行動派七曜録   作:小鈴ともえ

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一度本題から外れるとどんどん脱線していくのはどうにもできないです


紅霧的第三十一話

    パチュリーside

 

 

今日の夕食時にレミィから重大発表があるらしい。どうせ小傘の鍛えた包丁の切れ味がやばいとかそんなことだろう。

 

持って帰ってきた時には滅茶苦茶喜んでいたし、何故か楽しそうですらあった。もうレミィの料理は趣味の領域から外れてしまっていると思わざるを得ない。

 

気に入るものができるまで納豆を自分で作るなんておかしいと思う。私も手伝ったから人の事は言えないのだが。

 

家庭菜園と呼ぶには大きすぎる規模の畑も作っているから庭でもあまり遊べなくなっているし。でもそれはそれで良いこともあった。木陰がたくさんできたことで朝起きになったレミィは日中外に出られるようになった。

 

庭を見ているとやはり緑は素晴らしいと感じる。紅と違って見ていても目が疲れないし心が安らぐ。まあ紅も見慣れてしまったのだけれど。

 

森林セラピーのような効果のおかげで最近はフランドールの精神状態もかなり安定してきている。これは狂気が出にくくなるという点で見れば非常に良いことなのだ。

 

まあ出てきたところで美鈴かレミィが対処可能なのだけれど。それに上手くいけばその狂気もあと数年で完全に封じ込められるかもしれない。上手くいくかどうかはわからないが。

 

今はもう夏になる頃だ。目の前の湖に行けば快適に過ごせるだろう。メイドも含めた妖精たちは鬱陶しいかもしれないが。

 

チルノには人里に行くときにたまに会うし毎回勝負を仕掛けられる。私も別に急いでいるわけでもないので毎回相手をしてやっているが、そのあとに大妖精が謝りに来るので何故かこちらまで申し訳なくなる。

 

大妖精はいい子だ。妖精としての力は湖周辺の妖精の中ではかなり強いし、頭の出来は別格だ。悪戯は好きなようだが命の危険を感じる悪戯まではしようとしないのが良い例だ。

 

メイド妖精に至っては言葉が見つからない。館の仕事は全くしないくせにご飯時には戻ってくるという狡猾さ。まあ彼女らがする仕事は残っていないし、レミィも楽しんで料理をするから何も言えないともいえる。

 

今日も遊んできたメイド妖精たちが帰ってくる時間になった。自然と密接に関わっているおかげで彼女らの時間感覚だけは信用できる。一応時計もあるのだが外に出ないと分からないのだ。

 

アリスももう帰っているし私もこあを連れてそろそろ食堂に向かわなければならない。

 

「こあ、そろそろ夕食時よ。来なさい」

 

 

「あれ、もうそんな時間なんですか?本を読んでいるとあっという間ですね」

 

本当にね。長く生きてきたからか最近は時間の進みが早い気がしてならない。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ふむ、今日の夕食はピザか。チーズなんてどこから手に入れたのだろうか。少なくとも私は買ってきた記憶がない。牛乳や酢は買ってきたがまさか作ったのだろうか。一応レモンもこの館では育てているし…………。

 

気になるが店の品かと思うくらいには美味しそうだ。まあレミィが作った時点で高級店クラスの味は保障されているようなものだが。

 

 

「今日は家で育てたレモンを使ったチーズをピザに使ってみたわ。それに丁度トマトも収穫時だったしね。美味しいかしら?」

 

 

「えぇ、とても美味しいですよお嬢様。もはや作れない料理はないのではないですか?中華の腕も抜かれましたし」

 

 

「それがそうでもないのよねぇ。定番で言うと寿司なんかはシャリが硬くなりすぎるのよ、私が握ると。あとは見た目を重視する料理は苦手なのよね」

 

「餃子は包めるのに不思議な物ね。咲夜は寿司を知らないんじゃないかしら?」

 

 

「えぇ、寿司というのは知りませんね。どのような料理なのですか?」

 

 

「私も知らないわ。一体何が入ってるの?」

 

「簡単に言うと魚の切り身を米に乗せた物よ。言い方は悪かったけれど見た目はこんな感じね」

 

言葉で説明するより絵に描いた方が分かりやすいし楽だ。

 

「私と美鈴でまた今度作ってあげるわ」

 

 

