの思惑も解釈の問題に過ぎない。肝心なのは雪風だ。こんな事をして、俺達に何をさせたいのか。これから何をさせたいのか…これを知る必要がある。ところで、ブッカー少佐はそちらにいるか?」

「いえ、少佐は見当たりません」

 

 すると、無線に別の通信が入り込む。

 

「零、私だ。フォス大尉に八つ当たりするのはやめておけ。それと…雪風が望んでいるのは変わらない、会議を続けることだ。戦略会議の続行だよ」

「ジャック、今どこにいるんだ?」

「特殊戦メインエレベーター、それに乗って降下中。おまえ達の会話はここでも流れている」

「今のジャックにこれまでの話は通じる。それでいいんだな?」

「ああ、記憶は連続している」

「しかし、なんでそんな所に」

「知らん。だが、変な所でないのが救いだ。知らない所に放り出されたら絶望的だろう」

「確かに」

「今の状況は…まるで同じ事を繰り返しているような気分だ。鹵獲ジャム機と雪風の様子を見るために外に出た辺りに近い。さっきまでトロル基地のスクリーンの前にいたのに、気が付いたらこれだ。記憶は連続しているだけに奇妙な感覚だ。おそらく、私がいるべき場所という概念がトロル基地からここに変更されたんだ。そう解釈できる。まあ…とりあえず、私は無事だよ」

「了解した、少佐」

「こちらブッカー少佐、今から司令センターに戻る」

「了解。エーコ中尉から報告です、少佐がエレベーター内にいる事を確認した、と」

「分かった。これもデジャブだな。そうだ、クーリィ准将は司令センターに戻っているか?」

「少佐、もう一度お願いします。聞き取れません」

 

 すると、無線が途切れた。そして、再び呟くような声が聞こえる。今度はブッカー少佐の声だ。

 

 行方不明になったのは深井大尉の方ではない。むしろ、我々特殊戦の方だ。准将が深井大尉に雪風を探せと命じたのは、我々特殊戦を見つけ出してほしいという意味を込めたメッセージだったに違いない。

 

「これは、そうだ。そういう事か」

 

 呟きを聞いた零はそう言った。

 

「どうしたの、大尉。私にはさっぱりよ」

 

 ほむらはその一言について尋ねる。

 

「これはどこかの時点で少佐が心の内で思った事を、雪風が再現して流した音声だ。この音声を流す事で雪風はこう言いたいのだろう。確かに特殊戦全員を見つけ出したぞ、と」

「つまり、特殊戦の不確定性が消えて、あるべき場所に皆が揃ったと言いたい訳ね」

「そうさ、これは准将のメッセージを果たしたという宣言だ」

 

 すると、無線が復活し、ブッカー少佐の声が聞こえてきた。

 

「エディスの言った衝撃が実感できた、驚いた。確かに、私は過去にそう考えたよ。これは本当に心の内を全て読まれている。いや、違うな。自分の気持ちを雪風に分かりやすく説明していたんだ、無意識のうちに。気持ちを言語化させられている、雪風にそう誘導されているんだ。今も継続して、だ」

 

 そこで無線が止まる。メインディスプレイの画面も変わる。また、雪風が再現した映像に切り替わったのだ。そして、その再現された司令センター内でブッカー少佐が話し始めた。

 

「雪風帰還せず、この結果を受けてMAcProⅡは計算が止まってしまった。つまり、これ以上予測できないという事だが…フォス大尉、これはどう考えればいい」

「ジャム機の捕獲成功と雪風帰還せず、この二つの結果が両方起こるという事をMAcProⅡは予測しなかったのです。よって、想定外の結果にこれ以上の計算ができなくなりました。ここから先は更に事実…今まで起きた結果を入力しないといけません。しかし、どちらか片方の結果しか実際起きていなかったとか、ジャムは雪風と深井大尉の分離を狙っている事実が無かったとか…前提条件が誤りだったという事実があれば、MAcProⅡの状況は変わりますね。ある時点から計算をやり直す事になります」

