パチュリーside
私はどうやら誰かに助けられたらしい。
呼吸も落ち着いているし、身体のだるさも殆んどなくなっている。ここまで自然回復させるのはなかなか難しいうえに、小屋のような物の中に寝かされていることを考えると、誰かが見知らぬ私に情けをかけて助けた、と考えるのが妥当だろうね。
見るからにここら一帯の住民ではないにも関わらず、私の命を救ってくれるような心優しい存在は果たして人間なのだろうか。
見知らぬもの、よくわからないものに恐れ、近づこうとはしないのが人間の本質。
ならば私を助けた者が人間ならその者は常人では考えられないほどの優しさを持った者か、言い方は悪いがよほどの奇人だろう。
でも私を助けた存在が人外であった場合にはもっと疑問が残る。当たり前だが妖怪は人を喰うもので、私自身人間と大差ない。
故に私には答えを導き出すことはできない。でもまああの状態の私を助けた、ということは取って食われるという心配はほとんどないと考えていいでしょう。
それにしてもさっきから数部屋向こうで料理をする音がするね。ほとんどの妖怪は料理なんてせずに生のまま獲物を喰うはずなのに、もしかして私も今から料理をするために身綺麗にされたのだろうか。
これはやばい、詰んでるね。とりあえず家主が妖怪だったらこの部屋に来てすぐ土下座敢行だね。それで許される気はしないし、この地の人に意味が通るのかもわからないけれど。
あぁ辛いよ
あ、音が止んだね。やっぱりこっちに来たよ。もう部屋の前に来たね。瀕死の私を家に連れ帰るようなもの好きはいったいどんなひとなんでしょうね
ガララッ
「どうやら目が覚m・・・」
女性か、しかも私をここまで運ぶとなれば妖怪なのは確実ね。ならば敢行!
「どうか私を喰うのは勘弁してください。私にできることは何でもしますので!」
「はい?えーと何か勘違いをしているようですが私はあなたを喰うつもりはありませんよ?」
あれ?そうだったのか。じゃあ顔を上げて相手が妖怪か人間か見てみようか、ってあれ、えらく美鈴さんそっくりだね。まさか美鈴その
いやいや流石にそんな都合よく話が進むかよ。一応名前聞いておこう
「私を助けてくれてありがとう。私はパチュリー・ノーレッジ。呼びにくければ好きなように呼んでちょうだい。
それで、あなたは?」
「申し遅れました私は紅美鈴と申します。
ところで、あなたはどうしてあんなところで倒れていたのですか?」
やはり美鈴だったのか。超運がいいね(強運だけでは生きていけないけれど)。おそらく彼女の能力で私の気を安定させてくれたのでしょうね
「そうねぇ、初めからと途中からどっちがいいかしら?」
「差し支えなければ初めからお願いします」
よしよし初めからということは私の種族からあそこに行き倒れていた理由までだね。
美鈴side
私が偶然助けた女性、パチュリーさんというらしい。
名前自体を聞き取れはする、発音はできない。練習しようかな。流石にずっと名前を呼ばないのも失礼だし。
どうやらというかやはり彼女は人間ではなかった。魔法使いという種族らしい。
彼女はこの国に長期間在するつもりで来たようだ。本来は山に登って仙人のようなことをしに来たんだとか。
最近はこの周辺も戦が頻繁に起こるようになってきたため私も山の上での修行に切り替えようと思っていたところだ。
私も彼女について行っても良いだろうか。彼女はまだこの地域にはないような不思議な技(魔法というらしい)を使う。私がそれを習得できる気はしないが、何かしらの発想の手助けにはなるかもしれない。
彼女に聞いてみると案外簡単に了承を得られた。なんでも彼女には持病があるらしく、私の能力がかなりありがたいらしい。
治療したことで能力が概ね割れてしまったのだろうか。あの程度で割り出されたのはかなり驚くが。
さらに彼女は非常に学がありこちらの言葉で話しているのに普通に受け答えをしている。話を聞く限りここに来てまだ気絶して起きただけというから驚きだ。
少しの能力の痕跡から私の能力にあたりをつけてくる実力、素晴らしき頭脳、彼女は本当に尊敬に値する。だから彼女についていくことができるのはかなり嬉しいし、楽しみでもある。
