行動派七曜録   作:小鈴ともえ

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ストックがないというのに長々書いてしまいました


阿礼的第三十話

   パチュリーside

 

 

人里に行き始めてからもう二年ほどが経過した。慧音の寺子屋もかなり順調なようだ。

 

もともと勉学に励むことができなかったこの里では寺子屋は大受けだったらしい。慧音が趣味でやっているので授業料を取っていないのも人気である理由の一つだろう。

 

最近は館に籠りがちになっていたが久しぶりに里に行ってみようと思う。

 

最近アリスの魔法の腕がかなり上達してきたのが館に籠り気味になってきた理由の全てである。この二年で私の魔導書の読める部分が1%ほど増えたらしい。

 

驚異的だ。このままいけば二百年もしないうちに当時の私に追いついてしまう計算になる。私があれを書いたときに私はもう千を超えていたというのに。

 

これもやはり元が人間であるからなのか?アドバンテージが大きすぎやしないか。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

人里に着いた。不定期でも二年通っていれば門番に顔は覚えられている。ありがたいことだ。

 

今日は一段と里が騒がしい。いったいどうしてだろうか、と思っていると小さな子供が手を引かれながら歩いてくるのが見えた。

 

間違いない、あれは阿求だ。髪色からして普通の人間ではないし。となるとこの騒ぎが御阿礼神事なわけだ。

 

写真を撮ってブン屋にでもくれてやろう。この時のためにカメラは持っているのだ。まだ私たちが外にいた時の最新型だ。

 

まあ最新型とはいえデジカメの画質とは比べ物にならない性能ではあるが仕方がないだろう。

 

さて、阿求が生まれたとなるとそろそろ準備をしなければならないだろう。折角の行事だ。一番良い着物で行ってあげないといけない。

 

来たばかりだがいったん帰ることにしようか。

 

 

 

「あやや?パチュリー様ではありませんか。実は困ったことがあるんですが」

 

「あぁ、文ね。一体どうしたのかしら?」

 

文は何回言っても様付けをやめてくれない。多分昔大江山で天狗を無力化し続けたからだろうなぁ。文もあの中に入っていたから仕方ないのかもしれないけれど。

 

 

「実は()()()で九代目稗田が誕生したと聞きましてね。記事にしようと思ったのに何故か今日は人里に入れてくれないんですよ」

 

「それは御阿礼は里にとっては最も重要な人間なんだからまあ仕方ないんじゃないかしら。でも記事に使えるかもしれない写真なら撮ってきてあげたわよ」

 

 

「本当ですか?!一体いくらで売ってくれますか?」

 

「こんなものに金なんか取らないわよ。無料でいいわ。ただし写真提供者は伏せておいて頂戴ね」

 

 

「わかりました、ありがとうございます。早速記事を書いて本日中には発行しますので美鈴様にも伝えておいてください」

 

「丁度会ったのだし今日の分のお金は払っておくわ。ついでに買ってきた茶菓子も一つあげるわ」

 

 

「今日の分は号外ですから無料でお配りしますよ。毎回ありがとうございます。というかこれって有名店の菓子ですよね、本当にありがとうございます」

 

「別に構わないわよ。あの店は安くて美味しいのがウリなんだから」

 

流石に文でも美鈴の構える門の中には入ることができないようだ。だから文はいつも門にいる美鈴に新聞を渡している。

 

購読料は遠慮されたけれどきちんと払っている。月に数回しか発行されないから大して懐も痛まないし。

 

さあ帰ろう。まだまだ早い時間だけれど。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「あれ、今日は随分と早かったですね。珍しい」

 

「まあね、理由は今日中にはわかるわよ。楽しみにしていなさい」

 

 

「楽しみなことがあると今日のモチベーションに繋がりますね。今日は張り切って門番ができそうです。あぁ、そういえば薬草の方はもうそろそろ採取出来ますよ」

 

美鈴は基本は門番であるが作物なども育てている。育てている植物は私用の薬草からワイン用のブドウまで様々だ。ブドウやトマトなどを育てている場所は私も魔法で適温、適湿になるように調整してある。

 

そうしないと気候的に育てられないからだ。ちなみにレミィの好みで大豆もかなり多く育てられている。私は納豆菌の培養に付き合わされた。買うよりも自分で作った特製の納豆菌によるものが美味しいらしい。

