行動派七曜録   作:小鈴ともえ

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妖怪は凄い


上陸的第四話

パチュリーside

 

 

 なんだかんだでもうここに来て350年も経とうとしているのは驚きだ。仙術の方は大分うまく使えるようになったけど、仙人になってしまうのが怖いので普段は使わないようにしている。どうしたら仙人になってしまうのかはわからないからほどほどのところで止めておかないといけない。

 あと体の方はかなり丈夫になったと思う。普段は非力な人間程度の力しか持たない魔法使いにとっては異端ではあるだろうが、2000m級の山を歩いて登る分には息切れも起こさない。

因みに美鈴はそんな山を4つか5つは軽く走って登れるらしい。これが種族間ギャップか。私も300年以上頑張ったはずなんだけど。

 

種族間ギャップといえば、美鈴の「もう少し」は50年ほどだという驚くべき事実があった。彼女が永い時を生きてきたからなのかもしれないけど。

 

あと個人的なロマンとしてお願いしたら、美鈴に某漫画のあの技を習得してもらうことができた。やっぱり彼女の能力としてできることが分かっているなら実際に見てみたかった。

 

 もうすぐ日本は平城京に遷都されて奈良時代が始まる頃だろうか。だとしたらここでゆっくり過ごすのももうおしまいね。

確か藤原不比等が亡くなるのは720年あたりのはず。となればかぐや姫はそれまでに月から流されているはず。かぐや姫の存在を知っているものとしては一度は見ておきたい。

 だって美人が多いこの世界においても絶世の美女と呼ばれるほどの美貌、見なけりゃ損だよね。

 

 7世紀途中までの予定が8世紀初めごろまで伸びるとは思わなかった。妖怪の時間感覚なめていたよ。残念ながら神子たちには会えなかったけど。青娥にも会えなかったのは結構残念。山が遠かったのかしらね。

 

流石にそろそろ出発しないといけないから美鈴を呼びましょうか。彼女も一緒に来るためにあちらの言葉を覚えたかったみたいだし。

 

 

  美鈴side

 

 

 いつもの修行をしているとパチュリーが呼びに来た。彼女の名前は流石に言えるようになったし、さん付けもいらないと言われた。

 

最近は勉強の一環として日本(倭国ではなく日本になったらしい)の言葉で生活している。あちらの言語は思いのほか難しかった。でもこれからもどんどん言語は変化していくらしい。

 

パチュリーは例えば「うつくし」が「カワイラシイ」とかに変化するんでしょうね、というけれど彼女の中でどういった変換があったのかはよくわからない。言語ってそこまで変わるものだっけな。

 

とにかく、いよいよあこがれの地に行くことができるようだ。

 彼女が言うには私がもう少し修行をしたいといったからこの時期まで延びたらしいけど。たった50年くらいじゃなかったっけな。

 

まあいい、新しい技も習得できたしもともとの技術も向上したし、いい気分で新天地に向かうことができる。

 

海を渡るのには人間に紛れ込んで船を使って行くらしい。目立たないようにして速やかに入国するためだとか。そのあたりの難しい人間事情はパチュリーがやってくれるから私はすることがないのだ。

 

そんなこんなでいざ出発

 

 

  パチュリーside

 

 

 船に乗り込めたのは良かったけれど、揺れがすごい。前世の乗り物がいかに素晴らしかったかがよくわかる。日本のどこに着くのかはわからないけれど、着いたら取り合えず着るものをどうにかしないといけない。髪色はごまかせるけれど。

 

 2日目にして非常にまずい事態が起こってしまった。

 

「これは大きな嵐ね。巻き込まれる前に雲の上まで逃げてしまいましょうか」

 

 

「人間たちはどうするのです?」

 

「彼らにはほとんど自力で頑張ってもらうほかないと思うわ、薄情に思っているかもしれないけどこれが自然の摂理なのよ」

 

 

「・・・・・・・・・そうですか、なら仕方ありません。私たちはここを早く抜けましょう。ですがなぜ雲の上なんですか?」

 