どうやら彼女によると、200~300年ほど山籠もりをしたらそのあとは倭国で700年ほどゆっくり過ごす予定らしい。ちなみに私も倭国には大変興味があるので、山籠もりの間に彼女にあちらの言語を教えてもらおうと思っている。
どうやら彼女は食事がいらない体質の様子。仙人でさえ霞を食べているといわれているのに、最早仙人より上位の存在なんじゃないだろうか。そんなことを彼女に言ってみると彼女は
「一概にどちらが優れているとは言えないわ。生きている中で何か追い求めたいものがあって人間を超越する、というのならばどちらも同じようなものじゃないかしらね。まあ本人たちには相応の矜持があるだろうからあまり言うものではないわよ。私?私は元々が魔法使いだから人間を超越したい、という感情は特にもっていないのよね。
でも魔法使いと違って仙人は己の寿命を延ばすために定期的に来る死神を追い返さなければならない。それゆえ今生きている仙人はみな相応に強いんでしょう。対して人間上がりの魔法使いは人間から不老になった時点で満足して腐っていってしまう者もいるのかもしれないわ。だから魔法使いは一概に強いとは言えないわね。
どちらにも良い点悪い点があるわ。だから互いに優れていてかつ劣っている、そういうものよ」
と言っていた。なんだかはぐらかされた気がしなくもないがよくわからない。そもそも永く生きてきたけど仙人の本来の姿なぞ知らなかった。山の上でひたすら座っていたりするおじいさんかと思っていたのに、彼女によると年若く
やっぱり山の麓だけじゃなく上の方にも行ってみるべきだったか? まあ今から行くから別にいいか。
パチュリーside
なんと美鈴も山の上に一緒についてきてくれることになった。とても心強いね。その時うっかり「美鈴の能力が~」と言ってしまったけど何とかなった。
今になって分かったのだけれど、どうやら言語学習が前世よりちょっと上だと思っていたの複数の言語を並行して覚えようとしていたからのようね。
頭は普通に良かったみたいだね。阿呆だっただけで。まあそのおかげで美鈴との会話も非常にスムーズに進めることができた。あと覚えておくべきはルーマニア語なのだけれどおそらく今勉強しても無駄でしかないだろう。
そんなこんなで山につきました。検問?そんなもの律義に通る必要もないと思うし、ずっと空を飛んでいたからあったかどうかも定かではないのよね。
この山でなら高山トレーニングもできるね。どこのアスリートがこんな環境で200年以上も過ごすのよ。美鈴もこの環境で毎日修行すれば人間の技を使った身一つの戦闘でも大妖怪と戦えるようになるかもしれない。
やばい気がする。このまま行っちゃったら吸血鬼異変で幻想郷が陥落する未来が起こりうる。
これはまずい、およそ1500年後のことを今のうちから考えておかないと。辛いわ。
最悪その時の紅魔館の当主様に物申せるレベルの力はないとね。おそらくレミリアだろうけど。
さっさと修行始めましょうか。仙術も相性は悪くないはずだから少し齧っておこうかな。
美鈴さんでした。都合よく出てきてくれたものですね(棒) 勿論主人公は知っているうえで美鈴の能力のことを言っています
美鈴に誤解されちゃってますが
美鈴の一人称部分を敬語じゃなくしました。書きにくかったので
本来は主人公が美鈴に敬語で話しかけて美鈴が「敬語なんてやめて」的な発言をする箇所があったのですが、敬語なんて存在しないような気がしたので端折りました。
美鈴も実際は主人公とと同じ敬語のない言語を話していますが、勝手に敬語に翻訳してます。
気づいてる方もいるかもしれませんが主人公はよく「辛い」と言います
まあ一種の口癖だと思っていただければ
言語の壁って分厚いと思っています。でも実は主人公は15歳にしてかなりの言語を話します
賢いですね、阿保だけど。誤解なきように言っておくと頭はかなり良いです
演算能力は流石に紫より数段落ちますが
さらに主人公は心の声だけは普通に横文字を使います。口には出しませんが
次回はかなり時間を飛ばします。ほとんど同じ生活をだらだら書いてたら終わらなくなりそうなので
では次回も読んでいただければ幸いです