 

初めは失敗も多かったが今ではレミィの満足する菌ができた。発酵は咲夜の得意分野だし。

 

この館の結界が解除され、紅魔館の存在が明るみに出たら人里にもワインとともに売り込むつもりらしい。確かに味はかなり良いし、健康にも抜群に良い。

 

その時が来たら楽しみではある。

 

「それは良かったわ。それで、アリスはもう来ているのかしら?」

 

 

「はい、パチュリーが出て行った少し後にいらっしゃいましたよ。今はお嬢様とお茶でもしているかもしれません」

 

「あの子も勉強に来ているのでしょうに。そういえば最近疑問に思っていたのだけれど、レミィが夜寝るようになったのはどうしてだったかしら?」

 

 

「えーっと、確かこの幻想郷には昼型の妖怪が多かったからでしたっけ。私たちを含めて昼に活動する妖怪も多いので、お嬢様も結界が解かれた時の事を考えたのではないですか?」

 

「なるほど、それで朝起きの生活に変わっていったのね。ありがとう、疑問が解消したわ」

 

 

「いえいえ、別にこれくらいなら」

 

美鈴は話していて楽しい妖怪だ。文も必要以上に恐れなくてもいいと思うのだが、潜在的な恐怖は拭い去れないらしい。

 

私は図書館にでもいようかな。お茶会が終わったらアリスも来るだろうし。それにしてもレミィとアリスねぇ、一体どんな話で盛り上がるのだろうか。流石に詮索はしないが。

 

 

「おや、パチュリー様お帰りなさい。今日は早かったのですね」

 

「えぇ、少し事情があってね。それより冷たい緑茶でも入れてくれないかしら?こあの分も茶請けを買ってきたから」

 

 

「私の分もですか?嬉しいですが毎回毎回部下を甘やかしていて良いのでしょうか

 

何かこあがブツブツ独り言を言っているが何を言っているのだろうか。生憎私の耳は地獄耳ではないのでさっぱりわからない。

 

「何を言っているのかは知らないけれど早くしないと茶請けあげないわよ」

 

 

「いえ、何でもありません。今すぐ準備いたしますよ」

 

今日買ってきたのはいつもは行列ができていて買う気になれない有名店の茶菓子だ。こあは館の外の事情は知らないのだろうが。

 

今日は人々の注目が違うところに集まっていたので並ばずに買う事が出来たというわけだ。あとで美鈴にも一つ持って行ってあげようかな。

 

 

「はい、お待たせしました。では早速頂きましょう」 「えぇ、でも全部食べては駄目よ」

 

安いのをいいことに結構な数買ってきたからなくなりはしないだろうが。

 

 

   文side

 

 

最近は記事のネタになりそうな事柄がとても少なかったので九代目稗田の誕生はかなり嬉しいことである。

 

文字通り風の噂をもとに人里に行ってみたが今日は何故か入れてくれない。いつもは入るくらいなら許可してくれるのに。

 

そんなことを考えているとパチュリー様が里から出てきた。彼女によると稗田の誕生は真実であったらしい。となると祝賀会についての記事は書かなくてはならないだろう。

 

号外として里にばらまくつもりではあるが、写真の無い記事は誰にも読んでもらえないかもしれない。そこで私が縋った最後の希望がパチュリー様だった。

 

彼女はついこの間まで外で暮らしていたらしく、彼女の持つ写真機はその時の最新機種らしい。今私が使っている河童の物よりは僅かに性能が良い。

 

こうなることを見越していたのか彼女は写真を撮ってきてくれていた。それを無料でもらえた上に、いつも並んでいる菓子屋の茶菓子までもらってしまった。

 

彼女、それに美鈴様の恐ろしさはよくわかっている。私がまだ鴉天狗になったばかりの頃に、大江山で大量の天狗たちをものともせずに無力化し続けていた彼女たちには今でも勝てる気がしない。

 

私は途中でやられたから知らなかったが、かかっていった天狗の中には大天狗も何人かいたらしい。その天狗たちに後遺症を全く与えることなく気絶させるのみに抑えるその余裕。

 

私が本気を出さずに余裕を残して戦うようになったのは彼女たちが原因なのかもしれない。

 

美鈴様に至っては後から来た当時の山の四天王の一人である伊吹様まで倒してしまったというから本当に恐ろしい。

 

