行動派七曜録   作:小鈴ともえ

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今回が春雪異変です


春頭的第三十四話

   霊夢side

 

 

 レミリアたちの起こした異変も終わってもう一面が雪景色になった。そのおかげでレミリアが神社に来なくなったので私としては楽でいい。

 

巫女になってから初めて解決に乗り出した大規模な異変だったが、あちらもルールを守ってくれたおかげでかなり楽に解決することができた。

 

あんな大規模な異変はそうそう起きないだろうからしばらくはゆっくりできそうだ。あの異変の後から魔理沙は頻繁に紅魔館に本を()()()行っているらしい。

 

魔理沙の事だからどうせ死ぬまで返すつもりはないのだろう。つまりは泥棒と変わらない。

 

あそこの図書館の主はレミリアによると気づいていながら放っておいているらしい。見逃している理由は魔理沙が読んでも安全な本を持ち帰っているし、勉強はしてほしいからだそうだ。

 

彼女なら魔理沙を追い返すことも容易いはずだ。それをしないというのならつくづく甘い奴なのだと思わざるを得ない。図書館の本といえば彼女の財産だろうに。

 

そんなわけで最近は魔理沙が来る回数も減っている。別に寂しいとは思わない。もともと一人だったし、お茶の消費も半分になるから良いのだ。

 

しかしこの冬は長すぎるのではないだろうか。暦の上では既に春になっているし、例年はもう神社の桜が咲き誇っている時期だろう。

 

前回の異変から数か月。間が短すぎる気がするがこれも異変なのだろう。この寒さの中動くのは気乗りしないが異変を解決するの巫女の務め。行くよりほかあるまい。

 

まずは何処に向かおうか。そういえば魔理沙が紅魔館はパチュリーの暖房魔法が効いていて温かいと言っていたな。一度寄って身体を温めてから行くことにしよう。

 

目的地は紅魔館だが、確か周りは霧の湖だったはず。冬場はどのくらい冷えるのか分かったものではない。

 

 

 

にしても気温が低すぎるような…………。

 

 

「やい!ここを通りたければあたいと勝負しな!」

 

妖精か。うーん、この妖精何処かで見たような…………。忘れたけど。

 

 

「はぁ、面倒ね。この湖の寒さの原因はあんたなの?」

 

 

「あー?…そうかもしれない。あたいはサイキョーだからな」

 

あぁ、思い出した。確か魔理沙によると頭が春の寒い妖精、だっけ。訳が分からない。

 

 

「そう、今の私は異変解決中だからこれも悪く思わない事ね」

   霊符『夢想封印 散』

 

 

「ぐえっ」手ごたえの無い奴ね。倒したけど寒さは変わらない。

 

 

「この寒さの原因は冬の妖怪か。とりあえず見つけてとっちめておこうかな」

 

 

「あらあら、えらく物騒な巫女がいたものね。怖すぎて辺りを吹雪にしてしまいそうだわ」

 

 

「あんたが冬の妖怪ね。早速で悪いけど退治させてもらうわ。あんたを倒せば少しはましになるかもしれない」

 

こいつを倒したところで異変が収まる気はしないけど。

 

 

「まあ怖い。まるで殺人犯だわ」「一人までなら大量殺人犯じゃないから大丈夫よ」

 

 

「貴方、本当に人間?最近の人間は物騒ねぇ」

 

 

「失礼な。私は正真正銘普通の人間よ。いいからさっさとかかってきなさい」

 

 

「言われなくてもそのつもりよ」寒符『リンガリングコールド』

 

この程度では私は被弾しない。

 

 

「ぬるい弾幕ねぇ。これじゃあいつまでかかっても私は当たらないわよ」

 

 

「うーん、困ったわねぇ。じゃあ次、二枚目よ」怪符『テーブルターニング』

 

あまり困ってなさそうな奴ね。本当に妖怪はよくわからない。

 

 

「さっきよりはましだったわ。さて、私が勝ったんだし、冬の妖怪ならこの寒さを緩めるくらいはできるでしょう?」

 

 

「それは無理よ。私とは異なる方法でこの寒さは作られているんだもの」

 

となると倒した意味は全くなかったのか。無駄な時間を使ったわ。

 

 

「あっそう。じゃあ今日中には春になるから夏眠の準備でもしておくことをお勧めするわ」

 

 

やっと紅魔館についた。さっきの戦闘でもあまり身体は温まらなかったから早く入りたいものだ。途中で拾った花びらからは僅かに暖を取れるが気休めにもならない。それにしてもこの花びらは何処から来たものなんだろうか。幻想郷の中に春の場所がある…?

