スリザリンの英雄   作:雲居 静刃

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 そっ(投稿音)
 一週間で一話書くくらいできるやろって思ってました。(見通しガバ)
 まだまだ序盤しかかけてないのにお気に入りしてくれた皆様に申し訳ねぇ。ですので次話は来週投稿予定です。(予定は未定)


染まらないもの

 ハリーの寮が発表されてからたっぷりと時間を開けて、ようやくスリザリンの席から歓声が上がった。

 だがその歓声以上に、困惑の声の方が大きかった。

 

「あのハリー・ポッターがスリザリンに?」

「何かの間違いでしょう?」

 

 そこらじゅうからそんな声が聞こえてくる。

 有り得ないと言う視線がハリーに向かっていた。

 ハリーはいまだに呆然としているマクゴナガル先生に帽子を押し付けると、ざわめきを尻目にスリザリンのジンジャーの隣の席に向かった。

 

「おんなじ寮だね。これからもよろしく。」

「うん。こっちこそ。」

 

 変わらずに話しかけてくれたジンジャーに、ハリーは安堵する。

 ハリーが席に座ると、周りにはすぐに人が集まりだす。

 

「パンジー・パーキンソンよ。よろしくね。」

「マーカス・フリントだ。クディッチは好きか?」

 

 次々と色んな人たちがハリーに自己紹介をしていく。

 

「やぁ、ハリー。同じ寮になれて嬉しいよ。」

 

 そんな中、ようやく聞き覚えのある声がハリーに話しかけてきた。

 

「ありがとう、ドラコ。」

「それにしても随分と長かったね。すぐにスリザリンに決まると思ってたよ。」

「ずっとスリザリンとグリフィンドールで迷ってたよ。」

 

 ハリーがそういうと、マルフォイは驚いたような顔をする。

 

「グリフィンドールと?あの帽子イかれてるんじゃないか?」

 

 しばらくぶつぶつ言った後、「まぁ、君がスリザリンで良かったよ。」マルフォイは気を取り直したようにハリーに言う。

 

 

「おめでとう!新入生諸君!」

 

 突然、ダンブルドアの声が響き渡る。

 

「組み分けが終わったところで、お待ちかねの歓迎会を始めるとしようかの。」

 

 みんなと話しているうちにどうやら組み分けは全部終わってしまったようだった。

 気付くと、ハリーたちの目の前の皿には沢山の食べ物が用意されていた。

 みんなはすでに目の前の夕食に夢中になっている。

 

「そういえば、ジンジャーも結構長かったけど、どこかと迷ってたの?」

 

 夕食を頬張りながらハリーが聞く。

 

「レイブンクローとだな。俺がスリザリンがいいと言うと、結構簡単にスリザリンになった。」

「へぇ、私はどこでもうまくやっていけると思うって言ったら、決まったんだ。」

「意外だな。そういうのはグリフィンドールになりそうなものだが。」

「確かにそうかもね。」

 

 ハリーがジンジャーと話しているとハリーは視線を感じた。

 その視線は先生たちのテーブルからだった。一部の先生たちがざわつきながらハリーの方を見ていた。

 

「ねぇジンジャー。先生たちがこっち見てるんだけど何か知らない?」

「あー、たぶん君がスリザリンに入るとは思ってなかったんだろう。」

 

 歯切れが悪そうにジンジャーが言った。

 

「どうして?」

「悪い魔法使いはスリザリン出身ってイメージが強いからね。『例のあの人』を倒した英雄がスリザリンに入るとは思わなかったんじゃないかな」

 

 説明しながらもジンジャー自身がその話に納得していないようだった。

 

「ふーん。でもグリフィンドール出身の悪の魔法使いや、スリザリン出身の良い魔法使いもいたんじゃないかな?」

「当然いただろうね。あくまでイメージだよ。あんまり気にしない方がいい。」

 

 そこまで言うと、ジンジャーは食事に戻っていった。

 ハリーもそれを見てお腹がペコペコだったことを思い出し、夕食に集中する。

 久しぶりに満足のいくまで食べたハリーがマルフォイたちと軽く会話をしていると、またもダンブルドアの声が響き渡る。

 

「みな、よく食べよく飲んだことじゃろう。」

 

 挨拶に続けて、ダンブルドアはこの学校での注意事項などを話していく。

 

「最後に、とても痛い死に方をしたくない人は、今年いっぱい四階の右側の廊下には立ち入らないことじゃ。」

 

 ダンブルドアのその言葉にハリーはびっくりしてしまった。

 