しかしそんな実力を持っていながらもいつも格下であるはずの私に対して優しく接してくれる。

 

パチュリー様は今日のようにしてくれるし、美鈴様も新聞を持って行った時には世間話に付き合ってくれる。何故かはわからないが私としてはありがたいことだ。

 

今は貰った茶菓子でお茶を飲みつつ記事を書いている。内容は勿論、御阿礼の誕生とそれに付随する神社での祝賀会についてだ。

 

前回行われたのはまだ幻想郷に大結界が張られる前だ。久しぶりの御阿礼神事だったが、今回も大騒ぎだったようだ。

 

なんにせよ人間でこの御阿礼神事を見られるのは運のいい者だけだ。

 

人間の寿命を考えれば二生費やしてようやく見られるか、というほどだ。故に神事の後の祝賀会にもぜひとも多くの人間に参加してもらいたい。

 

だから私は号外を配ることにしたのだ。会には私も変装をして行くつもりである。ここ二代くらいは参加している。

 

 

 

書き終えて印刷も十分な量ができた。先ずは人里の上空からばらまいておこうかな。入れてはくれないし。

 

次はパチュリー様や美鈴様が住む紅魔館だ。私の速さをもってすればすぐに到着できる。

 

 

「あら、久しぶりですね、文さん。今日はパチュリーからお金を受け取っていませんが」

 

 

「お久しぶりです、美鈴様。今日は号外ですのでお金は取っていないのです。パチュリー様から話は聞いていないのですか?」

 

 

「パチュリーからは楽しみにしておきなさいとしか言われていないのですよね。どうやら貴方の持ってきた号外がその楽しみのようですね」

 

 

「楽しみ、ですか。ありがたいことです。これがその号外ですよ」

 

私の新聞は私の趣味で書いていることが多いので楽しみにされることは少ないし、購読料を払ってもらえること自体が少ない。悲しいことではあるが。

 

 

「へぇ、ついに九代目が誕生しましたか。行事への参加は随分と久しぶりになりますね」

 

 

「参加されたことがあったのですか?」

 

 

「はい、二代目から五代目までですかね。いやー懐かしいですね」

 

私の初参加の二つ前までか。道理で彼女たちを見たことが無かったわけだ。

 

 

「美鈴様はパチュリー様と一緒に参加されるんですよね。また人間に変装をして行かれるのですか?」

 

 

「勿論ですよ。流石にこんな目立つ髪色では行けませんし。文さんも参加するんですよね。是非私たちを探してみてくださいね」

 

 

「わかりました。ではまた神社でお会いしましょう」

 

―――――――――――――数日後――――――――――――――――――――

 

 

今日はいよいよ誕生祝賀会の日だ。予想通り食べ物はかなり用意されている。

 

人間も大勢来ているところから私の号外もかなり役に立ったのかもしれない。パチュリー様と美鈴様はもう来ているのだろうか。

 

変装したお二人を見つける自信はないのだが。

 

おや、不意に人間たちがざわつき始めた。今日の主役の登場だろうか。

 

 

「おい、あの二人組の着物は質が良いなんて物じゃないぞ」「気合入れて来たのかねぇ」

 

どうやらそうではないみたいだ。しかし一体どんな人間なんだろうか。この祝賀会にそんなに気合を入れて臨むような者たちは。

 

うーん、人が多くてあまり見えない。飛べば見えるけどそんなことはこの場でできるわけがない。しかも見失ってしまった。

 

でもちらりと見えたその着物は確かに上質な物のようだったし、かなり古い製法の物だったのではないだろうか。今では滅多に見る事などできまい。

 

是非とも取材して、その着物の起源を知りたいものだ。私は話術に長けていると自負している。大抵はさしあたりのない会話から始めれば心を開いてくれるものなのだ。

 

 

 

祝賀会が始まってから既に一刻が経過しているがあの二人を見失ってからまだ見つけられていない。

 

「あら、文じゃないの。どうやら変装は下手みたいね」

 

この声は…………!

