クソゲス☆ド外道ファンタジー    作:ペニーボイス

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24 パーリナイト☆ピーポー

 

 

 

 

 

 

 

 ダニエラさんの黒魔術でもってして、新魔王の居城までワープできるってのは大変ありがたい話だった。

 なんたって、魔王国だぜ?魔王国!

 徒歩で行けば巨人に踏み潰されそうだし、馬で行けば巨人に踏み潰されそうだし、馬車で行けば巨人に踏み潰されそうだ。

 だからその危険極まりなく思える過程をスキップできるのは本当にありがたい。

 

 ダニエラさんの、「あなた普段からバニラか何かだけを食べて過ごしてます?」って言いたくなるレベルで良い匂いのする柔肌に抱きつかなければならないという貞操上の問題はあるにせよ。

 私とアンドレアスは他に適当な手段も見当たらないし、やらなければならないことは電力の確保だけではないので、2人してこのエロスの塊みたいなダークエルフに抱きついて魔王城へとワープした。

 

 

 

 さあ!読者の皆様!ここで質問です!

 魔王城って一般的にどんなイメージ持ってます?

 ああ、いえ、直感で構いません。

 魔王城も魔王城、それも魔王の御前にございます。

 なんというか…影の奥から「フッハハハハ!」「イッヒヒヒヒッ!」みたいな笑い声が響いてきてヤベェ薬でもやってんのかと訝しんだり、壁から変な液体が垂れてて権力者の居城たる建築物にあるまじき施工ミスに二重の意味で驚いたり、そこら中蜘蛛の巣があったりイモリが這いずり回ったりしてるのを見て清掃業者という専門分野の存在に改めて感謝したりするとは思うんですが。

 

 でもって魔王の居室に着くとアレでしょ?

「良くぞ辿り着いた勇者よ、我に従えば世界の半分を云々」っていうテンプレートが投げつけられてくるんでしょ?

 まあね、相手の言うことを鵜呑みにするのは良くないとしてもね。

 向こうから提示するって事はさ、向こうからすると「世界の半分」ってのは魔王の財産の半分と見なすのが普通じゃない?

 大体そのくらいのステージになると人間界への侵食は失敗してるパターンが王道だと思うんだけどさ、つまり、魔王は手持ちの魔界の中の半分を勇者に差し出すっつってんのよ。

 で、大抵の場合、勇者の方はいちもにもなく「断るっ!」って言うでしょ?

 

 

 せめて講和条約の交渉の機会くらいは与えても良くない?

 

 

 アレ?

 アレなの?

 無条件降伏すら受け入れないスタンスなの?

 魔王からしたら自分の掌握下にある世界の半分って帝政ドイツにとってのヴェルサイユ条約並みにキツい内容だと思うけどそれすら許さないスタンスなの?

 確かに大方において人間界が魔王の侵略を受けてるから云々みたいな設定はあるにせよ、しかしその発端まで描写されてる場合って少ないわけじゃん。

 発端分からないのに講和条約も許さないってあなた一体何されたのよ。

 

 それからさ、魔王亡き後の統治体制まで考えてます?

 魔族とかさ、あんな…人間から見ると陰湿な土地で生き抜いて魔王の絶対君主体制につき従ってるわけでしょ?

 つまりは独裁体制によってしか統治されない可能性があるわけですよ。

 なのに、そんな内実も分からないのに…戦後の統治ビジョンもなにもないのに、勇者個人の判断で全体主義者もビックリな絶滅戦争か何かを始めようってんですか!?

 

 

 

 

 

 …………ま、典型的な勇者の狂える全体主義思想に対しての考察はさておき。

 私達は魔王城に到着した。

 勿論五体満足、ダニエラさんの豊満な身体に野郎2人でしがみついているという大変間抜けな絵面を除けば特に異常はない。

 

 ところがワープした先の魔王の居室というのが…なんというか……………

 

 

 

 思ってたんと違うッ!

 

 

 何もない大きなだだっ広い部屋の奥に禍々しい玉座があって魔王が座ってるってのが我々の先入観なんですよ!

 なのに、この新魔王の居室ったらイビサ島かなんかですか!?

