行動派七曜録   作:小鈴ともえ

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今日は三話投稿します
六時間後と十二時間後に


師弟的第十二話

パチュリーside

 

 

 どうやら稔里は『ぱっちゃん』が私の名前だと本気で思っていたらしい。

 

いやさ、流石はこの世界だよ。常識に囚われてはいけないのですね!

 

「ねえ稔里?私の名前はぱっちゃんではなくパチュリーなのよ」

 

 

「言いにくいからぱっちゃんでいいです」即答!?少しは考える仕草が欲しかったよ。

 

「そ、そう。まああなたが言いやすいのならそれでいいわ」

 

 

「はいっ。では夕餉にしましょうか。準備してくるので皆さん待っていてくださいね」

 

「私も手伝いましょうか?材料さえあれば大陸の料理を振る舞うこともできるのだけれど」

 

 

「今日はもう出来ているのでできないのですが、明日作っていただければ、お二柱にも喜んでいただけると思いますよ」

 

「そう。でもまあ運ぶ手伝いくらいはさせて頂戴。私はただの居候だから何かしら貢献したいわ」

 

 

「いえいえ、私からしてみればお二柱の立派なお客様ですよ。

 でもあなたがそうおっしゃるのならお言葉に甘えさせていただきます」

 

諏訪子と神奈子では食事量が全然違うらしい。まああの体型差だから仕方ないよね。

 

 

そんなこんなで出てきた本日の夕飯はお手本のような和食。未来では豪華料亭でもこれほどのものは食べられるかわからない。(白玉楼に行けばいつでも食べられそうだけど)

 

神に食事を出すくらいだから美味しいのだろうとは思っていたけれど、これ程までとは思わなかった。ご両神も美味しそうに食べている。

 

 …………私これ明日のご飯大丈夫だろうか。明日生きているだろうか。自信なくなってきたね。

 

 

「それで二人はどうして諏訪に来たんだい?やっぱり私たちが同じ神社にいるのが珍しかったからかい?」

 

実際は何も考えることなく諏訪に来たのだけれど。「まあそんなところね」

 

 

「でも来てみて良かっただろう?空気もいいし民もいい。都にさえ負けているとは思っていないよ」

 

「えぇ、本当に来てみて良かったわ。料理もとても美味しいしね」

 

 

「そうですか?それは良かったです。ところでお二方はこの国で何をなさるのですか?」

 

「私は依頼があればあなたと一緒に妖怪退治にでも行きましょうかね。いっそのこと、ここの神社の巫女見習いにでもなってしまおうかしら」

 

 

「私は基本的には山の方にいると思いますね。この島に来る前に修行をしていた山と同じくらいの高さはありますし、新しい格闘技術も日本に来てから人間に教わりましたからそれも試してみたいですからね」

 

「まあそういう感じよ。巫女の方は冗談だけれどね」

 

 

「巫女してみたらいいんじゃない?妖怪巫女、うんなんか悪くない響きだね」

 

なるほど、無用な殺生もする人間巫女がいるのなら無用な殺生をしない妖怪巫女がいてもいいってわけね。

 

「そんなことをここの民が許すかしら?」

 

 

「仕える神がいいって言ってんだからいいのさ。それにあんたは仮にも大陰陽師だからね、私たちもかなり安心できるし、ここの民も樺菜と美鈴の名前は皆知っているからむしろ盛り上がるかもね?」

 

「本当のところは明かさないようにするのね。でも流石に二十年も経ったら人間じゃないと思われるのではないのかしら?」

 

 

「大丈夫さ。ここの民はあんたを仙人だと思っているからね。安心しなよ」

 

そういえば仙人なんて噂も都では経ってたね。まあ不比等を延命するためにあれだけ仙術を派手に使えばそうなってもおかしくはないよねぇ。

 

「なら私は明日からこの神社の巫女見習いね。よろしくね、稔里」

 

 

「厳しく育ててやりなよ。なに、妖怪は簡単にはへばらないからね」

 

魔法使いの身体は普通非力な人間程度だし、私自身も登山家くらいの身体でしかないから恐らく稔里よりへばりやすいよ?勘弁してくれよ、まったく。

 

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   稔里side

 

 

 ぱっちゃんはどうやらかの有名な大都庶樺菜本人らしい。彼女については妖怪退治は教えることが無い、というか教えられることの方が多い。

最近は私の通常攻撃の火力不足を補うべく一緒に必殺技になるものを考えてくれた。それが「幻想封印」。ぱっちゃん曰く技名は変えることをお勧めするらしいが、私は別にこれでいいと思っているから今のところ変えるつもりはない。

