歌って飯テロする予定   作:狗妹

4 / 8
入試試験当日

「今日は俺のライブへようこそぉおおおお!!!エヴィバディセイヘイ!!!」

 

 

 

受験会場にプレゼント・マイク(保護者)の声が響き渡る。

 

掛け声に合わせて乗った方がいいのかと思ったけど絶対に近くにいるかこの光景を監視カメラあたりで覗いているであろう消太さんが頭を抱える事案が発生しそうなのでやめた。

 

受験生皆がシーンとマイクの掛け声に圧倒して黙っている間にマイクは気にせず高いテンションのまま説明していく。

 

筆記試験で皆気を張り詰め脳をフル活用した後にこの声量は頭に嫌な意味で頭に響く。

しかしいつも聞きなれている福音にとってはさほどダメージはなく。「相変わらずだなー」と受験生にあるまじき楽観的な感想を心の中でつぶやいた。

 

そんな福音の周りでは福音の美貌に別の意味でざわざわしていた。

 

「(綺麗・・モデル?)」

「(髪もカラフルだけど地毛なのかな?綺麗だなー)」

「(こ、声かけてもいいかな?)」

「(胸はないけどいいな)」

 

 

マイクもひと際目立つ福音に気が付き、そして周りの反応に「(うちの子きれかわだろ!でもジロジロ見んじゃねぇ!)」とイラつきを声量アップで自身に注目させる。

さらなる音量アップに耳に手を当てる受験生がちらほらいた。

 

いくら耳が痛かろうとも説明はタンタンと校訓まで説明しだす。

 

 

<Plus Ultra>・・・訳すと<更に向こうへ>。ナポレオンの言葉だがヒーローを目指す今の自分たちに当てはまる言葉に白けたり耳を抑えていた受験生たちの緊張が一気に高まっていった。

 

 

 

 

 

 

「はいスタート」

 

が、先ほどとは打って変わって軽い声音に受験生は戸惑う。

 

その中でいち早く動いた福音が飛び出していった。

その福音の姿に「え?」とさらに?マークを浮かべるがマイクの「実戦にカウントダウンなんざねえんだよ!」という声に慌てて走り出す受験生たち。

 

 

 

 

そんな受験生など目もくれず着々とロボットを髪で倒していく。

他の目から見ればロボットが勝手に吹っ飛ばされたり壊れたりしているであろう。

福音の髪から肉眼では見えない触覚の糸を操りロボットを倒すと同時に範囲にいる受験者を索敵し被害を被らせないよう移動する。

現在福音がいる会場には原作の主人公達がいなかったので思う存分個性を振るう。

 

 

 

 

 

 

「いっ!・・」

「おい、大丈夫か?!」

 

時間が経過すると同時にけが人も増える。触覚を駆使して時たま大ジャンプをして高い位置からあたりを見回し危なくなったら触覚で軽く敵の攻撃をいなしたりする。

その中で前世の記憶に見覚えがある人物たちを発見する。

金髪の黒いメッシュがはいった男子とノースリーブから複数の腕を生やした大柄な男子。

 

金髪の男子からは片足の膝から下の部分のズボンがなく素足は赤く爛れていた。

動けない金髪男子を大柄の男子が抱き上げロボットの攻撃をかわす。

 

しかし2体目が後ろから現れ2人に襲い掛かる。

 

 

 

 

「フライ返し!」

 

「「!!!」」

 

空から現れた福音は背後のロボットを吹っ飛ばす。突如現れた福音に2人は驚く。もう一体のロボットも何もしてないのに吹っ飛ばされる。

キラキラと輝くカラフルな長い髪とその美貌に試験中ながら2人は魅入られる。

 

「大丈夫か!」

「あ、お、おう!」

「!・・すまない、助かった」

 

ふんわりと降り立った福音に慌てて返事をし返す。

 

「その怪我・・火傷か?」

 

見るとかなり広い範囲で火傷の後がある。これで歩けと言う方が無理なほどだ。

 

「ああ、ほかの受験者の攻撃を食らっちまって・・」

「さすがに怪我人を見過ごせないからな・・」

 