 

 まず持って到着した瞬間にドゥンドゥンドゥンドゥン☆』って感じのEDMが流れてるし、バーカウンターがあるし、ダニエラさんと同じダークエルフの方々が水着姿や下着姿でレッ●ブルの缶とかカクテルとか持ってEDMにノッてるし、その上デイビッ●・ゲッタとスヌー●ドッグまでいやがるしッ!

 

 そんなダンスフロアで辺境伯領伝統の軍服にピッケルハウベな我々の浮いてることったら!

 こちとら新魔王にお願い事のための面会に来たんだし、前もってダニエラさん通じてアポイントメントは取ってあったはずである。

 あまりにやかましいEDMに負けないように、私はダニエラさんの耳元で大きな声を出した。

 

 

「ダーリン、ここって本当に魔王城なの!?」

 

「ああ、ハニー!正確には魔王城ではないが、新魔王様はここにおられる!」

 

「ああ、だよね!こんなパーリ☆ナイトなところが魔王城なはずはない!」

 

「魔王城は建築の老朽化耐震設計に難があったことから閉鎖された!ここは新魔王様が新しく設けた居城…通称"不夜城"だ!」

 

「………なんて?

 

「魔王城は」

 

「いやいやいや、そうじゃなくてね、ダニエラさん。つまりは…ここが新魔王の居城なの?」

 

「ああ、そのとおり!新魔王様はあちらにいらっしゃる!」

 

 

 ダニエラさんがパーリ☆ナイトなダンスフロアの奥の方を指差した。

 私はいい加減にダニエラさんにしがみつくのをやめて、彼女の指差した方角を見る。

 なんてこった、妖艶な雰囲気と豊満なお身体の持ち主でいらっしゃる新魔王は際どい下着に身を包み、ダンスフロアの中央奥側でポールダンスをご披露なさっていた

 

 

 

「………頭が痛くなってきたよ、ダニエラさん。」

 

「?……ああ、人間界にはこのような文化はないから」

 

「いや…うん、まあ、色々とカルチャーショックだわ。」

 

 

 カルチャーどころじゃないが、とにかくショックである。

 なんじゃこりゃ。

 魔王の城の名前が"不夜城"ってのは、まあ、センスがないわけじゃないと思う。

 でも"不夜城"の意味が、『我が王国に落日はない』とか『日の登ることのない魔界の象徴』とか言うんならまだしも『ヤァヤァ者ども、朝まで共に踊り明かそうぞ』なのは想像の遥かに斜め上過ぎた。

 魔王城の閉鎖理由があまりにも現実的な割にそこからのステップアップ具合がオリンピックのハードル跳び選手さながらなせいで、私の頭の情報分析能力はその許容値を大きく超えてしまう。

 

 

「なぁ、ゲルハルト…」

 

「アンドレアス、少し待ってくれ。さもないと私の頭は過熱で強制ログオフしてしまう」

 

「見てみろよ、これ全部"電気"だ」

 

 

 アンドレアスにそう指摘されてハッと我に返った。

 確かに、ダンスフロアを照らしているライトもドゥンドゥン系のEDMも電力がなければ不可能な類である。

 人間界との文明レベルがかなり違うことには焦燥を覚えるが、しかしながら私の見る限り魔王国全体にこの文明の恩恵が波及していない事は不思議だった。

 

 あっ、そうだ。

 電気だ、電気!

 私は自身の目的を思い出す。

 わざわざダニエラさんに抱きついて電気をもらいに来たのは、ハンザブルグの防備を"溶かす"必要があるからなのだ。

 

 本来の目的を思い出した私は、ダンスフロアで踊っているパーリーピーポーならぬパーリーダークエルフやパーリーサキュバスの間を通り抜けて新魔王がいるボールダンスステージの方へと向かった。

 つーかなんで女のダークエルフとサキュバスしかいないんだ、このダンスフロア!?

 これプライベートで来ればハーレムかもしれないけど公務で来てる以上地獄だからね?

 男女の比率がおかしい…男性と思われるのはデイビッド・●ッタとスヌー●ドッグと我々しかいない…し、何だって全員下着かビキニなんだよ!?