 

 それを聞いて誰かが話し始めた。これはクーリィ准将の声だ、画面には映っていないが。

 

「ジャム機と雪風が入れ替わったと考えた方が矛盾もなく、自然に思える。MAcProⅡが出したあの結果は信用できるの?」

「これはレトリック…文章上の表現です。そう考えてください、准将。これを解釈して隠された意味を見出すのが私の役目です」

 

 画面に映るフォス大尉は動いていない。だが、もう気にする必要はない。これは再現であり、雪風の視点から見た映像なのだ。零はそう考える。

 

「では、その解釈とは?」

「ええ、そうですね…ジャムの狙いが深井大尉と雪風の分断であるという予測が正しいとすると、素直にやってきたあのジャム機は罠でしょう。それこそ、MAcProⅡの予測に対する解釈について少佐と話した、人間に対する欺瞞情報を与える手段。その為のトリックを使うでしょう。心理的ではなく、物理的な」

「その話については私も聞いていたわ」

 

 准将が言う。そして、フォス大尉が振り返った。それを見た零は気づく。画面の中の映像はいつの間にか今現在のものに変わっている事に。

 

「今の状況は異常だと雪風も感じ取っており、それを解消する為のヒントをこれまでの会話の中から探そうと、雪風はそう提案したいのだろう。私はそう考えるわ」

 

 准将がいつも通りのはっきりした口調で言う。そして、零は無線に対してこう言った。

 

「そうだ、フォス大尉。雪風はMAcProⅡで再計算する事を望んでいるんだ。雪風はジャム機の捕獲を行えなかった。そして、ジャム機がフェアリイ基地に着陸したのはこちらに投降する意図ではない。だが、それがどういう狙いかまでは分からん。そして、ジャムの狙いが俺と雪風を分離するつもりだったのならそれは失敗だ。現に俺と雪風の繋がりは保たれたままだし、ますます強くなったと思える。逆に、それが狙いだったとも言えるかもしれない。この俺の意見も加えて再計算してほしい」

「了解。これはふと思った仮説だけど、ジャム機が着陸した理由はほむらちゃんかもしれない。彼女の位置を定める為に」

「かもしれない。そこまでやったからには何か意味があるだろうな」

 

 准将が命令を出す声が聞こえる。司令センターはある程度落ち着いたと考えていいだろう。さて、ここからどうするか。零がそう考えた時である。アイが何か言ってきた。

 

「さて、私達はそろそろ帰還しましょうか。ここから先はパイロットの仕事でしょう」

 

 それを聞いたほむらは聞く。

 

「帰る?司令センターに戻るというの?」

「そうですね。雪風とSTCから頼まれた私達の任務は完了しましたから」

 

 要請された任務はトロル基地で深井大尉とブッカー少佐を護衛する事。アイの言う通り、それは正に達成された。このまま雪風機内にいても深井大尉と飛び回る事になるだけだ。

 

「だ、そうよ。深井大尉、私は一足先に帰還するわ」

「そうか。しかし、大変な目にあったな」

「ええ、帰って休みたいわ…」

「まあ、もうしばらくの辛抱だろう。司令センターに行けばどうにでもなるさ」

「そうだといいけど」

 

 そして、アイは言う。

 

「では、帰還しましょうか」

「深井大尉、幸運を」

「そっちもな、グッドラック」

 

 そして、ほむらは消えた。おそらく、あの人工知能がほむらの位置を雪風機内から司令センター内に定めたのだろう。しかし、妙だ。ブッカー少佐の場合は位置の移動でも場面に前後の繋がりがあるような話をしていた。だが、ほむらの場合はそんなものも関係なく移動している感じがする。もしや、オカルト的存在だったというあの人工知能の力だろうか?零がそう考えていると、無線が鳴った。

 