大柄の男子が近くの瓦礫に金髪男子を下す。

 

「・・ちょっと待ってろ」

 

そう言ってごそごそと腰に巻いたポーチから緑色の包帯と水を取り出す。

火傷部分を水で洗い緑色の包帯、ドクターアロエで素早くまかれる。

 

「え、すごっ!!・・て!俺の事はいいって!!」

「怪我人を見過ごすヒーローがどこにいるんだ」

「!」

「ほらアンタも・・その腕だしな」

「!!気づいてたのか」

 

頷いていた大柄の男子にも素早く水で血と汚れを洗い流しロボットの攻撃で受けたであろう怪我にドクターアロエを巻いていく。

 

「すまない」

「わ、わりぃ・・!!!」

「なっ!!」

「・・えぇー・・デカくない?」

 

 

 

突如地響きと轟音に頭を上げるとビルに匹敵する大きさの巨大ロボットがこちらに向かってくるのが見えた。0ポイントの仮想ヴィランだ。

 

「む、無理だ!」

「こんなの滅茶苦茶よ!!」

「に、逃げるぞ!」

 

 

近くにいたらしい受験生達はこちらに巨大ロボットから一目散に逃げたす。

 

 

しかし福音はそんな受験生とは真逆に巨大ロボット相手に迎え撃つ姿勢をとる。

そんな福音に2人はぎょっとした様子で見た。

 

 

「お、おい!まさかアレとやり合おうってのか!!」

 

「・・・ヒーローがヴィランから逃げてどーするの?」

 

「「!!」」

 

 

 

「少なくても俺は勝てっこないからって逃げる馬鹿にはなりたくない」

 

 

 

そういって2人に背を向ける。

鮮やかな髪がふんわり広がり見えない触覚をさらに限界まで広がらせる。

足に力を貯めてジャンプしようと膝を曲げる。

 

「待ってくれ!俺も行く!」

「お、俺だって君一人いかせるk・・痛っ!!」

 

大柄の男子と金髪の男子が呼び止める。金髪は無理に立ち上がろうとして火傷を負った足に力を入れてしまい痛みが走ったのかすぐ座り込む。

 

「・・・いいのか?お前ら怪我人だぞ?」

「「怪我の一つで泣き言うなんてヒーローじゃねぇ!(じぁない!)」」

 

 

先ほどの恐怖などな感情は消え去り覚悟を決めた少年たちにはヒーローとして大事な思いが目に灯った。

 

 

「・・・俺は山田福音。個性は・・色々出来るが髪を自由に使える。」

「!!俺は障子目蔵。個性は複製腕と言って手や目など複製できる。」

「俺は上鳴電気!個性は電気を放ったりできるんだ!」

 

うん、知ってる!とは言えず。表面上は頷くだけにしといた。

 

 

「・・なるほど、じゃあこんな事できるかな?」

 

 

二人に思いついた作戦を話す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

触覚で障子たちを巻き取りヘアネットを駆使して近くのビルに飛び乗る。

 

「いい?俺が合図したらだからね!」

「ああ!」

「おう!」

 

 

 

 

その返事を聞いた後すぐそばまでいる巨大ロボットに思いっきり近くの瓦礫を触覚で掴みロボットの関節部分に当てる。

 

 

「今だ!」

 

 

 

「いくぞ!」

「ああ!」

 

 

障子は上鳴を背負ったままビルの上から触覚で浮いている瓦礫を足場にロボットに近づく。

そして目の前の巨大ロボット目掛けて上鳴をぶん投げた。

 

 

 

「くらえ!!」

 

 

 

 

BZZZZZZZZZ!!!!!!!!!!!と轟音が鳴り響く。

 

 

 

 無差別放電130万ボルト!!!

