ちゆの鮮やかに飛ぶ姿…………いつ見てもきれいだった。
「ナイスジャンプ!ちゆちゃん」
のどかはちゆの手を振り、ちゆも手を振って返していた。
今日はのどかとひなたの二人と一緒に陸上部の見学をしていた。
「陸上してるちゆちゃんって、生きてるって感じがするよね」
「分かるーハイジャンプしてるときは、めっちゃ生きてるって感じ」
「昔から頑張ってるからな。それに春の大会も近いから、みんな気合い入ってるし」
「紫乃くん、何だか楽しそうだね」
「そうか?」
「そうそう、いつもよりニコニコしてるよ」
二人にそんなことを言われて、少し考えると…………確かにそうかもしれないな。
ちゆがもしかしたら大会で優勝するかもと話していると……
「安心するのはまだ早いかと」
「「えっ?」」
「益子、どうしたんだ?こんなところで」
「安心するのは早いって、どういう意味?」
のどかはそう聞き、益子はすこ中陸上部のライバルの西中陸上部の写真を見せた。
「県大会の最高記録を、沢泉さんの自己ベストを越えています」
だから安心するのは早いか…………
「沢泉さんの特集を組もうと思いましたが、雲行きが怪しくなってきましたね」
のどかとひなたの二人が写真を見つめていると、ちゆが後ろから声をかけてきた
「なに見てるの?」
「わわ、ちゆちー、どしたの?休憩?」
「丁度良かった。ぜひ僕のスクープ写真を…………」
益子が写真を見せようとするが、ひなたに突き飛ばされてしまうのであった。
「えっと、その、可愛いクラゲの写真を…………」
「西中陸上部の写真を見てたんだよ」
「紫乃くん(紫乃っち)!?」
グランドに入り、ベンチに座りながらちゆは写真を見ていた。
「ちゆちゃん…………」
「気にならないなら嘘になるけど…………」
「いちいち気にしないだろ」
「えぇ、陸上は自分との戦い。私のライバルは私だから」
ちゆはそう言って、練習に戻っていく。
大丈夫そうだと思った瞬間、ちゆがジャンプに失敗した。
ちゆside
旅館の仕事を手伝っていると、一緒に手伝ってくれているペギタンに私は…………
「カッコ悪いところ見せちゃったわね」
「ううん、そんなことないペエ。毎日一生懸命頑張ってるちゆは格好いいペエ」
格好いいか…………今の私にはそんなことを言われる資格はないのに…………
「大丈夫ペエ。明日はきっと跳べるペエ」
ペギタンは励ましてくれているけど、今の私には…………
「ちゆ、お客さんよ」
お母さんが呼びに来て、ペギタンは急いで隠れた。
「お客さん?誰だろ?」
誰だろと思いながら、玄関にいくとそこには紫乃がいた
「どうしたの?家出?」
「何で家出してきたと思うんだよ」
「だってこんな時間に来るとしたら、家出くらいじゃない」
幼い頃のイメージが強いからそう思えた。
「まったく…………」
「それで何か用なの?」
「ちょっと様子を見に来たんだよ」
「様子って…………」
「元気そうに見えるけど、やっぱり気にしてるんだな」
紫乃…………付き合いが長いから分かるのね
変に誤魔化したりせずに、私はただ頷いた。
「無理だけはするなよな。倒れでもしたらみんな、心配する」
「紫乃も?」
「僕は…………物凄く心配するかな?」
物凄く…………ね。紫乃らしい答え。
「空を泳ぐんだろ」
「…………えぇ」
紫乃は覚えてくれていたのね。私がハイジャンプを始めた理由を…………
次の日の朝、ランニングしに行こうとすると、のどかとひなたの二人が待っていた。二人も心配してくれて来てくれたらしい。
「紫乃くんに声をかけたんだけど…………」
「『寝かせてくれよ。寝たのさっきなんだから…………』だって」
無理をしてるのはどっちなのよ。
心の中でツッコミをいれる私であった