妖精空間漂流記【完結】   作:ひえん

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想定外の初ミッション

 夢を見た。いや、これが夢と言えるかは微妙だ。その内容は過去のもの、両親が死んだあの事故の記憶だ。

 

 自分はあの日車に乗っていた。両親が運転席と助手席、自分は後ろの座席。もちろん皆シートベルトはしていた。車には最新の追突防止システムが積んであると聞いていたが、そんな実感は乗っていて感じた事は無かった。その時までは。

 前を走るトラックがカーブに差し掛かった所、突然その荷台の荷物が崩れた。そして、トラックはバランスを崩して横転、積荷と思しき大きな物体がこちらに降ってきた。そこからはよく覚えていないが、自分が何故助かったのか、ここからは後にお巡りさんに聞いた話である。

 車の衝突防止システムが落下物を検知、回避は困難と判定。急減速しつつ、そのまま乗員のシートベルトを締め上げ衝突に備えた。だから、君はほぼむち打ちだけで助かった、と。そう、自分は車のおかげでほぼ軽傷で生存した。だが、両親は助からなかった。車の前方は積荷の鉄材に潰されてしまった。そして、自分は家族を失った。

 

 そこで目を覚ます。ここはベッドの上、異国どころか異星である。

 

 ああ、そうだ。自分は学校から帰った後、自宅で公務員を偽った人に騙され、誘拐されて南極の通路の向こうに放り込まれたんだった。

 南極に超空間通路がある事は知識としては知っているし、その向こうのフェアリイ星で人類が戦っているというのはどこかで聞いたことがあった。だが、そこで具体的に何がどう戦っているのかまでは知らない。誰も興味が無かったのである。しかし、自分はそんな未知の場所に放り込まれてしまったのだ。ふと、時計を見る。すると、事前にFAFの職員から伝えられた起床予定時刻である。このまま支度を整える。周りを見渡すと様々な国籍の子供たちが同じく起きて支度を始めている。あの子たちも自分と同じような立場なのだろう。もっとも、言葉は通じないが。

 

「あの…」

 

 突如日本語で話しかけられた、言葉が通じる相手がいる。ホッとした瞬間だ、相手は女の子、同年代に見える。

 

「よかった、他に日本の人がいて…私は巴マミ」

「ああ、えーと…私は双葉さな…です。よろしく」

 

 この反応、この子はどうやら恥ずかしがりやな子なのだろう。笑顔を向けて安心させる。すると、さなという少女が話しかけてきた。

 

「これからどうなってしまうのでしょうか…?」

「分からないわ。でも、ここは国際的な組織だって聞いたからしっかり扱ってくれると思うけど」

「そうですよね、早く日本に帰れますよね」

「ええ。きっと、大丈夫。あなたももしかして…誘拐されたの?」

「ええ、家に帰る途中でいきなり…それ以降はよく覚えてないです」

「やっぱりここにいるのはみんな同じなのかしら」

 

 朝ごはんを取りに行こう、そう言った時である。更に背後から日本語が飛んできた。

 

「おっ、よかった。日本語が通じるヤツがいるじゃん」

「あら、あなたも一緒に行く?」

「ああ、日本語しか読み書きできないから困っててさあ。通じる相手がいてラッキーだぜ」

「私は巴マミ、あなたは?」

「ああ、オレは深月フェリシア。よろしくな。んー、そっちのそいつは?」

「双葉さなです。どうも」

「よろしくな。さて、飯だ。飯だ」

 

 フェリシアという少女は笑顔で自己紹介をしてきたのであった。

 

 そして、三人固まって朝食の配給を待っていると、FAFの職員がやってきて連絡事項を告げた。どうやら、大人数をまとめて管理するのは難しいので少人数ごとに分けるとのことだ。

 

「君たち…ああ、ちょうどいい。この三人で班になってもらう。で、この場所に移動して欲しいのだが」

「ええ、それは問題ないのですが…あのう、すぐに日本へ帰れそうですか?」

「うーん…我がフェアリイ空軍上層部は君たちが早く帰れるよう、国連に交渉して頑張ってる、とだけ言えるかな」

「そうですか」

 

 帰国について聞いてみたが、明確な回答がなかった。期待はできそうもない。

 