 

 

「おや、貴方は博麗の巫女?珍しいですね。どうしたのです?」

 

 

「いや何、少し温まりに来たのよ」

 

 

「こんなところで悠長に時間を使っても良いのですか?咲夜さんはもう異変解決に出かけてしまいましたけど」

 

 

「なっ!それを早く言いなさいよ。先を越されるのは拙いわ。ではね」

 

まさか咲夜まで解決に乗り出しているとは思わなかった。こうなればあの寒がりの魔理沙も乗り出していそうだ。先に到着したいものだ。

 

咲夜も解決しているという事は紅魔館は白。あの魔法使いならできるかもしれないと少し思っていたけど。じゃあ次は魔法の森にでも行こうかな。

 

手持ちの花びらも数が多くなってきたし、魔法使いならば知っている者がいるかもしれない。

 

 

「丁度いいところに来たわね。この桜の花びら、何かわかる?」

 

 

「あなたは…博麗の巫女ね。で?その花びらだったっけ?それは春度と呼ばれるものよ」

 

 

「春度ぉ?何それ」

 

 

「本当にわかってて集めていたのではないのね。あなたの頭がどれだけ春なのかの度合いよ」

 

 

「冗談は今は言っている場合ではないのよ。本当のところを教えなさい」

 

 

「ユーモアの無い巫女ね。まあいいわ。それを集めれば此度の異変の元凶にたどり着けるはずよ」

 

 

「ふーん、あんたは関係ないの?」「あるわけないわ」

 

それじゃあ他の所に向かうか。この花びらをたどればいいんだっけ。簡単なことね。

 

ふむ、どうやら雲の上の方に行くみたいだ。確かに雲の上ならそんなに寒くないかもしれない。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

「貴方は人間?本日二人目のお客さんね」

 

 

「なになに~?また人間が来たの?今度こそ勝とうね」

 

 

「あんたらは何なのよ。生きてはいないみたいだけど、幽霊?」

 

 

「騒霊よ、騒霊!あんなへなちょこな幽霊なんかと一緒にしないでよね」

 

 

「ふぅんそうなの。ま、どうでもいいわね。先に行きたいからそこどきなさい」

 

 

「貴方はお花見にお呼ばれしてないでしょ?私たちを倒せたらお花見に参加できるかもね」

 

やっぱり、春の所があるんだ。いや、春を奪っていると考えてもいいかもしれない。

 

まったく何故こんなに立て続けに大規模な異変が起きるんだ。前までは小さな異変すら起きていなかったというのに。

 

 

「面倒だから三人まとめてかかってきなさい」

 

 

   咲夜side

 

 

 マヨヒガというところに誤って迷い込んでしまったが、先ほど倒した騒霊の三人の発言から察するにどうやら私は一番に目的地にたどり着いたようだ。

 

しかし先ほどから対峙している白髪の少女は不可解なことを言っていた。

 

()()侵入者ですか。早く顕界に帰ってほしいのですが』また、とはどういうことだ。私は確かに一番にたどり着いたはず。

 

 

「帰るつもりは無いのですね?では強制的にお帰り願いましょう。妖怪が鍛えたこの楼観剣に斬れぬものなど、少ししか無い!」

 

少しはあるのか。まあ今はそんなことを考えている余裕は無いか。この少女、剣術はかなりの腕前だろう。弾幕勝負なのは幸いか。

 

 

「行きますよ。もう先ほどのような無様な姿はさらしません」

   獄神剣『業風神閃斬』

 

 

「くっ」弾幕勝負と思って油断していた。これは神経を使わなければならない。

 

無駄な思考は切り捨てないとこの量は避けきれないか…………。

 

 

「あ~疲れたわ。階段長すぎるわよ。………あら?やっと追いついたのね」

 

 

「っ貴方は?!もしかしてまた人間ですか?もう勘弁してくださいよ…」

 

丁度カードの効果も切れたようだ。来たのは霊夢か。

 

 

「遅かったわね。悪いけれどこの子の相手は私が頂くわ」

 

 

「好きにして頂戴。どうせ魔理沙もあとから来るでしょうからここで待っていることにするわ」

 

 

「その必要はないぜ。もう来たからな」「あら、早かったのね。騒霊はどうしたの?」

 

 

