来年はどうなるのでしょうか。楽しみです
霊夢side
今年は去年とは違って無事に春が訪れたようだ。少し花々が騒がしいが。
去年は異変が三回も起こったせいであまりゆっくりできなかった。異変があまりにも立て続けに起こりすぎているせいで私の生活は大変だ。でも異変を解決すれば参拝客が少しだけ増えるのでそこだけはありがたい。異変解決は面倒くさいことこの上ないけど。
今日もいつ参拝客が来ても良いように境内の掃除はしておかなければならない。さっさと済ませてお茶でも飲もう…………「おーーい」はぁ。
「おーい、無視すんなよな。ていうかお前まだこの状況で動いていなかったんだな」
「この花の事?別に実害もなさそうだし放っておけばいいんじゃないの?」
「お前ってやつは…それでも博麗の巫女なのか?こりゃ異変に違いないぜ。仕方ない、私がお前より先に異変を解決してやるとするか。じゃあな!」
「ここに来た用事ってまさかそれだけ?」
「あぁ、お前がもう動き出しているか否かを調べるために来たんだ。でもまだだったみたいだし、今回は私が勝てそうだな。今度こそじゃあな」
はぁ、面倒くさいがこれは宣戦布告というやつだろう。今回の異変、どこか違和感があるがとりあえず動いてみるに越したことは無い。
手掛かりはさっぱりだがいつも通り適当に飛んでいればいつか元凶にたどり着けるはずだ。いつもそうしてきたんだし。
取り合えずまずは春の異変と言えば、な冥界にでも向かってみよう。あいつらは想像もつかないことを平然とやってくるような面倒な奴らだ。
去年の異変の後に結界は直しておくのかと思っていたのに紫は何故そのままにしているのだろうか。まあこっちの方が楽に冥界に行けるから助かりはするけど。
途中で絡んできた妖精や騒霊をささっと倒してすぐに冥界に着いた。今日は珍しく庭に庭師がいないようだ。いつもは庭仕事をしているか剣の修行をしているかなのに。
門前に人がいないのならば仕方ない。勝手に上がらせてもらう事にしよう。
「お邪魔するわよ~。誰かいないのかしら?」
「あら珍しい、貴方がここに来るなんて。何か用事でも?」
「えぇ、ここは異変の影響が出ていないみたいだけど顕界は花が咲きすぎているの」
「あら、素敵なことじゃない。きっと花見も楽しめるわ」
「あんたが楽しむのは花見ではなく花見で出てくる料理の方でしょうが。まあそんなことはどうでも良いのよ。この異変、あんたたちが関係あるんじゃないかと思っているんだけど」
「うーん、まあ関係していないと言えば嘘になってしまうわねぇ。でもあえて言うならば私たちはこの異変に関係ないわよ」
「関係あるのかないのかはっきりしない奴ね。イライラするわ」
日本語を喋ってもらいたいところだが人外にそんなことを言っても全くの無駄だろう。
「まあそうイライラしなくてもいいんじゃないの?折角だから妖夢の作った茶請けでお茶でもするかしら?」
「はぁ?!ていうかなんでレミリアが白玉楼にいるのよ」
訳が分からない。紅魔館の当主が館を放り出して良いのだろうか。
「紅魔館の当主と冥界の管理人が一緒にいても何も問題ないでしょう?とりあえずもうすぐ妖夢がお茶の用意をしてくれるからそれまではゆっくりしておきなさい。
腹が減っては戦はできないと昔から言われているでしょう?」
タダでもらえるものなら特に拒む理由もない。ただ解決が遅れてしまう事になるが。しかしレミリアがここにいるとなると咲夜もここに来ているのだろうか。
「咲夜なら今日は着いてきていないわよ。異変解決に向かわせたわ」
「ちょっと!勝手に人の心読まないでくれる?」
「別に読心の心得はないわよ。顔に出るほどわかりやすい貴方が悪いのよ」
やはり妖怪なんかとはいつまでたっても相容れそうにない。起源が違いすぎるからそれも当たり前のことだとは思うけど。
パチュリーside
今日は天気も良いし久しぶりに里に行こうと思う。レミィは妖夢のところに行ったし咲夜は異変解決を命じられて何処かに行ってしまった。
異変ではないのに異変解決に向かわされるという理不尽な状況を、私も美鈴もただかわいそうだと見守ることしかできない。
解決はできないだろうがこの行動を通じてさらに咲夜の人間関係が広がってほしいものだ。今の彼女は基本館から出ないせいで人間関係が狭すぎる。私が買い物をしてこなければもう少しましだったかもしれないが、私に未来予知などできるはずもない。
花映塚は敵の数が結構多かったはずだ。となれば私が里に出かけても咲夜より早く帰ってこられるかもしれない。善は急げ、さっさと行こう。
「こあ、私は今から人里に行くのだけれど何か買ってきてほしいものはあるかしら?と言うかあなたも着いてくる?」
「よろしいのですか?では着いて行きます。まだ里に行ったことはありませんでしたからね」
そうだったか。てっきり行ったことはあると思っていたが私の思い違いだったようだ。
「決まりね。さ、早く準備をしなさい。私はもう出来ているから」
「すぐできますので少々お待ちください…………はい、できましたよ。早速行きましょう」
