捻くれぼっちと拗れボッチ   作:よこちょ

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三日連続投稿できたので初投稿です。
今回は移動だけなので会話メインです。よしなに。


奉仕部+ワンボッチ

 ときは飛び、夏休み某日。場所不明活動内容不明のボランティア活動当日である。

 俺は平塚先生から指定された時間よりも少し早い時間帯に、駅前の道路に面した通りへと足を運んでいた。なんでも、わざわざ先生が迎えに来てくれるらしい。そのことをやけに長文なメールで知らされた俺は自分で行くからいいと断ったのだが、「いいから駅前に集合してください。異論反論口答えは一切認めません」というなんとも横暴な言論統制によって強行される運びとなった。・・・ていうか先生も着いてくるんですね。それすらも事前に知らされていなかった俺は一帯どういう扱いなんだよ・・・。ちなみに付け加えると、今回のボランティア活動の同行者すら知らない。先生曰く、「行くまでに分る」らしいが。行くまでに分るなら事前に知らせてくれてもいいんじゃないですかねぇ・・・こっちにもそれなりの心の準備が居るんですが。まあ準備したところで離せない未来がみえるみえる。オラワクワクすっぞ(白目)

 

 20分程待った頃だろうか。

 いの一番にやってきたのは、平塚先生だった。大きなワンボックスカーを豪快に操りながら華麗な駐車を決める姿はさながらイニシャルがDなやつ。サングラスを掛けたご尊顔も相まって、まるで車のCMかなにかと勘違いしそうなほどにかっこ良かった。

 

 

「やあ、城ヶ崎。まさか一番乗りとは驚いたよ。」

 

「どうもです。むしろ早すぎて暇なくらいでしたので、先生が早めに来てくれてありがたいです。」

 

「そうか。なら丁度いい。車のシートを動かすのを手伝ってくれないか?どうも一人でやるのは手間でな。」

 

「勿論ですとも。」

 

 

 そんなやりとりをした後、言われたとおりシートを動かす。車内は外から見た以上に広々としており、助手席を除いても6,7人は軽く乗れそうだった。

 

 

「こんな広い車用意するってことは、結構大所帯でボランティアするんですね。一体誰が来るんです?」

 

「ん、言ってなかったか?まあ、君がよく知る人物も来る。安心したまえ。」

 

 

 俺がよく知る人物・・・って、もしかして比企谷先輩か?

 ってことはまさか・・・

 

 

「あ、平塚先生~!やっはろ~!」

 

「こんにちは、平塚先生。」

 

 

 予想的中。車に近づいてきた人物は、「雪ノ下雪乃」先輩と、「由比ヶ浜結衣」先輩だった。これに比企谷先輩が合わさるとなると答えは明白。彼女らが運営する部活動、「奉仕部」が参加するのだろう。

・・・ってことはバリバリ初対面ですね対戦ありがとうございました。俺は比企谷先輩から名前や特徴を少しだけ聞いているので多少は知っているが、相手からすれば完全に初対面。誰だか知らんやつが部活動に緊急参戦するような物である。一気に帰りたくなってきた。

 

 

「・・・先生、恨みますよ?せめて言ってくれればなにがなんでも現地集合にしたのに。」

 

「そう言うのが分ってたから言わなかったのさ。なに、うまくやる練習だと思って諦めたまえ。」

 

「えぇ・・・。」

 

 

 先生からの宣告にガックリと肩を落としていると、ついに雪ノ下先輩に気がつかれた。

 

 

「先生、そちらの人は?」

 

「ああ、彼は城ヶ崎景虎。一年生で、今回のボランティアに自分から名乗り出てきた男だ。目的地が同じなんだ、乗せていっても構わんだろう?」

 

「それは勿論ですが・・・。せめて事前に連絡をいれてくださらないと。」

 

「ちょっとしたサプライズだ。あまり気にしないでくれ。」

 

 

 ・・・どうやら、露骨に邪険にされることは無さそうだ。そこだけでも危機一髪で最悪の展開は回避できただろう。

 あとは頑張って印象を良くしながら、ボランティアが終わった後にスーッと消えれば問題はない。

 

 

