ちゆside
「…………よし」
鏡の前で身だしなみを整える私。今日は紫乃と…………
「ちゆ?何処かお出かけペエ?」
「えぇ、し…………買い物に出掛けるのよ」
危ない。ペギタンに言うところだった。まだみんなには内緒にしとかないと…………
「ペギタン、悪いけど…………」
「分かってるペエ。僕も今日はラテ様のお世話しに行くペエ」
「そうなんだ。それじゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃいペエ」
ペギタンに見送られながら、私は待ち合わせ場所に向かうのであった。
だけど…………
「こちらニャトラン。ちゆが出掛けたみたいだぜ。ドーゾー」
「こちらひなた。ちゆちーがおめかししてる…………怪しい」
電柱の影にひなたとニャトランの姿があったことについては気がつかない私であった。
待ち合わせ場所に行くと、紫乃がすでに来ていた。
「お待たせ。紫乃」
「そんなに待ってないよ。さっき来たばっかりだし」
本当は一時間前から来てたのかしらと分かってしまう自分がいる。
それだけで恋人らしい事をしてる…………
「それで…………本当にあそこに行くのか?」
「えぇ、私が行きたいところって言ったじゃない。ほら、行きましょう」
私はそう言って紫乃の手を繋いだ。
「手を繋いでるぞ‼ありゃ付き合ってるな」
「ううん、恋人繋ぎじゃない‼まだ分からないよ」
「ひなたちゃ~ん、邪魔しちゃ悪いよ~」
「そうだけど気になるじゃん」
「二人とも暇ラビ?」
「ちゆ、何で紫乃と出掛けるって言わなかったペエ?」
「動いた‼行くよのどかっち」
「ひなたちゃん、待ってよ~」
少し歩いてついた場所は、運動公園だった。私たちはジャージに着替えると…………
「それじゃランニング始めましょう」
「OK」
しばらく二人で公園を走り、走り終えると紫乃はベンチに座って疲れ果てていた。
「運動不足じゃない?」
「割と鍛えてるんだけどな…………」
「全く…………」
紫乃の隣に座ろうとしたけど、躊躇してしまう。
「どうしたんだ?」
「えっと…………汗くさいかなって……」
隣に座って嫌な思いをさせたくないな…………
すると紫乃は私をベンチに座らせる。
「気にしなくていいよ。と言うか気にならないから」
「紫乃…………」
「休憩も終わり‼続きやろうか」
「えぇ」
もう一度走りに行く私たちであった。
それから沢山運動をして、夕方になり、二人で海まで来て夕陽を眺めていた。
「きれいな夕陽ね……」
「…………」
「紫乃?」
「ちゆ、みんなに言わなくていいのか?付き合ってること」
「…………」
私はのどかたちに紫乃と付き合ってることを言ってない。いや、言えないでいた。
だってあの二人は…………
「言えないよ…………二人は紫乃の事が好きなのに…………私が奪ったって思われてるから…………」
「そんなことは…………」
「そんなことはないって思いたいけど…………そんなことが頭に浮かぶの……だから……きっと言ったら二人に何を言われるか……」
私は涙を流した。今の関係を壊したくないからこそ、言えない。
紫乃はため息をつき…………
「じゃあ聞いてみたらどうだ?いるんだろ二人とも」
「えっ!?」
後ろを振り向くと、のどかたちがいた。偶然通りかかったの?
「あはは……知ってたの?」
「何となくな」
ひなたは苦笑いを浮かべていると、のどかは紫乃を真っ直ぐ見て…………
「紫乃くん。私…………貴方の事が好きだよ」
「のどか!?」
「…………嬉しいけど、僕はちゆが大好きだから」
「知ってる。だからこの想いだけは伝えたかったの。それに紫乃くんがちゆちゃんと愛し合っていても、私は紫乃くんの事を好きで居続けていい?」
「あぁ、お前がそうしたいなら…………」
「のどか…………」
のどかは少し涙ぐむ。するとひなたは…………
「ちょっと何かずるいよ。私も紫乃っちの事が好き。のどかっちと同じように好きで居続けていい?」
「そうしたいならな」
「OK。そうするね」
二人とも…………怒ってないの?
「ちゆちゃん、私たちはちゆちゃんを傷つけたりしないよ」
「そうそう、友達だもん。だから気にしないでね」
「のどか…………ひなた…………」
私は泣きながら二人を抱き締める。二人も私を抱き締めてくれた。
「ごめん、ごめんね」
紫乃side
ちゃんと言えたあと、のどかと一緒に家まで帰ることになった。
「紫乃くん」
「何だ?」
「ちゆちゃんを傷つけたりしたら許さないからね」
のどか…………笑顔で言うのは止めてほしいのだけど…………
「傷つけたりすると思うか?」
「ふふ、言ってみただけだよ」
何かすごい釘を刺されたけど、大丈夫。絶対にちゆは傷つけたりしないし、ちゆの大好きな友達であるのどかとひなたも傷つけない。
「守ってみせるから」
「ちゆちゃんを?」
「ちゆの大好きな友達のお前たちもだよ」
「それじゃちゆちゃんが大好きな紫乃くんは私たちが守るから」
お互いに決意を言葉にして誓い合うのであった。
絶対に守ってみせるから…………三人の仲間として、ちゆの恋人として…………
何があっても…………
「ここは…………傷は……痛まない、と言うより痛くない」
蝶の髪飾りを付けた少女が一人、やって来ていた。