「騒霊?そんなもんいなかったが。霊夢が倒した直後に来たからか?」

 

 

「あー、そうかもね。まあいいわ魔理沙が来たのなら早く倒した方が良い。この異変は長引かせるべきではないと思うわ」

 

 

「なんだ?それもお得意の勘か?」

 

 

「えぇ。そういうわけで三対一で勝負することにしましょう。その方が早く終わるしね」

 

 

「それ、ただお前が面倒なだけじゃないのか…」

 

一対一で勝負できないのは残念だがここは私が折れるしかないだろう。先ほどから昔感じたような濃密な死の気配が強くなってきている気もする。

 

これは冥界だからなのか、それとも別の理由があるのだろうか。とにかく今は目の前の少女を倒すことのみを考えた方が良い。

 

霊夢が来た時点で負けることは無いだろうが、私も美鈴に鍛えられた身だ。負けてはいられない。

 

 

「何人が相手でも変わりはしない。すべては斬れば判る。いざっ」

   天神剣『三魂七魄』

 

これは一人だとかなり厳しかったかもしれない。霊夢がひょいひょい躱しているところを見ると私もまだまだなのだと実感させられる。

 

帰ったらまた美鈴に鍛えなおしてもらわなければならないかもしれない。

 

一人だと難しいが、三等分になればかなりましになっている。倒すなら今だ。

  幻符『殺人ドール』 恋符『ノンディレクショナルレーザー』

 

 

「うっ?!」あら、可哀そうに。魔理沙も同時に撃っていたなんて。

 

 

「よし、これで先に進めるぜ。さ、さっさと元凶をぶっ飛ばして帰ろうぜ」

 

 

「えぇ、そうね。楽に倒せればいいんだけど」「霊夢はいつもそればっかりだなぁ」

 

 

「仕方ないじゃない。面倒なことは嫌いなのよ。それよりも早くいかないと本当に拙いことになりかねない。死の気配が濃くなってきているわ」

 

霊夢も感じていたのか。となるとこれは本格的に拙いかもしれない。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

「あら、妖夢も倒しちゃったの。やるわね」

 

出てきた女性はどこかのお嬢様、という雰囲気だ

 

 

「さっきの奴は妖夢というのね。それであんたは?」

 

 

「相手の名前を尋ねるにはまず自分から、でしょう?まあ構わないけれど。私は西行寺幽々子、冥界の管理人をやっているわ」

 

 

「という事はあんたが元凶で間違いなさそうね。さっさとぶっ飛ばして…………!」

 

 

「おい、幽々子!あの桜は何なんだ?!」

 

 

「あれは西行妖という桜よ。あれを咲かせるのには沢山の春が必要なの。綺麗でしょう?もうすぐ満開になるわ」

 

 

「何暢気なことを言っているのよ!あれは絶対に咲かせていけないわ。何か封印してあるみたいだし」

 

 

「その封印が解けたら何者かが復活するらしいのよ。楽しみでしょう?貴方たちももう少し待ってみるかしら?」

 

 

「そんなことをさせるわけが無いでしょう。あんたも桜も一緒にぶっ飛ばす!かかってきなさい」

 

 

「うふふ、貴方たちに私の弾幕が避けられるかしら?」

   忘郷『忘我郷 -自尽-』

 

 

 

   幽々子side

 

 

 パチュリーが天界に行ってもう数刻。どうやら彼女の言っていた侵入者のお出ましのようだ。

 

巫女だけかと思っていたがまさか三人も来るとは予想外。まさか冥界に生きた人間が三人も存在する日が来ようとは、人生何があるかわからないものだ。

 

三人とも無傷でいるところを見るに妖夢ではまだまだ力不足だったみたいだ。あの子も頑張ってはいるのだけど。

 

それにしても流石は紫が育てただけはある。話している間すらも隙を見せないし、何より桜に封印が施されていることにも気づいている。

 

紫が言うにはかなりの修行嫌いらしいが本当なのだろうか。それが本当なのならば持つ才能は恐ろしいものだ。人間という枠組みに収まっていることすら奇跡のように思えるほどに。

 

私が彼女たちと戦っている主な理由は時間稼ぎだ。私は西行妖を咲かせるためだけにこの異変を起こした。目的の達成はもう目と鼻の先だ。

 

進行は順調、といいたいところだがそうでもない。彼女たちの動きが予想外に良いせいでまだ巫女以外の二人を一度ずつ被弾させただけにとどまっている。残るカードは二枚。

   桜符『完全なる墨染の桜 -開花-』

 

自分で言うのは何だが、私の弾幕は非常に美しいと思う。紫が出した草案の中に”美しさと思念に勝る物は無し”という項目がある。私の弾幕は見た者すべてが美しいと感じるように作ってある。

 

圧倒的な物量を誇る美しき弾幕。あの子たちがあまり被弾しないのは美しさに目を奪われない程の精神力があるからなのだろうか。

 

さて、次で最後のスペルカードだ。これを躱し切られたら異変も諦めるしかなくなる。

   『反魂蝶 -八分咲き-』

 

さあ、いかにこれを躱すだろうか?