 

 

「ぱ、パチュリー様?!…………って誰?!」

 

「わからないのかしら。私はパチュリーよ。こっちも美鈴だし」

 

どうやら着物が騒がれていた二人はパチュリー様と美鈴様だったみたいだ。道理で私でも変装は見破れないわけだ。もはや声でしかわからない。

 

「貴方人間たちの間では結構浮いているわよ。それ、天狗装束でしょう?」

 

変装には自信があったんだけどなぁ。

 

 

「そんなに浮いてましたか?それを言うならお二人も相当騒がれていましたが…………」

 

「文はこの着物を知らないのね。これは千年も昔に帝から頂戴した物なのよ。当時の京で一番の着物職人が作った超一級品なわけ。名前まで刺繍されているわ。

 

 

「そ、そんなにいい物を?!ただの祝賀会ですのに」

 

「私たちは昔からそうしてきたのだから。それに稗田とは縁も深いからね、私も美鈴も」

 

 

「そうだったのですね。まさか騒がれているのがお二人だとは思ってもみませんでした。さあ、疑問も解消しましたので早速料理を頂きましょう!」

 

「あぁ、文。そのことなのだけれど…………もう料理もなくなったし会はお開きになるそうよ」

 

 

「私何も食べられていないのに…………。残念です」

 

「そう落ち込まないでもいいわ。今から私が里で何か御馳走してあげるから」

 

 

「いえ、そんな。パチュリー様に払わせるだなんて」

 

「お金なんてあっても基本は使わないもの、別に構わないわ。さて行きましょうか?」

 

 

「はい。美鈴様もいらっしゃるのですか?」

 

 

「いえ、私は門番をしないといけないので。今日もお嬢様に無理を言って来ていますからね」

 

 

「そうですか、頑張ってくださいね。そんな敵が現れたら、ですが」

 

 

「あはは、私はまだまだ未熟ですから案外頑張らないといけないかもですね」

 

いつも新聞を配りに行くと鍛錬をしているがどこまで自分を鍛えるつもりなのだろうか。聞いたところによると拳だけでなく剣も達人以上には扱えるらしい。

 

白狼天狗も毎日修行を欠かさず行っているが、美鈴様と比べると鬼気迫るものがなく、どこか和やかだ。

 

そんなので山は大丈夫なのだろうか。昔たった二人にやられたというのに、そのことを知らない白狼天狗たちは暢気なものだ。一度痛い目に合えばわかると思うのだが。

 

「ここでどうかしら、文。今日はまだ空いているはずよ」

 

 

「里では有名な料理店ですけど本当に良いんですか?結構高いですよ、ここ」

 

「勿論知っているわ。でも私もお金には困っていないもの。三十両までなら平気よ」

 

 

「流石にそんなに食べられませんよ…………。ですがありがとうございます」

 

パチュリー様はどんどん料理を頼んでいく。私の好物が多いのは彼女が気を使ってくれているからだろう。別に気にしないのに。

 

 

「パチュリー様はどうしていつも私なんかを気にかけてくださるんですか?」

 

「どうしてでしょうねぇ。やはり若い妖怪の成長を実感できたからかしら」   「というと?」

 

「私たちが大江山に行った時にあなたも気絶させたでしょう?大天狗たちが来る少し前だったかしらね。あなたとこの幻想郷で再会した時には驚いたわ。昔の面影が良く残っていたから。

 

私があなたを覚えていたのは必然だったのでしょう。あの戦にあそこまで若い鴉天狗が出てくるとは思ってもみなかったからね」

 

 

「そうだったのですか。何か恥ずかしいですが嬉しいですね」

 

「はいはい、この話はもうおしまい。料理が来ているわよ。あなたの好物から何品か勝手に選ばせてもらったわ」

 

 

「そんな所まで気を遣っていただかなくても結構ですのに」

 

神社では食べ損ねたがここでパチュリー様と食事できるのなら悪くなかったのかもしれない。

 

 

 

   パチュリーside

 

 

阿求が誕生してからもう随分と時間が経った。人里に通っていると偶に重要な情報が入ってくる。つい数年前には霧雨さんのところの娘が勘当されたらしい。

 

何故今里の話を出しているのかというとまさに今里に来たところだからだ。今日は買い物と包丁の切れ味が悪くなったから鍛えなおす事(両方レミィから頼まれた)、後はついでに私と美鈴の刀も鍛えなおしてもらうつもりである。

 

私と美鈴が刀を持っているのは昔都で支給されたからである。私も美鈴も普段は使わないのだが、都の陰陽師は持っておくべきだったらしい。

 

