歌って飯テロする予定 作:狗妹
福音から消太の分の弁当も受け取ったひざしは隣に置いてあるでかいランチボックス(ファミリー用)に入れて手を振り玄関で見送ってくれる愛息子を背に家をでた。
車を転がして自身の出勤場であるヒーローを生み出す一番有名な場所。国立雄英高等学校に着くと最初向かうのは職員室・・・ではなく教職員専用の更衣室だ。
そこでヒーロースーツに着替え荷物片手に職員室に向かう。
職員室に入ると気が付いた同僚たちが手を軽く上げたり声をかける。
「マイクか、はよう」
「おはようマイク。今日のお昼はなんなの?」
目線で軽い挨拶をしたブラドキングに対し、じりじりとミッドナイトが寄ってくるのですかさず両手でランチボックスを抱えてミッドナイトから離れようとする。
「はようさん。おい!こっちくんな!」
「えー?」
「毎日毎日飽きずによくやるな」
「好きでやってねぇ!!」
「ぶー」
「お前年をかんgゴフッ!!」
すさまじい速さでミッドナイトの拳がマイクの頬に直撃した。
しかし、そこはヒーロー。なんとか両足で持ちこたえ両手のランチボックスも落とさなかった。
片腕にランチボックスを抱え込むように持ち替え開いた片手を自分の殴られた頬に添える。
相当強く殴られたせいで頬は真っ赤に膨れていた。
「普通グーで殴るか!!!」
「いい?女性にとって年齢はデリケートなのよ???」
「「あ・・ハイ」」
思わずブラドキングと揃って返事をしてしまった。
そんな女性に畏怖を感じている二人を相澤ことイレイザーヘッドは呆れた視線を送った後また手元の書類に目を通した。
朝の茶番が一通りされた後各々のデスクに戻り校長が最後に入ってきて今日一日の仕事が始まる。
午前の授業も終わり「メシだー!」と騒ぐ生徒に「おら、次実施だろ、早く食いにいけよ!」と発破をかけた後そそくさと自分も職員室に戻る。
「お?」
「・・・・ん」
職員室に入るとマイクのデスク脇にあるランチボックスを開けて中身を漁るイレイザーヘッドを発見した。
イレイザーは気づくとランチボックスの中から包まれている大きな弁当をマイクに見せるように軽く顔近くまで掲げたあと包みを持ったまま自分のデスクに戻っていった。
元々栄養補給用のゼリーなど必要最低限でしかも時短前提で作られているモノしか口にしなかった相澤を心配し家に来させて福音の個性の修行もかねてという名目で飯を食わせていたが結果補給ゼリーを主食から外れたが福音に見事胃袋をつかまされてしまった。
体調も段違いに変わり、ドライアイの相澤を心配し目の粘膜を保護するビタミンAが多く含まれる食材を個性の世界(グルメ界)から調達し、それをメインにした相澤専用の弁当まで作られたおかげで彼の充血は原作の彼と比べてまったく気にならない程度まで回復した。それに伴い体のキレも上がり何故かイケメン度も増した。←??
美味しい料理に舌も体も満足した相澤は時間の有効活用の為の時短飯よりも食欲が勝つのは明らかで休日にはちゃっかりマイクの家にお邪魔して飯を食う始末。
というものそれも休日の食生活を心配したひざしが相澤を誘ったのがきっかけである。
最初は弁当だけで十分だと断ってたが舌も胃も福音の料理になれてしまった頃ついに欲に負けて家に行った。
お弁当も美味しいが出来立ての料理といったらなんと贅沢なことだ!と最初の一口で固まり宇宙猫状態になりながらも口と箸だけは動かしてた。本能か?
近くのデスクを見れば黙々とけど早い箸使いで口に入れるイレイザーの姿。
心なしか周りに花が浮いているような錯覚を受けるほどのがっつきようだ。頬いっぱいに食べる姿はハムスターに通ずるものがある。しかし実際は成人した立派な男性であり無愛想、個性故の睨みつけるのが癖になった生徒には怖いと評判の眼光をもったヒーローである。この姿をみた生徒は2度見どころか3度見しても現実を受け入れるのに時間はかかるんじゃないか?
