『完結させたのに何をいまさら』と思われるかもしれませんが本編は異変続きだったのでどうしても日常回が少なかったのです。書きたい話はいくつかありますのでしばらくの間は完全不定期で投稿されると思います
半年越しのリベンジ
パチュリーside
まだ夏真っ盛り、という時期ではないのだが外はかなり暑い。
「ねえパチェ、暇だわ。こんなに暑いのに何か涼しくなれる魔法とかは使ってくれないの?」
もうすぐ緋想天があるはずだからすぐに暇ではなくなるはずだが
「あるけど使わないわねそんな魔法は。そんなことをするくらいなら目の前の湖にでも行けばいいんじゃない?あそこはとても涼しいって美鈴が言っていたわよ」
「駄目ねぇ、パチェは。外に出たら日光にやられるでしょう?いくら涼しくてもずっと日傘をさしたままぼーっとしているのは結局暇じゃないの。そんなことをするより室内で手っ取り早く涼しく過ごせる方法を探しているのよ。ついでに暇つぶしにもなるものね」
「そんなに一気に色々な条件を満たす物なんて……あるわね」「えぇ、あれなら良さそうね」
「そうと決まれば早速準備をしましょうか。レミィは美鈴と手分けして来れそうな人間、妖怪を呼んできなさい。私は咲夜と一緒に準備しておくから」
前回はいまいちだったから今回こそはリベンジしたいところだ。作る場所も前回とは異なり、空き部屋になっている地下室。たまには私の本気を見せてやろうじゃないか。
「パチェも珍しくノリノリね。それにしてもそんなに呼んで大丈夫なの?この前のあれじゃあ精々三、四人が限界だったと思うけど」
「何のための咲夜だと思っているのよ。今回は前回の比ではないわ。だからたくさん呼んでも余裕なはずよ。前回来れなかった早苗ちゃんも誘ってあげて頂戴ね。そう言えば今日は魔理沙も来ていたわね。彼女も使えばかなり効率が良くなると思うわよ」
「なるほどね、分かったわ。それじゃあまた戻ってくるわ。咲夜「ここに」私は少し出かけてくるから貴方はパチェの手伝いをしてあげて頂戴」「わかりました」
退屈は妖怪を殺す。何とかして暇を潰す方法を探す彼女を見ているとこちらもやる気が出るというものだ。
レミリアside
暇を潰すために料理をするのも悪くないがたまにはいつもと違う事もしてみたい。パチェに相談していると丁度いい物を
パチェも同時に思い出したらしい。やはり親友。運命を感じる……というのは何か違うニュアンスな気もするがまあ同じような物なのではないだろうか。幻想郷中を回るのに私一人では時間がかかりすぎる。そう言うわけで魔理沙と美鈴にも手伝ってもらって様々な場所を回っているところだ。
私のルートは人里から迷いの竹林、そして妖怪の山の神社だ。里とは言ってもどうせ慧音は来ないので誘うのはミスティアその他である。他は道中の湖で妖精でも誘えばフランも喜ぶだろう。
実力は一番高くても飛ぶ速度は一番遅い美鈴は冥界だけ。その他は魔理沙が適当に誘って来てくれるらしい。こういう時に人脈の豊富な者がいるのは有難い。
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「ふぅ、誘ってきたわよ。皆が来るかどうかはわからないけど」
「お疲れ様、レミィ。こっちの方ももう完成しているわ。皆が来る前に入っていてもいいわよ。貴方はここの当主なんだから」
「そうね、でも一人で入っているのも寂しい気がするからフランも呼んでくるわ」
想像していたより数十倍以上大きかったし流石にここに一人で入っている勇気はない。二人でも然して変わらないような気がするが気分は全然違うだろう。
そんなわけで呼んできた。フランもとても驚いているようだ。流石はパチェ。彼女にできない事はあるのだろうかと疑いたくなるほどの仕事をしてくれる。
「うわぁー、お姉様、これどうしたの?この前月で見た海みたいだけど」
「ふふっ、驚いたかしら?フラン。これは幻想郷唯一にして紅魔館の所有物である海、名付けて紅海よ」
「お姉様、紅海は外の世界にある海よ。何か他の名前にしようよ」
外に紅海があるのは勿論知っている。最近まではそこまで遠くない場所に住んでいたわけだし勉強でも出てきたのだから。しかしいい名前があったと思ったのにフランに不人気ならば他の名前を考えなくてはならない。
紅魔海ではひねりが無いし……どうしたものか。あ、そうだ。安直なのは変わらないが
「それなら塩田海でどうかしら」「塩電解?どうして今電解が出てくるの?」
「違うわよ。塩田の海。良いかしら?海なのだから塩が含まれているのは当然よね。で、ここの海の塩は何処で採れたものだったかしら?」
「そりゃあ霧の湖から摩訶不思議な力で……なるほど分かったわ。つまり天然の塩水ではなく人工的に作った塩水ってことね。良いと思うよ、お姉様」
「そうね、レミィにしてはマシな名前かしら。あぁ、悪いとは言ってないわよ。ただあなたが考えるにしては珍しい名前だと思ったけれど」
別に悪気があって言ったわけではなかったらしい。しかし私のネーミングセンスはそんなにひどかったのか?全世界ナイトメアとか超絶かっこいいと思うのだが。そんなに言われるなら最近作った技の名前はパチェがあっと驚くようなものにしてやろう。そうだな……ボンバードナイトとかでいいのではないだろうか。下手に日本語を混ぜたりしていないからきっと他の者から見てもかっこいいはずだ。我ながら素晴らしい。
「とりあえず皆が来るまでは私たち二人で楽しんでおきましょう。そう言えばパチェは入らないの?」
