天魔様が身分を隠して友だちをつくる話   作:兎ゴマ

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初対面の魔法使いにホイホイついていってしまう天魔様

目の前が真っ暗になって、思わずその場に崩れ落ちてしまった。

 

こんなことがあっていいのか?

 

 

まさか・・・アリスが留守だなんて!?

 

天魔の仕事がいつ休みかわかんなくて、アポを取ってなかったから、今まで会えてたのが幸運だったのかもしれない。

 

でも私、最近大変だったんだよ?頑張ってたんだよ?

 

どこぞの吸血鬼が異変なんて起こすから仕事が急増!

彼女たちが出した紅い霧のせいで起こったごたごたの対応をしなきゃいけなかったし、大天狗たちは報復をって騒ぎだすし。おかげでアリスにもずっと会えてない。

 

それから必死に仕事を終わらせて、だ。ようやくアリスに会えるって思ってきてみれば、アリスがいない。

 

ひどい、ひどすぎる。こんなのってないよ。

 

「きっと世界が私を嫌ってるんだ。そうに違いない」

「・・・なぁ、おい」

 

ちょっとなみだ出てきちゃった。私が何したっていうんだ。いつも頑張ってるんだからちょっとぐらい私に癒しをくれてもいいじゃn「おいっ!!」

 

「ふぇ!?」

「やっと気づいたのか。ってお前、泣いてんのか?」

「いや、あの・・・。えっと、これは」

 

顔を上げると目の前にひとが立っていた。黒い三角帽に箒を持っていて、いかにも魔法使いってかんじ。

 

だれかに見られてたなんて思ってなかったから言葉が詰まっちゃう。

 

「あー、しょうがねえなぁ・・・ほら」

 

優しくぎゅってして、頭をなでてくれる。体が包み込まれる感覚。ああ、なんか・・すごい落ち着く。

 

「どうしたんだよ?話してみろって」

「うん、じつは―――」

 

 

~~~

 

 

「―――そうか、お前も大変なんだな」

 

うぅ、いっぱい話しちゃった。さすがに私が天魔ってのは言ってないけど、まさか初対面の人にこんなに話しちゃうなんて。安心感というか、この人なら大丈夫ってかんじがしたんだよね。

 

魔理沙っていうみたいなんだけど、どうやら普通の魔法使い(人間)らしい・・・いやそれ普通なのかな?それにしても、百年も生きてないのにこんなにしっかりしてるなんてすごいなあ。

 

「にしてもアリスしか友だちがいないなんてな・・・じゃあ私と友だちになるってのはどうだ?お前が良ければだが」

「ほ、ほんとに!?なる!絶対なる!」

 

まさかこんなところで二人目の友だちができるなんて!!最近ついてないって思ってたけどぜんぶチャラにできるぐらいだよ。きっと最近のあれこれは私に二人目の友だちができるのとつりあいを取ってたに違いない。よーし魔理沙に思いっきり抱き着いて頬ずりしちゃおっと。

 

「えへへ~」

「ん?なあ、ちょっと距離近くないか?」

「そうなの?これくらいふつうだってアリスが言ってたよ」

「え、アリスが?・・・そっか。うーん。アリスがなあ」

 

魔理沙が微妙なこと聞いちゃった、みたいな顔してる。ひょっとして何かおかしかったのかな?

 

「もしかして、間違ってた?」

「い、いや大丈夫だぜ。まさかアリスのやつ・・・いや、まさかな・・・それよりさ!今からもっと友だち作りに行かねえか?アリスもいないみたいだしさ。いい場所を知ってるんだ」

「ほんと!?」

 

これまで友だち一人作るのにも苦労してたのに、

今日の間にもっと友だちができるかもしれないの!?

やば。幸せすぎ。ふふふ、これは私に友だち100人できるのも時間の問題かあ?

 

よし、今日が私の人生のターニングポイントだ。待ってろよ、まだ見ぬ未来の友たちよ!

 

 

~~~☯少女移動中☯~~~

 

 

「ねえねえ、今から会う人たちってどんなかんじなの?」

「んー。面白れぇ奴らだから心配しなくてもいいと思うぞ」

 

面白い人たちかあ・・明るくて、一緒にいるだけで楽しくなっちゃうような人たちとかかな?

すっごいわくわくする!

 

「それに、お前に会わせようって思ってるやつはお前みたいな小っちゃくてかわいいのが大好きだからな。絶対仲良くなれるって・・・お、見えてきたぜ。ほら、あそこの紅い館だ」

「どこどこ!!・・ん?ほんとにあそこ、なの?」

 

あれ、見間違いかな?いや、見間違いだよね。

うんうん、まさか私の過去のトラウマ館に来てるわけが

 

「あそこであってるぜ。確かに悪趣味な見た目してるけどよ。紅魔館っつてな。見たまんまだろ?」

 

・・・。やっぱ紅魔館じゃん!?