「ありがとうございます。そういえばお嬢様、重大発表というのは?」

 

 

「えぇ今から発表するわ。

 

 

 

遂に結界が解かれることになったわ!!」

 

 

「おぉー、ようやくですか。長かったですね!」

 

「本当にね。これでレミィたちも外に出られるようになるのね。それで、異変の内容はどうするつもりなの?」

 

 

「そうねぇ、やっぱり人間には急に現れたように見えるんだから派手な方が良いわね。私たちの存在を知らしめるために幻想郷中を巻き込んでしまいましょう」

 

「具体的にはどうするのか決めているの?」

 

 

「勿論よ。誰から見てもこの館が主犯だと思わせるためにここを中心に紅い霧を出すわ。そうすれば太陽が隠れて私たちが外に行きやすくもなるし」

 

良かった、原作通りに事は進みそうだ。

 

「なるほどね。あなたは本当に紅が好きねぇ。スカーレットだからなのかしら」

 

 

「そうかもしれないわね。さて、そうと決まれば話は早い。八雲紫、出てきなさい」

 

 

「はいはい、では今から結界を解きますわ。霧を出すタイミングはそちらで自由に決めて頂戴。ただし、三日以内にはよろしく頼みますわ」

 

 

「わかっている。もう明日中には出すつもりでいるから大丈夫だ」

 

 

「そうですか。では…………はい、これで結界は解け、人間からも視認できるようになりましたわ。ではまた会いましょう。スペルカードルールはきちんと守って下さいね」

 

 

「悪魔は契約を破ることができない。安心していいわ。ではまた」

 

遂に原作が始まるのか。開始が自分たちというのもなかなか悪くない。スペルカードは何枚か作ってある。難易度は相手次第かな。

 

 

 

   ???side

 

 

最近なんだか空が紅く見える。私ももう駄目なんだろうか。まだ十数年しか生きてはいないけど。

 

空は青くあるべきだとは思うし、太陽も大事だとは思う。でもなかなか動き出す気にはなれない。

 

 

「よう霊夢、なんでまだ異変解決に向かっていないんだ?人里では体調の優れない奴も出ているらしいが」

 

 

「そうなの?里には滅多に降りないからねぇ。異変の方は今夜にでも動くわ。そろそろ青い空に戻ってほしいし」

 

昼間は暑くて動く気になれない。今日はもう掃除が終わっているし縁側でお茶を飲んでいた方が良いに決まっている。

 

しかし人里ねぇ。私に縋るのなら少しくらいは参拝しに来てくれてもいいと思うんだけど。そういえばそろそろ夏まつりがあったっけ。上手いことやれば人もたくさん来そうだ。

 

あぁ、眠くなってきた。今夜は寝られないかもしれないから今のうちに寝ておこう。

 

 

「私少し昼寝するわ、夜寝なくてもいいように。お休み、魔理沙」

 

 

「お前ってやつは…………。私も帰って今夜の準備をしておこうかな」

 

 

「ん?あんたも行くの?危ないわよ?」

 

 

「何のためのスペルカード(これ)だよ。死ぬ危険はほぼないさ」

 

 

「相手が守るかどうかは別だし、それ施行してからまだそんなに経っていないわよ」

 

スペルカードルールは昔私が考えた決闘法だ。人間と妖怪が対等な立場で戦える。

 

 

「大丈夫だって。いざとなりゃあこのミニ八卦炉もあるしな。いやあなんて素晴らしいんだ。私が異変解決者になれる日が来るとはな」

 

大丈夫かしら。確かにミニ八卦炉の威力は高いが、これ程の規模の異変を起こす奴が弱いとは考えられない。スペルカードを使ってくれればまあ大丈夫でしょうけど。寝よ。

 

 

「まあいいわ、お休み。くれぐれも死なないようにね」

 

           ・

           ・

           ・

 

そろそろ出かけるには良い時間になったのではないだろうか。まあ今はご飯を食べているんだけど。また漬物を作っておかなければならない。

 

 

 

 

洗い物も済んだし、陰陽玉もお祓い棒も持った。スペルカードとお札も持ったからもう忘れ物はない。

 

夜の境内裏は悪くない。なかなかロマンチックだ。

 

 

「あら、こんな時間に人間?夜は妖怪の時間よ」

 

 