 

……………………あら?身体が思うように動かない。何故?あぁ、そうか。遂に何者かが復活するのか。でも何故私の身体が…………?

 

        ・

        ・

        ・

 

どうやら私は気絶してしまっていたみたいだ。相変わらず身体はだるい。

 

 

「あら、ようやく目が覚めたのね。てっきり死んでしまったのではないかと思ったわ」

 

 

「亡霊が死ぬなんて冗談にもならないわ。それで、紫は何者かをどうしたのか知ってる?」

 

 

「そう、その事よ。私が貴女に言いに来たのは。ちなみに霊夢たちはもう帰ったわ。私もまだ姿を見せるわけにはいかないし丁度良かったわ。

 

あのね幽々子、はっきり言うと貴方は本当に危険な状態になっていたのよ。妖夢や霊夢たちがいなければ西行妖の再封印はできていなかったかもしれない。

 

あの桜に封印されている者はとても危険な者なのよ。亡霊である貴方も危なくなるほどに。

 

そんなに危ない封印を貴女は軽い気持ちで解こうとしたというの?えぇ、勿論知らなかったから解こうとしたのでしょう。でも封印は簡単に解いてはならないわ。

 

特にあのような強力な封印は。あの桜の再封印は妖夢が気を失ってしまうほどキツイものだったの。まあ私も居ればそうはならなかったでしょうけれど。

 

次からは何か封印を解きたくなったらまずは私に相談して頂戴。友人が傷つくさまを見るのは私でも辛いから」

 

 

「ふふっ、紫にもそんな感情があったのねぇ。知らなかったわ」

 

 

「私は本気で言っているのよ?わかっているの?」

 

 

「えぇ、勿論わかっているわ。次からはきちんと相談することにするわ」

 

 

「ならいいわ。そうそう。異変解決の宴会は博麗神社で催されるわ。費用は勿論白玉楼持ちね」

 

 

「あらあら、大変ねぇ。紫は来るの?」

 

 

「そうね。恐らく少ししたら霊夢たちが結界の事について私に物申しに来るでしょう。その時に姿を現す予定だから、ね」

 

 

「貴方も大変ね。でもびっくりしちゃったわ。あの巫女の動きは紫でも厳しいんじゃない?」

 

 

「そうね、弾幕勝負になれば恐らく彼女に勝てる者は幻想郷にはいないでしょう。本当に才能があるのにもったいないわ」

 

 

「そう?私はむしろあれくらいの方が良いと思うわよ。きちんと修行をすれば人間の枠には収まりきらなくなってしまうでしょうから」

 

 

「そうかもしれないわね。それでは私は帰るわね」

 

―――――――――――――――――――――――――

 

あれから少し経った。どうやら春はきちんと顕界に戻っていたようだ。今日は宴会の日である。宴会といえば美味しい料理がたくさん並ぶはず。今から楽しみだ。

 

 

「幽々子様、あまりたくさん食べすぎないでくださいね。皆さんの分がなくなりますから」

 

 

「安心なさい妖夢。食料がたくさんあれば大丈夫なんだから」「はぁ」

 

ため息をつかれてしまった。私は正論を言ったまでなのに。

 

宴会は夕刻からだ。これは恐らくパチュリーの住む館の吸血鬼への配慮だろう。

 

始まった宴会場を見ても美鈴とパチュリーの姿は見当たらない。どこに行ったのだろうか。

 

 

「あ、丁度良かったわ紫。美鈴とパチュリーが見当たらないのだけど」

 

 

「あぁ、彼女たちなら今は台所よ。貴方がたくさん食べても大丈夫なように料理を手伝っているみたい」

 

 

「そうなのね。まあ彼女たちの料理は美味しいものね」

 

 

「でもあの館の中では二番手扱いみたいよ?」

 

 