「私は遠慮しておくわ。代わりにこあとその辺で屋台でも出しておくから。貴方たちは存分に楽しみなさい」
海の家というやつだろうか。確かにどうやったのかわからないが砂浜まで再現されている。広さは咲夜で何とかなるにしても海の再現は全てパチェがやったのだろう。どうしたらこうなるのか教えてもらいたいくらいだ。
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「おーい、皆で来たぜ。ってなんなんだ?これは。少し涼めるだけかと思っていたが半年前のちんけなプールとは大違いじゃないか。これならもう少し誘ってもよかったかもしれないなぁ」
魔理沙を先頭にして皆到着したようだ。海を見たことが無い者も多いかもしれないが皆一様に驚いているようだ。それも仕方のないことだ。地下室だというのに吸血鬼には害のない日光が降り注いでおり浜には屋台ができている。更に海の中には魚や海藻まである。これらは幻影なので触れることはできないが、見て楽しむことは可能だ。流水を作れない以上波が打ち寄せる演出は作らなかったらしい。私たちへの気遣いもばっちりだ。
「あら、来たのね。あまりにも前回がひどかったから少し本気を出してみたわ。あの太陽は私の魔力で光らせているだけだから日焼けもしないし髪も紙も傷まないわよ。でもこんなに広くできたのは咲夜のおかげ。礼は咲夜に言っておきなさい」
確かに咲夜がいなければこれだけの人数を集めることもできなかったがそれでもパチェの功績も相当のものだろう。パチェくらいの力があれば余裕なのかもしれないが自分ではなく他人を持ち上げる彼女のあり方は見習うべきなのだろう。
パチェが用意していたらしい多くの水着の中から各々が気に入ったものを選んで今は皆海を楽しんでいるようだ。灰にならない不思議な日光なのに暑さは外にでもいるようだ。というか今いるのが中なのか外なのかわからなくなる者もいるかもしれない。壁まで景色を映し出しているせいで妖精なんかは度々壁にぶつかっている。
『はいはーい、ちゅうもーく』
棒読みでそんなことを言われても違和感しかない。パチェでも慣れないことは難しいようだ。
『えー、ちょっとこあ、代わってくれないかしら。大声を出すのは慣れないわ。「えぇ?!まあいいですけど……」少しお待ちください』
拡声魔法を使っているせいで話していることがバレバレである。吸血鬼じゃなくても聞き取れるくらいはっきり聞こえてしまっている。魔法を切ればよかったのに。
『えー、皆さん。ここであるイベントを開催します!一斉にスタートして一番早くあのブイまで泳いだ者が勝ち、というルールです。勝者にはこの本日一点限りの絶品焼きそばを無料でご提供!参加者は受付までお越しくださいね!』
あの焼きそばって私が作らされたやつではないか。急に一食分だけを頼まれたからパチェの昼食にでもするのかと思っていたのに。まあ今考えればパチェは自力でもかなり美味しい料理ができるからわざわざ私に作らせる必要も無いわけだ。そこで気づいておくべきだったか。
「お姉様どうするの?私は参加しようかなー、と思っているけど」
「勿論参加するに決まっているでしょう?紅魔館当主として負けるわけにはいかないわ!」
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普通に負けた。接戦にすらならずに美鈴の圧勝だった。来ているほとんどの者が参加したにも拘わらず圧勝する美鈴って一体……。
その美鈴は美味しそうに焼きそばを頬張っている。まあ美鈴ならいいか。何かと世話になっているし美味しそうに食べてくれているし。他の皆も負けはしたが深くは気にしていないようだ。負けず嫌いな氷精も他の妖精と遊んでいるうちに負けたことすら忘れてしまっているようだ。さっぱりした性格の者が多いのは良いことである。
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空がだんだん暗くなってきた。恐らく屋外の時間帯に合わせて太陽の位置も変化するように見せているのだろう。
『皆さーん、もうそろそろ黄昏時なので泳ぐのもおやめくださーい。本日は存分に楽しめていただけたようなら良かったです。また何かイベントがあればお誘いしますのでぜひまたご来館くださいね!』
小悪魔が勝手にまたイベントをするとか言っている。まあたまにならいいだろう。頻繁にされるとこちらも困ってしまうが。
「パチェ、今日はありがとうね。私のわがままに付き合ってくれて。私もフランもとても楽しめたわ」
「あなたのわがままは珍しいからね。それに私も半年前の汚名は返上しておきたかったもの。だからお互い様よ。まああなたたちが楽しんでくれたのなら私としては大満足ね」
私がまだ幼かった頃からいつでもこの魔法使いは最高の親友だ。もう少しくらい困らせても良いのかもしれない。そんなことをすれば私もパチェから困らせられそうだから自重するが。この親友は恩を返されることを全く望んでいない。もしかしたら最大の恩返しは私たちが楽しく過ごしていることなのかもしれない。
レミリアもたまにはわがままを言いたくなるでしょう。という事で天候がおかしくなる直前の夏の一日です。話数で言うと五十・五話ですね。魔法って便利だなぁといつも思います
レミパチュは至高。書いていてとても楽しい二人です
番外編なのでサブタイトルは自由に付けます。第○○話というのも無いですし
では次回はいつになるかわかりませんが読んでいただければ幸いです