「どうも、挨拶が遅れてすみません。ご紹介に預かりました、一年の城ヶ崎景虎です。短い間ですが、よろしくお願いします。雪ノ下先輩、由比ヶ浜先輩。お噂は、比企谷先輩から聞いております。」

 

 

 ・・・オーケー。これで第一印象は悪くないはずだ。

 

 

「へ?ヒッキーと友達なの?っていうかヒッキーに友達って居るの?」

 

「いえ、友人と言うほど深い関係ではありませんよ。ただの飯食い仲間みたいな物です。」

 

「・・・驚いたわね。まさかあの比企谷君にこんな知り合いがいたなんて。」

 

 

 天変地異の前触れかしらね、なんてそこそこ失礼なことを言う雪ノ下先輩。だがそれは、罵倒の意味合いではなく一種のコミュニケーションのようなものらしい。前に比企谷先輩が言ってた。

 

 

「へぇ~。ヒッキーにもご飯一緒に食べる人居たんだね。あれ、でもヒッキーはいっつも外で食べてるし・・・。あれ?」

 

「・・・ご明察です。僕も周囲に馴染めぬあぶれ物ってわけです。」

 

「ああ。だから比企谷君と似た目をしているのね。一瞬兄弟なのかと疑ってしまうくらいだわ。」

 

「それ、平塚先生にも言われましたよ。『腐ってはないけど濁ってる』って。」

 

「確かに!似たもの同士なのかもね。ヒッキーと城ヶ崎君って。」

 

「ははは・・・。嬉しいのか複雑ですね。」

 

 

 そんなこんなで会話していると、ようやく比企谷先輩が現れた。しかし、なにやら傍らに美少女を連れている。あれはまさか・・・誘拐?いやさすがに違うか・・・?

 

 

「比企谷先輩。誘拐は犯罪って知ってましたか?」

 

「え、いきなり何の話?」

 

 

 ・・・その後、隣にいた少女が比企谷先輩の妹さんであると知って恥ずかしい思いをしたのは内緒の話だ。まあ、大笑いされたが、一見冷静そうな雪ノ下先輩も肩をふるわせていた所を見れたので、よしとしよう。よくねえけど。

 結局、比企谷先輩と小町さんの後に来た戸塚先輩というテニス部の先輩を加えた合計六人で目的地へと向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 車内。それは隣に座る人との距離がかなり狭くなり、危機的状況を生む魔境である。男子同士、女子同士の組み合わせであれば問題はない。なにせ、相手は同性。肌が触れたところで動じる必要はなく、別段気にすることでもない。

 しかし、異性が相手となると話は114514度くらい変わってくる。肌どころか服の端でも触れようモンなら処刑執行対象に入る。相手が不快と思ったら即合うと。これは満員電車に限った話ではないのだ。ソースは俺。両手を挙げていても痴漢冤罪を掛けられた俺が言うんだから間違いない。

 

 ところで唐突だが、車内の座席について説明しよう。

 運転席には当然、平塚先生が座っている。残るは助手席一席と、3人座れる座席が二つだ。最初俺は何が何でも比企谷先輩の隣を死守しようと動こうとした。だが、それは外道教師ヒラツカによって阻止された。「べ、別に比企谷に隣に座って欲しいわけじゃないんだからね!ただ、助手席が一番死亡率が高いだけなんだからね!」と、ツンデレなんだか死刑宣告なんだかわからんような理由で助手席へ吸い込まれていった。おのれ平塚。

 さて、困ったのは残された俺達だ。

 多少の話し合いの結果、前列の席に雪ノ下先輩と由比ヶ浜先輩が。後列に俺・戸塚先輩・小町さんの順番に座ることになった。つまり、俺の隣は戸塚先輩なのだ。・・・それが判明した瞬間、まるで呪い殺さんとばかりににらみつけてきた比企谷先輩のことはいったん忘れよう。悪夢で出てきそうだ。

 そして戸塚先輩は見た目はともかく、男だ。歴とした。

 俺は今までの人生、男は男、女は女と割り切って考えてきた。故に、今日は衝撃だった。

 

 

「あの・・・君の話、聞かせてくれない・・・かな?」

 

「是非(即答)。答えられる範囲で何でも答えましょう。」

 

 