「あら、となると一番はあの咲夜という子なのかしら?」

 

 

「それはどうかしら。まあ二番手扱いでも料理の腕は超一級品。貴方も存分に楽しみなさいな」

 

 

「えぇ、勿論よ」

 

料理の担当は妖夢、藍、霊夢、咲夜、美鈴、パチュリーか。霊夢と咲夜の腕前は定かではないが霊夢には藍が教えていたはずだし、咲夜に至っては広い館のメイド長だ。

 

期待しても裏切られることは無いだろう。

 

 

「貴方が西行寺幽々子?私は誇り高き吸血鬼にして紅魔館の現当主、レミリア・スカーレット」

 

 

「こんばんは、レミリア・スカーレット。どうしてここに?」

 

 

「いや何、此度の異変の元凶は貴女だったのだろう?ならば当主としては話しておくべきかと思ってね。それに今夜は紅魔館のメンバーの半分が料理担当だからね、まあ暇だったのよ」

 

 

「貴方の妹さん、でいいのかしら。その子とパチュリーの使い魔しかいないのね」

 

 

「まあね。小悪魔は本来ならパチェの代わりに料理をさせたかったのだけど彼女が料理をすると味の濃い肉料理が主になってしまってね」

 

 

「いいんじゃない?私は味の濃い肉料理も好きよ。ところでさっき紫に聞いたのだけれど、美鈴とパチュリーの料理の腕は紅魔館でも二番手なんですってね。一番はやっぱりあの咲夜なのかしら?」

 

 

「一番は私だよ。ふふん、驚いたかい?」「えぇ、驚いたわ」

 

この吸血鬼、えらそうにしているだけかと思っていたら冗談も言えるのね。なかなか面白い子かもしれない。

 

 

「あら、台所から皆出てきたわね。一段落着いたのかしらね」

 

 

「あぁ、本当ね。それでは私は戻らせてもうわ」

 

パチュリーも美鈴も面白い仲間を見つけたものだ。私は冥界にいる限り生者との新しい出会いはないから。

 

 

「幽々子ったらおかしな顔ね。折角の豪華料理が台無しよ」

 

 

「また来たのね、紫。そういえばさっきレミリアが面白い冗談を言ってきたわ。あの館で一番料理が上手いのはレミリアなんだって。当主が料理なんて面白い冗談よね。

 

…………どうしたの?紫」

 

 

「残念ながら幽々子、それは事実なのよ。あの館の朝食から夕食、作っているのはすべてレミリアよ。作る料理も日本料理は勿論、世界中の様々な料理。材料はほとんど紅魔館で作った物。

 

最近はついに牛や豚、鶏まで飼い始めたわね」

 

 

「…………え?レミリアのあれって本当だったの?だったら私も是非食べてみたいわねぇ。パチュリーや美鈴の料理をも超える味を」

 

 

「一線を画すどころか二、三線を画しているような味らしいわよ。パチュリー曰く。でもあの館の者以外は恐らく食べられないわね」

 

 

「それはどうして?」

 

 

「客が来ているのに当主が料理をするはずが無いでしょう?私も何度か行っているけれど、出てくる料理は毎回咲夜の作ったものだわ」

 

 

「残念ねぇ。そうなったら妖夢の腕を上げてもらうしかないのかも」

 

 

「やめてあげなさい。白玉楼の仕事を一人でこなしている妖夢にこれ以上の負担はかけない方が良いと思うわ」

 

 

「私の屋敷には幽霊たちもいるじゃないの。まああまり役に立っているとは言えないけど。しかしそれではまるで幻の料理ね。紅魔館は料理人の巣窟だった?」

 

 

「残念ながら紅魔館の住人の半数は料理以外の家事全般が一級品なのだけれどね」

 

それをまとめているのがレミリアか。本当に面白い集団だ。戦闘能力もかなりのものだろう。恐らく幻想郷のパワーバランスの中でも最強クラスで最高クラスだ。

 

私の知らない間に顕界はこうも変化していたのか。これが妖夢にも良い刺激となってくれればいいのだが。




例のごとくExtra、Phantasmはすっ飛ばしです

とりあえずこれで妖々夢もお終いです。前回の話の続きというわけでは無いので、時系列がわかりにくかったかもしれませんが

6000字くらいで終わると思って書いていたら7700字を超えていたという事実。もうすぐ平均文字数が5000字になってしまうんですよね。また少しずつ減らしていければなあと思っています。


では次回も読んでいただければ幸いです
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