話的には、もしもヒロインがちゆではなくひなただった場合の話です。
if ひなた ①
「こほっ、こほっ」
「風邪みたいですね」
しのぶさんが体温計を持って心配そうにしていた。
「季節の変わり目なので、休んでいればすぐに治りますよ」
「すみません…………」
「姉さんの手伝いで家を空けますが…………一人で大丈夫ですか?」
今日はカナエさんも杏寿朗さんも遠出していて、明日にならないと戻ってこない。しのぶさんも気を使って残ろうとしてるけど…………
「気にしないでください。一人でいるのは慣れてるんで…………」
小さい頃から一人でいるから…………
しのぶさんは困った顔をしながら納得して出掛けるのであった。
一人でいるのは…………慣れてるから大丈夫…………
「…………てる?」
声が聞こえた。夢かな?
「…………ル、交換して」
額に冷たい何かが当てられる。何だろうと思い、目を開けると…………
「あ、起こしちゃった?」
「ひ…なた?何で?」
何故か起きるとひなたがいた。何でいるんだ?
「しの姉と会って、紫乃っちが風邪引いて一人でいるって聞いたの。だから私が看病しにね」
ひなたが看病…………不安しかない。
「何?その顔は…………私が何か失敗すると思ってるの?」
「うん」
「正直に答えないでよ!?もうほら、寝てて」
寝かせようとするひなた。だけど僕としては…………
「悪いんだけど……寝る前に着替えたいから……」
熱のせいか、パジャマが汗でびっしょりで少し気持ち悪い。寝る前に一回着替えておきたい。
「あ、そうだよね。それなら…………汗とかも拭いた方がいいよね」
「うん、だから…………」
「私が拭いてあげるから、脱いで」
何で?自分でやるって言ってるのに…………
「い、いや……」
「ほらほら、ぬぐぬぐ」
聞いちゃいないよ…………
説得するのも体調が悪くて無理そうだし、諦めて上着を脱いだ。
「あ…」
「無理にはやらなくても……」
「ううん、大丈夫」
ひなたに背中を拭いてもらうことになったけど…………やっぱり恥ずかしい。
「……何でここまでしてくれるんだ?」
「何でって?」
「いや、別にお見舞いくらいでいいのに…………看病とかしてくれるの…………意外と言うか…………友達でもここまでしてくれるのは…………」
「…………だから」
「…………はい?」
「紫乃っちが寂しそうだったから」
寂しいって……そんなことは……
「紫乃っち、一人でいるの慣れてるって言うけど…………強がりにしか聞こえないよ」
「そんなことは……」
「そんなことあるよ……誰だって一人でいるのは寂しいものだもん。だから……」
強がりか……そうかもしれない。一人でいるのに慣れていた。だから寂しいのも…………
『ねぇ、一人でいないで遊ぼうよ』
「…………そう言えばひなたのお陰だったな」
「ヘ?」
「いや、去年、クラスで一人でいる僕に積極的に話しかけてきて、寂しさを忘れられたのは、ひなたのお陰だったなって……」
「あ、あれは……その」
「ありがとう。ひなた」
お礼を言うけど、ひなたは黙っていた。
「ひなた?」
「改めてお礼言われると恥ずかしい…………振り向かないで絶対変な顔してるから」
直球の言葉に弱いな。ひなたは…………
ひなたに言われた通り振り向かないでおこう
体を拭き終わり、着替えも済ました僕。
「それじゃそろそろ帰るから」
「悪いな。いろいろとしてもらって」
「ううん、全然」
「これで風邪移したら、今度は僕が同じように看病しに行くから」
「そ、それって…………その、背中とか拭いたりも……」
もじもじするひなた。まぁひなたがいいって言うなら…………
「ひなたがいいならするけど…………」
「や、それは…………好きな人にしてもらうのは……いいけど……でも恥ずかしいし」
「ん?」
「え?」
何か今……変なこと言わなかったか?
「……えっとひなた?」
「あ、えっと…………なま、またね‼」
ひなたは慌てて帰るのであった。さて、今気になることを言われたけど…………
「…………熱が上がったかな?寝よう」
顔が熱いのは風邪のせいだよな。うん
次回は本編更新後になります