皆さんも有事の際にはくれぐれもお気を付けください
美鈴side
どうやらまずパチュリーは住む場所を確保しようとしているらしい。小屋を建てる段階になるまで私はすることがない。
ところで、当たり前の話だが私は食事もするし睡眠もとる。
かなり高位の妖怪にもなれば食事も嗜好品になるらしいが、私はどちらなのだろうか。私自身自分が高位の妖怪だと思ったことはないが、最近1回に食べる量が減ってきているような気がしなくもない。
先ほどの妖怪、八雲紫。あれは完全に高位の妖怪だ。あれほどの密度の妖気は生まれてこの方見たことがないかもしれない。数千年は生きてきたが、殺気がないのにあれほど相手を威圧できる存在を目の当たりにしたのは片手でも数えられるほどだ。
対峙しただけで逃げ出したくなるのに、そんな存在からお願いをされて断る勇気のある者は如何程だろうか。
パチュリーは気の乱れがなかったことを考えると純粋に協力したようだ。恐るべき胆力だと思う。
どうやら小屋を建てる場所が決まったようだ。早速作業に取り掛かろうか。
パチュリーside
小屋も建てられたし一先ず都にいって何か仕事がないか見てこようかな。
「美鈴ー、ちょっと都に仕事がないか見てくるから留守よろしく」
「わかりました、くれぐれも気を付けてくださいね」
そんなこんなで初めての都。やっぱり他の国とはかなり物の集まり方が違うね。物が豊富だわ。何か美鈴にお土産でも買って行ってあげよう。
お金はほとんど使ってこなかったから結構残っているしね。
うん、この髪留めなんかいいんじゃないかな。赤い髪にも映えそうだし。
「むっ、もしやあなたはここのところ様々な国で名を上げておられる大陰陽師の大都庶様ではありませぬか?」
大陰陽師ってなんだ。私は普通の陰陽師なのだけれど。勝手に噂が広まってくれるのはありがたいけど、変に凄そうな呼び名つけられても期待が大きくなるだけだよね
辛い世の中だよ。
「はぁ、私は
「実は私は隣の国より村の代表としてやってきた農民なのですが、村で私共には手に負えない事態が起こったのです。
都に行けば何とか出来る者がいるかもしれないと思ってきてみたのですが、誰にも良い返事は聞けなかったのです。しかし貴方様は大陸の不思議な『仙術』なるものが使えるとお聞きしております。どうか私ら農民をこの作物の危機から救ってはくださらぬか」
どうやら都に来ての初仕事は都ではなく妖怪退治でもいないようです。
「いいですよ。では私には連れもいますので明日卯の刻辺りに門の近くで待ち合わせをいたしましょう」
「ただいま」
「お帰りなさい。仕事ありました?」
「明日卯の刻に門の前よ。ちなみに都での仕事ではないわ」
お土産も買えなかったしね
村の方は乱れていた地脈を安定させればすぐに解決した。
お礼にその土地のお酒をもらった。お酒なんて飲むのは何年振りかもわからない。
因みに日本酒は記憶にある限り初。
家に帰って美鈴と飲んでみたけどかなり美味しい。たまにはこういう依頼も悪くないと思う。
あの依頼以降、仙術も体術も見たこともない呪術もできる陰陽師とか何とか言われてかなり最近は忙しくなったような気がする。
見たこともない呪術と言われているのはこの国にはないただの魔法だし、体術の方は美鈴がしてくれているのだけれど。
ここ最近3か月くらいの間で急に大層な美人の噂が立ったね。これは確実に輝夜だろう。
ちょっと見に行ってみましょうか。
屋敷の場所は知らなかったから町人たちがひそひそ話している情報から割り出した。
流石は姫の住む屋敷だね。普通に入るのではだめそう。
仕方ないけど夜にまたお邪魔しましょう。
「夏は夜 月のころは更なり、ってね」
「確かにいいわよねって貴方はどちら様?この屋敷はそんなに簡単に入れないように門番がいたはずなんだけど」