「あれって本当だと思う?」

「この場で冗談を言うような人じゃないだろう。その証拠に先生方も真剣な表情をしてる。」

 

 そう言われたハリーが先生たちのテーブルを見ると、確かに冗談を言うような雰囲気ではなかった。

 

「さて、最後に校歌を歌って終わりにしようかの。」

 

 ダンブルドアがそう続けた瞬間。さっきまで真剣な表情を浮かべていた先生たちの顔が凍りつく。

 だがそんなことはお構いなしに空中に歌詞が映し出され、ダンブルドアの号令で歌が始まる。

 

 ホグワーツの校歌は、ハリーが思うに、一言で言うと混沌(カオス)だった。

 

 校歌が終わるとダンブルドアの指示でハリーたちは監督生に従って移動を始めた。

 スリザリンの寮は地下にあるらしく、ハリーたちは階段を降りていった。

 監督生はある壁の前で立ち止まる。

 

「毒蛇!」

 

 監督生が合言葉らしき言葉を叫ぶと、石に隠されていた扉が開いた。

 

 談話室は少し冷たい印象を与える、石造りの部屋だった。

 一年生達は、監督生の指示で男子は男子寮へ、女子は女子寮へ案内され、それぞれの部屋に入っていった。

 ハリーは同室の子達と早速仲良くしたかったが、誰もが疲れており、ハリー含めみんなすぐに眠ってしまっていた。

 

 ▪️ ▪️ ▪️

 

 次の日からハリー達を最も困らせたのは動く階段だった。

 そのせいで何度か授業に遅れてしまいそうになってしまったのだ。

 ただ、ハリーにとって授業はとても面白いものだった。

 マクゴナガルの変身術なんかは難しかったが、フリットウィックの妖精の呪文では、ジンジャーにコツを教えてもらうことで、呪文を成功させることができたりもした。

 他にも様々な授業を受け、気づけば、あっという間に金曜日になっていた。

 

「知ってるかいハリー。今日やる魔法薬学の担当のスネイプ先生はスリザリン生に甘いんだってさ。」

 

 ハリー達が朝食をとっていると、正面の席に座ったマルフォイが嬉々として話しだした。

 

「そういうのはあんまり良く無いと思うけどなぁ。」

「何言ってるんだい?いいことじゃ無いか。」

「確かにスリザリン生にはいいことかもしれないけど、先生としては良く無いでしょ。」

 

 マルフォイは「そんなことは気にしなくてだろう」と呟くも。広間に大量にやってきたフクロウ達に邪魔される。

 ハリーの飼っているヘドウィグは何かを運んできたことはないものの、ちょくちょくやってきては水や食べ物をせがんでハリーに一頻り撫でられると満足して帰る。なんてことをしていた。

 

 今日は来るだろうかとハリーが上を見上げると、ヘドウィグが荷物を持っている事に気づいた。

 ヘドウィグはハリーの真上までくると持っていたものを落とした。

 それはハグリッドからの手紙だった。

 手紙には、今日の午後にお茶でもどうか、と言った旨が記されていた。

 

 ハリーはそれを読み終わると、マルフォイ…に声をかけるのはやめ、ジンジャーに声をかけた。

 

「ねぇ、ジンジャー午後は暇?」

 

 まだ口の中に食べ物が入っていたのかジンジャーはうなずくだけで返事を返す。

 

「ハグリッドにお茶のお誘いを受けたんだけど一緒に行かない?」

「構わないよ。」

 

 今度はちゃんとした返事が返ってくる。

 そんなことをしていると、すでに結構時間が迫っており、ハリーは急いで朝食を食べ終え、今日の授業へと向かっていった。

 

 

 魔法薬学の授業はハリーが思っていたより…普通だった。

 最初に出席を取った時、一瞬ハリーの名前で止まったがこちらをチラリと見ただけで何もなく、スリザリンをひいきすることもあんまりなかった。

 ただネビル・ロングボトムがおできを治す薬で鍋の中身を撒き散らす失敗をしたときは減点したが、ハリーにはひいきには感じられなかった。

 

「ねぇハリー。さっきの授業中スネイプ先生がずっと君のことを見てたけど何かしたのかい?」

 

 魔法薬学の授業の後、昼食を食べに広間へ向かう途中、マルフォイがハリーに声をかける。

 

「それ本当?わたしが先生の方を見てた時は、最初に目があってから一度もこっちを見てなかったんだけど…。」

「本当さ。」

 ーーと言うことは、スネイプ先生はわたしが見てる時にだけ目を逸らしていた?