本当にすぐだったな。一体何の準備をしたというのだろうか。
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「へぇ~、ここが人里ですか。思ったよりも広いんですね」
「えぇ、まあ幻想郷の人間のほとんどはここに住んでいるからこんなものでしょう。住んでいるのも人間だけではないわよ」
「時代は変わるものなんですねぇ」
「いえ、恐らくここが特殊なだけよ。今の外の世界に妖怪を送っても排除されることは間違いないわね。まだ外にいる妖怪もいるけれど」
「あ、そうだったんですね。道理で誰も私たちを見ても不必要に恐れないわけです。ところで今日はどんな用事があって里に来たんですか?」
「特に用事があったというわけではないわよ。里を適当に歩いて寺子屋を少し覗こうと思っているくらいよ」
「そうなんですか。パチュリー様の事ですから綿密な計画があるのかと思っていましたが案外適当なんですね」
「私は計画に関しては適当なことの方が多いわよ。綿密な計画を立てても少しの手違いで大幅に狂ってしまうもの。それなら初めから適当にしていれば時間の無駄にもならないでしょう?」
「確かにその通りではありますが…」
まあこれは私の持論。計画をきっちり立てるのも重要だが、崩れた時のダメージが大きそうだからあまりきっちりと立てないのだ。こちらの方が予定に含まれていない事への対処がしやすい。
「あ、そこにいらっしゃるのはパチュリーさんですか。丁度良かったです」
こんな風に急に声をかけられても問題ない。
「あら、阿求じゃないの。一体どうしたのかしら?」
「実は今代の分の幻想郷縁起をそろそろ完成させたいのですが紅魔館の住人に関する記述はあまり揃っていなくてですね。勿論パチュリーさんや美鈴さん含めて」
「なるほど。だから私に協力してほしいという事かしら?」
「そうですね。それにパチュリーさんの記述の参考に質問でもさせてもらえないでしょうか」
「特に予定はなかったから別に構わないけれど彼女はどうするの?私の使い魔なのだけれど」
「彼女も是非屋敷にいらしてください。悪魔に関する記述は皆無なので」
どの代でも稗田は大変だと実感させられる。傍から見ればまだ十歳少しの子供にしか見えないのにしていることは大人顔負けだ。能力関係なしに、私でも彼女のしていることと同じようなことをするのは不可能かもしれない。
「それならお邪魔させてもらおうかしら。こあ、行くわよ」「はい、パチュリー様」
稗田の屋敷に行くのは十年ぶりくらいでまだ二度目だ。もてなされるのは初めて。
「ここです。どうぞお入りください」
「へぇ、噂には聞いていたけれど見事な桜の木が植えてあるのね」
満開になるとかなり素晴らしい桜だ。
「はい、あの桜には木花咲耶姫の分霊が奉られています。あの満開ぶりは移り変わりの年であることが原因なのですがね。そしてその隣の岩は…………」
「石長姫の分霊というわけね」
「流石パチュリーさん、貴方の知識は衰えしらずですね」
「魔法使いの知識が衰えるなんて笑えない冗談ね。でもあなたにその気があるのなら妖怪の山に一度登ってみるのも良いかもしれないわね」
「それは…………あぁ、確かあの山は咲耶姫に破壊される前の八ヶ岳なのでしたね」
「えぇ、でも無理はしては駄目よ。あなたは特にね。さて、そろそろ中に入ろうかしらね」
「そうですね。折角お招きした以上ここで立ち話をしている時間ももったいないですし。しかしこうしてゆっくり話すのもいつ以来でしょうか」
前回はもう随分と昔になってしまうだろう。
「恐らく阿悟の時だったのではないかしらね。もう五百六十年ほど前になるかしら」
「そんなに経っていたのですね。貴方が急にいなくなったと知った阿夢の時はとても驚きましたよ。ほとんど抜け落ちる記憶の中で今でも残っているという事は相当衝撃的だったのですね」
「まあ仕方のないことだったのよ。私にもしたいことはあったし。そんなことにならないように日本を出るよりかなり前に陰陽師業は引退していたのに」
「実際は引退した後も依頼があれば活動していましたからね。それに貴方たちの知名度は高すぎましたし。さて、この部屋ですよ。お茶と茶請けは女中が運んできますから少しお待ちくださいね」
「えぇ。それにしても仰々しいお屋敷ね」
「そうですか?古臭いだけですよ。さて、早速話を聞かせていただきますよ」
阿求の目が本気だ。これはかなり長くなりそうな予感がする。普段自分の足でなかなか動き回れない以上直接の取材は彼女にとっては特別な意味があるのだろう。
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「ふぅ~、今日はご協力ありがとうございました。気づかぬ間に随分と時間が経ってしまったようですね。絵を描く時間まで頂いてありがとうございました」
本当だ。昼くらいに来たはずなのに気づけばもう黄昏時だ。久しぶりに阿礼の子とゆっくり話ができて私としても楽しかったから全く問題ない。こあは途中で寝てしまっていたが。
