ある日の沢泉家
「姉ちゃん凄い!今度は新聞に載るなんて」
「本当ね~」
「もう大騒ぎしないで、新聞にちょっと載せてもらっただけなんだから」
沢泉家ではちゆが新聞に載ったことに関して大盛り上がりだった。まぁちゆの評価がそれだけ高いということだな。
「所で……紫乃?」
「ん?」
「普通にいて驚いてるんだけど…………何で家にいるの?」
「あぁそれは……」
朝ランニングしていたときに、ちゆのお母さんに声をかけられて、そのままお邪魔することに…………
「紫乃くんは将来的にちゆのお婿になるのだからね」
「もう///」
満更でもなさそうなちゆ。とりあえずお茶を飲んだら帰るかなと思っていたら…………
ちゆの家族はちゆにはハイジャンプに集中してもらおうと言う話になった。その間女将の修行はとうじが頑張ることになり、とうじも乗り気だけど…………ちゆだけは浮かない顔をしていた。
授業中でもちゆはずっと浮かない顔をしていて、集中も出来ていないみたいだった。のどかとひなたもそれに気がついていた。
そんなお昼休みのこと、ベンチでのどかが事情を聞いた。
「ちゆちゃん、何か悩みごと?」
「あ、もしかして……今度はテレビの取材が来たとか?そしたら私たちも一緒に……」
「ううん、そんなんじゃなくって……」
ちゆは今朝の話をのどか、ひなた、一青に話した。
「それじゃとうじくんが旅館やるの?」
「えぇ、でも……小さい頃からずっと自分が女将をやると思っていたから……何だか不思議な感じね」
「でもちゆちー、これでハイジャンに集中できるじゃん。世界へジャーンプでしょ?」
「世界へ……そう……そうよね……そのためにはもっと頑張らないと……これからはハイジャンに専念してみるわ」
答えが見つかったみたいだけど……
「本当に……それでいいのかね?」
「小声で言わずに普通に言ったらどうだ?」
「いや、僕はあえて言わないよ。その方が……」
「お前の拘りはいいけど……たまには力になってやれ。答えは出てるんだろ」
一青の言う通りだけど……それは果たしてちゆが望む答えなのか……
「それよりもお前……大丈夫か?」
「何が?」
「この間の戦い……声が聞こえたとか言ってたろ。まさかと思うけど……鬼舞辻の……」
「いや、鬼舞辻じゃない」
何度か声は聞いたことあったけど……この間の声は鬼舞辻じゃなかった。ただどこかで聞いたことなのは確かだ
あの声は……それに喰らえて……
「鬼としての力がまた覚醒しかけてるのかもな」
「そうか……」
そう言えば一青も忌み子と呼ばれてるらしいけど……何かしらの力があるのか?
本人にはあえて聞かないようにはしてるけど…………
放課後、みんなでちゆの練習を見学していたけど…………途中からアスミが合流したが…………どうにもちゆの調子が悪い。ペギタンもそれに気がついていたみたいだけど…………
「たまには答えを教えるべきか……」
我ながらめんどくさいことに拘ってるな…………
「紫乃くん、どうかしたの?」
家で考え事をしていると、禰豆子が声をかけてきた。
「ん…いや…めんどくさい性格してるなって」
「紫乃くんが?」
「まぁ……な」
本当に……どうしたものか……禰頭子にちゆの事を話すと…………
「どっちにするのか悩んでる感じ?」
「多分な…………僕には分からないことだよ」
夢とかそう言うのなかったし……
「そうなの?小さいときとか」
「いや、小さいときは……」
小さい頃の夢はかなり恥ずかしい…………正直誰にも話したくないけど…………
「どうすればいいのか答えを出すのはちゆちゃんだけど……紫乃くんはたまには素直になったら?」
素直にか……それも悪くないな…………
「とりあえずちゆのところに行ってみるよ」
「それならさっき海岸の方に走っていったよ」
「わかった」
ちゃんと話をするか。