 

 そんな感じで戦闘の方は申し分ないのだが、生活関係においては最低限しかしていなかったようで、洗濯と炊事以外は結構ひどかった。

何故洗濯と炊事だけは上手いのか聞いてみたところ

 

「着物は戦えばすぐ汚れるし、丁寧に洗わなければならなかったから。炊事の方は本をたくさん読んだから」

 

だそうだ。読むだけで美味しい食事が作れるのなら器量はかなりよさそうだから、生活技術もつけようと思えばすぐにつきそうなものなのにどうして掃除もまともにできないのか、と聞いてみると

 

「いつもは魔法で塵を飛ばして満足してしまっていたから」

 

だとか。魔法って便利なんだなあ。

 

でもそんな便利なことも巫女になったからには自らの手でやってもらわなければならない。彼女ならすぐにでもできるようになりそうですけど。

 

 

そんなことがあってからもう十五年。私の娘も立派な巫女になることができました。唐突ですけど。ぱっちゃんは見違えるように家事ができるようになった。

 

 育てがいのある弟子だった…………。まあ彼女の方がはるかに年上ですがね。

 

最近は彼女に師匠になってもらって仙術を学んでいる。これがなかなか便利で面白く、夏場に娘の修行を手伝うときには冷たい水を出してやったり、寒い日には火を出してやったりしている。

ぱっちゃんによるとどうやら私は仙人に近づいて行ってしまっているようだけど、仕方のないことだと思って仙術の修行は続けている。娘が先に逝ってしまうのは胸が張り裂けそうなほど辛いことだけど。

 

 

 

あれからもう五十年経った。私は今山に籠って修行を続けている。娘はつい二月ほど前に亡くなってしまった。もう私が神社にいる必要はないので、諏訪子様と神奈子様に無理を言って山に籠らせていただいている。

 

東風谷の系譜はいつまでも続く。そこに何代も前の巫女である私が居ればきっと皆混乱してしまう。だから神社には極たまに、巫女一代につき一度ほど通おうと思っている。

 

ぱっちゃんが言うには仙人になってしまったのなら定期的に来る死神を追い返さなくてはならなくなるらしい。それも修行の一環だと思って受け入れるしかない。

 

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 仙人とは天人に至るまでの準備段階であるという。私もいつか天人になって、ぱっちゃんに恩返しをしたいと思っている。

ぱっちゃん達はもうこの国を出て行ってしまうらしい。もうそんなに時間が過ぎていたのか。修行中は時間を忘れてしまう。

 

まだ私が現役の巫女だったその昔ぱっちゃんと考えた必殺技は今なお進化させて使用している。私はもう守矢の巫女ではない。今こそあの時のぱっちゃんの勧め通りに名前を変えよう。

新しい技名は…………そうね、「稔庶封陣(じんじょふうじん)」とでもしておきましょう。これでぱっちゃんと一緒に考えたことがすぐにわかるようになった。

 

 

 

「久しぶりね。三十年ぶりくらいかしら?」

 

 

「えぇ、久しぶり。きっとそのくらいじゃないかな。それで今日はこの国を出る前の別れの挨拶に来たの?」

 

「耳が早いのね。ええそうよ。あなたも天人になれるように頑張ってね。きっとまたいつか会いましょう」

 

 

「そうね。ぱっちゃんも元気でね」

 

次に会うのはいつになるのだろう。十年後かもしれないし千年以上後かもしれない。

でもきっとぱっちゃんなら約束を違えるようなことは事はしないから安心して修行に励むことができる。




「幻想封印」は「夢想封印」のホーミング機能を劣化させたもの。いわば下位互換
それの威力をかなり底上げしたものが「稔庶封陣」って感じ

パチュリーが技名を変えるように勧めたのは名前がありきたりだったから
稔里がパチュリーに敬語じゃなくなったのは単純に仲がふかまったから

稔里が仙人になるのは二柱からは止められていました。勿論神に仕える巫女がってのもありますが、子に先立たれるのはかなり辛いので。その苦をも修行として乗り越える様僧侶の如し。彼女も白蓮同様に八苦を滅せるかもしれません

稔里ちゃんがいるからオリキャラタグはつけないといけないかなあ

では次回も読んでいただければ幸いです
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