「私も普段はこの時間出歩いていないわよ。いつもこの時間に出歩いている人間なら取って食べてもいいんだけど」

 

 

「あんたは取って食べれる人類?」「残念だけどあんたが私に勝てたらね」

 

 

スペルカードの実力は大したことが無かった。簡単に勝てたし。

 

次は何処に行こうか。紅い霧が出ているのは湖の方みたいだがあそこの霧って紅かったっけ。まあとにかく行ってみない事にはわからない。

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください。これ以上チルノちゃんをいじめないでください」

 

 

「うん?私は何もしてないけど。まあ今からするんだけど」

 

 

「人違いですか、ってきゃあぁ」

 

何だ。魔理沙はもう先に行っていたみたいだ。これは私も急ぐ必要があるかもしれない。

 

 

 

「うーん、侵入者がまた来ましたか。私は弾幕勝負は苦手なのですが」

 

 

「私が侵入者ってことはこの異変の犯人はこの館の主人でいいのかしら」

 

 

「はい、まあそうですね。一応門を通るのは私を倒してからにしてくださいね。では行きますよ」

     華符『セラギネラ9』

 

 

 

あの門番らしき妖怪は綺麗な弾幕ではあった。ただ本当に苦手なのか簡単に勝つことはできた。

 

館の仲間で紅いとはとんだ悪趣味な奴が住んでいるんだろう。主人の部屋は上と決まっている。とりあえず上を目指して進むことにしよう。

 

 

 

   魔理沙side

 

 

どうやら霊夢よりも早くに館に着くことができたみたいだ。そこらにいる妖精どもを蹴散らしていたらいかにもな扉が出てきた。

 

きっと当主はこの部屋にいるんだろう。霊夢よりも早く異変解決をしてやる。早速中に入らせていただこう。

 

およ?確かに部屋は広いが本だらけじゃないか。丁度いいから本も何冊か貰っていこう。何、こんだけの本があれば借りたままでもばれることは無いだろう。

 

「待っていたわよ、泥棒さん。残念ながら私はここの当主ではないけれどあなたにはここでお帰り願うわ。来なさい、こあ」

 

こあと呼ばれて出てきたのはかなりの魔力を持っている悪魔だった。あの女はそれほど魔力を感じないのに何故部下はこんなにも魔力を感じるのだろうか。

 

普通は逆だと思うのだが。

 

「こあに勝てたら次は私が相手をしてあげましょう。勿論弾幕で戦ってあげるけれど」

 

 

「強者故の余裕ってやつなのか?だが残念ながら私はここで負けるわけにはいかないんだ」

 

 

「まずは私ですね。ですが残念ながら私はカードを作っていないんですよね。だから私は貴方の弾幕を避けることのみを致します。さあいつでもいらっしゃい」

 

 

「そうか、ならまずは手始めに私の通常のショットから食らいなっ」『マジックミサイル』

 

 

「まあこれくらいなら簡単に避けられますね」

 

本当に当たる気配がない。じゃあ次だ。次は一枚目のスペル。

   魔符『スターダストレヴァリエ』

 

 

「おっとっと、これはなかなか危ないですね。集中しないと厳しそうですかね」

 

まだまだ余裕っぽいな。もう終わっちまったし次に行くか。『イリュージョンレーザー』

 

 

「あれれ、また弾幕が緩くなりましたか?」   油断しているな。

 

 

「これで終わりだっ!」

  恋符『マスタースパーク』

 

 

「げぇっ、これは流石に…………」

 

決まったか。ここまで使わされるとはなぁ。まあでも次の奴の方が見た目的にも弱そうだし大丈夫か。

 

 

「すみませんパチュリー様。油断してしまいました」

 

あれ、もう復帰してやがる。驚くべきタフさだな。

 

「まあ想定内よ。さて、次の私はカードを作っているからあなたが避けて頂戴ね。あなたが避ける弾幕の難易度も選ばせてあげるわ。Nomal、Hard、Lunatic、Phantasmどれでも好きなのを選びなさい」

 

難易度としてはよくわからんがどうせやるなら難しい方が良いに決まっている。

 

 

「Phantasm一択だな。一番難しいんだろう?」

 

これであいつの力量もある程度測れるはずだ。

 

「一番難しいけれどカードは三枚しかないわ」 「構わないぜ、来いよ」

 