 

 ダークエルフとサキュバス達のムワッとしたような芳しい香りを避けていきながら、どうにか理性を保ってポールダンスステージに辿り着く。

 妖艶なポールダンスを踊る新魔王の下まで来ると、ダニエラさんが声を張り上げた。

 

 

 

「新魔王様!辺境伯とアンドレアス殿を連れて来ました!どうかご面会を!」

 

「…ん?……ああ!来てくれたのかい!」

 

 

 汗だくの新魔王がポールダンスを終えてステージを降りてくる。

 ただでさえ衣装も雰囲気もエロいってのに汗でヌルテカってる分余計にエロい。

 おまけにこの新魔王、ダニエラさんの下まで寄ってきて彼女と濃厚なディープキスまでしやがった。

 もうやだ、このエロ魔王。

 

 

「……んぷっ…ふふふ、認証した。おかえり、ダニエラ♡」

 

「なんたる認証システムなんだ…」

 

「さてと。こんな場所で立ち話もなんだから、応接室に行こうじゃないか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんで応接室ボックス席なんだよおおおッ!?

 応接室ボックス席ってあるか普通!?

 キャバクラじゃねえんだぞこの野郎!?

 

 

 私はこの魔王国の新しい国家元首の趣味に辟易している。

 ダンスフロアを出て下の階に向かい応接室と言われたのは、中央にダンスフロアのものより少しだけ小さなポールダンスステージのあるジェントルマンズクラブじみた部屋だった。

 静かな音楽と、中央で新魔王に負けず劣らずのセクシーポールダンスを繰り広げるサキュバス、それに赤と黒を基調としたレザーシート、更には豪華なシャンデリア。

 新魔王はなんの躊躇いもなくその部屋の一角にあるボックス席に我々を誘った。

 

 

「ふぅ…久しぶりだね、2人とも。今度はわざわざそっちから会いに来てくれるなんて…僕は嬉しく思ってる。」

 

「新魔王様、お飲み物は如何なされますか?」

 

 

 如何なされますか?じゃねえよ!

 やっぱりキャバクラじゃねえかよ!

 我々がボックス席に入ると間髪おかずに上下黒下着、ガーターベルトのとんでもない格好をしたナイススタイルのサキュバスがメニュー表片手に注文を取りに来た。

 

 

「うん、それじゃあ…僕はワインを。君たちもせっかくだから何か飲むといい。」

 

「こんにちは〜♪お兄様、お隣失礼してもよろしいですか?」

 

 

 新魔王がワインを頼んだ頃合いで、さっきのサキュバスとは別のサキュバスや女ダークエルフ達が5〜6人ほど我々のボックス席に入ってきた。

 皆様ダニエラさんや新魔王に負けず劣らずのナイスボディ具合。

 あ、あの、新魔王様?

 我々は仮にも一地域の代表で、あなた様はこの魔王国全体の支配者であらせられると思うんですが。

 その国家間協議をこのキャバクラボックス席でやろうってんですかい?

 

 

「心配しなくても大丈夫、この娘達は僕の個人的な護衛だよ。…それよりも…何か飲まなくていいのかい?」

 

「ええと…………それでは…せっかくのご厚意ですので」

 

「ビールもあるしワインもある。なんでも好きなものを頼むと良い。」

 

「………ぅぅぅぅぅぅうううん、コーヒーをいただけますか?我々は現在公務中ですので。」

 

「ふっ、君たちは真面目だね。まぁ、良い事さ。特に僕の同盟者なら、ね。」

 

 

 こんなやりとりをしている間にも先ほどのサキュバスやダークエルフ達が我々の間に入り込んでくる。

 私自身はポールダンスを終えてまだ上気している新魔王の柔肌と、ダニエラさんの柔肌の間に押し込められた。

 なんでこうなるのよ。

 やがて飲み物が運ばれてくると、新魔王は今までとは打って変わった様子で本題に踏み行った。

 

 

「さあ、それじゃあ話し合いといこう。君はまた僕に何か頼みたいことがあるんだね?」

 

「ええ、閣下。実を言いますと…ダークエルフの魔術師達をお借りしたいんです。」

 

「何のために?」

 

「あなた方が上のダンスフロアで使っている、"電気"が必要になりまして。」

 

「"電気"……なるほど、あの黒魔術の動力源か。確かに彼女達なら造作もなく扱える。」

 

「お兄様変わってるんですね…あんな技術欲しがる種族なんて滅多にいないのに。」

 

 

 ボックス席に乱入してきたキャバ嬢擬きの護衛の1人が私に向かってそんなことを言った。

 

 

「そうなのか?」

 

「こら、エミリア!そんな言葉を使うのは、同胞の印象が良くないよ?」

 