美鈴は妖忌との鍛錬で使っていた。私は流石に真剣では鍛錬できないので木刀を使っていたが。だから私も一応剣術はある程度できる。魂魄流だけれど。

 

 

人里には鍛冶屋は表通りにも何件かあるが私が向かう先はそこではない。

 

「ごめんください。鍛えなおしてもらいたいものがあるのだけれど」

 

 

「いらっしゃい。客が来ることなんて殆んどないんだけど腕には自信がありますよ。どんな物でも直して見せましょう」

 

「ではこの包丁と刀を二本よろしくお願いするわ。包丁を優先してくれると助かるわ」

 

 

「わかりました。お客さんなんて名前なんです?わた…わちきはここの店主、多々良小傘。唐傘の付喪神なんですよ」

 

「無理しなくてもいいのに。私はパチュリー・ノーレッジ、魔法使いよ。包丁だけなら今日中にできそうかしら?」

 

 

「勿論ですよ。ちなみにこれはかなり古い妖刀ですよね?どうして持っているんです?」

 

 

「昔々に貰った物なのよ。あまり使ってはいなかったけれどまあ包丁のついでね」

 

 

「ほへー、まあこれくらいなら打ち直しもすぐに終わるでしょう。包丁の方も手入れは良さそうですし全部夕刻までには完成させておきますよ」

 

「ありがとう、では夕刻受け取りに来るわ」

 

さてと、あとは買い物か。月に数回しか来ないから買うものが多くて困る。野菜類は庭で育てているため、買うものが主に魚や肉なのは助かるが。野菜は枯れてはいないので謎空間に入れることができないのだ。

 

でも少しは野菜も買わないといけないし、買うのは帰る直前にした方が良いに決まっている。魚や肉は持ち運ばなくていいし数量が限られているから早めに買うけれど。

 

美鈴のために珍しい花でも買って行ってあげようかな。花ならばたいした荷物にもならないだろうし。

 

 

 

 

「あら、誰かと思ったらパチュリーじゃないの。随分と久しぶりね」

 

「久しぶりね、幽香。美鈴のために珍しい花でも買いに来たのだけれど、どれがいいのか私にはわからないわ」

 

 

「ならこのカスミソウなんてどうかしら。花言葉は『清らかな心』『無邪気』『親切』『幸福』。それに開花時期はもうそろそろよ」

 

「悪くないわね、これにしましょう。ありがとうね幽香」

 

 

「別に構わないわ。花好きに悪い奴はいないもの。荒らされたらただではおかないけれどね」

 

幽香が言うと怖さが十倍だ。

 

「今まで荒らされた事ってあったの?」

 

 

「何度もね。そのたびに返り討ちにしてやったわ。未だに私が負けたのはたった二度」

 

「…………あれから一度負けたのかしら?」

 

 

「幻想郷に来た時にね。ここの管理者があの八雲紫だったから無理矢理再戦をしたのよ。前の時よりは幾分かマシな戦いができたくらいだったわ。本当にあの妖怪は反則じゃないかしらね」

 

私から見れば幽香も十分に反則級だけれど。

 

「そうだったのね。でももう二度と紫と戦わないで頂戴ね。幻想郷が壊れてしまうかもしれないから」

 

 

「安心して頂戴、流石に三度目は無いわ。どうやっても勝てる気がしないもの。

 

さて、今日は用事があるからまた今度ゆっくり話しましょう。次は美鈴にも会えれば嬉しいわね」

 

「えぇ、また今度。さようなら」

 

丁度良い時間になったのではないだろうか。今から小傘の所に寄って野菜類の買い物をすれば良いだけだ。たまにはこういう一日も悪くないと思う。




阿求と文と小傘が初登場、幽香の再登場と長くなってしまいました。小傘は私の三番目に好きなキャラですので早めに出しておきたかっただけです。ここで登場させないと次に出てくるのはまだまだ先になりそうなので。ちなみに阿求は12番目くらいには好きです

文のテーマ曲の内「妖怪の山」は組織内での文、「風神少女」は個人としての文を表しているような気がします

御阿礼誕生祝賀会って八代目以前もやっていたのでしょうか。とりあえずこの小説では昔は博麗神社ではない所で行われていた、という設定です

今回は7800字を超えました。無理矢理時間も進めましたし

では次回も読んでいただければ幸いです
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