「問題ないわ。私もなかなか楽しかったから大丈夫よ。あぁそうそう、縁起に私の絵を入れる時にはこの着物ではなくこっちの洋服で書いてくれると助かるわ」
「そうですか、残念です。いつもその着物を着ていらっしゃるというのに」
パチュリー・ノーレッジとして描かれるのであればやはり洋服の方で描いてほしい。これは私の単なる自己満足だ。
「こあ、起きなさい。帰るわよ」「うーん、んん?はっ、パチュリー様?!…私寝てました?」
「ばっちり寝ていたわ。さて帰るわよ。阿求も今日はありがとう。完成したらまた見に来るわ」
「はい、楽しみにしていてくださいね。ではまた」
結局異変の方はどうなったのだろうか。小町が動き出していれば良いのだけれど。気になるし無縁塚の方に寄ってから帰ろう。
「こあ、少しより道をして帰りたいのだけれど良いかしら?」「構いませんよ。一体どこへ?」
「無縁塚よ。少し確かめたいことがあるの」「無縁塚ですか…。良い話は聞きませんが」
まあそれは当然の事。無縁塚で良い思いをしているのは今のところは霖之助くらいだろう。
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着いた。この異変のせいで春だというのに彼岸花がそこかしこに咲いてしまっている再思の道を通り抜けた先、紫の桜が咲く行き止まりの空間だ。
「貴方なら今日きっとここに来ると思っていましたよ、樺菜さん。いえ、今はパチュリーさんでしたか」
「やはりあなたにごまかしは通用しない様ね。前に一度会っただけなのによく私の事を覚えていたわね、映姫」
「私に構う人自体全くいませんでしたから覚えていて当然なのですよ」
「何かごめんなさいね」「いえ、気にしていないので大丈夫ですよ」
「それは良かったわ。それにしてもまさかあなたが閻魔になるとはねぇ、それも
「確かにそうですね。さて、貴方はどうして今頃こんな場所に来たのです?来るのなら巫女よりも早いと思っていたのですが」
「九代目稗田の子と話をしていたらかなり遅くなってしまったのよ」
「ふむ、なるほど。彼女もずっと私を手伝ってくれたらもう少し楽になるのでしょうけど…」
「あなたも大変なのね。たまには息抜きでもしたらどうなの?」
「うちの死神が仕事をよく放りだしてしまうのでその対応が一番面倒なのです。初めに彼女を見た時はもう少し真面目な奴だと思っていたのですがね。
ところで貴方は未だに人間側と妖怪側のどちらにもつかない立ち位置にいるようですね。そう、貴方は少し不安定すぎる」
あらら、映姫のお説教タイムが始まってしまった。真面目に聞いていないとどんどん説教の時間が増えていくから、こういうのは初めから真面目に聞いておくのが吉だ。
「いいですか?貴方のその人助けの精神は立派なものでしょう。しかしこの世に不変のものなど存在しないのです。今の貴方のどっちつかずの立場をこれからも続けていくというのならば貴方はいつかきっと後悔することになるでしょう。
人間と妖怪で比べると圧倒的に妖怪の方が不変性が高いです。しかしそれでも完全なる不変というわけではない。今の貴方はどちらにも傾き得る。下手な不安定さは自身を滅ぼしますよ。それに…
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……………………なのです。わかりましたか?」
「えぇ、でも今のところ私の生き方を変えるつもりはあまりないわ。それにあの頃と比べれば今ははるかに妖怪寄りよ」
「確かにその様です。ですが今私の言ったことは是非心に留めておいてくださいね。つい長く話過ぎてしまいましたね。もう暗くなってきていますしここは妖怪でも危険ですから早く帰ることをお勧めしますよ。この時間まで話した私が言えたことではないですが」
「そうね。またこっちの世界に来た時には美鈴にも会いに行ってあげて。きっと彼女も喜ぶわ」
「私が会いに行って喜ぶ人など今まで見たことはありませんが。でも覚えておきましょう」
「えぇ。さようなら、また会いましょうね」「はい、お元気で」
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かなり遅くなってしまったがようやく帰ってくることができた。
「パチュリー様、先ほどの方が閻魔様なんですか?」
「えぇ。私と美鈴の古い知り合いでもあるわ。彼女に逆らっては駄目よ、勝てないから」
「逆らいませんよ…。しかし何というか話の長い方でしたね」
「あれは彼女の仕事でもあるのだから仕方のないことなのよ。人が地獄に落ちないように説教をしているみたいだけれど、真面目に聞く人が少ないせいであまり意味をなしていないように思えるわね」
「あはは、確かにあれではすべてを真面目に聞く人は少ないでしょうね」
まあそんなことを映姫に直接言ってもなんの効果も無いだろう。彼女の説教癖は治る気がしない。
要素ほとんどなかったですが花映塚終了
次回は明日投稿しますが、オマケなので読み飛ばしていただいても構いません