今日は秋の対抗陸上大会の日、みんなでちゆの応援に来ていた。
「ちゆちゃーん」
「いっけー」
「ちゆー行くペエー」
のどか、ひなたの応援する中、ペギタンが飛び出そうとしていたが、ラビリンたちに止められていた。
「ちゆ、頑張れ」
「みんなみたいに大声で叫ばないのか?」
「それは……恥ずかしいし……」
でもどんなに小さい声でも届いているって思っている。
ちゆはバーを飛び越え、次は県大会の記録越えしそうだった。
次の選手は西中の高美ツバサって子だ。確か……ちゆのライバルだっけ?
彼女が跳ぶが、バーに足が当たり、失敗してしまう。次にちゆが成功すれば…………
フッとちゆが僕の方を見た気がした。気のせいだよな?
ちゆは走り出し、高く飛び…………成功をして優勝するのであった。
その日の夕方、キッチンカーでちゆの祝勝会を開いていた。
「優勝おめでとう」
「感動しました」
「だよねだよね」
「ありがとう」
「ほら、紫乃っちからも何かないの?」
「僕?……ちゆ、おめでとう」
「紫乃、ありがとう」
「もういつも通りなんだから~」
「まぁこの二人らしいけどな……」
いや、色々とお祝いの言葉を言いたいけど……ちゆが頑張ってきたのは分かっていたし…………ちゃんと全部込めてのおめでとうだし……
「ちゆちーさ、ハイジャンの選手目指さないの?」
「わぁ~今度は世界とか?」
「世界?」
何故か考え込むちゆ。どうしたんだろう?
「考えたことないわ」
「えぇ~もったいない。目指せばいいのに」
「どうして目指さないのですか?」
「私よりも凄い人、いっぱいいるもの」
「…………」
なんと言うか今まで考えてみなかったって感じか?まぁ僕から何か言うよりもちゆが決めたんだから仕方ないよな
次の日
校門前でちゆと挨拶を交わすと、突然益子が現れ……
「おはようございます」
「わっ!?」
「おっと……」
現れた瞬間、カメラを破壊しようとしたけど止めた
「た、橘さん……貴方何を……」
「すまん。驚いて……」
「まぁいいでしょう。今日は沢泉さんに独占取材をしに来ました!」
「取材!?私に?」
「オフコース!昨日の陸上大会で我が校唯一の優勝者!沢泉ちゆさん!その特集号を組むことになりました!タイトルはズバリ!『すこやか中のハイジャンプリンセス!大空を飛ぶ可憐なるその姿は鳥かはたまた蝶か!ちゆ・さわいずみ!すこやかに舞う!』」
「わぁ~長いタイトルだね~」
「ていうかダサッ」
「失敬ですね」
突っ込まれる益子。すると今度は後輩の子達が来て、ちゆに激励を送るのであった
放課後も見学者が多くいる中、ちゆは益子から取材を受けていた。
「と言うか僕もここにいていいのか?」
何故か僕も取材を受けるのであった。
「もちろん!沢泉さんのパートナーとして!橘さんにも聞かないと!」
「僕は……別に」
「ふふ」
すると顧問の先生が週間陸上トップからのインタビューを受けること話が出てきた。ちゆは喜んで……って様子ではなかった。
「それと橘くん、君も付いていってあげて」
「いや、何で僕も!?」
「いいから、お願いね」
何か……巻き込まれた?
「紫乃、ごめんね」
「いや、大丈夫だよ……」
まぁこれも乗り掛かった船だし……付き添いくらいはするか
その日の夜
「明日付き添いね~」
「と言うわけで、夕飯の当番お願いしますね。蜜璃さん」
「任せて!美味しいもの沢山作るから!」
道場へと向かいながら蜜璃さんとそんな話をしていた。そして道場に着くと実弥さんが木刀を構えて待っていた。
「来たか!」
「すみません!鍛練に付き合ってもらって……」
「別にいいが……お前、何で急に?」
「実は母さんから貰ったものがあって……」
それは僕の師匠が残した指南書だった。
「母さんが仕事でまた出掛ける前に貰って読んだんですが…………」
そこには雪の呼吸の最後の型が書かれていた。その型は取得が難しいみたいで、速さとしなやかさが重要だと書かれていた。
「多分一番近いのはお二人の呼吸だと思って…………」
「要するに……模擬戦で何かヒントを得ようとしているのか!いいぜ!!乗った!!」
「私も頑張っちゃうわ!!」
「よろしくお願いします!!」
「因みに…………お前は身体が頑丈だから……体力ギリギリまでやれるな!」
「えっ?」
「よぉし!張り切っちゃうわよ」
いや、張り切らなくても…………
その後、僕は柱二人相手に全力の模擬戦を行うのであった。