勇者ってさ、基本的に魔王倒したら終わりじゃん?
魔王倒した瞬間に白い光に包まれて、お礼言われて元の世界に帰されるじゃん?
自室のベッドで目が覚めてさ、
「フッ、長い夢を見ていた様だ....」
こんな感じなこと言ってさ?
ふと手に握っていた宝石は異世界で王女様から貰ったものでさ、それを見てよし頑張ろうって歩み始めるんじゃないの?
それがテンプレだよね!?
※違います
だとしたら何故に俺は42回目の勇者をやっているんだ。
ええい!一回目に会った糞女神出てこい!
もう同じ魔王ばっか相手にしてきたから集中して相手する必要はない。
既に行動パターンがわかっている為、魔王との戦いも一連の作業になっていた。
パターンがわかったのは4回目あたりで、仲間は
「流石勇者様!」
となっていたが、いくら勇者でも初見では無理に決まっておるだろう、馬鹿なのかこいつらと思いながらサクッと倒す。
レベルの引き継ぎなぞ無いが、記憶は引き継いでいる。
そのため魔王の弱点が分かっているからササっと倒せるのだ。
魔王討伐は別に良いが、それにたどり着くまでが長いのだ。
魔王を討伐する時間は道中の千分の一にも満たない。
この世界には9つ大陸がある。
世界全体の広さは地球の数倍はあるのでは無いだろうか。
この世界の町と村全て合計すると分からないが42回目にも関わらず全体数がわからないのだ。
道中に寄る拠点の数は34。
正直言って仲間がいなければ一つも寄らずに済んだ。
勇者の最初のレベルアップで覚えるのは水上歩行、それを使って人間の大陸のすぐ横にある魔大陸に向かうのだ。
そして、魔王城地下ダンジョンの経験値が稼げるモンスターを倒してレベリングして100レベになってから魔王に挑む。
想定だと4時間程、実際にやってみたから言えることだ。
何故仲間が必要ないか。
それは勇者がオールラウンダーだからであり、最初のレベルアップで水上歩行を獲得できるには勇者のみだからだ。
何回かやってみると毎回異端勇者として、魔王討伐軍が捕まえに来るのだ。
所詮はレベル20の一般兵だ、ただの雑魚にしか見えなかったのでまとめて最下級炎攻撃魔法マッチファイアで焼き払った。
そしてまぁ色々あって42回目で魔王を倒しました。
今回はいろんなイベントを無視したりしたがあまり短縮には思えなかった。
しかも仲間からの好感度は最低で、パーティ内の聖騎士と魔法使いがカップルになったり格闘家と賢者もカップルになるし、五人パーティの中で勇者の俺は孤立していた。
回復魔法使いは途中の町で好きになった男と結婚してパーティを抜けてったし、職務放棄だろあれ。
次同じような展開だったら、自分を召喚した王国は皆殺し決定だ。
自分の体が光に包まれていく。
そして次の瞬間には一回目の女神の間にいた。
女神は非常に申し訳無さそうな目をしている。
これは王国皆殺しルートだなと思う。
すると女神は青い顔をする。
「い、いえ、今回は別の世界を救って頂きたく...」
どんな事を言い出すかと思えば勇者からの解放ではなくまた世界を救えとのことだ。
真っ先に思った事が殺気とともに口に出る。
「ふざけるなよ」
「ヒッ」
「チートも寄越さないで世界を救わされるこっちの身にもなってみろ。こちとら元の世界じゃ一般人だぞ。しかも回数毎にレベルリセットとスキルリセットしやがって、手間が凄いんだよ。なんでこんな事も分からないんですかね?無能糞ゴミ女神様?いっそのことあんたを消して力を奪ってやろうか?」
顔をニヤつかせて腰から鉄の剣を引き抜いて殺気を全力で出す。
そうすると無能糞ゴミはこちらに対して怯えるわけだ。
ちなみに女神の容姿は金髪の幼さの残る少女だ。
そして今の俺は歳下の子供を脅している高校生に見えるだろう。
脅しではなく完全に消しにかかろうとしている訳だが。
「何か言い残すことはないか?無いか?無いようだな。では」
「ちょっと待ってください!」
女神は怯えていながらも恐怖を振り払うように大きな声を出す。
俺は正直早く女神の力を強奪したいと思っていた。
女神は俺の考えていることが読めるのだ。
女神は提案をしてきた。
「か...神の力を上げれば良いんですよね?では、どうぞ」
そう言って女神の手から出た光の玉は俺の身体に吸い込まれていった。
ステータスを確かめてみた。
ーーーーーーーーーーー
コハク・アズマ
男 18歳 中級神
勇者 lv4200
HP870溝
MP1211溝
攻撃力520溝
防御力2792溝
能力
全能
ーーーーーーーーーー
これは...!?
「神の力とこれまで溜めてきたレベルです。ということでさよならッ!」
「は?ちょっとm」
全能と言うスキルに疑問を抱きながら白い光に流される。
「あの無能、上級神かよぉ...」
あれで無能とか、その下の中級神はなんなのだ。
無能以下ってどうなるんだ?
...いや、あれが特殊なだけかも知れない。
自己完結したところで景色がお城の王の間に変わる。
見回すと玉座に王が座っており、その隣に王女が立っている。
王の斜め前に宰相がいる。
何故分かるのか、直感である。
壁には等間隔で兵士が配置されている。
それは良いのだ。
いつも通りだ。
だが俺の隣の方にいる学生の集団はなんだ?
あの制服って俺の家の近くの高校のものだった気がする。
という事は、
「ようこそおいでくださいました、勇者様方。皆様には魔王討伐をしていただきたい。この世界を救う為に、そして皆様が元の世界に帰る為に」
「うわっ、一番厄介なパターンじゃないか」
視線が全て俺に集まる。
まずったな。つい声に出てしまった。
取り敢えず何故着ているか分からない高校時代の制服から42代まで使ってきたオリハルコン合金の鎧と4代まで使っていたミスリル合金の大剣に一瞬で装備を変更して、王に発言する。
「貴様の名はなんだ?名乗れ、人の王よ」
この発言で空気が張り詰めたのはいうまでもない。
というかさっきはよく神に楯突けたな。
相手は上級神だしこんな馬鹿げた力を渡してくるほどだから相当強いのだろう。
よくよく考えたらただの鉄剣が神を切れるわけでもないのにさ。
いやー、若いって怖いわー(体の時間は止まっているから精神年齢は変わっていないが、実年齢は60歳。こんな長い期間良く耐えたね甲級勇者くん
by無能女神の同僚の普通神神)
圧倒的な力って素晴らしいですよね。
※追記:2020年9月21日最後ちょっと書き加えました。
いくら感情が暴走したとはいえ神を脅すのは良くないですからねぇ。
神の裁きによって消し炭にされる前に反省させておきましょうか。