「MAcProⅡにデータを入れるのは簡単だ。だが、何を入力するか。それが問題だろう…おっと、零。こっちが見えるか?」

 

 ブッカー少佐がメインディスプレイに映る。司令センターに戻ったのだろう。

 

「ああ、よく見えているよ。そっちは落ち着いてきたみたいだな。ほむらがそっちに行ったぞ」

「何?…まだ見当たらないな。こっちは部隊としては落ち着いてきた、日常には程遠い状況に変わりはないが。ジャムは面倒な手を使った、時空や物質の在り方…つまりこの空間そのものを無茶苦茶に書き換えたんだ。それが連中の仕掛けたトリックだ。それは物理的であり、心理的な面も含む。しかし、タネがあるならやりようはあるだろう。この空間を脱する手、その方法は何かしら必ずあるはずだ。だが、MAcProⅡでは答えは出せないだろう。よって、今現在の状況をどう解釈するか、それが肝だ。フォス大尉の考えだと、いつジャムがこの攻撃を仕掛けてきたか、それが重要だと」

 

 フムン、と零が呟く。すると、後席から声が聞こえる。ほむらは消えたはずだ。いったい誰が?

 

「それなら、自分が役に立つかもしれませんよ。大尉」

 

 零が振り返って後席を見ると、そこには桂城少尉がいた。そして、機内に鳴り響くエンジンの轟音。レーダーが何かを捉えた警報音も鳴り響く。急に体にのしかかるGと下半身にGスーツの圧がかかる。間違いない、今は飛行中の状態だ。それを認識した零は反射的に操縦桿とスロットルを握りなおす。そして、レーダーを見て気が付く。ああ、今は空戦中だ、と。

 

 

 

 ほむらはハッと意識を取り戻す。そこは特殊戦区画内の通路であった。そして、端末に繋いだイヤホンからアイが声をかけてくる。

 

「無事帰還しましたね」

「そうね。でも、この移動方法って本当にブッカー少佐と同じものなのかしら?」

「厳密には違います」

 

 そして、アイは言う。

 

「私だってウワサと言われたちょっとした怪異ですからね。なので、ちょっとイカサマを使ってみただけです」

「イカサマ?」

「元の世界と同じ能力を使える可能性を手繰り寄せた、という事です。それでデジタル空間…厳密には結界内と同じ要領で物体の座標をいじっただけですよ。まず、元の世界の力は『結界内で使う事ができる』と条件を与えます。そして、結界を『自分の存在する空間』ととりあえず解釈します。次に、フェアリイ星…この歪んだ空間にその解釈をちょっと強引に当てはめて、今自分のいるこの場所を『自分の存在する空間』とする事で力を使う事ができる条件をとりあえず満たしたのです」

「あなた、さらりととんでもない事やっているわね…」

「でも、流石にそれだけの可能性を拾い出して再現するには必要な要素が足りませんでした。よって、力を使うには特定の条件が必要という制限付きです」

「制限?」

「オカルト要素ですよ、例えるなら魔力のような。タイミングよく魔法少女というちょうどいい存在がこうして現れたので、そこからちょっと概念を拝借する事で力を実現する事ができました。まあ、この空間をどう解釈しようとこの星にオカルト要素なんてありませんからね、そのままだと何もできませんよ。なので、あなた相手にしか力を使えません。もっとも、他に魔法少女か魔女でもいれば別ですが」

「私限定か…」

「まあ、こうして無事帰還できたのだから問題ないでしょう。どうせ、この騒動が終わったらまた力も出せなくなりますし」

 

 そして、それを聞いたほむらは軽い疲労感で出たため息をつきながら司令センターへと入っていく。その後ろに紫色の靄が漂っている事に気が付かないまま。

 

 

 

「ふふ…やっと繋がった」

 




雪風は人間の思考からこの状況の解決策を探る。そして、それに気が付いた特殊戦の人間達も考える。

だが、妖精の空に異物が迫る。しかし、今はだれもそれに気が付かない。

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