 

紅魔館。かつてこの幻想郷に殴り込みをかけ、周りの妖怪たちを屈服させ勢力を広げた、ちょいと頭のおかしい集団が住む館だ。

 

そんときに私も幻想郷のつわものたちと館に行かされて、無事にトラウマを植え付けられたというわけだ。紫が私のことスキマで無理やり連れて行ったのが悪い。私は戦うのそんなに好きじゃないって言ってるのにさ。

 

周りの妖怪たちと戦うのはまだよかった。あのまま幻想郷が征服されても困ってたし、そんなに強くなかったし。あれぐらいの強さなら別に構わないよ。

 

問題は館に入ってからだ。私が気付いた時にはみんなばらばらに攻めることになってたのだ。みんな協調性なさすぎ!一人一人が強いって言ってもいっしょのほうがいいに決まってるのに。

 

こうして一人で戦わなきゃいけなくなった私だったが、そこで出会ってしまった。私の天敵ともいえる存在に。

 

私は基本高速で相手に捉えられないように戦う。天狗は妖怪の中でもとくに素早い種族。その中でも私は他の天狗たちより断然速く動けるから、それまで攻撃をまともに食らったことはなかった。でもそこにいたメイドは私が気付いたときにはもう攻撃していたのだ。攻撃をかわすどころかまったく攻撃が見えなかったんだから、もうパニックよ。

 

あとから聞いた話によると時を止められるらしい。ずるくない?彼女が人間だったからなんとか勝てたけど、あれで妖怪並みの身体能力だったらぜったい負けてた。

 

私が相手にしたのはあの子だけだったけど、メイドであれならほかの住人たちもきっと恐ろしい力を持っているはず。しかも、私を激務に追いやった紅霧異変を起こしたのはこの紅魔館だったんじゃなかった?

 

「ねえ、魔理沙。紅魔館って紅霧異変の・・」

「なんだ知ってたのか。あいつらも根はそんなに悪い奴らじゃねえし、大丈夫だって。それに、なんたってその異変を解決したのはこの私だぜ?私に任せておけばモーマンタイってやつよ!」

「ええ!?」

 

ほんとに!?え、じゃあ魔理沙はこないだ戦った敵ともう仲良くなったってこと?

私ともすぐに友達になってくれたし、もしかして魔理沙ってコミュニケーションの天才なんじゃ。

 

魔理沙と出会えたのは私が思ってた以上に幸運だったのかも。

 

「魔理沙、友達になってくれてありがとね」

「ん?よくわからんが、いいってことよ。私もお前といたら楽しそうだしな・・・よし、到着っと。そんじゃ私についてきな」

「いいの?勝手に入っちゃって。そこのひとに許可とか取った方がいいんじゃない?」

 

見た目が中国っぽい女の人が門のとこで立ってる。というか寝てるよね、あれ。

 

「いいんだよ。私はいつもスッと通してもらってるぜ。いわゆる顔パスってやつだ」

「そうなんだ・・すごいね」

 

顔パスって寝ててもいいんだ。これもきっと魔理沙がすごく信用されてるってことd

 

「そんなわけないでしょ」

「げ、見つかったか」

 

うぇ!?急に目の前にひとが。というかなんも見えなかったんだけど!

まったく何が起きたか見えないこのかんじ・・・ってこのひと、あのメイドだ!

めっちゃこっち睨んでる。や、やばい怖すぎでしょ。

 

いや、落ち着け私。きっとあのときが異変だったからやばかっただけ。魔理沙も悪い奴らじゃないって言ってたじゃん。そう、今怖く見えるのも第一印象のせいだから。ほーら落ち着いてみれば美人で優しそうなひとで

 

「こんな簡単に侵入を許すなんて、うちの門番にも困ったものね。お仕置きが必要かしら?」

「うぐぇっ」

 

ん?今変な声が聞こえたような。

 

 

・・ひえっ!?さっきの女のひとの頭にナイフ刺さってる!

このメイド、自分の仲間に攻撃したの!?

 

じゃあ私は・・・?

 

・・・やだああああああああああ!!誰か助けてええええええええええ!!!

 

怖すぎて身体から力が抜けちゃった。あ、もうダメ。立ってらんない。涙も出てきちゃった。

泣きながら何もできずに死ぬのが私の最期か。なさけないけど、私らしいかな。

 

ごめん、アリス。もう一回会って話したかったよ。

 

 

「ってなんでその子泣いてるの!?」

「ああもう咲夜のせいで怖がっちゃったじゃねえか!?よしよし怖かったな。

もう安心だぜ・・ほら咲夜もはやく慰めろよ」

「あーもうわかったわよ!私が悪かったから!お願いだからそんなに泣かないで!!」

 

 

・・・あれ?さっきの怖い感じじゃない?

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