 

 ハリーはそんなことを考えるも、どうしてそんなことをするのかという結論には至らなかった。

 

「まぁ、どうしても気になったら聞いてみるよ。」

「そうしたほうがいいよ。」

 

 そんな話をしているうちに広間の扉が見えてくる。

 ハリーはみんなで昼食を食べ、少し経つとジンジャーを伴ってハグリッドのいる小屋へ向かった。

 

 

「ハグリッド〜。遊びに来たよ?」

 

 ハリーが小屋の前で声をかける。

 その声に反応してか、中から犬の吠える声と、それを宥める声が聞こえる。

少しして宥め切ったのか、小屋の入り口からハグリッドが顔を出した。

 

「おお、ハリー!よく来た。隣のは友達か?」

「うん。ジンジャーっていうんだ。」

「そうか。ま、上がってくれや。」

 

 ハグリッドの家の中はぱっと見は結構普通だった。ただ、椅子やテーブルのスケールがちょっと大きかった。

 

「学校生活はどうだ?」

「楽しいよ!友達もいるし。…まぁ、ハグリッドと仲良くできそうなのはジンジャーだけだけど。」

「スリザリン生じゃそんな奴も多いだろう。最初はなんでスリザリンなんかにって思っとったが、ハリーが楽しいんなら、それでええ。」

 

 ハグリッドはハリーにスリザリンが合わないんじゃないかと心配してお茶に呼んだようだった。

 ハグリッドの心遣いにハリーはうれしくなった。

 

「そうだハグリッド。さっきの授業中スネイプ先生がずっと私のこと見てたらしいんだけど何かしらない?」

「いや、…知らんなぁ。」

「そっか。」

 

 言いながらハグリッドは目を逸らしていた。ジンジャーから見ると嘘だとバレバレな仕草だ。

 

「ハグリッド、うまく誤魔化せる方法教えようか?」

 

 ジンジャーはハリーがハグリッドの飼い犬に気を取られている事を確認し、小声でハグリッドに話しかける。

 

「あー…。確かに必要かもしれんな。」

「とりあえず目線を逸らしたり、体の一部を触ったりするのが一番わかりやすいからやめておいた方がいい。あとは…」

「ねぇこれ見て!」

 

 突然、ハリーが声を上げる。

 同時に、ハリーは新聞の切り抜きを差し出してきた。

 

「あれ?なにか話してた?」

「いんや、何にも?」

 

 今度は声が上ずりかけている。

 

「?…この記事に載ってる盗みって僕らがいた時に起こったんじゃない?僕らがグリンコッツに行ったのと同じ日だよ?」

 

 ハリーが差し出した切り抜きには、グリンコッツに盗みが入ったことがまとめられていた。

 

「どうだろうなぁ。」

 

 さっきより盛大に目を逸らした。これではハリーにもバレバレだ。

 それを見たジンジャーは確信した。ハグリッドに隠し事は無理だな。…と。

 

「ハグリッドは何を隠してるんだろう?」

 

 ハリーが考え込む。

 

「ハグリッドはグリンコッツで何がしたか?」

 

 それを見たジンジャーは、好奇心からハリーに聞く。

 

「小包を取り出しただけだよ。」

「小包以外は何かあったか?」

「なかったかな。」

 

 ハリーにとってあの大きな金庫に小さな小包一つだけというのは印象的だったのだろう。すぐに返事を返していた。

 

「そうか…。じゃあ十中八九その盗みに入った人物はハグリッドが持ち出した小包が目的だな。」

 

 そこまで聞くとハグリッドは目を丸くする。

 

「なんでそうなる⁉︎」

 

 ハリーも聞きたそうにジンジャーの方を見ていた。

 

「一つ。犯人の目的が金及び金目のものじゃないこと。」

「どうして?」

 

 なぜ断言できるのか、ハリーには分からなかった。

 

「記事に書いてあるだろ、金庫に何が入ってたか教えられないって。」

「うん。」

「もともと入ってたのが金なら、別に教えてもいいだろ?教えないって事は何か特別なものなんだろう。」

「確かにそうかも。」

 

 話が進むにつれ、ハグリッドの顔がどんどん青くなっていく。

 

「二つ。金庫がからになるなんてそうそうないって事。」

「それはわかるな。気軽に金庫を空にするなんてできないよね。」

「そうだ。金にしろ、物にしろ、持ち出すには限度があるだろう。纏めると、金目のものではないであろう小包一つしか入ってなかったハグリッドの金庫は、怪しさ満点だな。」

「なるほど。」

 