「ああ、そうだ。班ごとにプレゼントを一つ配っていてね」

「プレゼント?」

「これさ。話し相手になる人工知能を積んだ端末だ。ここのシステム軍団特製の高性能な代物さ、きっと役に立つはずさ」

 

 そう言うと、FAFの職員はタブレット端末を渡してきた。しかし、これからどうなるのだろう、配給の朝食を待ちながら巴マミは不安を感じていた。

 

 

 

 空中では訓練飛行を終えて帰投中の雪風が飛んでいた。しかし、帰投中でも零によるほむらへの安全講習は続いている。眼下にはフェアリイ星の紫色で金属光沢がある独特な質感の森が広がる。零からは様々な指示が飛び、ほむらは四苦八苦しながらもそれに対応する。

 

「方位300、ほぼ同高度に友軍機、目視したか?こちらに向かってくるか確認しろ」

「ええ、見えるわ。直進中…?こっちには来ない、離れていく」

「機体サイズは?」

「大型機かしら?戦闘機には見えないわ」

「ああ、輸送機だ。後部座席の乗員は機長のサポートをしなければならない。だから、必要に応じて機長の死角を補う必要がある。頼りになるのは己の目だ、これを忘れるな」

「分かったわ」

「では、そろそろ予定の着陸時刻だ。基地に降りるぞ。ギアが降りるか計器で確認してみろ」

 

「タワーからB-1、着陸許可」

 

 闇夜の中、訓練を終えた雪風は滑走路に降り立った。そして、そのまま自走して格納庫へと戻る。駐機後、ほむらは整備員の手を借りながら機体から降りる。2時間ぶりに地面へと降り立ったのだ。初めてのフェアリイ星の空と大地を見た感動を胸に抱きながら。

 

「深井大尉、ありがとう。滅多に味わえない経験だった…凄かったわ。あんな空や大地は初めて見た」

「フムン。感動するのもいいが、安全規則と非常時の手順もしっかり覚えておけ。いざとなったら使うことになるかもしれないからな」

「了解、大尉殿」

 

 そして、ほむらが飛行後の点検作業を眺めているとブッカー少佐が走ってやってきた。どうやら慌てている様子である。

 

「よう、零。問題なかったか?」

「ああ、こいつはなかなか丈夫だ。飛行機酔いもしてない」

「そうか、それはよかった。では、ほむら。今日の飛行についてレポートを書いてくれ。宿題はそれに変更だ」

「わかったわ。他の宿題は後日でいい?」

「ああ、大丈夫だ。それで二人とも。ちょっとこのまま別件で話がある。来てくれるか?」

「なんだ?もう、准将から呼び出しか?」

「いや、違う。それが…別の厄介事だ」

「別の?」

「ああ、フォス大尉やほむらの友達にも協力を頼む羽目になった」

 

 ほむらと零が顔を見合わせる。どんなトラブルが起きたのか全く想像が付かないからであった。歩きながらブッカー少佐は更に説明を加えていく。

 

「事情を説明すると…FAFに地球のどこからか大量の密航者が送り込まれた」

「密航者?」

「ああ、その内容が問題でな。全員子供、国籍はバラバラ、薬品で眠らされて貨物コンテナに放り込まれていたところをFAFが発見した」

「どう見てもただの犯罪被害者じゃないか。そんなものは送り返せばいいだろう」

「それが出来ればよかったんだが…そのまま地球に送り返すのを国連が嫌がった。身元不明な者をむやみに動かすと脱走兵が紛れかねないとかなんとか理由を付けて」

「なんだそれは、身勝手だな。地球の連中が見落として起こした問題なんだ、向こうで片づけるべきだろう」

「ああ、ごもっともだが…強引に送り返すと話がこじれかねない。上層部が国連に喧嘩を売りたくないからと、その子供の身元を証明できるまでFAFで預かることになってしまった。だが、身元を保証できる物を持った者が誰一人もいない。それに戸籍がちゃんとあるか怪しい者もいる。これは長引くぞ」

 

 ブッカー少佐の話を聞いたが、零は納得できない。そもそも、何故自分達に無関係であろうそんな話が来るのだ、と。

 