「雲の上はね、地上でどれほどの豪雨が降っていようが常に晴れているのよ(髪には悪いけど)」

 

 

「そうだったんですね」

 

「では行きましょうか。この船にも最低限の守護はかけておくわ」

 

自然に抗える存在など鬼くらいしかいないでしょうから気休めにしかならないけど。

あと美鈴にも認識阻害はかけておきましょうか。

 

 

 

 

 

 雲の上は好きじゃない。雲の形が様々なぶん暇にはなりにくいけれど、どこを飛んでいるのかわからなくなるし何より暑い。

日焼け止めも持ってくるべきね。そんなものこの時代にないだろうけど。

 

 さてさてかなり長時間東に飛んでもう夜になってしまった。もちろんこの約350年の間に丈夫になったのであの時のように無様に気を失うことも無い。

 

少し降りて下を観察してみましょうか。

 

「美鈴、少し下の様子を見てみるわよ」

 

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

真っ暗で何も見えない

 

「美鈴は何か見えるかしら?」

 

 

「うーん?あっ!およそ8里ほど南に陸らしきものがありますね」

 

8里か。かなり近いわね。それにしても月もないこの暗闇で見えるのか。妖怪ってかなり凄いわね.

 

「では、行きましょうか。もう雨も降っていないようだし雲の上に行く必要もないわね」

 

 

 

かくして日ノ本に到着ね。あの船は助からなかったかもしれないけど。

 

 先ずは服を買うためのお金が必要か。手っ取り早く妖怪退治でもしようかな。退治しながら奈良を目指しましょう。

 

そういえば私の本名で名乗っても聞き取れないと思うし活動にも支障をきたしそうね。やはり偽名か。うーむ、シンプルなものでいいよね。

 パチュリーといえば大図書館かな。うんうん、これを少しいじって名前っぽくしよう。館の部分は樺菜で「かな」と呼ぶことにしよう。

大図書は大都庶で「おおとしょ」と呼ぶことにしよかな。これで随分日本人っぽくなったでしょうね。

 

「美鈴、私はこれから日本では基本『大都庶 樺菜』と名乗るから、美鈴も樺菜って呼んでね」

 

 

「と、唐突ですね。それにしてもパチュリーの面影が全くないような気がするのですが…。

まあ慣れないうちは間違えるかもしれませんが慣れてみせますよ」

 

「頑張ってね。

そうそう、これから陰陽師として妖怪退治を生業にするつもりなのだけれど、あなたは嫌かしら?」

 

 

「無差別的に退治するのなら流石に黙っていませんけど、どうせ退治するのは悪さをした妖怪だけなのでしょう?なら反対することはありませんよ」

 

「あら、あなたにはお見通しってわけね。でも流石にこの服じゃ目立って仕方がないから新しくこの国の着物を買いに行きましょう。途中で路銀でも稼いでね」

 

 

どうやらここは筑前辺りらしい。まだまだ旅は続きそうだね。

 

妖怪やらなんやらが結構出るせいでお金もかなり手に入ったし目的の着物も買えた。袴も。ちゃんと戦闘で使ってもいいように洗いやすく、動きやすい。さらに見た目もいい。

パーフェクトだよ。

 

さてさて今はどうやら遷都した翌年らしい。不比等の死が月の民からの攻撃によるものなのだと推測すれば、まだかぐや姫は来てないみたいだね。噂にもなっていないし。でもまあ早くに都に行って信頼を得ておくのも大切だろうから、さっさと都を目指すわけなんだけど。

 

 

 

 

 

 

 




歴史苦手な者としては辛いですね

道程で諏訪を通らないように九州スタートにしました
初めは日本海を飛んでいたというわけですね

で、パチュリーの偽名ですがかなり適当です。ご勘弁を

次回は私が結構好きなキャラが出てきます
1番好きなのはアリスさんなのですが

では次回も読んでいただければ幸いです
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