 話を終え、二人でハグリッドの方を見ると、青い顔で額を押さえていた。

 

「はぁ。今日はもう帰ったほうがえぇ、ほらこのケーキをやろう。」

 

 ハグリッドは今までにないテキパキとした動きで、帰らせる準備を進めていく。

 気づけば二人は玄関まで移動されていた。

 

「いいか?今日の事は誰にも話しちゃいかんぞ。」

「分かったよ。…なんかごめん、ハグリッド。」

 

 ハグリッドの様子に、ジンジャーはつい謝ってしまっていた。

 そのままハグリッドに別れを告げ、二人は校舎に戻っていった。

 

 ちなみに、ハグリッドにもらったロックケーキは硬すぎてほとんど食べられなかった。

 

 ▪️ ▪️ ▪️

 

 一週間後の木曜日の午後。この日はグリフィンドールと合同で飛行訓練が行われることになっていた。

 一年生達は、運動場に集まって並んでいた。

 

「箒の側に立って手をかざし『上がれ』と唱えなさい。」

 

 そこに、やってきたフーチ先生から指示が飛ぶ。

 

「上がれ!」

 

 あちこちで声が上がる。

 一発で箒が上がった生徒は少なく、優等生であるジンジャーやハーマイオニー・グレンジャーもこれには苦戦していた。

 

「自信を持つのが大事なのさ。」

 

 その数少ない一発で上がった一人であるマルフォイが、偉そうな態度でハリーにアドバイスを送る。

 ハリーはアドバイスを素直に聞き箒に向き直る。

 そのかいあってかハリーは早めに箒をあげることに成功した。

 

 しばらくして、ようやく全員の箒が上がりきった。

 

「私が合図したら軽く地面を蹴って、宙に浮き少ししたら降りてきなさい。」

 

 箒が上がりきったのを確認し、生徒達に新たな指示が飛ぶ。

 生徒達の返事を聞き届け、フーチ先生がうなずく。

 

「では1、2の…」

 

 フーチ先生がそこまで言い、笛を口に近づけようとした瞬間、一人の生徒が先立って飛び上がった。

 その生徒はカエルを探していた少年…ネビル・ロングボトムだった。

 ロングボトムは悲鳴を上げながらどんどん高度をも上げてゆく。

 

「Mr.ロングボトム!落ち着いて、姿勢を低くしなさい!」

 

 高度を下げるための指示をフーチ先生が飛ばすも、ロングボトムには聞こえていないようで、ついにパニックになり箒が暴走し始めた。

 

 ロングボトムを乗せた箒はひとしきり暴れた後、ロングボトムだけを城壁に引っ掛け何処かへと飛び去っていった。

 引っかかったロングボトムはというと、そのまま地面に落ち、伸びていた。

 

「あらまぁ、手首が折れてる。」

 

 ロングボトムに駆け寄ったフーチ先生からそんな声が上がる。どうやらあれだけ暴れまわっても、手首が折れるだけで済んだようだ。

 フーチ先生は生徒達に、箒にのらずに待機しておけと指示を出し、ロングボトムを医務室に連れていった。

 

 

「見たかい?あの間抜けな顔。」

 

 少し経ち、ロングボトムが倒れていた場所で落ちていたものを持ち上げながら、マルフォイが笑う。グリフィンドール生の反応から見てそれはロングボトムの持ち物であるらしかった。

 スリザリンの一部の生徒達もマルフォイに釣られて笑い出す。

 調子に乗ったマルフォイが、これを何処かに隠そうか。なんて提案をしだす。

 

「返してあげなよ。ドラコ。」

 

 それを止めたのはグリフィンドール生…ではなく、ハリーだった。

 これにはスリザリン生だけでなく、グリフィンドール生も驚いた表情を浮かべていた。

 

「どうしてだい?」

「純血はすごいんだっていつも言ってるよね。そんなことしてると純血を勘違いされちゃうよ?」

 

 ハリーが言うと、マルフォイは未だ不満そうにしながらも、持っていたものを、無言で近くにいたウィーズリーに投げ渡した。

 

 それを見届けたハリーは安堵の表情を浮かべる。

 

 一時はどうなることかと思われた飛行訓練も、何事も無く終わりを告げた。

 




 ハリーがクィディッチに勧誘されなかったこと以外は、まだまだ原作と差は無いですね。次くらいからオリジナリティが出てくると思います。
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