「で、それが俺たちに何の関係が?」

「ああ、人事の連中に面倒を押し付けられた。聞いて驚け、うちの隊にその子供を3人も放り込むと言ってきやがったんだ」

「うちはいつから託児所になった…だが、おかしいだろう。軍団全体で割り振るならともかく、たった一つの隊に名指しで複数人押し付けるなんて」

「ああ、問い詰めたが、連中こんなことを言い出した。特殊戦は先日シェフが一人戦死して人不足だと言っていたじゃないか。だから食堂で手伝いでもさせればいい、と」

 

 零の問いに対してブッカー少佐は投げやり気味に答える。

 

「雑な理由だな。この前の昼食会を持ち出すなんてこじつけもいい所だ」

「おそらくだが、他の部隊からの嫌がらせかもしれん…という事で、ほむら。特殊戦での初任務だ」

「話を聞いた限り、だいたい予想出来るのだけど」

「うむ、ご想像の通りだ。その三人の面倒を見てやってくれ。杏子には頼んである」

「分かったわ…で、そのやって来る三人は英語かFAF語は話せるのかしら?会話が出来ないとお手上げよ」

「ああ、三人とも日本人らしい。もう特殊戦区画内の応接室にいるからこれから会うぞ」

「つまり日本語と」

「ああ…そうなるな」

 

 日本語…元の時間軸では当たり前に使っていた言語である。だが、ここに来てから一度も話したことが無い言語だ。その為、きちんと喋る事が出来るか不安であった。部屋で地図帳を眺めた時、漢字で書かれた地名を理解することはできたが、下手をすると日本語をまともに発音できないかもしれない。なにせ、この体からは自然に英語が飛び出すのだから。

 

「ずっと英語かFAF語しか話してないから不安しかないわ」

「む、しまった。失念していた」

 

 FAF語とはFAF内で使われる言語の通称である。これは英語をベースとし、使用上困らない範囲で文法等を省き、無駄を切り捨てたものである。これによって、言語の習得を簡易化し、いかなる国籍の人間でもこの星で戦争することが可能となっているのである。

 

「そうだ、零」

「ノーだ、ジャック。俺もFAF語ばかりで日本語がもう怪しい」

「まあ…杏子やフォス大尉もいるからなんとかなるだろう。多分」

「そもそも、この件は俺がいなくても何の問題も無いだろう」

「その後に桂城少尉の件で話があるからそのついでだ」

「そっちを先に話してくれるのなら俺は無関係で済むのだが」

 

 そして、三人は応接室へと向かう。途中でフォス大尉や杏子と合流する。が、杏子はほむらの恰好を見て驚いていた。それもその筈、ほむらの恰好は与圧服のままである。あのヘルメットは流石に外していたが。

 

「おっ、なんだ、ほむら。その恰好」

「ちょっとさっき戦闘機の安全講習を受けてそのまま連れてこられたのよ」

「なるほどねえ…飛んだのか?」

「飛んだわ、特殊戦機の後ろに放り込まれて」

「ほう、ブーメラン戦隊の一員になったか」

「お二人さん、とりあえず応接室に入るぞ。いいか?」

 

 応接室の扉を開ける。応接室とだけあり、室内は綺麗だ。高そうなソファーに3人の少女が座っている。だが、ほむらは一人だけ内心で仰天していた。その中の一人に見覚えのある顔がいる。思わず目を逸らす。

 一方、ブッカー少佐は端末を取り出した。会話の為に同時翻訳ソフトウェアを使うつもりらしい。そんな便利なものを用意しているのなら、初めから人に頼る必要なんてなかっただろう…と、ほむらと零は内心考えていた。

 

「やあ、君たちを預かる事になった特殊戦第五飛行戦隊のジェイムズ・ブッカーだ。大変な目に遭って辛いだろうけども、よろしく」

 

 ブッカー少佐の発言した内容が端末上に日本語として出力されていく。それを読んだ一人の少女が返事を返した。

 

「巴マミです、お世話になります」

 

