ヒーリングっど♥プリキュア 雪の呼吸の使い手   作:水甲

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本編3割でオリスト7割になってます


62 雪の呼吸の意味

ちゆside

 

「お兄…どう?ラテ死んじゃわないよね…」

 

メガビョーゲンとの戦いのあと、ラテが苦しそうにしていて、私たちはひなたのお兄さんに視てもらっていた。

 

「ひなた、落ち着け。疲れが貯まってるところに風邪貰っちゃったみたいでね。薬を出しておくからしっかり休ませておくこと」

 

「はい…」

 

ラテ……それに……

 

「紫乃……」

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

すこやか山のある場所に来た僕。

 

「ここに来るのも……おじさんが死んでから……か」

 

月鬼に完全に敗北した僕……傷は再生したのに……心が痛い……

 

「守りたい思いが……弱くなんて……」

 

おじさんの教えが……否定されて…………僕は…………

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

ビョーゲンキングダムにて、轆轆と病葉の二人が鬼神に呼び出されていた。

 

『貴様らに力を与えよう』

 

「力をですか?」

 

「ですが何故……今?」

 

『月鬼が橘紫乃に勝利した。奴は心が弱っている今‼奴を殺す‼そのための力を与えよう』

 

二人の前に一本の角が現れた。

 

「こ、これは……」

 

『私の角だ。その角を使い、お前たち二人は上弦と同等の力を得る‼さぁ奴を殺せ‼』

 

「「はっ‼」」

 

紫乃……あいつも終わりだな。

 

 

 

 

ちゆside

 

のどかの家でラテのお見舞いをしたあと、紫乃の家を訪ねる私……出てきたカナエさんに紫乃が帰ってきているか聞くけど……

 

「いない!?」

 

「えぇ、少し前に暫く帰らないって言って、荷物を持って何処かに行ったわ……」

 

「そんな……」

 

紫乃……何処に……

 

「……きっと帰ってくるわよ」

 

「えっ?」

 

「あの子は雪の呼吸を受け継いでるもの……迷いも何も振り切って……みんなのところに……ちゆちゃんの所に帰ってくるわ」

 

「どういうことですか?」

 

「そうね……折角だから話しておこうかしら……紫乃くんの師匠……雪柱の東堂さんのことを」

 

 

 

 

これは私と岩柱の人と東堂さんが任務明けで食事をしていたときに、私が聞いたの

 

「継子をとらない理由か?」

 

「えぇ、貴方ならいてもおかしくないと思いますけど……」

 

「そうだな……まず俺の呼吸は水の呼吸の派生なのは知ってるか?」

 

「はい」

 

「新しい呼吸だと言っていたな」

 

「二人は俺の呼吸を見て、どう思った?」

 

「……優しいですか?」

 

「優しさと時折感じる全てを飲み込む力を感じる」

 

「雪って言うのは元々そう言うものだ。深々と降り積もり、一見何処と無く優しさを感じるが……時折吹雪いて人々を襲う……雪の呼吸はその二面性がないとダメなんだよ」

 

「つまり……」

 

「東堂……お前に優しさがあるのか?」

 

「悲鳴嶋……お前な……まぁいいや。俺の場合は優しさが技……荒々しさが鬼への憎しみ……その二面性が雪の呼吸を扱うに必要なんだよ」

 

「つまり……今は受け継いでくれるひとがいないと言うことですか?」

 

「そうなるな。それにな……俺の技の優しさは……水の呼吸の干天の慈雨が元になってる」

 

干天の慈雨……鬼が自ら首を差し出してきたときに放つ慈悲の技……

 

「もしも俺の継子がいるなら……心が優しく……誰かを守りたい思いが強く、迷いなんて振り切る荒々しさと技の激しさを持ってる奴だな」

 

 

 

 

 

 

「それが紫乃……」

 

「私も最初に会って彼の呼吸を受け継いだことを知ってね……そうか……この子が東堂さんが言っていた子なんだって思ったわ……だから戻ってくるはずよ」

 

「…………」

 

「もしも心配なら……探してみたら?前に話していた稽古場がすこやか山にあるはずだから……」

 

「はい……」

 

 

 

 

 

 

 

次の日、ラテのお見舞いに来た私……

 

「ちゆちゃん……いいの?」

 

「ラテの事が心配だもん。部活は……」

 

「そうじゃなくって…紫乃くんのこと……」

 

のどかは心配そうにでもなく、少し怒った顔をしていた。そっか……のどかが怒るのも無理ないよね……

 

「ラテ……ごめんね。私……ラテを言い訳にしていた……」

 

ラテを撫でながら、私は紫乃が戻ってくるのを待っていたことを反省した。今は紫乃一人にするんじゃなく……紫乃と向き合わないと‼

 

「行ってくるわね」

 

「うん」

 

「ちゆちー行ってらっしゃい」

 

私は紫乃の元へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

ずっと座禅を組んで瞑想をしていた。今……僕に必要なのは………………

 

「……の」

 

聞き覚えのある声が聞こえ、目を開けるとちゆが目の前にいた。

 

「ちゆ?」

 

「紫乃‼」

 

ちゆが抱きついてきて、思わず倒れそうになった。何でちゆが……

 

「紫乃……バカ‼」

 

「バカって……いきなり来て……」

 

「バカバカバカ」

 

「いや、だから……」

 

「紫乃……紫乃の強さは呼吸とかその身体とかじゃない……紫乃の強さは……私たちを守りたいって思いの強さよ」

 

「ちゆ……」

 

「一回負けたからって……それがどうしたのよ……紫乃なら……」

 

「立ち上がるよ……」

 

「えっ?」

 

ちゆは驚いた顔をしていた。まさかと思うけど強さを求めて自暴自棄になって何かやらかそうとしてるのかと思われていたのかな?

 

「負けたときは……誰の声も届かないくらいに落ち込んでたよ……だけどここに来て思い出せた…………僕の強さの理由を……強くなる理由を……」

 

「そっか……私……ここに来る必要なかったのね」

 

「そんなことないよ。ちゆに会えて……もっと気持ちが強くなった‼それとちゆ、ごめんな。心配かけて……」

 

「ううん、気にして…………やっぱり許さない」

 

てっきり許してくれるかと思ったんだけど……

 

「これからは何があっても……守りたい思いは忘れないで……」

 

「あぁ」

 

それからちゆと一緒に手を繋いで山を降りるのであった


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