「あっ!ごめんなさい、新魔王様!」

 

「…うん、まあ…でも。エミリアの言う通り、彼女達の魔術は歴代魔王によって『軟弱』のレッテルを貼られていてね。僕が新しい魔王になるまで、使おうとする者はいなかった。…正直、僕としては君が興味を持った事自体が意外だよ。」

 

 

 意外じゃなかろうが、宝の持ち腐れやぞそれ。

 歴代魔王も歴代魔王でなんたってこう、揃いも揃って頭の固い連中だったのだろうか。

 電気使えるってやっべえアドバンテージやぞ。

 

 

「それで、どの程度の人数をお望みかな?」

 

「上のダンスフロアで消費する電力を担保できるだけの人数が必要かと。」

 

「なら…300人から400人ほど、かな。」

 

そ ん な に …」

 

「当然さ!ダークエルフの魔術師1人が生み出せる"電気"の量は決して多くはない。だから供給量には絶対の限度があるんだ。」

 

 

 

 なんとなく、魔王国で電気が省みられなかった理由を推測することができる。

 新魔王のダンスフロア程度なら安定した供給を提供できるにせよ、国家全体となると不可能なのだろう。

 ダンスフロアのライトにしろスピーカーにしろ、恐らくはダークエルフの魔術師達が生み出したものに違いないが、歴代魔王達は"そんな不安定なもの"に頼らずとも自前の力で人間をねじ伏せられると思っていたに違いない。

 しかしながら、それは国家全体と考えた場合であり、我々の用途では十分に見込みを得る事はできよう。

 

 

「新魔王様、是非ともお願いしたくあります。」

 

「わかったよ、ゲルハルト。君は大切な友だ。その要請は受諾しよう。」

 

「おおっ!ありがとうございま」

 

「た・だ・し。見返りと言ってはなんだけど、僕からもお願いがある。」

 

 

 新魔王が私の唇を指で押さえながら、腰の上へと乗ってくる。

 うおおおお乗るな乗るな乗るな乗るな無理無理無理無理エロいエロいエロいエロいッ!!!

 新魔王は色っぽくて仕方のないお顔を私の方にグングンと近づけてくると、耳元でそっと囁いた。

 

 

「………君のところの新兵器…マスケット、だったかな?…アレをどうか譲ってもらいたい。」

 

「……んんんんんんん、何故でしょう?」

 

「ダンスフロアは見たろう?…信じられないかもしれないけど、僕の政権の支持母体は彼女達なんだ。」

 

 

 ハッとして我にかえり、それで合点がいった。

 この城にダークエルフとサキュバスしかいないのは、おそらくは新魔王が自身の確実な掌握下に置けている種族が彼女達しかいないからだろう。

 

 

「ダークエルフの男性は極めて少ないし、インキュバスはほとんど居ない。だから鎧で身を固めた他の種族に対して、彼女達の力だけでは分が悪くてね。」

 

「魔術でどうにから凌げるが…新魔王様はより確実な方法が欲しいんですね?」

 

「ふふっ♡…その通りさ。だから…開発したての新兵器だし、無理を承知なのは知っているが…どうか僕にもその兵器を分けて欲しい。」

 

「…数は幾つほど?」

 

「ダークエルフの魔術師達の頭数分を。300〜400挺あれば嬉しいかな。」

 

 

 マスケットの量産体制はすでに整備されているし、奪取した方伯領の職人達もエルドリアンのフランチャイズに組み込んでいる。

 時間は多少かかるにせよ、決して不可能な注文ではない。

 エルドリアンには数を伝えるだけで良いし、シュペアーには帝国向けの輸出だとでも言えば良かろう。

 

 

 

「分かりました。この前の政治犯の件もあります、調達しましょう。…ついでと言ってはなんですが、旧方伯軍の残した大量のハンドキャノンもあります。ご一緒に如何です?」

 

「ああ…!ありがとう!本当にありがとう!」

 

 

 きっと国内の再整理に躍起になっているであろう新魔王は喜色の笑みを浮かべて、未だ上気しているその大きな胸の谷間に私の顔面を包み込んだ。

 交渉成功。

 されども私は早く帰りたい。

 まだ他にも仕事はあるし、ここに長居してると頭の中が色々とグチャグチャになりそうだからだ。

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