 

 

 

瓦礫でひび割れた関節部分から電流が回り巨大ロボットは黒煙を上げながら停止した。

 

 

「上鳴!」

 

落下する上鳴を障子がすかさずキャッチしまだ浮いている瓦礫に着地する。

 

 

「う、うぇーい」

「だ、大丈夫・・そう、か?」

「う、うーん??」

 

 

 

 

「しゅーりょー!!!」

 

 

マイクの声がエリア全体に響き渡る。

 

「終わったか」

「うぇい?」

「コレがさっき言ってたショートした状態だよね?」

「おそらくは?」

「うぇ~い」

「ま、まあここではアレだしひとまず降りようか?」

 

 

先ほどの真剣な表情と打って変わって見事なアホ面を披露する上鳴に戸惑う障子。

福音自身が前世の記憶(知識)があるので笑うのを堪えひとまず今の足場(触覚で掴んでいる瓦礫)から降りる事にした。

 

 

 

 

また障子が上鳴を背負い集合場に向かうとボロボロの受験者たちの姿がちらほらいた。

その中央には希少な治癒の個性を持つ有名なヒーローことリカバリーガールが受験者達のけがの手当てをしていた。

 

「お前さんらも・・おや?」

「俺の個性で出したもので一応手当はしたんですけど」

「うぇ~い~」

「個性を最大まで使った副作用で今この状態なんです」

 

まだアホ化から戻ってない上鳴を見せる。

 

「この緑色の包帯はお前さんかい?」

「はい、ドクターアロエという俺の個性から出した植物で外傷の他火傷とかも効果あるんです」

「・・・ほう、一回とってもいいかい?」

「はい」

 

仮設ベンチに下した上鳴に巻いていたドクターアロエを取るとあんなに爛れていた大火傷が皮膚が赤くなる程度まで回復していた。

 

「・・・(明らかな重度の火傷の跡・・・けどもう完全に皮膚が再生しているのかい?なんちゅう性能だい)」

「うぇい!」

「な!あんなに爛れていたはずだが・・・」

「効果あるっていったでしょ?獲るの大変な分効果もテキメンなんだよね」

「これならこのまま巻いた方が速いかもねぇ。この緑の包帯はまだあるかい?」

「はい、予備も多めに持ってきてます。けどこれ素早くまかないといけないのでやりますよ」

「なら頼もうかね」

 

 

障子たちと別れその後予備のドクターアロエをすべて使い切るまで手伝った。

 

 

 

 

 

 

 

 

リカバリーガールにお礼を言われた後会場入り口まで戻るとそこには先ほど別れた上鳴と障子が門の所で立ち止まっていた。

 

「障子と・・上鳴?もう帰ったんじゃ?」

「いや、コレの礼を言ってなかったと思ってな、ありがとう」

「そうそう!!それとお礼にお茶おごるからあと連絡先も下さい!」

 

手当した腕を見せる律儀な障子とは違いアホ化から復活した上鳴からは下心丸見えなセリフが飛び出る。

 

「お礼なんていいのに、あと上鳴、男の連絡先聞いてどうする?別にいいけどさ」

 

 

 

 

 

 

「「はっ?」」

 

「え?上鳴はともかく障子も気づいてなかったのか!!」

 

確かに容姿や高い声音の事は完全に自他ともに認めるけど雰囲気とかで分かんなかったか?一人称も俺にしてるのに!

 

「え、ええええええぇぇえええ!!!」

「お、男・・なのか?」

「だ、だって・・え?男!!コレで!!」ビシッ

「指ささない!・・まあよく間違われるけども」

「俺っ子だと思った・・・」ガクッ

 

「そんなうなだれるほどか?」

 

 

膝をついてうなだれる上鳴と未だ信じられないというような顔でこちらを見る障子に苦笑いしか出ない。増やした目でジロジロ見ても変わらんぞ?

 

「い、いや!何かの縁だし交換しよう!」ガバッ

「いいけどさ」

「ああ」

 

 

復活した上鳴と障子と連絡交換し後日に合格通知を受けとったが3人共無事に合格したことが分かり共に喜んだ。

 

 

 

 




<食材説明>
・ドクターアロエ
外傷はもちろん、火傷や凍傷などで壊死した細胞組織をも治癒してくれる天然の包帯。
1m数十万円するほど高価で、大抵の傷ならこれに治癒力で十分に治療が可能。
原作では再生屋は必ず持っている必需品らしい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。