 その名前を聞いたほむらは心の内で頭を抱えた。何故こんな別の星で元の時間軸の知り合いばかり出会うのだと。また、もしや彼女は魔法少女ではあるまいな…とも考えながら。

 そして、その隣に座る他の二人を見るが、見覚えのある顔ではない。だが、そう言い切るにはどこか違和感がある。もしかしたらどこかの時間軸で見かけた事があるのかもしれない。

 

「オレは深月フェリシア。おっちゃん、よろしく」

「双葉さなです…お世話になります」

 

 さなという少女はタブレット端末を抱えていた。それにブッカー少佐が気付いて尋ねた。

 

「その端末は?」

「ええと、ここに来る前に職員の人からもらったんです。人工知能付きで会話ができる端末だって言ってました。まだ動かしてはいませんが…」

「フム、うちの管理下に無い端末をむやみに区画内に入れるのはまずいな。零、ちょっと調べてみよう」

「どんなもんか動かしてみるか」

 

 端末の電源を入れる。すると、タブレットから音声が流れた。

 

「ご用件はなんでしょう?」

「特殊戦のブッカー少佐だ。質問だが、お前はどのようなAIだ?」

「初めまして、ブッカー少佐。私はパイロットと会話し、飛行中の心理的負担を軽減する為の対話用AIとしてシステム軍団にて開発されました」

「フムン、そういう用途か」

「ああ、要するに長距離飛行するパイロットの話し相手になるAIだな。しかし、何故彼女達に送られたんだか」

「私は単座戦闘機に搭載するにはシステムの負荷が大きいという理由で一度開発停止になりました。ですが、昨日新しいミッションとソフトウェアを追加されて今に至ります」

「どのような内容だ?」

「各種学科の学習支援ソフトウェア、語学学習ソフトウェア。ミッションはユーザーとのコミュニケーションを行う事とユーザーの学習支援です」

「ほう、高性能でなかなか凝ったプレゼントだ」

「一応、検査して特殊戦の管理下に入れないとな。後でシステム軍団に確認を取るか」

 

 さなはそれをポカンとしながら見ている。流暢に会話するAI、まるでSFの世界だと思いながら。

 

「お前を使うユーザーは誰なのか把握しているか?」

「いいえ、少佐。まだです」

「では、登録しなきゃいかんな。君たち、ちょっとこいつに話しかけてくれ」

 

 そして、三人はそのタブレットに日本語で話しかけた。すると、日本語で返事が返ってくる。それを見聞きして驚いている。

 

「フム、暇つぶしの道具があって助かったな。ジャック」

「ああ。だが、こいつにパーソナルネームは付いているのか?管理する上で必要だ」

「いや、空っぽだろう。あの様子だと開発型式ぐらいしかついてなさそうだ」

「やはりそうだろうな。あー…君たち、そいつの名前を考えておいてくれ。で、とりあえず住む所とタイムスケジュール、後は生活に必要な諸々の説明をするからメモをしておくように」

 

 そして、ブッカー少佐は一通りの内容を説明する。

 

「ああ、その他の細かい事はそこの二人に聞くといい。同年代だから話しやすいだろう」

 

 三人の視線がほむらと杏子に飛んできた。同年代がいる事に対する驚きよりも、ほむらの服装を見て唖然としているのが見て取れる。まあ、見た目がほぼ宇宙服のような状態だから無理もない。

 

「暁美ほむらよ、よろしく」

「佐倉杏子だ。まあ、何でも聞いてくれ。分かる事だけなら答えるぞ」

 

 ほむらはホッとしていた。日本語でしっかり喋る事が出来たからである。そして、フェリシアという少女から早速質問が飛んできた。

 

「アンタ、もしかして宇宙飛行士?」

「いえ、違うわ。ちょっとさっき偵察機に乗ってきただけよ」

「つまり、パイロットなのか?」

 

 まさに期待交じりの興味津々というような目線が飛んで来る。

 

「いえ、ついさっき人生で初めて乗ったわ」

「なんだ…そうなのか」

「流石にFAFでもこんな歳のパイロットはいないわよ。私は諸事情でここにいるだけの一般人だから」

「あたしも同じく。でも、PX…売店で働いているからちと違うか」

 

 ほむらの回答に合わせて杏子も答える。

 

「まあ、家族の所に帰れるようになるまであたしたちが面倒見るから安心していいぞ」

「家族はいねーよ。オレは独りぼっちなんだ」

「実は私も…」

 