 まさか、この世に男でも女でもない「天使」が存在するとは。ちなみに、後にこのことを比企谷先輩に伝えると、「・・・歓迎する。同士よ」と、握手を求められた。大天使トツカエルを教祖とする何かの宗教が始まった感じだが、真相は謎である。謎なんだってば。

 

 

 

 

 

 

「へぇ、じゃあ兄とはそんな風に知り合ったんですね~。」

 

 

 時は少し進むが、未だ車内。

 一旦の休憩を挟んだ後に走り出した車内では、少し座席が変わっていた。具体的に言うと、俺が戸塚先輩と小町さんに挟まれる陣形へと変わった。・・・それが判明した瞬間の比企谷先輩はまた怖かった。ていうかさっきより怖かった。

 

 

「ああ。最初は驚いたよ。まさかあんなとこで飯食ってる人が居るなんて思わなかったし。」

 

 

 ちなみに小町さんはこの中で唯一タメ口で話している。明確に学年が下なのは彼女だけだからね。

 

 

「ちょっと?俺の恥ずかしい話ばらさないで欲しいんだけど。ってかそんな言ったらお前だって同じだろうが。」

 

「でもお兄ちゃんが外で一人で食べてたのは変わりなくない?それ小町的にポイント低いんですけど・・・」

 

「ふっ、お兄ちゃんを舐めるなよ?偶に城ヶ崎と食ってるから大丈夫だ。」

 

「先輩、それ偶にしかできてないし、なんなら根本的にアウトじゃないです?」

 

「バッカお前、例え一人+一人でもその場に二人居るのは変わりねえんだよ。むしろお得だろ。ポケットなモンスターでも二人の方が戦略増えるだろ?それと一緒だ。」

 

「うわぁ、まーた訳わかんないこと言ってるよこのゴミぃちゃんは・・・」

 

 

 ・・・どうやら、比企谷兄妹は相当仲がいいらしい。家も仲はいい方だと思うが、こっちは相当だ。というか途中で出てきたポイントってなに、兄妹間にポイント制度あるの?

 

 

「・・・城ヶ崎さん、こんなゴミ、いや粗大ゴミぃちゃんですが今後ともよろしくお願いしますね。」

 

「ちょっと小町ちゃん?ゴミから粗大ゴミにランクアップしちゃってるんだけど?捨てるのに手間もお金もかかっちゃうよ?」

 

「むしろそのくらいして然るべきでしょう。貴方、普通に捨てられるとでも?」

 

「ねえ俺の周り敵しかいないんだけど。いつの間にか四面楚歌なんだけど?」

 

「小町はお兄ちゃんの味方で~っす。あ、今の小町的にポイント高い!」

 

「むしろお前が筆頭なんだよなぁ・・・」

 

 

 ・・・今後ともよろしく、か。

 比企谷先輩が弄られ、受け答え、ときに反撃する。で、また撃墜される。そんな風景を見て、俺はふっと笑みが零れる。

 俺と関わってもロクなことがない、とは比企谷先輩の談だったか。しかし、俺は今ここにこうしていることを楽しいと思っている。なんならこのままあってくれーなんて思ってしまったくらいだ。

 だが、できない。

 俺に許されているのはこの期間だけだ。

 だが、ここで嘘をつくくらいは許されるだろう。

 

 

「・・・・・・ええ、是非とも。今後ともよろしくお願いしますね。」

 

 

 振り返った比企谷先輩の目が、やけに印象に残った。

 

 

 俺達を乗せた車は、高速を進む。

 行き先は・・・千葉村だった。

 

 

「いつから千葉だと錯覚していた・・・?残念千葉村でした!」

 

 

 多分、ただのギャグにここまで青筋が立ったのは人生初だろう。




キリがいいのでここまで。ちょこちょこ改変してるのは許して亭許して。感想とかくれてもいいのよ?(フリ)
いろはすヒロイン宣言しといてなんですが、彼女と本格的に絡めていくのは恐らく文化祭あたりだと思います。それまでお待ちください。
次回から千葉村へと入村し、葉山ご一行とも合流します。
城ヶ崎景虎が加わったことで、どう物語が変化するのか。
今世間は大変ですが、ほんの一時の息抜きにでもご助力できると幸いです。
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