マイクもランチボックスから成人男性が食べるには大きすぎる弁当を取り出し蓋を開ける。
「いただk・・・・」
「・・・・」じー
「・・・」じー
「・・・相変わらずあからさまじゃねーか?」
すぐ脇にいるミッドナイトと食堂にいたはずのランチラッシュが食い入るように見ている。ほかの職員にいたヒーロー達も視線は相澤とマイクの弁当に向かっている。
「す、すいません。いつみても時間経過しているのにも関わらずこの見た目の美しさや匂いといい個性で生まれた食材を使った料理はとても気になりまして・・」
「あんたやイレイザーの髪や肌を見るとその原因を探らないわけにはいかないのよ!」
女として美の追求は一生付きまとうもの。あの無精髭を生やした髪もセットもしないいい意味で自然体というしかない髪型をしたイレイザーでも今はよく見れば艶のある髪に張りのある肌。その異変に気が付かない女がどこにいる!洗顔用品は?シャンプーは??と詰め寄る女性陣にイレイザーは「メシを食ったらなった」としか言わない。
マイクも副業があるとはいえ男性ながらサラサラの枝毛も見当たらない長髪で肉体を酷使するヒーロー業の中、些細な変化で現れる肌荒れなども見当たらず羨ましいほどもっちり肌だ。
気が付いた女性陣が相澤とマイクを囲み顔や髪をべたべた触り抜け出した後の二人はまるで追いはぎされた後のようだったと遠目で見ていたスナイプが話した。
ランチラッシュもマイクの養子である福音の事はマイクが話していたので多少は知っているがその個性の一つである【美食屋】というのは自分の個性とは似て非なるものでとても興味を抱いていた。
個性で発動した扉をくぐれば未知の世界でそこには人はおらずこの世界にはない食材は山ほどある。
その食材は今の所その個性を持っている福音本人しか扱えない(マイクや相澤が挑戦したが切れ目を入れただけで腐ったり毒化したりしたらしい)その食材を使った料理はどんな高級食材や一流料理人が作った料理よりも勝るであろう。
ただの水でさえ世界中の名水よりも勝る美味さで一口だけもらった教員全員がその個性の凄さにある意味戦慄した。
「(ただの水でこれほどなら料理したものは・・!!)」
それから福音が知らずのうちに教師陣の中で有名になっていった。
しかも食べた料理はこの世界とは栄養素も、吸収も段違いで素早く体に栄養をいきわたらせていく。
これだけで言えば料理系の最上位の個性といえるが
この素晴らしい食材が獲れる『グルメ界』と呼んでいる彼はこの個性で食材の調達、料理する以外の使い道を編み出して見せた。
それは『グルメ界』にいる生物の擬態だ。
彼のカラフルな髪もその個性の効果らしく軽く説明されただけでも戦闘面でも強個性となると彼の将来が楽しみでしかない。
前にマイクの待ち受けに鮮やかな白い毛をもった美しい狼になった福音の姿があったが他にも翼をもった大型の猫化になっている姿を待ち受けにしたイレイザーに見せてもらった。
完全擬態の他に一部擬態もできるがまだ精密な個性操作が出来ず完全擬態の方がやりやすいとのこと。
しかし擬態しないで持っている肉体の強化や髪は肉眼では見えない触覚の糸を出す超触覚を持っておりまだ完全とまではいかないがそれでも探知や戦闘面で活躍できるであろう。
むしろここまでできてなんで個性名が【美食家】なんだろう?と聞いたヒーロー達がそろって首を傾げた。
うらやむ視線ももはや当たり前になりスルースキルが上がったマイクは素早くしかしよく味わって完食した。
「あ~」と落胆する声もするがこれは!俺の為に!わざわざ朝早く作ってくれたの!!
「相変わらず美味しそうな匂いだね」
「校長!」
ひょっこりと職員室に入ってきたネズミでありながこの学校の校長を務めている根津はヒーロー達が集まっているマイクたちのデスクに近寄った。
「そういえばそろそろ受験シーズンだけど・・・推薦じゃなく一般で受けるって聞いたけど本当にいいのかい?」
「え?ああ・・あいつ自身どれだけヒーローとして通用するか実力をためしたいと言ってたんで」
複数で強い個性を持ちプロヒーロー達からもお墨付き(胃的にも)をもらいながらも慢心せず挑む姿は保護者として、先生という職業柄で見ても嬉しい姿勢である。
「うんうん、あの子なら十分に受かるだろうね・・・・今のうちにこれを渡しておいてくれないか?」
「え?はあ・・・てっ、コレ!」
そう言ってポンとマイクのデスクに折りたたんだメモ書きを置いた。
その紙を開くとネギや梅などネズミが食べてはいけない食材が書かれていた。
「バナナやリンゴも迷ったけどあの子の個性から出てきた食材ならいけるかもしれないから除外したよ!」
「作らせる気満々かよ!!!」
ちゃっかり抜け目ない校長であった。
「ひぃ兄?これ・・・」
「すまん・・・多勢の圧に負けちまった」
福音の両手には食材などの書かれたメモ書きがいっぱい載っている。
根津校長を発端に他にも美容にいい食材やら未知の食材のリクエストなどマイクに書いた紙を押し付けた。
拒もうものなら個性を使ってでもお前の弁当を毎日狙いにいくとまで言う始末。
「・・・諦めろ」
と一言いう相澤についに頭を抱えて頷くほかなかった。
というか受かる前提で話を進めんな!いやうちの子は絶対受かるだろうけど!!
受かったらまず間違いなく迫られるであろう福音に不甲斐なさと申し訳なさにしばらく福音を抱きしめ全力で撫でて謝るひざしを見ておろおろするも大きな背中に手をまわしポンポンとあやす姿は息子というよりよm・・・・
げふんげふん
今日も仲よろしい家族である。