歌って飯テロする予定   作:狗妹

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入試試験別視点

雄英高校の教師一同、気が遠くなるほどの受験生たちの採点をこなしていく。

毎年の事ながら気力と胃に一番ダメージが来る作業で現実逃避も辞さないと思考を投げ出したくなるのを踏ん張って黙々とペンを動かしていた。

この期間だけは日を跨ぐごとにゾンビ個性が付いてしまう。

 

 

 

しかし今年は一味違う。

例年同様に大量の受験生の履歴書や動画を確認しているが顔色もいい。

徹夜もしているが肌艶もよく生き生きとしている。

その原因となっているのが皆のそばにある緑色の液体が入っているコップの中身であった。

 

福音が個性で持ち帰った食材で作られた特性スムージー。

 

実はその中身は最近いけたベジタブルスカイの野菜を中心としたものである。

 

 

「もう!こんな凄いのを今まで独占していたなんて!!」

 

 

一杯目で栄養がいきわたり体が負担を感じないほどスムーズに消化してしまい全員トイレ行きになった。

 

味も今まで食べていた野菜は腐っていたのか?と思うほどスムージーなのに各野菜の味がうま味を調和しながらも主張してくる

もはや飲んでいるというよりも食べているような感覚で無意識に咀嚼をしてしまう

噛んでいるとどんどん野菜や果物が顔を出す。

トマトのフルーティな甘味が来たと思いきやコクのある甘味が際立つバナナ、かと思いきやほうれん草などの葉物特有の苦みが口の中の甘味を消すと同時にうま味と野菜特有の甘さを優しく口に広がらせるので飲み物というよりも料理、しかもデザートみたいな甘さだけではなくちゃんとした一品の料理として認識されるであろうものであると食べてから実感する。

 

余韻に浸かりつつもどんな美容品でも手に入れられなかった艶肌をたったスムージーを飲むだけで手に入れたミッドナイトはイレイザーとマイクに食って掛かる。

 

「独占してねーさ!あいつ自身も獲れる食材に限りあるし無理はするなって言ってんだぞ!それでも俺の為にって料理してくれてたり今回だって無理いって特性スムージーを作ってくれたんだZE!」

「それにあいつ自身個性の強化も伴い獲れる食材の【レベル】が高ければそれに比例して効果も増す。しかし早急にその個性ばかり強化すれば偏りが生まれる。それは合理的じゃないしあいつの為にならない」

「うぐぅ・・・そうでしょうけど・・そうでしょうけど!!!」

 

唸るミッドナイト。教師としての面で正論をいうイレイザーと保護者として、ヒーローとしても自分の欲の為に福音に無理をさせられないと言うマイク。

他の教師たちもミッドナイトの言葉に頷くもマイクたちの反論にも納得してしまう。

 

 

 

「・・・・」

 

一人無言で空になったコップを持ったままそのコップを見続ける新米教師がいた。

 

「その様子だと効果は上々という所かな?」

「っ!根津校長!!」

 

気配もなく近寄り声をかけてきた根津にオールマイトはビクッと肩が大胆に跳ねた。

 

「凄いね、飲み物だけでもここまでとは想定を遥かに上回るよ」

「ええ、本当にここまでとは・・」

 

巨悪との戦いの末の代償に深手を負った体は回復することなく悪化をたどっている。

胃をすべて摘出し本来ならヒーロー業でさえ危ういものを個性のごり押しで無茶をし続けた体はボロボロだ。消化もほぼできないので食欲があっても固形なども受け付けられない体は点滴や固形以外のもので栄養を無理やり取っていた。

味なんて二の次どころか美味しい食事など疾うに諦めていた。

 

 

しかし、このスムージーは己の体の消化能力でさえ負担することなく全身に栄養をいきわたらせた。

野菜の優しい味わいとうま味もあってもはや諦めていた食を味わうという行為を堪能させてくれたこのスムージーにどれほど感動したであろうか。

 

人間の3大欲求である食欲は生きている中では必要不可欠な行為でありとくに人間という生き物は食事の中で味を楽しみより美味しさを求める生き物である。

不味いものを食べた所で精神的にもデメリットが多くメリットなどわずかしかない。

 

それほどまでに美味しく。しかも自分の体でも負担なく栄養が獲れる料理に出会えたことに感動とうれしさなどがこみ上げてくる。

 

さらには栄養はいきわたっているおかげなのか力が漲ってくる。

栄養をボロボロの体が素早く取り込み自己治癒能力を活性化させてくると同時にマッスルフォームになった時に補っていた力がさらに増した。

 

2、3杯と飲むごとにスポンジが勢いよく水を吸うが如く栄養を欲し、素早くしかし体に負担かけずに栄養をいきわたらせていく。何杯目かわかないお代わりを飲んだあとの自分はどの薬を頼った時よりも体調が良くなっていた。

 

 

「先ほどの映像から見ても他の受験者達を陰ながら守りつつも最低限の被害で仮想ヴィランを倒しているね。君たちの成果かな」

「あいつは教え込むとどんどん吸収していたので教えがいがあるんですよ」

「うちの子は物覚えがいいんですYO!」

 

サポート(料理)もさることながら戦闘面なども他の受験者達との差がありすぎる。

2人のプロヒーローに教え込まれた技術は福音の実力をさらに高めもはや一般受験者とは判断力、戦闘力などの差が一目瞭然なほどであった。

 

「けどこれじゃあこの子基準で見ると他との差がありすぎますね」

「確カニ、平均デ見ルナラ他ノ受験者ノ不合格者ガ多クナッテシマウ」

 

 

「うん、そうなんだよ。しかしそれだと他の受験者達も可哀そうだし・・なにより!またこの山を洗い浚い手直ししないといけないのさ!」

 

「「「「「おうふ」」」」」

 

小動物が指さす先にある山に教師たちは顔を顰める。

 

 

「うんうん、皆もいやだろう?けどこの福音君の評価も平等にしないといけない・・・ならばこの子は【雄英推薦の特待生】として扱おうかと思ってるんだ」

 

「!!」

「雄英推薦・・ですか?」

「うんうん、実力的にも申し分ないけど中学校では推薦枠は使われているから雄英みずからのスカウトという形にすれば一般の受験者達との比較も問題ないだろう」

「・・・なるほど、確かにその方が合理的ですね」

「それに伴い1枠入れる形でA組を21人の枠にしてくれないかい」

「・・・一人増えた所で問題ないです」

「あ~イレイザー?また今年もやるのか?」

「ほどほどにしなさいよ?」

 

「それは結果次第ですかね」

 

 

フンと書類を軽く手でたたくイレイザーに同僚たちは頭を悩ませる。

その様子に?を浮かべたオールマイトだが横にいた根津にイレイザー恒例のアレを聞かされたあと顔をさっと青ざめた。

 

 

 

「(oh・・・・緑谷少年大丈夫かな??)」

 

 

高校初日からの高い壁に当たるであろう弟子に不安が隠せないオールマイトであった。

 

 

 




<食材説明>
・ベジタブルスカイ
上空2万メートルに位置する天空の野菜畑。
独自の野菜が無数に育つ野菜天国であり、辿り着いたのはまだ数人だが、行った人はほとんどが菜食主義者になって帰ってくるほどの美味しい。

ちなみに今回のスムージーはスカイベジタブルの野菜メインに他の果物もチョイスして入れているのでビタミンも豊富。けど食材名は出してないので省略させていただきます。
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