「いっくんって、親に会わないの?」
「いきなりだな……」
「いやさ、話は聞いてるよ。捨てられて……」
「ひなた……お前さ……少し気を遣うとか……まぁいいか。今更会う気はしない」
「もしかして……恨んでる?」
「いや……今は……みんなと……ひなたと一緒にいれるから…………」
「は!?」
「一瞬、気を失っていたか」
俺は……気を……そうだ……鬼神が俺たちを別の場所に飛ばして………その場所には黒死牟がいて…………戦っていたけど…………
「加減しているとはいえ、それ以上は死ぬぞ」
身体中、斬られている。深くはないけど……それでもかなり痛い……
だけど…………
「まだだ!」
諦めるわけにはいかない!
『十二月の呼吸!終ノ月!』
『月の呼吸!陸ノ型!常夜孤月・無間』
放とうとした技が、黒死牟の技に遮られ、身体中を刻まれる。
「かはっ……」
「撫でる程度だ。だがお前はそれだけで死ぬ」
まだ……死ぬわけには…………
「一つ思出話をしてやろう」
斬りかかるが、黒死牟は刀で受けながら話し出した。
「お前はこの世界の私の子孫。そしてお前は忌み子…………」
俺の事をわざわざ話すなよ…………分かってるんだよ……
「忌み子のお前にはある力があると言われている」
俺は痣を発現させ、斬りかかるが弾かれた。
「痣の力だと思っているみたいだが……それは違う」
「違う?なら、紫乃みたいな鬼の力か!」
連続で攻撃を繰り出し続けていくが、その全てを弾いていく。
「違う。特殊な力だと思うな!」
『月の呼吸!捌ノ型!月龍輪尾』
強力な一撃が放たれ、俺の腹が切り裂かれた。
「あ……」
「気づかぬなら……そのまま朽ちていけ」
俺は……死ぬのか?死ぬときって……痛みってないんだな…………いや、違う…………これは…………
俺は倒れそうになったけど、何とか踏みとどまる。
「ほう……まだ死なぬか」
「あいつの……紫乃の血で作られた薬のお陰で何とかな」
切られたときに割れたんだろうけど……助かった……
「俺は……忌み子じゃない」
今までの構えとは違う構えをとった。
俺の力…………それは痣の力ではない。大昔、鬼舞辻を日の呼吸の剣士とともに追い詰めた呼吸…………
『月の呼吸!闇月・宵の宮』
放った技は黒死牟の首を捉えた。このまま切り裂く…………でも…………
「つぅ!?」
完全な回復が出来ていないからか…………痛みで技が止まってしまった。このままだと…………
「…………それでいい」
黒死牟がそう告げた瞬間、奴の首が跳んだ。
「は?」
今……自分から首を動かした?
「…………どういうことだよ……」
「お前の勝ちだ。一青」
「勝ちなわけないだろ!自分から首を…………」
「忌み子の意味……それは特殊な力でも、痣の力でもなく…………唯一月の呼吸を受け継ぐ事が出来るということだ…………」
月の呼吸を…………
「お前は鬼神に拾われ、俺のもとで鍛えたが…………月の呼吸の派生しか扱えなかった。だが今は……違う…………」
「何で……今更…………ネオキングビョーゲンに通じるからか?」
「いや、鬼神はもしもの事を考えていた。そしてこの戦いは…………私がお前に教える最後の稽古だ…………」
黒死牟はそう言い残して塵になっていく。
「もしもって……なんだよ……」
訳がわからない……だけど今は……
「あいつらと合流しないと…………」
のどかside
離れたところに避難した私たち。そしてあの光の結界…………私たちはどうすればネオキングビョーゲンを浄化出来るか話し合った。
あのバリアを破らない限り……私たちの攻撃は通じない。でもその方法が……
「私、考えたのですが……」
「何々?名案?」
「グアイワルたちはメガパーツを取り込み、ネオキングビョーゲンはグアイワルたちを取り込んでいました。つまりビョーゲンズにはビョーゲンズの力を吸収する性質があると言うことです。ということはビョーゲンズの力と一緒に私たちの技を放てば、バリアの向こうに届くのではないでしょうか?」
確かにそれなら……可能性があるけど…………
「でもどうやって?」
「僕たちはビョーゲンズの力を使えないペエ」
「私の中にビョーゲンズの力を宿すのです」
それって……アスミちゃんにかなりの負担が…………
「ダメだよ!そんなのダメ!アスミちゃんに……ううん、誰にもあんな苦しい思いはさせたくない!ダメ……ダメ……」
あんな苦しいのは…………
ラテも反対しているけど、アスミちゃんは大切なものが増えたから……人間ではない自分にしか出来ないことだと言う…………
アスミちゃんは守りたいんだ…………守りたいからこその決意なんだ…………
「どんなに反対されても、私は実行します。私の心も身体も私のものですから……」
アスミちゃんの覚悟…………受け取らないと……
「こんなところにいたのね」
するとシンドイーネが現れるのであった。