敢えて「月」と言ってみたのに反応はしないか。
「私は大都庶樺菜と名乗っている者よ。門なんて飛び越えればないのと同じよね」
滅茶苦茶簡単に輝夜に見つかった。そりゃあ縁側にいたらすぐ見つかるか。
というか美しすぎないかい?この美しさは筆舌に尽くしがたい。これは貴族たちが挙って嫁にとりたがるのも頷けるね。
「へぇ、貴方がそうなのね。私はなよ竹のかぐや姫。貴方のことは貴族たちからうわさで聞いているわよ。なんでも、見たことも無い術を使うとかなんとか。
本当なの?」
「ただの魔法よ。特筆すべきものでもないんじゃないかしら」
「となると貴方は魔法使い?人間じゃないじゃない。
いったいここに何をしに来たのかしら?返答次第では大声で叫んでやるわよ」
「あら、あなたなら私を消すことくらいできるのではなくて?」 「なっ」
ちょっとふざけすぎたか。
「あと私がここに来たのは単なる興味。絶世の美女と呼ばれる貴方を1目見てみたいと思うのは普通じゃないかしらね」
「貴方は私に害を与える存在ではない、と言いたいのかしら?」
めっちゃ疑われてるね。誤解は解いておかないとね。
「その通り。ところであなたはいったい何者なのかしら?
ごく短い間での成長、この国にはないはずの魔法の知識。あなたはこの国の人間ではない、でもあなたの顔は大和撫子も真っ青なほどの大和の美。
あなたの故郷はどこなのかしら?」
人間が3か月で成長するなどあり得ることではない。そのあとは自白してもらってこちらからの爆弾発言を防止する。これで完璧ね。さて輝夜はどう出る?
「……そうね、私の故郷は地上ではない。でもその考えが出たところで普通聞いてくるかしらね。普通は真っ先にその可能性を捨てるもの。
月に人が住んでいるなんて考える人は常人はしないのよ」
「太古の昔に地上から穢れなき月に人が移り住んだ、というのを私は聞いたことがあった。そこからの推測よ。
それであなたは月では竹から生まれたのではないでしょう?本名を教えてくれないかしら」
反則級の伝聞だけどね。
「教えてもいいけど貴方も教えてね。私の本名は蓬莱山輝夜。気軽に輝夜って呼んで頂戴。
貴方は地上で唯一秘密を共有できる者だからね」
偽名なのは流石にばれてるね。まあ魔法使いって言っちゃったからね。
「私はパチュリー・ノーレッジよ。あなたも気軽にパチュリーって呼んでくれるとうれしいわね」
丸く収まってよかったわ。輝夜は実際かなり強いし、永琳が敵とか想像したくもない。
「そういえばいつか月に帰るのかしら?」
「そうなるでしょうね。でも帰っても良いことなんてないわ。どうせ私の体質をいいことにモルモットにされることまちがいなしだわ。
あ~帰りたくない」 「あなたの体質?」
「ええ、私は私の能力を使って家庭教師役だった人に不老不死になれる蓬莱の薬を作らせてそれを飲んだのよ。
それが穢れの嫌いな月の連中には大罪だったってわけ。まあ私自身地上に興味があったから、あいつらにとっては最悪な刑罰でも私にとってはそうではないのよね」
「その薬作った人って凄いのね。そんなに凄い人に勉強を教われるなんてあなたはいい家に生まれたのね」
「まあね、でも不自由がなかったせいでつまらなかったのよ」
セレブって大変なんだね。
さて、今日はそろそろ美鈴も心配しているかもしれないから帰ろうかな。
「じゃあ私は今日のところは帰ろうと思うわ。またね」
「えぇ、また明日の夜にでもいらっしゃい。この屋敷で私
ありがたいお言葉だね
パチュリーが話すときは「あなた」
輝夜、紫が話すときは「貴方」
この辺りから時間の進みが遅くなります
パチュリー、美鈴は陰陽師プラスαって感じで基本どんな依頼でも受けます。だから正確には便利屋(妖怪退治含む)って感じです
あと勿論枕草子はこの時代にはありません
ではまた次回も読んでいただければ幸いです