「では手始めに様子見からかしらね」

  月符『サイレントセレナ 上級』

 

何だとっ!?これで様子見だとでもいうのか?これはボムをぶっ放して突破することも視野に入れなければならない。相手一枚当たりこっちも一枚しか出せない。あとは気合で避けられる所まで避けるのみ。

 

「ふむ、なかなかできるようね。一枚目で終わるかとも思っていたけれど」

 

 

「なめてもらっちゃあ困るぜ。こちとら毎日やっているんだからな」

 

そうはいっても二枚消費してしまったのは痛い。次はボム無しで突破した方がよさそうだ。

 

「では次のスペル行くわよ」

  日符『ロイヤルフレア上級』

 

くそう、やっぱりさっき二枚使ったのは失敗だったみたいだ。これもさっきのものと同じくらいには厄介だ。

 

今回はギリギリ避け切れそうだ。…いや、やっぱり無理っぽい。

 

「ここまでついてこられるとは面白いわね。次で最後だから頑張って頂戴」

  火水木金土符『賢者の石 上級』

 

あ、これは避けられそうにないな。さっきまでとは段違いな気がするんだが。

 

 

   

   霊夢side

 

 

少し進むと何処からかメイドっぽい奴が出てきた。流石に主人はこいつではないだろう。

 

 

「今日は妖精メイドが館にいるから掃除が進まないわ。貴方も掃除の邪魔をしに来たの?」

 

妖精メイドがいるから掃除が進まないって…………。

 

 

「まあそうなるのかしらね。この霧を出しているのはあんたの所の主人でしょう?鬱陶しいからやめてほしいんだけど」

 

 

「なるほどなるほど、貴方が今日二人目の侵入者ですか。となると貴方が博麗の巫女というわけですね」

 

 

「もう一人はどうしたのよ。もう当主の所に行ってしまってるんじゃないの?」

 

 

「それは億が一にもあり得ない事ですわ。彼女の向かった先はこの館の大図書館。そこの主には彼女では勝てませんもの。たとえ弾幕でもね」

 

 

「ふーん、えらく信用しているのね。図書館に引きこもっているような奴を」

 

 

「彼女の凄さは会わなければわかりませんわ。さて、おしゃべりはここまで。貴方がお嬢様に危害を加えるというのなら私も黙ってはいられません。五枚でいかがでしょうか?」

 

 

「私は別に何枚でも構わないわ」「では」 奇術『幻惑ミスディレクション』

 

こちらのスペルの消費は最小限に抑えておこう。避けられない程の密度ではないみたいだし。

 

 

何枚か避けたけど気になることがある。急にナイフが目の前にあったりメイドが瞬間移動じみたことをやったりしている。

 

急にナイフが現れるところから見て瞬間移動が能力の本質ではないんだろう。となると時間を止めているか、私とあいつの間の空間を縮めているかのどちらかだろう。*1

 

人間には過ぎた能力のようにも思える。こんな館に住んでいる時点で人間ではないのかもしれないけど。

 

彼女の能力にも対処ができるようになったから五枚目はむしろ楽に攻略できた気がする。

 

 

「まさかこんな紅白に後れを取るなんて。申し訳ありませんお嬢様」

 

 

「さて、私が勝ったんだし当主の所までの行き方は教えてもらえるわよね?」

 

 

「えぇ、敗者に選択権はありませんからね。この廊下をまっすぐ行って階段を登ればそこにいらっしゃるはずです」

 

 

「どうも」さっさと終わればいいんだけど

 

魔理沙はどうしているんだろうか。あのメイドが言うには凄まじい実力を持つ奴が相手みたいだけど…………。まあ弾幕勝負なら死ぬことはほとんどないから大丈夫でしょう。

*1
実はどちらも同じ事ですが、霊夢にその違いは判らないだけです




私の二番目に好きなキャラである霊夢が登場。私の好きなキャラはもう半分以上出ましたね。そろそろ登場ラッシュは終わるのですが

難易度選択はできますがどれを選んでもまあ難しいでしょうね

霊夢がスペルカードルールを作ったというのは紫による記憶操作という事にしてあります。だから霊夢には紫という存在の記憶もないです。あくまでもこの小説内での設定ですのでそこはご容赦ください

次回は続きから


では次回も読んでいただければ幸いです
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