 杏子の何気ない一言に対し、フェリシアとマミから重い返事が返ってきた。

 

「そうか…あたしと同じだな」

「え?」

「あたしの家族はジャムに殺されちまったから…」

 

 杏子の話も重なって場の空気が重くなる。そこにさなが更に発言を重ねた。

 

「実は私も似たようなもので…しばらく家族と一言も会話をしていないんです」

「それはどういうこと?一人暮らしかしら」

「いえ、同じ家に住んでいます。でも、私が家族から浮いていてそれで…」

「なんてひでえ家だ」

 

 さなの衝撃の発言で場の空気はますます沈む。そんなこの場を何とかすべくほむらが話題を変える。

 

「えー…とりあえず、3人が住む部屋を見せた方がいいかしら」

「ああ、そうした方がよさそうだ」

「杏子、後を頼むわ。流石にこの格好だとちょっと…」

「あー、そうだな。よし、任せろ」

 

 そして、杏子とブッカー少佐が3人を居住区へと案内する為、応接室を出て行った。

 

「ほむら、お前また何か隠しているな」

 

 5人が出て行った後、零からほむらに指摘が飛んだ。

 

「あの三人の姿を見た途端、目が泳いでいたぞ」

「流石、偵察機のパイロットは目が良いわね…まあ、今更隠しても仕方ない。あの中に今まで散々会った知り合いがいたわ」

「あれか、さっきの話に関係する内容か」

「ええ、そうよ」

 

 しかし、隣にいるフォス大尉は話の流れが分からない為、首を傾げる。

 

「エディスさん、これは訓練飛行の件に関わる話。後で説明するわ」

「ああ、なるほど。分かったわ」

 

 フォス大尉はその一言で二人が先ほど飛んでいた間の密談に関わる内容だと察した。

 

「とりあえず、その件については格納庫に行こう。ほむらの与圧服も片づけないと」

「そうね」

 

 そろそろ重たくなってきた、ほむらがそう愚痴をこぼしながらも格納庫へと足早に移動する。

 フォス大尉に飛行中の会話を説明しなければいけないが、下手な場所だとインキュベーターに盗み聞きされる可能性がある。だが、その為にもう一度飛ぶわけにもいかない。よって、キャノピーを閉じた雪風機内でヘッドセットを使用して音声データを再生する方法で対応する事とした。無論、格納庫で与圧服を片付ける目的もあるが。

 そして、そそくさと格納庫内に入る。雪風の点検は完了済で機体の周囲には人がいない。念の為、周囲を見回し、インキュベーターがいない事を確認する。その間、与圧服をそそくさと片づける。そして、雪風の前席にフォス大尉が座り、後席にほむらが乗り込んだ。零は機外にて椅子に座って待つ、予期せぬ異星人の来客に備えてサバイバルガンを持ちながら。電源は外部から取り入れている為、エンジンを起動せずとも機内の電気系統は即座に立ち上がる。そして、フォス大尉がメインディスプレイを起動。先の飛行記録を再生する為に操作する。普段、整備員が使用するマイク付きのヘッドセットを機内のコネクタに接続。前席も同じくヘッドセットを接続し、準備が出来た事をサムズアップで知らせてくる。それを確認すると、キャノピーを閉じた。

 

「じゃあ、ほむらちゃん。始めましょうか」

「了解、出来れば何を聞いても驚かないように頼むわ」

「善処しましょう」

 

 ヘッドセットのスピーカーから機内の会話記録が流れ始めた。そして、雪風の計器に備えられたレンズがほむらの顔をじっと捉える。まるで彼女の変化を見逃すまいと雪風が観察するかの如く。

 

<STC:I ask for unknown threat further intelligence>

<B-1:currently collecting intelligence...>

 

 




機械達は貪欲に情報を欲する、自分たちの脅威を排除する為に。

ほむらの困惑は続く、奇妙な出来事の連鎖によって。


・追記
作中の内容に関する解説などを聞きたい場合は感想欄までお気軽にどうぞ。
この作品は戦闘妖精雪風原作のアンブロークンアローの範囲で終了予定となります。
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